νシン・アスカは伊達じゃない!   作:DestinyImpulse

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 久々の投稿で申し訳ありません。


36. PHASE-36【二人だけの戦争】

 

 ちゃぷちゃぷと機体を洗う水音が聞こえる。

 いつの間にか気を失っていたカガリは目を開けた。そこは”スカイグラスパー"のコックピットだった。キャノピーを突き抜ける日差しを鬱陶しく思いつつ彼女は頭を振り、周囲を見回した。

 

 “スカイグラスパー"の周りには波打つ海面が取り巻いていた。すぐ先には白砂が眩しい砂浜が見える。暫く波を見つめたあと、ハッと彼女は我に返り、慌てて計器に手を伸ばした。どのスイッチを押しても、なんの反応もない。

 

「こちらカガリ!アークエンジェル”どうぞ…!」

 

 通機に向かって叫んだがスピーカーからは雑音さえ返ってこない。暫く計器類を相手に虚しい努力をしたあと、カガリは諦め前方に目をやった。さっき目にした浜は、どことも知れぬ島の一部だ。とりあえず救難信号をセットしておいて、あの島で助けを待つしかない。

 

「小さい島なんだな……」

 

 ぐるりと廻って確かめるまでもなく、人家はない。本当に小さな島だとカガリはボソッと呟き彼女は小さな高台の上から周囲を見渡し、そして息を吸い込んだ。

 

 すぐ目前の岩陰に、大きすぎてこれまで目に入っていなかったものが見えた。頭部から突き出したV字型のアンテナ、巨大な鋼の四肢、背中から突き出した特徴的な突起のモビルスーツ…しかもこれは、カガリも見た事のある機体だ。✕ナンバー…地球連合軍から奪取された内の一機に間違いない。

 

 カガリは慌てて岩棚の下を見やった。赤いパイロットスーツを身につけた人影が、モビルスーツから離れて歩き出したのを視野にとらえ、彼女は慌ててホルスターに手をやった。

 

(ザフト兵!)

 

 物音に気づいたのか、ザフト兵士は素早く顔を上げ、こちらを見る。カガリは思わず引き金を引き銃弾の音が小さな島中に響き渡った。ザフト兵は寸前で身を沈め、銃撃をかわすと、驚くべき運動能力で岩棚を駆け上り、姿を隠した。カガリはあとを追って崖を滑り降りる。

 

 浜にはさっきの兵士が落としていったパックが残されていた。周囲に気を配りながら、彼女はそれに近づく。パックの口が開き、中から拳銃がこぼれ落ちていた。銃が残されているということは、相手は丸腰かもしれない。カガリは少し安堵しながら、それを拾いあげようとした。

 

 その時…背後に気配を感じ、カガリは驚いて、振り返りながら引き金を引いた。一瞬にして目の前まで迫っていた兵士にその弾は当たらず、腕を蹴られて銃が弾き飛ばされる。

 

「うわっ!?」

 

 次の瞬間、カガリの体は宙を舞い、砂浜に叩きつけられた。そのまま押さえ込まれる。日を開けたカガリは、自分の頭上に振りかざされた刃の煌めきを見た。

 

 殺されるーー!

 

「キャアァァーッ!」

 

 思わず喉から悲鳴が鳴った、振り下ろされようとしていたナイフが、顔の前で止まる。

 

「……女?」

 

呟きを漏らした相手の顔を、カガリは震えながら見上げた。若い自分と同じくらいの年齢に見える少年が、驚いたように彼女を見下ろしていた。その顔は無邪気にさえ見えるほどで、とても自分の命を奪う者の姿に見えない。

 

 兵士の名は…アスラン・ザラ。

 

 コレが二人の出会いだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ザフトの部隊を撃破し帰還した俺達を持っていたのは、カガリさんが行方不明になった知らせだった。

 

 これに最も顔を青くしたキサカさんは、今までの余裕な態度が嘘の様に狼狽え、今にも倒れそうな状態になりマユが付き添って医務室に送った後で俺達はカガリさんの捜索を始める事にした。

 

 

 ナタルさんが、【MIA】… ミッシング イン アクション。戦闘中行方不明…まぁ確認してないけど…戦死でしょ、と認定しようとする。

 

