νシン・アスカは伊達じゃない!   作:DestinyImpulse

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 スパロボが発売されましたね!

 私は今は買えない状況なので、ネットの反応を少し見ただけでしたが、シンが流派東方不敗で笑いました。

 ドモンから寝ぼけてない分身を習うんですね…

このシンならシュラをボコしてキラとアスランを殴り返しそう…




33. PHASE-33【砂漠を越えた海】

 

 アフリカで砂漠の虎であるアンドリュー・バルトフェルドの攻撃を退けたアークエンジェルはアラスカに向けての航海を続けていた。

 

 そしてーー。

 

「海へ出ます。紅海です」

 

 ついに、アークエンジェルはアフリカの地を離れ、海へと出た。地球軍とは言え宇宙暮らしが多いアークエンジェルのクルー達も、久々、または初めて見る海に大きく心を躍らせておりアークエンジェルのブリッジには歓声が立ち上げる。

 

 そんな中でマリューは戦闘時の毅然とした声とは違う、柔らかな女性らしい口調でブリッジでざわつく各クルーへ伝える。

 

「少しの時間なら交代でデッキに出ることを許可します。艦内にもそう伝えて」

 

 それを聞いたトールやミリアリアたちが顔を見合わせた。

 

「やったぁ!」

 

 そんな中で、ナタルは毅然とした声で格納庫へ繋がる通信を開いた。

 

「マードック曹長。ソナーの準備はどうなっているか?」

 

《今やってまさぁー。ボウズと嬢ちゃんが最後の調整中です。もう少し待って下さい》

 

 格納庫では、サイーブたちが別れ際に色々と渡してくれた海で役立つ機材を組み立てる作業で慌しかった。マードック含め、作業員は各部へ下ろすソナーの準備を行い、肝心のシステム構築はシンとキラが行なっている。

 

「急げよ。それと、自分より上の階級の者を嬢ちゃんと呼ぶのはどうかな?規律の乱れる元だ、注意しろ!」

 

 そんなナタルの言葉に「あちゃー」言わんばかり頭を押さえつつ、マードックはすぐ横にいたシンとキラに視線を向ける。

 

「急げってさ」

 

「そう言われても…これ…ザフトのなんですから、そう簡単には繋がりませんよ?」

 

「全く、人使いが荒いぜ…」

 

 探知ソナーのシステム構築をする行為はザフトのシステムを解読しながら作っているため、その作業は難航していた。

 

 キラは困った様に、シンは呆れる様に言葉を口にしながら手を動かすしかなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

時は、アフリカでの戦闘後に遡る。

 

 シンとキラが帰投したら、二人が戻って来た嬉しさとバルトフェルドが倒された事に対する悲しみが混じった表情のマユとカガリが乗り負傷したスカイグラスパー二号機の様子を見て顔を青ざめさせるマードック達作業員たちが待っていた。

 

 それに何とも言えない顔をするシンとキラだったが、そこから、レジスタンス達とアークエンジェルクール達による勝利の宴が始まった。

 

 

砂漠での激闘を制した夜、レジスタンスの基地では絶える事ない笑い声と共に宴会が行われていた。

 

 出会った当初は壁があった両者であったが、勝利の宴会とならば関係なく至る所で楽しそうに酒を飲んでいた。

 

「明けの砂漠に!!」

 

「勝ち取った未来に!!」

 

「じゃあそういう事で!!」

 

 それは其々のリーダー達も例外ではなく、サイーブとマリューの声に合わせてた後にムウやナタルと共に酒が入ったジョッキを掲げグッと飲み込む。

 

 直後に顔を真っ赤にして咳き込むナタルと裏腹に豪快に飲むマリューに愉快そうにサイーブが笑う。

 

 途中、ムウが無粋と分かっていても砂漠の鉱山を欲しがるザフトの侵略が終わらない事を口にするが、それでも戦い続けるとサイーブは銃を手に取る。

 

 しかし、宴会の場でこれ以上は無粋と話を切り上げて酒を飲む。

 

 その時、宴会を楽しむマユに連れられているシンとキラが視界に映る。肉体的にも精神的にも戦闘の疲れも若干見られるが楽しそうに笑い合う二人。

 

「…………いい感じですね〜少佐〜」

 

「…………ホント、ホント…若いね〜」

 

