完全に作者の性癖です。
ある日の朝。
癖っ毛の短髪の黒髪とエメラルドのような大きめの青緑色の瞳を持った美少年は、髪を整え、雄英の制服に袖を通す。
イレイザーヘッドこと相澤消太が引き取り養子として育てている、相澤家の長男、相澤ひなただ。
157cmと他の男子生徒に比べて小柄な体格をしており、色白で童顔なせいもあってかよく女子に間違えられる容貌をしていた。
実はイレイザーヘッドこと相澤とプレゼントマイクこと山田のDNAを受け継いだ人造人間であり、特殊な衝撃波を声として放ち他者の“個性”因子を共振させ一時的に“個性”を使用不能にする『共鳴』の“個性”を持つヒーローの卵だ。
「父さん行ってきまーす!」
「今日は早いな」
「うん! ひーちゃんと一緒に学校行く約束してっから!」
ひなたの父親の相澤が見送ると、ひなたはニカっと笑う。
無邪気に笑うひなたを見て、相澤は普段のひなたの言動を思い出しながら、呆れ気味に言い放つ。
「お前のような奴にも彼女ができるとはな」
「うっせぇ! 毎食ゼリーで済ませようとするオッサンに言われたかねーよ!」
ひなたは、べっと舌を出しながら靴を履くと、駆け足で家を出て行った。
家を出ると、女子生徒が外で待っていた。
ひなたは、女子生徒の顔を見るなりぱぁっと表情を明るくする。
外で待っていたのは、ひなたと交際をしているクラスメイトの女子、心操人使だ。
「おはよー、ひーちゃん!」
「うん。おはよ、ひなた」
ひなたが笑顔で挨拶すると、心操も無表情で挨拶を返す。
心操は、大人しくてたまに何を考えているかわからない事があるが、そのミステリアスさが逆にクラスの男子から人気を集めていた。
母親によく似た美少女だが、目と眉の形だけは父親譲りで、凛々しい印象を抱かせる。
広い額を見せセミロングの青紫色の髪を短めのポニーテールにした心操は、どこか麗しのレディナガンに似ていた。
身長は167cmとひなたよりも10cm高く、胸もFカップと立派なものを持っていた。
ひなたは、いつものノリで心操の胸を堂々と揉む。
「うん、今日もいいおっぱいだ」
ひなたがキリッと真顔で言うと、心操はひなたの頭にチョップを叩き込む。
「ふぎゃっ」
「天気確認するみたいなノリやめて。外ではやらないって約束だったよね?」
「え〜いいじゃんお願い! おっぱいだけ! おっぱいだけでいいから!」
「キャバクラのタチの悪いオッサンかよ」
「お願い! 減るもんじゃないから!」
「減るの。心とか時間とか色々」
ひなたがしつこく食い下がると、心操が呆れ顔でツッコミを入れる。
ひなたが心操の胸をガン見していると、心操がため息をつきながら言う。
「ひなたさ。私に隠れて巨乳のヒーローとかグラビアアイドルの雑誌集めてるでしょ。全部わかってんだからね」
「ギクっ」
心操が言うと、ひなたは目を泳がせて冷や汗をダラダラとかく。
どうやら図星だったようだ。
「そんなにおっぱいが好きならおっぱいと付き合えば?」
心操は、バッサリとひなたを振ってそのままスタスタと駅に向かった。
「………くぅん」
ひなたは、心操を目で追いかけながら、雨に濡れた子犬のように目を潤わせて弱々しい鳴き声を上げた。
◇◇◇
その後ひなたは、仲の良いクラスの男子に、心操に振られた事を愚痴った。
「ひーちゃんに振られた」
「いやそれはお前がわりいよ。さっさと謝ってやれよ」
「ぐすん、だぁって…」
ひなたが愚痴を言うと、瀬呂が呆れ顔でツッコミを入れた。
おっぱいの揉みすぎで彼女に振られた、などというくだらない話を聞かされ、周りの男子もどうコメントしたら良いのかわからなかった。
だがそんな中、一人だけひなたの味方をする男子がいた。
「わかるぜ相澤…あのデカパイの魅力に取り憑かれたら最後、四六時中心操ッパイの事ばっか考えちまうよなあ!?」
「おおっ、わかってくれるかみのるん!?」