 要は、生きていようが死んでいようが、行方不明なのをいい事に早々に見捨てるという事だ。軍人的合理性の塊であるナタルさん的には、この紅海で見失った味方を探すよりも、さっさと目的地へ舵を切ったほうがいいと言ったところなのだろう。

 

 しかし、マリューさんはカガリさんを見捨てる事なく。カガリさんの捜索が始まった、救難信号も出ている筈だが、こう電波状態が悪くてはなんの役にも立たないし、予測されているエリアには小さな無人島も多い。そっちに落ちているかもしれない……こういう時に原作知識が欲しくなるな。

 

 転送されてきた地域を確認している俺にマリューは申し訳なさそうに声をかけた。

 

〈疲れているところ悪いけど…頼むわね〉

 

「任せてください…!」

 

 俺としてもオーブの国民としてカガリさんを見捨てる訳にはいかない。取り敢えず、アークエンジェルを無防備する訳にはいかないので、キラ先輩には休息してもらい…俺が先に捜索に出る事になった。

 

〈なんの手がかりも得られなくても、二時間たったら一度帰投して〉

 

「了解です。シン・アスカ、アストレイ、行きます!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「お前、本当に地球軍の兵士か?認識票もないようだし…俺は戦場でああいう悲鳴は聞いた事がないぞ」

 

 自身を拘束したアスランの言葉に、相手が自分の胸を触った事とそのことで自分が女々しい悲鳴をあげたことを思い出して、カガリの顔はカッと赤く染まった。

 

「わ、悪かったな!」

 

「俺達の輸送機を落としたのはお前だな。向こうの浜に機体があった」

 

 アスランが親指で指す方向には、たしかに不時着したスカイグラスパーがある。それに対して持ち前の気性の荒さと図太い精神力で思わずカガリはアスランを睨みつけた。

 

「質問に答えろ。所属部隊は?何故あんなところを単機で飛んでいた?」

 

「私は軍人じゃない!所属部隊なんかないさ!誰がこんな所来たくて…わぁ…!?」

 

 手足を縛られたまま起き上がろうとしたが、バランスを崩して転がってしまう。仰向けになったままジタバタしているカガリを見て、アスランはなんとなく笑いをこらえた。妙な女だ。縛られた状態でも威勢がいいくせに、どこか抜けていておかしい。

 先程も熟練した兵士の様にいきなり襲ってきたくせに、組み伏せられて上げた悲鳴はまるきり女の子のもので、あの悲鳴にアスランは刃を振り下ろすことを躊躇った。

 

 これまで、生身の人間を殺したことがないわけでもないのに…

 

 

「……お前、あのモビルスーツ。あの時ヘリオポリスを襲った奴等の一人か?」

 

 

 不意に尋ねられアスランはギクリとして相手の顔を見直した。少女は鋭い金色の日で、真っ直ぐにアスランを見つめていた。

 

「私もあの時、あそこにいた。お前達がぶっ壊した、あのヘリオポリスの中にな!」

 

「……………」

 

 アスランは答えず、“イージス"に向かって歩き出した。

 

 “ヘリオポリス”……全てはあそこから始まった。中立国のコロニーに隠れてモビルスーツ開発を行なっていた地球連合軍。そのモビルスーツを奪取する為に、アスラン達はコロニーに潜入し、はじめて生身の兵士を手にかけた。

 

 キラと再会し、そして……彼女とシン・アスカが仲間を殺した。

 

 “ヘリオポリス"を破壊するつもりなどなかった。そんな事を言っても、弁解にもなりはしない…

 

〈“ユニウスセブン”の悲劇があるのに……どうしてプラントのザフトがコロニーを崩壊させたの!?〉

 

〈……だから私は君とは行かない。ザフトのアスラン・ザラとは…〉

 

「………ッ!」

 

 イージスのコックピットでもう一度通信機を試してみるアスランの脳裏に自分の伸ばした手を取らなかった彼女の言葉が木霊した。

 

 

 





 ちょっとしたお知らせですが、暫く投稿が遅くなるかもしれません。
 この後の展開は考えてあるのですが、考えつくのと文章にするのは ではなく、どの様に文章に表現するのか、イメージが沸かずに滞ってる状態です。

 それに今は新しく投稿した【サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!】に集中しているので…

 ですので、投稿の頻度が空く事をご理解ください。

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