 酒が回ってきたのか顔が若干赤いマリューとムウ。マユから聞いた話では砂漠の虎に招待された時に二人はバナディーヤに出かける時の様な“いい感じ”になってたらしい。

 

 外野から見れば年頃のカップルに見えるが、シンもキラも奥手で見てるこっちがモヤモヤする。

 

 

「「………早く付き合っちゃえよ!!」」

 

 

 酒の力で強くなったモヤモヤを代弁する言葉を叫びながらジョッキをテーブルに叩きつける二人。そんな二人にビックとしつつ出かける前に甘ったるい二人の空気を間近で感じていた事を思い出したのかナタルとサイーブは酒を飲んでいるにも関わらず苦虫を噛み潰した表情をしていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「だから私を連れて行けと言っている!あんた達よりは情勢に詳しいし、補給の問題やら何やらあった時には、力になってやれるしな!」

 

「………でも」

 

 翌日、アラスカに向かう為にアフリカを出ようと出航準備が進められていた、慌ただしく動くクルー達に、見送りに来ていたレジスタンス。

 

 そんな中で高い叫び声が聞こえて来る。そこでは困ったマリューに詰め寄るカガリが居た。

 

「無論、アラスカまで行こうってんじゃないし、地球軍に入るつもりもないが、今は必要だろ?」

 

「君がか?」

 

 会話に割って入ったムウの言葉に、カガリはウッと言葉を詰まらせる。

 

「ぁいや…だからその…いろんな助けがだ!」

 

「助けって言われても…ねぇ?」

 

「……女神様ね」

 

「ともかく、私はアークエンジェルと共に行くぞ!もう決めたからな!」

 

 そう言って両手に抱えた荷物を持ちながらズンズンとアークエンジェルの居住区に歩いていくカガリをマリューとムウが怪訝な目でカガリを見つめる。何となくだがカガリが単なる少女ではないということは薄々感づいていた。

 

「で、あの子、ほんとは何者なの?」

 

 そんなムウの問いかけに、近くで荷物の整理をしていたキサカは特に答えることは無かった。

 

 

 

 そうしてサイーブの助言もありカガリと付き人であるキサカを乗せ紅海を進むアークエンジェルのデッキの上で、ミリアリアはいつも閉めている胸元のボタンを外して、その陽気と海の恩恵を体いっぱいで味わっていた。

 

「あー!気持ちいいー!」

 

「地球の海ぃ!すんげー久しぶりー!」

 

 そんなミリアリアの隣で、上着を脱いだトールが同じように手を広げて、大海原に叫んだ。敵影なし、影もなし、穏やかな陽気と波。バカンスで来たのなら最高のロケーションだ。

 

「でもやっぱ、なんか変な感じだね」

 

 デッキの手すりから真っ青な海を眺めながら、カズイがポツリと呟く。

 

「そっか、カズイは海初めてか。ヘリオポリス生まれだったもんなぁ」

 

 コロニーにも、リゾート地区やそういう目的で作られたプラントもあるらしいが、やはり本物のスケールの大きさや、自然の力強さには勝てない。コロニー生まれ、コロニー育ちのカズイにとっては、地球に来てからは驚きの連続だった。

 

「砂漠にも驚いたけどさぁ、何かこっちのが怖いなぁ。深いとこは凄く深いんだろ?」

 

「怪獣が居るかもよぉ?」

 

「えぇ!?」

 

 

 そんな和気藹々の甲板の一方でブリッジではレジスタンスのキサカが、マリュー達と今後の話をしていた。

 

「しかし呆れたものだな、地球軍も。アラスカまで自力で来いと言っておいて、補給も寄こさないとは…。水や食料ならどうにかなるだろうが、戦闘は極力避けるのが賢明だろうな」

 

 海図を広げながら、キサカは思い悩むように口を開く。一介のレジスタンスに過ぎない筈の彼の的を射ている言葉にマリューもナタルも唸る。

 

 いくら最新鋭のアークエンジェル級とは言え、アフリカからアラスカへ自力で向かうとなると、一隻で許容できる負荷を容易に越えることとなる。

 

「しかし、インド洋のど真ん中を行くと言うのは、こちらにとっても厳しいぞ。何かあった場合には、逃げ込める場所もない」

 

 ナタルの言葉に、ムウはブリッジの扉を抜けながら「だからだよ」と言って、広げた海図のとある航路を指でなぞった。それは、インド洋を横断し、アラスカへ真っ直ぐと伸びる線だ。

