νシン・アスカは伊達じゃない!   作:DestinyImpulse

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 ありがとうございます!

 いつもの時間に投稿しようとしたから、データが吹き飛んで慌てて書き直しました。誤字脱字が酷かったらすみません!


20. PHASE-20【悲しみは広がって】

 

 明けの砂漠とアークエンジェルが協力関係を築いて翌日。レジスタンスのメンバーが物資などの荷物を運び込んだり、テントで野営の準備をしている様子を眺めながら、サイ達はいっときの休憩時間で身体を休めていた。

 

「レジスタンスの基地に居るなんて…なんか、話がどんどん変な方向へ行ってる気がするな」

 

「ハァ…。砂漠だなんてさ…あ~ぁこんな事ならあん時、残るなんて言うんじゃなかったよ」

 

 見渡す限り砂と岩石にカズイが疲れ切った体を下ろしながら嘆いた。それを聞いたトールが顔をしかめる。

 

「でも、あのままシャトルに乗ってたら死んでたかもしれないぜ?」

 

 鹵獲したデュエルが避難民のシャトルを攻撃したのはキラから聞いている。シンによってギリギリ阻止されたが、一歩間違えていれば死んでても不思議じゃなかった。

 

「これから…どうなるんだろうね…私たち」

 

 トールの隣にいるミリアリアがそっと呟く。フレイに流されるままに軍に志願したが自分達はどうなるのか?そんな不安がサイたちの心に重くのしかかっている。

 

 そんな時だった。

 

「あれ?フレイ?」

 

「え?」

 

 キョロキョロと辺りを見回しながらフレイが此方にやってくる。

 

「ふ、フレーー「ねぇ?シンは何処?」ーー……え?」

 

 別れ話の事もあったが意を決してサイがフレイに語り掛けようとするがフレイからの言葉に耳を疑った。

 

 シン?何故ここでシンが出てくるのか?

 

 まるで自分の事など眼中にないかの様に辺りを見回すフレイにサイは不安を感じずにはいられなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ではこれより、レジスタンス拠点に対する攻撃をおこなう!!この前はおいたが過ぎた。悪い子にはきっちりお仕置きをせんとな」

 

 いつでも出られる状態のバクゥが三機とパイロット達を前にバルトフェルドは気負ったようでもなく口を開く。掴み所の分からない人物だが、バルトフェルドを侮る者など部隊には誰も居ない。

 

「目標はタッシル!|総員搭乗!」

 

 ダコスタの号令を聞き各々の機体に乗り込む部下を見送ってバルトフェルドもダコスタが運転するジープに乗り込み目的地に向かった。

 

 

 タッシルの街は家々の灯りも落とされ、常夜灯や深夜まで開いている店の灯りがまばらに散るだけで、あとは背後の闇にまぎれてしまいそうだ。エネルギー危機の影響もあろうが元々この地では電力消費も少ない。

 

「もう寝静まる時間ですね」

 

「そのまま永遠の眠りについてもらおう」

 

 らしくもない上官の酷薄な台詞に、ダコスタは、一瞬ぎくりとした。

 

「………なんてことは言わないよ、ボクは」

 

……が、続いた言葉に、がくんと砂にのめり込みそうになる。しかしバルトフェルドはいたって真面目な顔だ。

 

「警告十五分後に攻撃を開始する」

 

「は…?」

 

「ほら、早く言ってきたまえ」

 

 一瞬、揶揄われたのかと思ったが、急かされた所を見ると、どうやら本気らしい。ダコスタは慌てて「はっ!」と敬礼し、ジープに乗り込みタッシルに向けて走り出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょっと待てよフレイ!そんなんじゃ分からないよ!ちゃんと話を…」

 

「うるさいわね! 話ならもうしたでしょ!?」

 

「?」

 

 シンとキラに会う為にアークエンジェルに向かっていたカガリは言い争う男女の声が近づいてきて足を止めた。突き出した岩塊の角を回って姿を見せたのは、フレイと彼女に追いすがるサイだった。

 

「あ…」

 

「…ふん!」

 

 何とも言えない微妙な空気に唖然とするカガリをフレイは睨みつけて横を通り過ぎる。あれ?もしかして出会い頭に殴り掛かった私って、これより酷く見えてる?…と、カガリは少しだけ自分の行いを恥じた。

 

「っ!フレイ!」

 

 アークエンジェルと外を繋ぐ扉に向かおうとしたフレイの腕をサイが掴む。どうやら男女の話らしい。昨日のシンとキラは見ていて面白かったが、こっちはドロドロだ。逃げる様にカガリは岩塊の影に隠れた。

 

「なぁ、フレイ。一体どうしたんだよ!?」

 

 

 サイにはまるで訳が分からなかった。あんなにコーディネイター嫌いだったフレイが、何故シンを求める様に探すのかと…

 