「あたぼうよ!! 男なら誰だって、あのはち切れんばかりのメロンおっぱいに埋もれてみたいもんだろうがぁ!!」
「男をみんな一緒くたにすんなよ」
峰田が言うと、ひなたは身を乗り出して賛同する。
エロに興味津々なひなたにとって、峰田はエロの話で熱く語り合える同志だ。
峰田がハァハァと息を荒くしながら女の敵としか思えない発言をすると、切島がごもっともなツッコミを入れる。
「相澤ァ…後生の頼みだ、オイラにもお触りさせてもらえるようにお前から心操に交渉してくれねえか?」
「あっ、ごめん。それはダメ。ひーちゃんは俺の彼女」
「んだよこの裏切り者!! クソリア充が!!」
ひなたが峰田の頼みをハッキリと断ると、峰田は血涙を流しながら罵声を浴びせた。
ひなたは峰田とは猥談をし合う仲だが、セクハラの対象が自分の彼女に及ぶのであれば話は別だった。
するとその時、トイレに行っていた心操が教室に戻ってくる。
「あっ、ひーちゃん! あのさ!」
「…………」
ひなたは心操に謝ろうとするが、心操はひなたを徹底的に無視した。
心操がひなたや峰田にゴミを見るような目を向けると、男子の間で気まずい空気が流れる。
「…完全に嫌われたな」
「もしかして、今の話聴かれてたんじゃね?」
「……くぅん」
瀬呂がため息をつき、上鳴が顔を引き攣らせると、ひなたは見るからにしょぼんとする。
ひなたは、峰田との猥談を心操に聴かれていたせいで、余計に心操に嫌われる羽目になった。
◇◇◇
その後、ひなた達は、ヒーロー基礎学の授業を受ける為に男子更衣室で着替えをした。
ひなたがシャツを脱ぐと、見事に鍛え抜かれた筋肉が露わになる。
ひなたは、女の子のような可愛らしい顔立ちと小柄な体格のせいで誤解されがちだが、地下の研究施設で人間兵器として育てられてきた過去を持ち、相澤にも稽古をつけてもらっていたため、身体はバッキバキに鍛えられていた。
腹筋はシックスパックに割れており、入学時に行った“個性”把握テストでも純粋な筋力のみで5位に食い込むなど、身体能力は下手な異形型を凌駕している。
ひなたは、黒いボディースーツに腕を通しながらポツリと呟く。
「あーあ、どうすりゃあひーちゃんと仲直りできんのかな」
「素直に謝るしかないんじゃないの?」
「それはそうなんだけどさ、向こうが謝らせてもくれないんだよ」
ボディースーツに着替えながら呟くひなたに尾白がアドバイスすると、ひなたは頭を掻きながらぼやく。
すると尾白は、スッと目を細めながら、気になっていた事をひなたに尋ねる。
「……というかさ、相澤、何で心操さんと付き合ったの?」
「えっ?」
「身体目当てで付き合うとか、心操さん一番嫌がりそうだろ。お前の事信頼して交際してくれてたって事は、お前だって本当は身体目当てで付き合ってたわけじゃないんだろ? それを正直に話せばいいんじゃないのか?」
尾白は、ひなたの気持ちを理解した上でアドバイスをした。
すると、ひなたは心操との馴れ初めをポツポツと話し始める。
「………ひーちゃんと出会ったのは、入試の時でさ」
ひなたが心操と出会ったのは、雄英の入試の時だ。
ひなたは入試の会場に向かう途中、足がもつれて転びそうになってしまったのだが、転びそうになったひなたを支えてくれたのが心操だった。
心操がひなたの身体を支えて『大丈夫?』と聞いてくれたので、ひなたはその時から心操に一目惚れしていた。
「そん時俺さ、『ほわああおっぱいだぁ』って思ったんだよね」
「クズかよ!」
「お前それはダメだぞ」
「ひでえなお前ら!?」
ひなたが話をすると、瀬呂と切島がツッコミを入れるので、ひなたはショックを受ける。
クラスメイトに散々言われたひなたは、咳払いをしてから話の続きをした。
