νシン・アスカは伊達じゃない! 作:DestinyImpulse
ご観覧ありがとうございます。
今回はνシン君のライバルとも言える彼が登場します!
これでいいのだろうか…。
戦闘の衝撃で揺れるアークエンジェルの居住区でキラは悲しそうに俯いていた。今頃シンは戦っている……自分達を守る為に。
「…キラ先輩」
自分に縋る様に抱きつくマユと視線が合う。その目には涙が溜まっておりシンの身を案じていた。戦争なんて遠い世界の話だと…自分達が命のやり取りをする場に居るなどあり得ない。そんな当たり前がこの数時間で砕かれてしまった……。
だからこそキラはマユに『大丈夫だよ』なんて無責任な言葉を掛けられなかった。
「おい!あっちのモニターで外の様子が見えるぞ!」
その時、トールの言葉を聞いて迷う事なくモニターに向かう…其処には大型のライフルを構えたジンと相対するシンが乗ってるであろうストライクが映っていた。
「…シン!」
肩に担いだ大型砲を装備したジンがビーム兵器を発射。それを躱わすストライクだが…的を外れたビームがヘリオポリス内部を破壊する。
「……ッ!」
それを見た誰もが息を呑む。現場に居るシンもコロニーの損害を気にしてか左腕の盾でビーム兵器を防ぎ、どうにか損害が出ない様に立ち回っている。
「お兄ちゃん!?」
コロニーを守る為に敵の攻撃を我が身を盾にして防いでいる兄の姿にマユは叫ばずにはいられなかった……どうして、どうしてこんな事に!どうしてお兄ちゃんが戦わなくちゃいけないの!?マユの心はそう泣き叫ばずにはいられなかった。
「……サイ、ミリィ。マユちゃんをお願い」
「キラ……お前まさか!?」
それを黙って見ていたキラがマユをサイとミリアリアに預ける。それが何を意味し、彼女がこれから何をするつもりなのかサイは理解する。
「シンは……戦っている。私達やシェルターに避難してるヘリオポリスの人達を守る為に…たった一人で」
今のヘリオポリスには大勢の住民が避難したシェルターがあちこちにある。もしその場所にザフトの攻撃が当たったら無事ではすまない。もしそのシェルターに自分の家族が避難していたら……そう思うと怖くて堪らない。だからこそシンはジンが放つビームを回避せずに受け止めている。
「シンの言う通りだよ……戦争なんて嫌だ、戦いなんて嫌だ。だけど、何もしないで、これ以上シンが傷つくのを…お父さんやお母さん、みんなの家族が死ぬかもしれない今を黙ってみてるなんて……もっと嫌だ!」
「キラ…」
「だから私は行くよ……シンを一人にさせない」
キラにとってシンは可愛い後輩であり弟分だ。
妹思いで、不器用だけど誰かの面倒を見るのが得意で、ちょっとエッチだけど、心の優しい少年。だからこそ今、シンは戦っている。みんなを守る為に…。
そんなシンをキラは放って置けない!
最後に此方を見つめるマユに笑みを浮かべてキラは格納庫へと走り出した。
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「コロニーの中でバカスカとビーム兵器を撃つんじゃねぇー!」
戦闘が開始して数分、シンはストライクのコクピットの中で怒鳴らずにはいられなかった。目の前のビーム砲を担いだジンは辺りの被害など考えずにビームを連射してくる。
それを左腕のシールドでどうにか防ぐが、それをいい事に遠慮なく乱射してくる。
他のジン二機だって拠点攻撃用のミサイル装備をしてアークエンジェルに向かっている。あんな物が直撃したらアークエンジェル…マユやキラ達の安全は保証されない。
〈ストライク!何をしている!こっちにもジンが!〉
ナタルの通信が煩く響く。モニターを見れば一機のジンが腕に構えた大型のミサイルをアークエンジェルに向けていた。
「クソ!」
「逃がすかよ!そら、落ちろォォォォ!」
シンが慌てて向かおうとしても、そうはさせないとビーム砲を構えたジンのパイロット、【黄昏の魔弾】と名高いミゲル・アイマンは叫ぶ。襲撃時にキラとシンが退けたジンのパイロットが彼であり、ナチュラルが作ったMSにやられた汚名を返上しようと銃口をストライクに向けビームを放つ。
それを防ぐストライクだが、その結果アークエンジェルに向けて大型ミサイルが発射される事を許してしまった。
しかし、放たれた大型ミサイルはアークエンジェルにもコロニーの内壁にも当たる事なく放たれたビームによってコロニー上空で撃破される。
「あ、アストレイ!どうして!?」
大型ミサイルを破壊したビームを放った存在をストライクのセンサーは捉えていた。モニターに映るビームライフルを構えた金色のフレームのMS、アストレイにシンは驚愕せずにはいられなかった。
