νシン・アスカは伊達じゃない! 作:DestinyImpulse
前回のマユとバルトフェルドさんのやり取りに対するコメントがあってとても嬉しいです。
感想も少しずつ返していこうと思うので今後ともよろしくお願いします!
時は少し遡り……
「なんですって!?シン君達が戻らない!?」
マリューの声がアークエンジェルのブリッジに響き、当直のクルーたちが顔を上げた。サイもピクリと体を硬直させる。
モニターには、シン達を迎えに街へ戻ったキサカの顔が辛うじて映っていた。百キロ以上離れているのだから当然だが電波状況が悪い。
〈ああ……時間を過ぎても現れない。サイーブたちはそちらへ戻ったか?〉
「いいえ、まだよ」
<市街ではブルーコスモスのテロもあったようだ>
キサカの報告が聞こえ、皆が青ざめた。まさか!と、サイは冷や汗を流す。シンとキラにマユをコーディネイターと知っている者がこんな場所にいる筈がない。だが、偶然巻き込まれるという事もあり得る。
<電波状態が悪くて、こちらからは彼らと連絡が取れん。何か探ろうにも人手が足らん>
キサカの無感動な顔にも、僅かに不安が窺えた。すぐさまマリューは振り向いた。
「パル伍長!バジルール中尉を呼び出して」
〈そちらで呼び出せたら、何人か街へ戻るように言ってくれ……〉
マリューとキサカがやりとりする間に、チャンドラが低く囁く。
「………どうせ遊びすぎて、時間を忘れちまっただけだよ。みんなが大騒ぎしてるうちに、ひょっこり現れるさ」
シンもキラもそんな馬鹿じゃない事は誰もが理解している。その声には、そうであったらいいという願望が込められていた。
「でも…もし戻らなかったら……」
パルが皆の不安を口にしかけ、チャンドラにこづかれている。
「だから、大丈夫にきまってるだろ!」
シン達の安否を気づかうクルー達の不安が、波紋のように広がる中、一人サイだけが、違う感情を密かに胸に抱えていた。
「………………」
彼はざわめく艦橋から、気づかれない様に抜け出し、そのまま格納庫へ向かう…
そして格納庫にやって来たサイは目当ての物を見上げる。そこには“ストライク”の姿があった。
不幸にも“ストライク”の周囲に人影はなかった。サイはしばし、普段はキラだが緊急時にはシンも搭乗する巨大な存在を見上げる。
もし……シンが戻らなかったら…。
サイはそっと、ストライクのコックピットへ足を踏み入れた。まるで不法侵入をしている気分になる。いや、更に犯すべきでない罪をはたらいているような…まるで不倫している様な…
『いつ迄も婚約者を気取らないでよ!』
サイの脳裏にフレイの言葉が過ぎる……そうだ、もうフレイは……!
フレイは自分を捨てシンに乗り換えようとしている、何故そうなったのかは理解できない……
『シンみたいにMSに乗ってアイツ等をやっつけてくれるの!?』
あの時、フレイは確かにそう言った…。
だったら…!
