νシン・アスカは伊達じゃない!   作:DestinyImpulse

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 本当にありがとうございます!!


 今、キャラの言葉の表現に思考錯誤していて、前回とは違和感があるかと思いますが、数日で纏めるのでご了承ください。



05. PHASE-05【サイレントラン】

 

 「へ、ヘリオポリスが…!」

 

 目の前の光景をキラは受け止めきれずにただ茫然としていた。

 

 今日まで戦争なんて自分達には関係ない物であり、自分達の命が脅かされるなど露知らず、楽しく笑って過ごしていたヘリオポリスは見る影もなく崩壊した。

 

「お父さん、お母さん…大丈夫…だよね…?」

 

 徐々にヘリオポリスが崩壊した現状を受け止めながら、キラがまず思い浮かんだのは両親だった。

 

 二人は一体どうなったのか……きっと大丈夫、ヘリオポリスの脱出ポッドで逃れている筈だと自分に言い聞かせ、何とか気を落ち着かせる。

 

〈先輩!?大丈夫ですか!?返事をしてください!?〉

 

〈ッ!シン…!〉

 

 そんな時にキラの耳にシンの声が聞こえてくる。モニターを見れば右腕に取り付いたパンツァーアイゼンと繋がって此方のすぐ近くに居るストライクの姿があった。

 

〈…ふぅ、良かった。無事で……アークエンジェルとも連絡が取れました。アストレイは動かせますか?〉

 

〈うん大丈夫、動かせるよ…ありがとう〉

 

 モニターに映されるシンの顔。自分が宇宙空間で孤立しない様に尽力してくれた事をキラは理解しながら、嬉しさと安堵の笑みを抑える事が出来なかった。

 

 しかし、互いの無事を確認できた事で安心したのはシンも同じだった。

 キラの無事な様子を確認して安堵のため息を一つ息を吐いてから微かに微笑んでいた。

 

 キラはアストレイのシステムが正常である事を確認してをゆっくりとストライクが居る方へと動かす。

 

「あっ…あれは…?」

 

〈先輩?どうかしましたか?〉

 

 その時キラはふと、モニター越しに見えた物にアストレイを止めた。

 

「ヘリオポリスの救命ポッド!」

 

 キラが見たのはコロニーから射出された脱出ポッド。だが、何やら様子がおかしい。

 

「…… 推進部が壊れているのか?」

 

 シンもその存在を確認してストライクのモニターをズームして確認すると崩壊の影響だろう推進部の一部が破損していた。

 

 それを見たキラは迷わなかった。目の前で危機に晒されている命を見て見ぬフリなど出来る筈がなかった。無論、シンも同様でキラが脱出ポッドを慎重に回収したのを確認し、ストライクを先導させアークエンジェルへ向けて動かすのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 無事にアークエンジェルへ帰還した俺達、道中でキラ先輩が壊れた救命ポッドを見つけたが、戦闘中だから放り出せと怒鳴るナタルさんと言い合いに発展した。余裕がないのは理解できるが、ヘリオポリスが崩壊した原因は連合にもある。あの人はもう少し人間的道徳心を持ってほしい。

 

 その後、救命ポッドに乗っていたサイ先輩の彼女であるフレイ・アルスター先輩と出会い、俺達はようやく避難民が集まる食堂に戻って来た。

 

「お兄ちゃん!キラ先輩!」

 

 戻って来た俺達の姿を見てマユが崩壊したダムの様に泣きながら俺とキラ先輩に抱きついてくる。そんなマユを先輩とあやしながら、視線を向けるとフレイ先輩も泣きながらサイ先輩に抱きついていた。

 

 その時、アークエンジェルが大きく揺れた。

 

 戦闘の為ではない……航路を変える為だ…。

 

「……シン」

 

「……ええ、このままザフトに見つからなければいいんですか」

 

 多分、近くの友軍へと向かったのだろう……それまでにザフトに見つからなければいいんだが……運だな。

 

「どこに行くのかな、この船」

 

 その後、食堂から居住地に戻って来た時にそうぼやいたのはカズイ先輩だった。

 

「まだザフト、居るのかな?」

 

「この艦と、あのMSを追ってんだろ?じゃあ、まだ追われてんのかも」

 

  先の戦闘の一部始終を目撃していたトール先輩とサイ先輩がそんな話をしていると、サイ先輩の隣で座っていたフレイ先輩が心底嫌そうに眉をしかめる。

 

「えー!じゃあなに?これに乗ってる方が危ないってことじゃないの!やだーちょっと!」

 