アークエンジェルの格納庫にある筈の機体。今アークエンジェル内でアレを動かせるのは自分以外に一人しか居ない。
「……キラ先輩…!」
苦痛の表情で呟くシンの考え通り、アストレイのコクピットにはキラが乗っていた。シンが構築したOSはキラから見ても大した物でコレならストライクの時と変わらずに動かせる。
〈嬢ちゃん!そのアストレイはフェイズシフトじゃねぇ!ストライクよりは速いが強度は低い!被弾には気をつけろよ!〉
「ハイ!分かりました!」
マードックの通信を終えキラはアストレイのコクピットの中で大きく深呼吸をする。それでもドクドクと心臓の鼓動は落ち着かず、操縦桿を握る手には汗が滲む。それでも手は離さず、むしろその手に更に力を込めた。
「……シンやみんなを守りたいの、力を貸してアストレイ!」
キラの叫びと共にアストレイのツインアイが輝きコロニーの空を飛ぶ。そんなアストレイにミサイル攻撃を行っていたジンが攻撃を仕掛ける。
「キラ先輩!」
「行かせるかよ、ナチュラル如きがさっさと堕ちろ!」
それを見たシンがストライクをアストレイの方に向わせるが、自分が相手にされない事を苛立ったミゲルがビームを放つ。
「…ッ!アンタ…」
それを防いだシンの心境が変化する。シンはあくまでも自己防衛ができればそれで良く、自分から戦うつもりはなかった。しかし、目の前のミゲルのジンは中立であり同族であるコーディネーターだって大勢が避難しているコロニー内でビーム兵器を乱射して、自分が先輩として慕うキラへの道を遮ってくる。
「いい加減……邪魔だァァァァァァ!!」
その怒りがシンの中の“何か”にヒビを入れる。それは弾ける事はないが入ったヒビから“何か”が漏れ出しシンの中にあった躊躇や情けが消えていく。
次の瞬間、ストライクの肩に装備されたビームブーメラン、マイダスメッサーを引き抜き、投げ放つ。
「なに!?」
今まで防戦だったストライクが攻勢に出た事にミゲルの反応が一瞬遅れるが、それでも二つ名がつく程のエースパイロット。辛うじて避ける事に成功するがそれまでだった。
ビームブーメランを避けたジンに続けて左腕の盾から、ロケットアンカー、パンツァーアイゼンを射出した。先端のクローがミゲルのジンの右腕を拘束し、ビーム砲を手放させる。
「クソ、この程度!」
戦いの均衡が崩れた事を認めず強がるミゲルだったが、その隙に弧を描き戻ってきたビームブーメランにジンの右足を切断された。大きく体勢を崩したジン目掛けてストライクが対艦刀であるシュベルトゲベールを振りかぶり…
「うおおぉぉぁぉぉ!!!」
「ぬわぁああああああ!!!」
ミゲルのジンを真っ二つに切り裂いた。交差した背後でミゲルの叫び声が響き、黄昏の魔弾と呼ばれた男はジンの爆発と共に消えていった。
「ミゲルー!」
それをイージスのコクピットで見ていたアスランが消えていったミゲルの名を叫ぶ。
(まさか……キラ…お前が…!)
あの襲撃の時に再会した幼馴染の少女。本当に彼女なのか?その真意を確かめる為にアスランは無理矢理この場にやって来たのだ。
目の前で戦友であるミゲルを手にかけたのは、あの時キラが乗ったと思わしきストライク。MSをアークエンジェルに居る地球軍のナチュラルがアレ程動かせるとは思えない。
ならばアレを動かしているのは……
アスランがそんな的外れな事を考えて機体を動かしている一方でそのキラは無我夢中でアストレイを動かしていた。
赤服ではないとは言え【黄昏の魔弾】と呼ばれたミゲルの戦死は他のザフト兵の混乱を呼び起こすには十分だった。
「ミゲルー!?クソォォォォォ!このナチュラルがぁぁあ!!」
仲間の死に激昂したジンのパイロットが残ったミサイルをアストレイに向けて発射する。
「ッ!?」
自らに迫る死の弾頭に息を呑むがキラの操作は的確だった。頭部のバルカン砲がミサイルを迎撃。ジンとアストレイの中間で爆発の花を咲かせる。
「こんな物がコロニーに当たったら……ッ、やめろォォォォォォォォ!」
これ以上コロニーに損害を与える訳にはいかない!躊躇う心を振り払ってキラはアストレイを爆煙の中へと突っ込ませる。ストライクよりも素早いアストレイは爆煙を切り裂き瞬く間にジンの懐へと飛び込み。
「…うあぁぁぁぁあ!」
背部に装備されたビームサーベルを抜き、ジンの肩口から腹部へなぞるように切り裂く。光の刃で切り裂かれたジンはしばらく稲妻を迸らせ、閃光と化す……パイロットの命と共に。
「…私…!私は…!」
それを理解したキラは震えていた。
自分は再びMSに乗り、今度は明確に誰かの命を奪った。その残酷な現実はキラから思考を奪わせるには十分だった。
私は一体、なにを…!