彼は先程より躊躇いのない動作でハッチを閉じ、OSを立ち上げる。モニターに光が入り、計器類の表示が次々と表れた。
……大丈夫、やれる。
サイは身の内にわき上がる高揚と不安に震えながら、両手をレバーとスロットルにかけた。
丁度その時…格納庫に響き始めたエンジンの駆動音に気づいたマードックは思わず振り返った。
……おかしい。ストライクのツインアイに灯が入っている。
「……なあ、おい」
近くにいた同僚を呼び止める。
「いつの間に嬢ちゃんや坊主は帰ってきたんだ?」
「はあ?まだですよ。さっきブリッジから、行方不明って話が……」
「行方不明だあ!?」
マードックがすっとんきょうな声を上げた時には、ストライクがゆっくりと動き始め、ぎこちなく左腕を上げ、機体正面に伸びた可動式キャットウォークを乱暴に押しやる。
「じゃあいったい誰がストライクを動かしていやがんだよ!」
MSはメンテナンスベッドから離れ、よろり、と足を踏み出した。その動きからして、シンの操縦とは明らかに異なる。
「おい!なんだってんだ!いったい誰だぁ!?」
マードックが怒りの声を上げ、ついでに拳も振り上げたが、操縦者は辞めようとしない。騒ぎを聞きつけて、万が一の為にスカイグラスパーの出動を検討しようと話し合っていたムウとマリューにトールとミリアリアも驚いて飛び込んでくる。
「な、なに!?どういうこと?」
ストライクは更に足を踏み出し、不吉な感じで左右によろめく。
「おい辞めろ馬鹿!誰なんだよ!?」
マードックの問いに、近くにいた整備士が答える。
「さっきそこらを、サイってやつが………」
「「サイ!?」」
トールとミリアリアは友人の名を聞いて目を見開いた。
ストライクはぎこちなく動き、前へ踏み出そうとして完全にバランスを崩した。懸命に体をひねって踏み留まろうとしたが、それは更に事態を悪化させ、遂に倒れ込んでしまった。
「きゃあーっ!」
ミリアリアが悲鳴を上げ、皆が身をすくませる。
ストライクは手を突き四つん這いに倒れた。金属がぶつかり合う凄まじい音が格納庫の高い天井に響き渡る。トール達は恐る恐る目を開け、動かなくなったストライクを仰ぎ見た。
「………あちゃあ〜っ」
マードックが顔を覆う。運の良い事に、どうやら押しつぶされた者は居ないらしいが、それで彼の怒りは収まらない。
戦闘で傷つくならともかく、こんな事でどこかを損傷されたのでは、整備士としては堪らない。
「…………そんな…!」
そして…コックピットの中では、サイが呆然とコンソールを見つめていた。
モニターには格納庫の床が映し出されている。彼の動かすストライクは、ハッチに辿り着く事すら叶わなかったのだ。
こんなに、なにもできないなんて…
サイの胸をじわじわと失望が侵食していく。
シンの代わりにみんなを守って戦うどころか、ほんの数歩、歩く事さえできないなんて……
サイの口から、微かな嗚咽が漏れる。
醜い自分。勝手にシンを憎んで、妬む愚かな自分。それだけではなく、能力でも遠くシンには及ばないと、この時彼は思い知らされたのだった。
あまりに惨めだ。いい気になってこれ迄みんなの兄貴面をしてきた。フレイの愛を当然得られると思いこんでいた。MSを動かさせればフレイが戻ってくると勝手に幻想して、今こうして這いつくばっている自分があまりに惨めだった。
こんな事をせずとも、ゆっくりと時間をかけてフレイと寄りを戻す努力をすれば良かったのに…
どれだけフレイがシンに乗り換えようとしても、肝心のシンがフレイを受け入れる筈がない、シンの心の中にある“彼女”を消す事なんて不可能なのに…。
「ふ.....ううっ…く…!」
サイは狭い空間に閉じ込められたまま、密かに咽び泣いた。
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「あぁぁぁぁーー!!!」
艦長室でマリューの叫びが響く。いつもの凛として優しい物でなく、まるで仕事に追われる社畜の様な声だ。
それを何とも言えない表情で見つめるムウとナタル。