 

「この航路がアラスカへの最短航路となる。ザフトは領土拡大戦をやっているわけではないんだ。海洋の真ん中は、一番手薄だ。あとは運だな」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

《バルトフェルド隊長が行方不明になった報。地球に足つきを降ろしてしまったのは、元より私の失態。複雑な思いです》

 

 そう言って謝辞を述べるクルーゼに、髭面の男は行儀悪くブーツを履いた足を机に投げ出しながら通信音声を聞き、時折苛立ったように鼻を鳴らした。

 

「ふん!」

 

《オペレーション・スピットブレイクで、私も近いうちにそちらと合流できるかと。その折りにはどうか、モラシム隊長にも、いろいろとお力をお貸しいただきたく思っております》

 

 そう淡々と告げたクルーゼが通信を切った途端に髭面の男こと、マルコ・モラシムは苛立ったまま拳で机を叩いた。

 

「ふんっ!クルーゼめ。こんな通信を送ってくること自体が、下手な挑発だぞ」

 

 クルーゼの言葉を解釈すると、足つきはモラシム隊では厳しいので、クルーゼ隊が合流してから合同で討とうと言うところだ。

 

 たかがナチュラルが作った船がそこまで脅威があるとは、モラシムには考えつかなったし、そもそもの話、モラシムはバルトフェルドが嫌いだった。

 

「まぁーよかろう」

 

 しかし、かのクルーゼ隊が取り逃がし、砂漠の虎を撃破して、あの船は紅海に出ている。となるなら、あれを討ち取れば多大な損失を地球側へ与えられるということだ。

 

「乗ってやろうじゃないか。その足つきとやら…インド洋に沈めてやる…!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、キラ先輩!イルカが居ますよ!」

 

「ほんと!?わぁ〜可愛い〜!」

 

 甲板の手すりに掴まって、眼前に広がる大海とアークエンジェルが珍しいのか、近くで泳ぐイルカを見ながらマユとキラ先輩が感嘆の声を漏らした。

 

 ソナーの整備がひと段落付き、トール先輩達と交代で今、俺達はここで束の間の休息という奴を味わいに来ていた。

 

「砂漠の次は海か……」

 

 これ迄の事を思い浮かべる。宇宙から地球へ、砂漠から海へ……何ともまぁ忙しい事だ。

 

 そんな事を考えていたが吹きつけてくる潮風の強さが心地良さで薄れていく、太陽で温められ若干熱い甲板に腰を下ろし、俺はぼんやりと何処までも広がる水平線と海を景色を楽しむ、マユとキラ先輩を視界に納める。

 

「こうして見ると、本当に姉妹みたいだな。あの二人…」

 

「カガリさん…」

 

 いつの間に来ていたのだろうか、カガリさんが俺の隣に立っていた。殆ど無理矢理の様に付いて来たカガリさんと護衛のキサカさん。色々と話した結果、俺とマユに便乗してオーブに帰る算段になった。

 

 キサカさんにはバナディーヤで物資補給のカリがあるし、断るに断れないのだろう。マリューさん達も馬鹿ではない、カガリさんがオーブの上級階級の令嬢だと考えているだろう……あってはいるが、……余計な混乱になりそうだから胸の内にしまっておこう。

 

「何だが羨ましいな…」

 

「カガリさんは一人っ子なんですね」

 

「まぁな…」

 

 俺の言葉に特に反論する事なく肯定するカガリさんは何処か羨ましそうに二人を見ていた。カガリさん同様に一人っ子のキラ先輩はマユを実の妹の様に可愛がっているし、マユもキラ先輩を実の姉の様に慕っている。

 

 カガリさんの立場上、そう言った相手は居ないのだろう。そんな事を考えながら俺は潮風の心地良さを感じながら、二人に視線を移し、叶わぬと分かっていながらも、この平穏が続く事を静かに祈った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お願いします、隊長!あいつを追わせてください!」

 

「お、落ち着いてくださいアスラン」

 

 ジブラルタル基地のブリーフィングルームにて、アスランが殆ど食って掛かるようにしてクルーゼへ懇願していた。

 

 その様子をイザークはディアッカと並んで眺め、そしてつい先程ジブラルタル基地へと宇宙から降り立ち、この場へやって来たばかりのニコルは驚き目を丸くしながらアスランを落ち着かせ様としていた。