たしかに彼女は最近ずっと、キラやシンに対して気づかう様子を見せていた。それをサイは彼女の優しさだと思い、キラやシンを彼女が受け入れてくれた事を、むしろ喜ばしいとさえ思っていた。

 

 しかし、今思えば違和感がある。

 

 シンとフレイはお世辞にも良好な関係ではない。アルテミスの一件やフレイのコーディネイター嫌いから妹のマユと共に一定の距離を持っていた。それは当然の事だし、寧ろ自分の彼女である事を考慮して邪険しないでくれた事に感謝していた。

 

 そう、あのアルテミスの時は自分が説得しても謝る事を渋っていたフレイが父親を失った恨みをぶつける様にシンとキラに憎悪の言葉を顔を向けていたにも関わらずに次の日には二人に頭を下げていたのも不自然だ。

 

「フレイ、悩みがあるなら言ってくれ!俺が力になるーー「ふざけないで!!」ーー……ふ、フレイ?」

 

 やはり大好きな父を失って精神的に不安定になっているのか?もしそうなら支えてあげたい。そんなサイの言葉をフレイは無情にも突き放す。

 

「力になる!?貴方が!?冗談言わないでよ!?サイに何ができるのよ!?パパみたいに欲しい物を何でもくれるの?私を守ってくれるの!?シンみたいにMSに乗ってアイツ等(コーディネイター)をやっつけてくれるの!?」

 

 

 幼くして母を亡くした彼女にとって父は唯一絶対の存在だった。父はそれこそ目の中に入れても痛くないほど彼女を溺愛し、欲しがるものを全て与え、庇護の翼の下から一歩も出そうとしなかった。

 

 彼女の世界はごく狭く、父が与えたもので完結していた。父が咎めないから我儘勝手にふるまい、父がサイを選んだからサイとつきあい、父がコーディネイター嫌いだったから、彼女も嫌いになった。

 

「いつ迄も婚約者を気取らないでよ!パパが貴方を選んだから貴方と付き合った!それだけでしょ!?」

 

 確かにサイは良き彼氏だったが、自分の復讐の足枷になるなら容赦なく切り捨てる。

 

「ふ、フレイ…」

 

 

 掴んでいた手を払われ冷たい眼差しで睨まれる。まるで虫けらでも見るような、嫌悪に満ちた目つき……これがいつも自分を求めてくれたフレイと同じ目なのかと…サイが愕然とする。

 

「ま、マジか…」

 

 それを好奇心から岩塊の影に隠れていたカガリと…

 

「………」

 

 外に通じるアークエンジェルの扉の影に隠れていた“マユ”が様子を伺っていた。

 

 シンやキラと共にアストレイの改修作業をマードック達と行っていたマユは作業を先に上がらせてもらい外の空気を吸おうと外に出ようとしたら聞こえてきたフレイの怒鳴り声を聞いて思わず身を隠した。

 

 

 それはフレイの真意を探る為…あの時、自分に頭を下げたフレイにマユは戸惑いを隠せなかったが、直後に見えた、あの魔女の様に冷たい笑顔に謝罪が嘘っぱちだと悟った。

 

 この事は二人には言ってない。父親を守れなかった事でフレイに遠慮しがちな二人に余計な事を言いたくなかったし、自分の勘違いかもしれない。今は様子を見てマリューを頼ろうと考えていた。

 

 しかし今のを見て確信する。フレイは何かをするつもりだ…

 

実の兄であるシンと姉の様に慕うキラ…大好きな二人にとても良くない“何か”を…

 

「ッ!?」

 

 その時、此方に近づいてくる足音をマユは感じた。まさかフレイがこっちに来るのか!?もし聞かれていた事がバレたらマズイ!

 

「? マユ?」

 

 しかし、聞こえてくる足音は外からではなく向こうの通路からで、通路の曲がり角からシンとキラが出てきた。

 

「はぁー…お兄ちゃんもキラ先輩も作業は終わったの?」

 

「うん、外の空気を吸おうと思って。マユちゃんも?」

 

「……うん、一緒に行こう!」

 

 現れた二人に安堵しつつマユはキラの隣に抱きつく様に移動する。色々と考えていたが、幼いマユにはドロドロの恋愛事情など受け入れ難く、大好きな兄とキラに甘えて、二人の甘酸っぱい恋をニヤニヤしながら見ているのが一番良い。

 

「相変わらず仲が良いな………え?」

 

 甘える様に抱きつくマユとそれを笑顔で受け入れるキラを見て微笑んだシンが外に出て……固まった。

 

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

 外には愕然とするサイと嫌悪感MAXの表情のフレイに、二人は気づいてないだろうが、岩塊に隠れて此方を見ているカガリ。状況が飲み込めずにシンも立ち止まってしまう。

 

「シン!」

 

 しかも、先程の表情など影も形もなく満面の笑みでこっちに来るフレイを見て更に困惑する。自分とフレイの仲はお世辞にも良くはない、なのに何故そんな恋人に迫る様な顔で此方に来るのか?