あの後、シン達は誰一人欠ける事なくナタル達に発見された、それは喜ばしいのだが、ブルーコスモスのテロに巻き込まれ、砂漠の虎のアンドリュー・バルトフェルドにお茶会に連れて行かれたと聞いた時は卒倒しそうだった。
とりあえず彼等の無事の確認や貰ったドレスやクリーニングしてもらった服に盗聴器の様な物が無いかの検査に加えて事の経緯の確認をノイマン達を含めたクルーが行っている。
だが、問題は次だ。
何故、ブリッジのCIA担当のサイがいきなりストライクを操縦したのか…。幸いにも怪我人もなく、ストライクにも不備は確認されなかった。
フレイの捕虜殺人未遂に続き何故こうも問題ばかり起こるのか?頭を抱えるマリュー……流石のナタルも此処までくるとマリューが不憫に感じたのか、何も言わずにいてくれた。
ムウも会話を切り出したいが、頭を抱えて今にも泣きそうなマリューを前にしては苦笑いを浮かべるだけだ。
その時だ、扉からトントンと扉を叩く音が聞こえてくる。何事かと一同が視線を移せば…
「あ、あの…今大丈夫ですか?」
マユが顔色を窺う様に扉からピョコンと顔を出してきた、どうやら事情聴取が終わったのだろう。
「今、会議中だ後にーー「ふ、フレイさんとサイさんの事なんです…」ーー……なに?」
ナタルが厳しい表情で追い出そうとするが、問題を起こした二人の名が上がり動きが止まる。
「あの二人、タッシルが攻撃される前に言い合いをしていて…か、関係あるかは分からないんですけど…」
不安そうに言うマユだが、何故サイがこんな事をしたのか何も分からないマリュー達からすれば少しでも情報が欲しい。
マリューはいつもの様な優しい笑みを浮かべる。
「今は少しでも手掛かりと言うか、情報が欲しいの、聞かせてマユちゃん」
「は、はい」
マリューの許可を得てマユはタッシルが攻撃された夜の出来事を話す。
恋仲であり婚約者同士であったサイとフレイだったが、フレイがサイとの縁を切り、二人が言い合いを始めたのをマユは偶然目撃した…。
「あらら〜」
ムウが面倒そうに頭を抱える。完全にドロドロの修羅場だ、ある程度の問題なら介入も考慮されるが完全に本人達のプライバシーの問題だ。
「……“シンみたいにMSに乗ってアイツ等をやっつけてくれるの”……ねぇ」
「だからMSを動かせる事ができれば彼女が戻ってくると考えて…って事か。いや〜最近の若者は凄いね〜」
「笑ってる場合ですか!?そんな馬鹿げた理由で問題を起こされたら溜まったモノではありません!」
ため息が止まらないマリューに呆れ気味の笑いを浮かべるムウ。一方でそんな馬鹿げだ理由で問題を起こされたらナタルは怒り浸透だ。
「あ、あの。フレイさんとサイさんはどうなったんですか?」
そこで蚊帳の外になりつつあったマユが口を開く。サイもフレイも流石に無罪放免とはならないだろう、純粋な好奇心から、いい機会と思い尋ねた。
「二人は今、懲罰として倉庫として使われている小部屋で一週間、外部と隔離したわ」
「日に三回、食事が差し入れられるとき以外は、外部との接触を断たれ、その食事もパンと水のみ……辛いぞ〜」
マリューとムウの説明にマユもビックと体を震わせる。しかし「コレでも軽い方だ」とナタルが疲れ切った表情をしている。
「サイ・アーガイルはともかくフレイ・アルスターの無抵抗な捕虜を撃ち殺そうとした罪は重い。下手すれば軍法会議だ。しかし、お父上が亡くなったとは言えブルーコスモスの中でも立場のあるアルスター家の令嬢だ。……下手な事はできん」
家主であるジョージ・アルスターが亡くなったとは言えアルスター家がブルーコスモスの有力者なのは変わりない。軍事裁判に発展しても圧力やら何やらで有耶無耶になり、嫌がらせを受ける可能性があるので妥協案を取ったのだ。
「それなのに『こんな所に一週間なんて嫌!』と喚き、食事を持っていけば『こんなんじゃ死んじゃう!』と駄々を捏ね……挙句の果てにはシャワーを浴びたい、自室の化粧品だけでも使わせて…!奴は軍を何だと思っている!?」
どうやら自分の事で頭が一杯の様だ…釈放されたら何かされそうだと少し不安になったが、顔に出ていたのか『何かあればすぐに言ってね』とマリューが笑みを浮かる。
色々と配慮してくれている事に笑みを浮かべるマユだったが、ふと思った。