 

 砂漠での敗戦後、アスラン達はジブラルタル基地への移動を余儀なくされた。

 

 本当は、すぐにでも砂漠で態勢を整えアークエンジェルへ攻撃を仕掛けたい所だったが、全戦力を以て決戦を挑んだ結果、旗艦は落とされ、自慢のバクゥも全滅。

 

 再び戦いを挑んでも負けを見るのは明らかだ。

 

「確かに、足つきがデータを持ってアラスカに入るのは何としても阻止せねばならない。だがそれはすでに、カーペンタリアのモラシム隊の任務となっている」

 

「我々の任務です、隊長!!」

 

「あ、アスラン」

 

 上官の言葉にアスランが噛みついた。いつもは冷静なアスランの変わり様に困惑するニコルだったが…更にそこにディアッカも口を揃えた。

 

「………私も同じ気持ちです、隊長!…俺も、散々屈辱を味わわされたんだよ、アイツらには!そうだろ、イザーク!」

 

「………………」

 

 殆ど働きらしい働きもできず、部隊はほぼ全滅、敵艦は取り逃がすという失態を演じる羽目になった。彼らは”ストライク”と“アストレイ”と刃を交える事さえ叶わなかったのだ。

 

 それは普段は熱くならないディアッカもかなりの打撃を与えたのだろう、しかし相方であるイザークは苦虫を噛み潰した顔をして黙り込むしかなかった。

 

「……どうしたんだよイザーク、その顔の傷を返すって息巻いてたじゃないか」

 

 宇宙に居る時にストライクに付けられたイザークの顔を横切る大きな傷痕。プラントの技術力なら傷を消す事など容易い。しかし、イザークは己に傷を付けたストライクを討つ迄は消さないと息巻いていた。

 

 しかし、アークエンジェルに捕虜になって帰って来てからは、“ナニカ”が変わったとディアッカは大きな戸惑いを感じていた。

 

 それはクルーゼも感じており、仮面の下で笑みを浮かべていた。己の知るイザークならば、今頃、アスランと一緒になってアークエンジェルを追う事を懇願していただろう。

 

 アスランとイザーク、ニコルとディアッカ……まるで立場が入れ替わった二人に、相方の変わり様に困惑する二人……実に面白い。

 

 

「なるほど。スピットブレイクの準備もある為、私は動けんが……そうまで言うなら、君達だけでやってみるかね?」

 

「っ、はい!」

 

 アスランが気負い込んで勢いよく答えた。ディアッカも微かに笑みを浮かべた。イザークは表情を変えずに視線を下に向け…次のクルーゼの言葉に耳を傾ける。

 

「ではイザーク、ディアッカ、アスラン、ニコルで隊を組もう。カーペンタリアで母艦を受領できるよう、手配する。直ちに移動準備に掛かれ」

 

 クルーゼの言葉を聞きながらアスランは脳裏にある少女の顔を過らせる。

 

(キラ…)

 

 何が友達だ、何が大切な人だ。そんなもの、体よくナチュラルが彼女を利用してキラを変えてしまった……そう思っていた。

 

 しかし、戦闘で出会う彼女は……己の知る優しさキラと何も変わらず、本心からアークエンジェルを守ろうとしている。

 

(ッ……シン・アスカ…!)

 

 そしてその度に……あの男、シン・アスカの事を彼女は口にする。

 

〈アスランはシンの事を知らないから、誤解してるかもしれないけど、シンはずっと私を気遣って……守ってくれてたの…〉

 

 ふざけるな…!

 彼女の…キラ・ヤマトの隣に立ち、守るのは…自分…このアスラン・ザラだ…!

 

 

 拳を強く握り、ドス黒い嫉妬を燃やすアスランを見て仮面の下に、酷薄とも見える笑みを浮かべていたクルーゼは…

 

 

「ふむ…では、そうだな……指揮は……君に任せよう()()()

 

 

 

 

 

「…え!?」

 

 

 

 最後にそう言い残して部屋を後にした。

 目玉が飛び出る程に驚愕した部下の声を尻目に笑いを堪えて…

 

 

 





クルーゼ「(アスランはサクランしてるし、ディアッカは向いてないし、イザークは何か変わったけど……面白そうだから)……君に任せようニコル」

ニコル「…え!?」
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