 

「キラ先輩も早く行こう!」

 

「ちょ、マユちゃん!?」

 

 しかし、フレイがシンに辿り着く前にマユに引っ張られたキラがシンの隣に現れる。

 

「あ、フレイ…」

 

「……ッ!」

 

 それを見たフレイがまるで邪魔者を見る様な目でキラを睨んだ後、アークエンジェル内に入っていく。出会い頭に睨まれた事に驚くもコーディネイター嫌いで更に父親を守れなかった自分に良い顔をする筈がないとキラは顔を曇らせる。

 

「えーと…サイ先輩?」

 

「…っ!」

 

 訳が分からずに目の前に居るサイにシンが語りかけるもサイは背を向けて走り去ってしまう。

 

 サイの情緒は滅茶苦茶だった。もしも、あのままシンの前に立っていたら殴りかかっていたかもしれない。

 

 勿論サイは理解している。シンは何も悪くない事を…。シンはフレイに何もしていないし、例えフレイに迫られたってフレイを受け入れる事はない筈だ。

 

 だってシンは……!

 

 そう理解しても受け入れる事はできなかった。どれだけ正論を心の中で叫んでもシンに対する負の感情を抑える事はできなかった。

 

 フレイに求められるシンが許せなかった。

 

 

(俺は……こんなにも醜い男だったのか!?)

 

 無意識に流れる涙がとても気持ち悪くてサイは振り払う様に走る足を早めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「サイ、一体どうしたんだろう?」

 

「さぁ?」

 

 状況が飲み込まずに立ち止まるシンとキラ。事の顛末を見ていたカガリとマユもドロドロの恋愛事情など言い出せる筈もなく微妙な空気が漂う。

 

 

 そんな時に鋭い笛の音がキャンプに響いた。

 

 どうやら警報の意味らしく隠れていた岩塊からカガリが飛び出しシン達も状況確認の為に走り出す。

 

 司令室からサイーブが飛び出し、マリュー達も何事かと後に続く。

 

「どうした!?」

 

 見張り台にいた少年が高い声で叫び返す。

 

「空が……空が燃えてるっ!タッシルの方向だ!」

 

すぐさまサイーブは無線に駆け寄るが既に試していた男が、ノイズを吐き出すスピーカーを乱暴に殴りつけた。

 

「ダメだ!通じん!」

 

 それを聞いたサイーブの後ろではレジスタンス達が粗末なジープに武器や弾薬を詰め込んでいる姿があり、口々に怒鳴りながら行き交い、車を急発進させる音が響く。

 

「弾薬を早く!」

 

「アイツ等!お袋は病気で寝てんだよっ!」

 

「早く乗れ!もたもたしてっと置いてくぞ!」

 

「待て!慌てるんじゃない!」

 

 それを見たサイーブがリーダーとして焦りを抑え冷静に指示を飛ばす。

 

「サイーブ、ほっとけって言うのか!?」

 

「そうじゃない、半分は残れと言うんだ!落ち着け!別働隊がいるかもしれん!」

 

 

 

「………どう思います?」

 

そんなやり取りを遠巻きから眺めるマリューは隣で気だるげなムウへ問いかけた。

 

「んー…。砂漠の虎は残虐非道、なんて話は聞かないけどなぁ。でも、俺も彼とは知り合いじゃないしね」

 

「……とにかくアークエンジェルは動かない方がいいでしょう。確かに、別働隊の心配もあります。少佐、行っていただけます?」

 

 そんなマリューの提案に、ムウは意外そうな顔をして自分の顔を指差した。

 

「え?俺?」

 

「スカイグラスパーが、一番速いでしょ?」

 

「.............だわな。んじゃいっちょ、行ってきますか」

 

 ニッコリと微笑むマリューにやれやれと億劫そうに肩を回しながらアークエンジェルに向かうムウ。

 

「私たちにできるのはあくまで救援です!バギーで医師と誰かを行かせますから!」

 

 ムウは振り返らずに、手だけ振って走り出した。その直後、彼の横をすり抜けて駆けてきたカガリが、「アフメド!」と叫んで、見覚えのある少年が運転するバギーを呼び止める。

 

 サイーブはすでにほかのバギーに乗って走り去っており、カガリがアフメドのバギーに乗り込むと、後部座席にカガリの側に居た大男が飛び乗り、バギーは発進した。

 

 それを見届けたマリューも周囲に向かって呼びかけた。

 

「総員!ただちに帰投!警戒態勢を取る!」

 

 

 





 サイの言葉を虚しく、いよいよフレイがνシンキラ♀に本格的に手を出してきますね。

 詳しい事は別の機会に…。
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