 フレイの叫びに顔を俯かせるキラ先輩。

 その様子を見て少し苛立ちが募る。戦争によって破壊されるコロニーと死んでゆく者達を見た後で聞くその台詞は……軽すぎだ。

 

「壊された救命ポッドの方がマシだった?」

 

 俺以外にも感じていたのだろう、普段は見せない怒気をたぎらせたミリアリア先輩の瞳がフレイ先輩を射抜く。

 

「そ、そうじゃないけど…」

 

「親父達も無事だよな?」

 

「避難命令、全土に出てたし、大丈夫だよ」

 

 俺とキラ先輩を気にしてか、サイ先輩達が話題を変えようと気になることを思い思いに口にしていたら……

 

「キラ・ヤマト!シン・アスカ!」

 

 部屋の外からフルネームで俺とキラ先輩を呼ぶ声がした。

 

 キラ先輩は驚きながら勢いよく、一方の俺はゆっくりと振り返り、声の主が誰なのか確かめる。

 

 其処にはムウのおっさんが居た。

 

「マードック軍曹が怒ってたぞ、人手が足りないんだ。自分の機体ぐらい自分で整備しろと」

 

「自分の機体…?え、ちょっと自分の機体って…」

 

 キラ先輩の動揺する声にムウのおっさんは当たり前の様に答える。

 

「今はそういうことになってるってことだよ。実際、あの二機は君達しか乗れないんだから、しょうがないだろ」

 

「…………やっぱりザフトは追ってきますか?」

 

「ああ、そして戦闘になった場合。この艦を守れるのは俺と君達だけだ…君達はできるだけの力を持っている。だったらできる事をやろうぜ」

 

 そう言ってムウのおっさんは行ってしまった。去り際にアークエンジェルは今、ユーラシアの軍事要塞に向かっていると言って……それまでにザフトに見つからないなんて虫の良い話はない。

 

「………シンは行くんだよね?」

 

 キラ先輩が苦しそうな、それでいて確信めいた顔つきで俺を見る。

 

「……正直言って、逃げられるならさっさと逃げたいですよ。でも、俺はマユや先輩達を見捨てて一人で素知らぬ顔ができる程強くはない……戦うのは嫌だ、見捨てて逃げるのも嫌だ……だったら自分にとってマシな選択をする。俺にとってそれが戦う事ですから」

 

 実際にこのまま何もしなかったら、間違いなくザフトに捕まる。中立のコロニーを警告なしで攻撃してくる連中だ、少なくとも無事じゃ済まない。

 

 そう言って部屋を出ようとしたら、クイっと服を掴まれる。掴んでいたのは……キラ先輩だった。

 

「……私も行くよ」

 

「キラ先輩…」

 

「キラ……」

 

 怯えつつもそう答えるキラ先輩に俺もサイ先輩達も心配そうに見つめるしかなかった。

 

「シンが戦っているのを見て……とても苦しかった。シンがマリューさんに言った通りだったよ。戦うのは嫌だけど、何もしないで大切な人が傷ついて後悔するのはもっと嫌だ。……だから私も行くよ」

 

 じっと俺を見つめるキラ先輩。こりゃ何を言っても無駄だな。それに俺もキラ先輩と同じ気持ちだし!

 

「ミリアリア先輩、マユの事をお願いします。…行きましょうキラ先輩」

 

「……うん!」

 

 そうしてマユをミリアリア先輩に任せて俺達は格納庫へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「え?なに?今のどういうこと?あのキラって子、あの…」

 

 シンとキラが消え一人だけ状況についていけないフレイに彼氏であるサイは慎重に言葉を選び口にした。

 

「君の乗った救命ポッド、MSに運ばれてきたって言ってたろ。あれを操縦してたの、キラなんだ。もう一機も格納庫で見ただろ?そっちにはシンが乗っていた」

 

「でもあの…なんでMSなんて…」

 

地球軍はMSを持っていない。MSを操るのはプラントのコーディネイター達だけ、それがこれまでの常識だった。

 

 自分が保護されたのは、地球軍の船だ。じゃあ、MSを動かしたキラとシンは……?