「……そもそも何でフレイさんは軍に志願したんですか?」
戦争は残酷で軍は想像以上に厳しいモノだと幼いながらもマユは自分なりに理解した。故に怯えてばかりの殻潰しでは居られないと、整備士見習いとしてできる限りの事はしている。
しかし、フレイは雑用を行っているとはいえ、今だに避難民だった時の感覚が全然抜けていない様に思える。
「ああ、父であるアルスター事務次官の意思を継いで戦いたい、世界は依然として戦争のまま、と泣きながらに言って………?」
マユの疑問にフレイが志願した現場にいたナタルが当時の事を語るが、その声は次第に小さくなっていく。
「………とてもそんな風には見えねぇが」
ムウの言葉はこの場に居る全員の心境を代弁したモノだった。今のフレイはそんな綺麗な言葉を言った者と同一人物には思えない。
「実際の軍の厳しさに耐えられなかったとか?……言い方は悪いかもしれないけど、彼女は箱入り娘でしょ?」
「…………演技だったのかも…」
箱入り娘のフレイだ、我儘が通らない軍の厳しさに耐えられずに避難民の様な心持ちに戻ってしまったのではとマリューは思考するが、不意にマユが呟いたのを聞いて視線を向ける。
「…ラクスさんを戻した後、フレイさんが謝ってきたんです。“凄い酷い事言っちゃった”、“貴方達は一生懸命に戦ってくれたのに”……あの時は素直に謝罪を受け取ったけど今思うと不思議なんです。アルテミスの時だってサイさんに言われて嫌々謝ったあの人が、自分から謝罪したんですよ、あんな状況の後で!」
アルテミスの一件はマリュー達も話には聞いている。確かにフレイの発言は軽率なモノであり、それに対して非をあまり認めようとはしなかった。そんなフレイが父親を亡くした後に謝罪した?
あの時のフレイは正気ではなかった、そのフレイが翌日には立ち直って当たり散らしたシンとキラに非を認めて謝罪したのは確かに違和感がある。
「それに……その謝罪の後、戦闘になってお兄ちゃんとキラ先輩が居なくなった時、フレイさん冷たい笑みを浮かべてて……あの謝罪も嘘っぱちな気がして」
子供の考え過ぎと言えばそれまでだが、時には子供の直感が考え過ぎな大人よりも確信に迫る時もある。
「………復讐かもな」
マユの話を黙って聞いていたムウが真剣な表情で口を開く。
「別にこのご時世じゃあ不思議じゃないだろ?父親をコーディネイターに殺された、だから復讐する」
「その為に軍に志願する……確かによくある話ね。捕虜を撃ち殺そうとしたのも説明がつくわ」
「しかし、彼女一人増えた所で…」
ナチュラルとコーディネイターが憎み合う世界だ。復讐の為に軍に志願した兵士など、数えきれない程に存在するだろう。ムウの言葉に何とも言えない表情をするマリューだが、幾ら復讐心があろうと箱入り娘が一人加わった所で大した事などできないとナタルは一括する。
「……だから留まらせたんじゃねぇか?」
「え?」
「あのフレイの嬢ちゃんはサイの坊主達の前で聞こえのいい演説をしたんだろ?それに感銘を受けたのか、流されたのかは知らないが、アイツらも軍に残っちまった。……そんな友達を置いて嬢ちゃんが素知らぬ顔で自分だけ避難できる筈がない」
「………そしてキラ先輩を私とお兄ちゃんは見捨てられない」
「まさか、キラさんとシン君を留まらせる為に…!?」
「幾ら何でも考え過ぎなのでは!」
フレイが志願し、彼女の言葉を聞いてサイ達が軍に残った。そんなサイ達を見捨てる事ができずにキラが残った、そしてキラを見捨てる事ができずにシンとマユが残った。
コレら全てがフレイの手の内と考えて、筋が通るかと言われればかなりの無理がある。マリューとナタルが流石に考え過ぎと言うが……
「でも実際、留まった二人はこの船を守る為に戦ってるぜ、父親を殺した憎きザフトのコーディネイターとな…それに復讐の対象に坊主と嬢ちゃんが入ってないとは限らないぜ?」
「え?キラさんとシン君は……ーー「自分の父親を守れなかったコーディネイター」ーー……っ!?」
何故、味方であるキラとシンまでもが復讐の対象なのか?理解できないマリューだったがムウの一言で目を見開く。