〈何を止まっているアストレイ!敵はまだ居るんだぞ!〉
しかしナタルの何処までの軍人な激昂が、キラから無情にも現実を受け止める時間すらも奪っていく。
キラは身体を動かしてアストレイのモニターを確認する。そこには赤いガンダムがシンが乗るストライクに銃口を向けている光景だった。
「アレは…」
キラの脳裏に過ぎる光景。あの襲撃の時にマリューにストライクのコクピットに乗せられた時に確かに見た。あの赤いガンダムに自分の幼馴染である……
「あ、アスラン…」
アスラン・ザラが乗り込んでいくのを…。
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「……クソ!」
自分の腕と心が震えている事を俺は確かに感じていた。さっき俺が真っ二つにして爆発したジン。あの時とは違いパイロットが脱出した様子もない。確実にジンと共にこの世から消えた……俺が消した。
「……辛えな」
こうなる事は覚悟していた。ガンダムAGEの三期主人公のキオ・アスノの様なコクピットを狙わない、相手のカメラや武装だけを破壊する技量も余裕も俺にはない。
しかしいざ、自分がやったことを実感すると辛い。
しかしそんな事を考える暇は戦場にはなかった。棒立ちしていたストライクに赤いガンダム、イージスが銃口を向けて此方に向かってくる。咄嗟に対艦刀を構えたが……撃ってこない?
〈キラ!キラ・ヤマト!〉
そんな事を考えているとイージスから通信がくる。少年の声で、何故か先輩の名を呼んでくる。
「誰だ?アンタ?」
〈なっ!キラじゃない!?誰だお前は!?〉
そりゃこっちの台詞だ。アンタこそ先輩の名前を呼んで何者だ?
〈クソ!お前がミゲルを…!キラは何処だ!?〉
すると突然、イージスがライフルからビームを放ってくる。慌てて左腕のシールドで防ぎパンツァーアイゼンを放つが機動力はジンより上で避けられる。
「コロニーで破壊活動を行うバカに先輩の事を言う訳ないだろ!」
〈何だと!?〉
何にせよ、コロニーで破壊活動を行い、避難民が居るにも関わらずに拠点破壊兵器を躊躇なくばら撒く奴に先輩の事を言う筈がない。
〈シン!アスラン!!〉
そう思っていたんだが、アストレイがストライクの隣に現れアストレイのスピーカーからキラ先輩の声が聞こえる。
〈キラ!キラなのか!?〉
〈アスラン!どうして?どうして貴方が!?〉
〈お前こそ…どうして、そんな物に乗って…ナチュラルのそいつの隣に居る!?〉
いや、俺は先輩と同じコーディネーターなんだが……と言うか先輩の知り合いなのか?………そう思った直後だった。
鳴り響く爆音に俺達の動きが止まる。
それは、必然の出来事だった。
ザフトの攻撃でコロニーの地表は罅割れ、外壁内壁問わず崩壊寸前。その上で残るジンを撃破したアークエンジェルの砲撃の余波でメインシャフトの一部が吹き飛んでいる。
もう限界なんてとっくに過ぎていた。
瓦礫が舞い上がり、コロニーの崩壊が始まり、崩れゆくコロニーの隙間から覗く漆黒の宇宙空間。
「キャァァァァァァーー!!?」
「先輩!?」
宇宙空間への流れに逆らえずに先輩を乗せたアストレイが放り出される。荒れ狂うコクピットだが俺は必死にストライクを動かしパンツァーアイゼンをアストレイに放つ。荒れ狂うコロニー内で大きくズレるがどうにかアストレイの右腕に取り付く事ができた。
〈キラァァ!?〉
俺達とは別方に飛ばされるイージスのアスランが叫んでいるがどうでもいい。繋がったパンツァーアイゼンを頼りにストライクのスラスターを全開にして俺は無限に広がる宇宙へと飛び出した。
キラ「力を貸して!アストレイ!」
アストレイ「キラちゃんにあんな事言われたら、死ぬ気で頑張るよね?」
ストライク「それな」
他のssでは生存しているミゲルニキですが……
裏があったとは言え中立のコロニーを警告なしにいきなり攻撃した事でワンアウト。
コロニー内でビームを乱射しまくった事でツーアウト。
キラ先輩を助ける邪魔をした事でスリーアウト。
以上の事からキレかけたνシン君にやられました。
そしてアスラン……彼との関係が色々と滅茶苦茶になっていくのでお楽しみ。