 

「キラとシンはコーディネイターだからねー」

 

 その答えは、カズイの周りの事など何も考えない軽率な一言で得ることができた。

 

「えっ…!?」

 

 それを聞いたフレイは反射的にマユの方に顔を向ける。彼氏であるサイの後輩であるシン。彼には妹が居る事は聞いており、それがマユだ。兄であるシンがコーディネイターなら妹のマユも……

 

「……!」

 

「カズイ!!」

 

 そんなフレイの視線に耐えられずにマユはミリアリアに怯える様に抱きついた。そんなマユを抱きしめながら、こうならない様に慎重に言葉を選んでいたサイの行動を台無しにして、幼いマユの事を何も考えないカズイにミリアリアは激昂する。

 

「うっ…」

 

 バツが悪そうに視線を逸らすカズイ。

 

「うん…キラ達はコーディネイターだ。でもザフトじゃない」

 

「うん、あたし達の仲間。大事な友達よ」

 

 こうなっては仕方ないと、キラとシンの誤解を解くサイとミリアリアだが、フレイの目からコーディネイターに対する批判的な物を取り除く事はできなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「大型の熱量感知。戦艦のエンジンと思われます。距離200、イエロー3317、マーク02、チャーリー、進路、0シフト0」

 

 突如として飛び込んできた情報を掴んだブリッジが騒然とする。

 

「同方向に向かっているのか!」

 

「気づかれたの?」

 

「だが、だいぶ遠い」

 

 報告から、感知した艦はこの艦と全くの同方向へと航行している。しかし気づかれた様子はなく、二隻の距離は離れている。だが、気付かれていないのだとすれば偶然にしては出来過ぎている。

 

「目標は本艦を追い抜きます!艦特定、ナスカ級です!」

 

「チィ!先回りしてこちらの頭を抑えるつもりだ!」

 

 続けて入るオペレーターからの報告から、相手の狙いを悟ったムウが声を上げる。

 

「もう一隻、ローラシア級がいた筈よ!!」

 

「待ってください………本艦の後方、300に進行する熱源あり!」

 

「このままではいずれ、ローラシア級に追いつかれるか、逃げようとエンジンを使えば、あっという間にナスカ級が転進してくるって訳だ。おい、データと宙域図をこっちに出してくれ!」

 

 

 逃げ道はなく最早、とれる手は一つ……交戦のみだった。

 

「なにか策が?」

 

 マリューの不安げな声に、ムウは小さく笑って言った。

 

「それは、これから考えるんだよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ストライクとアストレイの調整をしていたら第一戦闘配備の命令が響き渡った。また戦闘が始まる事に俯くが、覚悟は決めた。故に今度は私服ではなく、MSに乗るのに適した服装。

 

 すなわちパイロットスーツに着替える為に、先輩と別れてそれぞれの男女別の更衣室に入り、急いで着ていた私服から地球軍の男性用の青のパイロットスーツに着替え、ヘルメットを抱える。

 

 パイロットスーツの着用が終わり、更衣室を出たその時、同じく着替えを終えたキラ先輩が更衣室から出てきてバッタリ出くわす。

 

「あ、シンも着替え終わったんだね」

 

「……先輩こそ」

 

 キラ先輩がお互いに着替え終わった事を確認してるが俺はそれどころではなかった。

 

 当たり前だが、パイロットスーツは体に密着した作りになっている。着た人のボディラインがある程度分かる。

 

 キラ先輩は今、女性用のピンクのパイロットスーツを着ている。

 

(……やっぱり先輩はデカいよな)

 

 何がとは絶対に言わない。

 キラ先輩は普段露出の少ない服装を好むから、パイロットスーツの様なピッチリとした物は着ない。

 

 故に普段は見えないキラ先輩の同年代の女子よりもデカい“あるモノ”の存在感が凄かった。

 

「………シン。女の子はシンが思っている以上に視線に敏感なんだよ」

 

「えっ……あ」

 

 そんな事を考えていると若干頬を赤らめたキラ先輩がジト目で俺達を見ていた。

 

「……シンのエッチ、スケベ」

 

「先輩……男はみんなスケベなんすよ」

 

 先輩の幼馴染のアスランとかいう奴だって聞いた話じゃエリート様かもしれないが、そういう奴に限って頭の中で女の裸を妄想してるむっつりスケベなんすよ絶対。

 

 とにかく、ここで時間を喰ってる場合じゃない。俺達は並んで格納庫へと向かう。

 

 

「キラ!シン!」

 

「トール?それに皆も…その格好、どうしたの?」

 

 格納庫へと向かう俺達の前に現れた数人の人影。間違いない、トール先輩達だ……しかも地球軍の軍服を着ている。

 

「僕達も艦の仕事を手伝おうと思って、人手不足なんだろ?」

 

「ブリッジに入るなら軍服を着ろってさ」

 

