赤い霧になりたくて!   作:アップルプルプル

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アイリス視点です。


第17話

「アレクシア…何処にいるんでしょうか。」

 

 私ことアイリスは、街に出てきた怪物をカーリーさんに任せ、アレクシアを探していました。調律者―カーリーさんによると、ビナーという名前があるらしいですが、私は調律者と呼びます。―によると、アレクシアは下水道の何処かにいる可能性が高いと言っていたので、下水道に来ていました。

 にしてもカーリーさん、大丈夫でしょうか…斬っても治るなんて、なかなか面倒くさい相手だと思うのですが…まあ、調律者と合流して、勝っていることを願うしか、今の私にはできません。と、考えにふけっていると、剣同士がぶつかり合う音が聞こえました。

 

「ッ!」

 

 気づいた時には、もう私は音のしたほうに向かって走っていました。

 

「はあっ…はあっ…アレクシア…!」

 

「ッ!お姉様!?」

 

「おっと、これはこれは…」 

 

 角を曲がると、アレクシアとゼノンが戦っている最中でした。

 

「ゼノン…」

 

「まさかアイリス王女がこのタイミングで来るとは…合流される前にアレクシアを倒しておきたかったんだが。」

 

 ゼノンは心底面倒くさそうな顔をする。

 

「調律者の言う通りだったわけね…」

 

 私はそう呟く。

 

「調律者だって?」

 

 どうやら私の呟きが聞こえてたらしく、ゼノンは私に対して質問をする。

 

「ええそうです。カーリーさんのご友人とのことだったので、話を聞いてきました。」

 

 するとゼノンの顔はみるみるうちに変わっていき、怒りを露わにしてこちらを睨んでいた。

 

「何処に行ってもカーリーカーリー…あの女さえいなければ、私の計画は完璧だった!」

 

「そう、残念でしたね。」

 

「ええ、ほんと滑稽だわ。」

 

 私の言葉に賛同するようにアレクシアが言う。アレクシア?なんかすごい悪い顔してますよ。

 

「私達にとって、カーリーさんは恩人なんです。アレクシアとも仲直りできたし、強くもなれた。感謝してもしきれないほどです。」

 

「そうね、あんたなんかより、カーリーさんの方がもっと強くて、人望も良かったわよ?タバコを何処でも吸うっていう悪いところはあるけど、怪しい完璧人間に比べたら、全然マシよ。」

 

「…この小娘共がっ!」

 

 ゼノンは煽られ、感情のまま私達に襲いかかってくる。

 

「アレクシア、少し休憩してて。」

 

「でもお姉様「お願い。」…わかりました。危険そうでしたら、私も援護するので。」

 

「…ありがとう。その時になったらお願いね。」

 

 私は剣を抜き、ゼノンの剣を弾き、腹を蹴る。カーリーさんから、『戦いにおいて、剣だけで戦うという考えは捨てろ。』という教えで、隙があったら、頭でも、足でも、なんでもいいから、なにかしらダメージを与えろという意味だ。この言葉に、私達がどれだけ救われたことか。

 

「はあっ!!!」

 

「ぐっ!負けるかああっ!」

 

 私はいくつもの攻撃をゼノンに繰り出すが、ゼノンもなんとかしてそれに追いついてくる。カーリーさんによると、私は魔力に頼りすぎとのこと。しかもこれは、他の魔剣士にも言えることらしく、それのせいか、純粋な剣術でカーリーさんに勝てる人はあまり出会ったことがないらしい。

 すると、突然ゼノンから恐ろしいほどの魔力を感じた。

 

「ッ!」

 

 嫌な予感がした私は、一旦後ろに下がり、ゼノンと相対する。するとゼノンが先に仕掛けてきた。

 

「流石だ!アイリス王女。君の強さに免じて、次期ラウンズの力を見せてあげよう!うああああああ!」

 

 相手は魔力をこれでもかと込め、私を斬り掛かってくるが、

 

「甘い。」

 

 私はそれをいなし、ゼノンの腹に打撃を加える。

 

「ガハッ!」

 

 相手が蹲ったところで、相手に足を引っ掛け、転ばす。相手が転んで動けなくなった所に、私は剣を高く上げ…

 

「『大切断・縦』」

 

 カーリーさんの技を模倣したものを繰り出す。カーリーさんには全然劣るが、それでも火力はある攻撃だ。しかし、弱点も存在する。

 

「はあっ…はあっ…はあっ…」

 

 そう、体力が結構持っていかれるのだ。

 

「なかなかやった方だとは思うよ。」

 

 そうゼノンは言う。私の技を、本能が危険と察知したのかはわからないけれど、私の技はゼノンに当たらなかった。

 

「でも、慢心は良くないよね。」

 

 と、ゼノンはそう言って、剣を持って立ち上がる。

 

カツ…カツ…カツ…

 

 ―そんなとき、足音が聞こえた。

 私はカーリーさんかと思って、音のする方に顔を向ける。しかし、そこにいたのはカーリーさんではなく…

 

「漆黒をまといし者。なるほど、君が近頃教団にかみついてくる野良犬の一人か。」

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者。」

 

 シャドウ、黒い服に包まれた男はそう名乗った。

 

「小規模拠点をいくつか潰していい気になっているようだが、君たちが潰した拠点に、教団の主力は一人もいない。ただ雑魚を狙っているだけの卑怯者だ。」

 

「そうか。だが、ずっと貴様とアイリスの戦いを見ていたが、お前もその雑魚に分類されるのか?」

 

 そうシャドウは煽る。

 

「私が彼女より弱いことは認めよう。だが、ずっと小規模拠点しか狙ってこなかった君に、負けるつもりは無いよ。

 次期ラウンズ第12席ゼノン・グリフィ。君の命―ラウンズへの手柄とさせてもらおう!」

 

 ゼノンがそう言って、シャドウに斬りかかる。こうして、戦いの火蓋は落とされた。




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聖域編すっ飛ばしてブシン祭行っても良い?

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