「自分の父親を守れなかった癖に自分達だけ家族の元に帰るなんで許せない。だから戦いから逃さない様に自分を使って留まらせてザフトと戦わせる。勝つにしても負けるにしても、憎いコーディネイターが死ぬだけだ、どう転んでもヨシ……ってとこかね」
ムウの憶測にマリューもナタルも何も言えずにマユも少し震えていた。普通の人間が考える事じゃないが、あの魔女の様に冷たい笑みを浮かべたフレイならやりかねない……そんな予感がマユにはあった。
「坊主に乗り換えようとしてるのは、扱い易くする為か……自分で言って何だけど恐ろしいな」
「で、でもシン君はキラさんの事を……」
理由が何であれフレイはシンに乗り換えようとしている。しかし、シンがキラに特別な感情を抱いているは誰の目から見ても明らかで結果は見えている。
「自分によっぽどの自信があるのか…おかしくなって考えられないのか……もしくはその両方か、ともかく気をつけるべきだな」
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「……なんでよ」
薄暗い一室で踞りながらフレイがポツリと呟く。あれから三日、フレイは無抵抗の捕虜を殺人未遂の罰で一週間隔離される事になった。
窓もなく最低限の食事しか与えられず、シャワーも化粧水も許されず自他ともに認める美しい髪には枝毛が目立ち始めていた。
その事を食事を持ってきた面々に問い詰めれば、呆れられるか怒鳴られる。改めて軍の厳しさに泣きそうになるが、そもそも自分が軍に志願する事になったのは…!
「コーディネイターのせいよ…!」
そうだ、パパが生きていれば今頃、元のお姫様の様にパパも周りを自分をチヤホヤするいつもの生活を過ごしていた筈だ。
「……あの子だって邪魔をして…!」
あの捕虜を殺す邪魔をしたマユ。思えば、ラクス・クラインを人質に取る時だって生意気にも自分に反抗してきた。
やっぱりコーディネイターなんて…!
『もし殺していたら間違いなく軍法会議に発展していた。故にお前がマユ・アスカを恨むのは筋違いだ』
此処に入れられる時にナタルが釘を刺す様にそう言っていたが今のフレイに届く事はなく反省など一切していなかった。
敵であるコーディネイターを殺そうとした自分が正しく、それを咎める側こそが間違っているのだと信じ、決して疑う事などしなかった。
やっぱり、甘いマリューや軍のマニュアル人間のナタルよりも自分ならあの二人を上手く使える、そして1人でも多くのコーディネイターに、自分と同じ様な報いを受けさせてやる。
そんな折の日、扉の前から会話が聞こえてくる。それはクルーの何気ない話だった。
「いや〜アスカとヤマト達が無事に戻ってきて本当に良かったよな〜」
「全くだ…。買い物に出かけてブルーコスモスのテロに巻き込まれて砂漠の虎にお呼ばれして……呪われてるんじゃねぇか?」
「そう言うなよ。貰ったって言うドレスやクリーニングされた服には特に発信機や盗聴器はなかったんだろ?」
「ああ確認されなかった、しかしドレスとはな〜」
「何だお前?見てみたいのか?」
「そりゃそうだろ?マユちゃんはともかく、あのカガリって子やヤマトは絵になる事間違いなしだぜ?」
「おいおい気持ちは分かるがヤマトはアスカが居るだろ?」
盗み聞きされているとは彼等も全く考えていなかったのだろう、笑い声と一緒に立ち去っていくのが聞こえた。
「………なによそれ…!」
アイツ等が街に買い出しに行く事は知っていた。こんな薄暗い一室で自分が過ごさなくてはならないのに、アイツ等が街に楽しく買い出しに出かけるなんて怒りが湧いていた。
それに加えてドレス?自分が洗濯する事すら許されない軍服を纏っているのにキラやマユがドレスを身に纏っているなんて…!
「………絶対に許さないんだから…!」
そう言って俯いた顔を上げた彼女の表情は憎悪に染まっていた。
サイ君「俺もシンの様に!」
ストライク「………シン君に対しての行動なら、なんで俺に乗った?」
アストレイ「わ、私は改修中だから…」
フレイが悪役令嬢みたいに、サイも若干アスラ…じゃなくてサクランして空気がドロドロしてきました。