 そんな先輩達にキラ先輩も俺も呆気に取られる。

 

「お前達にばっか戦わせて守ってもらってばっかじゃな、それに後輩のシンが戦っているのに何もしないのはカッコ悪いし」

 

「こんな状況なんだもの。私達だってできる事をしようって。「私は大丈夫だからお兄ちゃんやキラ先輩が無茶をしない様に見てて」ってマユちゃんも言ってたし」

 

 マユも了承してるって事か……

 

 

 

 そう笑みを浮かべてブリッジに向かう先輩達の背中を、キラ先輩は無言で見つめ、その場に立ち尽くしていた。

 

「………戦う理由が増えましたね」

 

「…うん」

 

 俺の言葉にキラ先輩は微笑み頷いてから、俺と一緒に格納庫へと向かう。

 

「ほー、やる気十分ってとこか?その格好は」

 

 格納庫へ着くと、すでに紫のパイロットスーツに着替えて待機していたムウのおっさんが俺達を出迎えた。

 

「今この船を守れるのは、私達だけだって。戦いたい訳じゃないけど、私はこの船は守りたい。みんな乗っているんですから」

 

「俺だってそうさ。意味もなく戦いたがる奴なんざ、そうは居ない。戦わなきゃ、守れないから戦うんだ」

 

 俺達は決して殺しあうために戦うんじゃない。大切なモノを守るために戦う。

 

 俺もキラ先輩もムウのおっさんの言葉に力強く頷いた。

 

「それじゃあ、作戦を説明するぞ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「本当に良いのシン。私がストライクを使って?」

 

「ええ、俺はアストレイで大丈夫です」

 

 ムウから作戦の概要を聞いたシンとキラはそれぞれの機体に乗り込む。シンがアストレイでキラがストライク。キラはストライクにはシンが乗った方が良いと言うが、フェイズシフトを持つストライクにはキラが乗ってほしいとシンは断る。

 

〈メビウス・ゼロ、フラガ機、リニアカタパルトへ!〉

 

 ハンガー内に管制官の声が響く。カタパルトを見ると、ムウの機体が既に射出態勢に入っていた。

 

「ムウ・ラ・フラガ、出る!戻ってくるまで沈むなよ!」

 

 そして金属のスライドする音ともに、メビウス・ゼロが宇宙へと放たれた。

 

「ローラシア級、後方50に接近!」

 

「二分後にエンジン始動。ストライク、アストレイ、発進準備!」

 

「ストライク、アストレイ、発進位置へ!カタパルト接続。システム、オールグリーン!」

 

 ストライクとアストレイがそれぞれのカタパルトにセットさせる。

 

 作戦の内容はムウが隠密先行し前の敵を討つ。その間、シンとキラが敵を後方の敵から艦を守る。

 

 果たして、うまくいくのか。いや、やらなければならない!

 

〈キラ!シン!〉

 

 深く深呼吸をするシンとキラに聞こえるのは慣れ親しんだ声。通信モニターを見ると、そこにはインカムをつけたミリアリアが映っていた。

 

「ミリィ!?」

 

〈以後、私がMS及びMAの戦闘管制となります。よろしくね!〉

 

〈よろしくお願いします、だよ〉

 

 学友に対してだからか、ラフに喋るミリアリアを同じく管制官を務めるトノムラが優しく窘めた。

 

〈ストライクの装備はエールストライカーを。アークエンジェルが吹かしたら、あっという間に敵が来るぞ!いいな!〉

 

「…はい!」

 

〈ストライク!アストレイ!発進だ! 〉

 

 ストライクの背部にエールユニット、そして両腕に武装と盾が装備されて行く。カタパルトの先に広がる宙を見つめて、キラはさまざまなことを思い返す。

 

 今、この艦を守れるのは、俺達だけなんだぜ?

 

 お前達にばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな。

 

 こういう状況なんだもの、私たちだって…

 

 

 戦うのは嫌だ、見捨てて逃げるのも嫌だ……だったら自分にとってマシな選択をする。俺にとってそれが戦う事ですから。

 

 

 

(私も戦う……守る為に!)

 

〈行きましょうキラ先輩!〉

 

 モニターに映るシンに頷き……

 

「キラ・ヤマト!ガンダム!行きます!!」

 

 少女は覚悟を持って飛び出した!

 





 キラちゃんのパイロットスーツはステラと同じピンクです。

 しかし、シンが青い地球軍のパイロットスーツを着るって…違和感が凄い…笑
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