「まあ聞けよ。俺は、その時出会ったひーちゃんと同じ試験会場になったんだけどさ。あの娘、“個性”が試験と相性悪くて、すげー苦戦しててさ。せっかく俺を助けてくれたおっぱいちゃんには合格してほしいなーって思ったから、バレないようにコッソリアシストしてたわけよ」
「とうとう女子をおっぱい呼ばわりしやがったぞこいつ」
「女の敵だな」
「んで、俺も救助活動しながらポイント稼いでたんだけどさ。ギミックが出てきてから救助が追いつかなくなって困ってた時、ひーちゃんが他の受験生を操って助けてくれたんだよね。『借りを作ったままなんて癪だから』っつってさ。俺、ボロボロになっても人助けしてるひーちゃん見てさ、ひーちゃんの事もっと好きになったんだ」
ひなたは、心操との馴れ初めを思い出し、微かに頬を染めながら語った。
「入学してから、俺、ひーちゃんの事もっと知りたくなって、毎日話しかけてさ。そしたらいつの間にか仲良くなって、ひーちゃんが俺に告白してくれてさ」
ひなたが恥ずかしそうに言うと、ひなたの話を聞いていた男子は全員目を丸くする。
まさか大人しくてクールな心操が、よりによってエロ全開のひなたに告白するなど考えられなかったからだ。
「えっ…心操さんの方から告白したの?」
「チクショウてめぇリア充が!」
「でもその時は振った」
「何で!? 勿体ねえ!」
「釣り合わないと思ったんだよ。俺、バカだし、チビだし、そんなにイケメンってわけでもないし……おっぱい星人だし?」
「「「うん」」」
ひなたが言うと、話を聞いていた男子は全員頷く。
ひなたの巨乳好きは、男子の間では周知の事実だった。
だがひなたが心操を振った理由は、別のところにあった。
ひなたは昔、実験体として研究施設の地下にいた過去があり、そこでは殺人を強要された事もあった。
そんな薄暗い過去を持った自分では、好きになってくれた人を幸せにできないと思っていた。
ひなたは、心操を不幸にしない為に、彼女からの告白を断ろうとした。
だが心操は、それでもひなたの事を諦めなかった。
「でもひーちゃんはこう言ってくれたんだよ。『それでもあなたを幸せにしたい、だから付き合って』って! 超いい女!!」
「すごいいい子じゃん、心操さん。何で怒らせるような事したのさ。『幸せにしたい』とまで言った相手に怒って距離置くって、よっぽどの事だと思うんだけど」
「……くぅん」
尾白が正論を言うと、ひなたは子犬のような鳴き声を上げながら見るからに落ち込む。
◇◇◇
その頃、女子更衣室では、女子達が着替えていた。
「……ん」
(ブラがキツくなってきた。また新しいの買わなきゃ)
心操は、ブラジャーを外して自分の胸を憂鬱そうに眺める。
最近は胸の成長が著しいが、心操は、程よく鍛えられ美しいボディラインを維持しており、90cmを超えるバストも、キュッとくびれたウエストも、たわわに実ったヒップも、年頃の男子高校生には目の毒だ。
同級生の間では、美人でスタイル抜群の心操と付き合っているひなたを羨ましいと感じる男子も少なくなかった。
(何だか最近胸が育ちすぎてる気がする。ひなたに揉まれてるせい?)
心操は、毎日のように胸を揉んでくるひなたや、下品な目で見てくる男達、そして自分の体型を羨んでくる中学時代の女子達などを思い出して、憂鬱そうにため息をついた。
中学校ではクラスの男子や教師からいやらしい目で見られ、女子からは抜群のスタイルと『洗脳』の“個性”のせいで『男子を誑かしてる』と言いがかりをつけられていじめられ、碌な目に遭ってこなかった。
(よく羨ましがられたりなんかするけど、胸ばっかり大きくたって何もいい事無いよ。子供産んだら頭より大きくなったりすんのかな…嫌だなぁ)
心操は、無駄に大きく育ってしまった自分の胸を見て、普段のひなたのセクハラを思い出し、さらに気分が落ち込む。
すると麗日が声をかける。
「心操さん元気ないね。どうしたん?」
「実は……」
心操は、今悩んでいる事をクラスの女子に打ち明けた。
すると葉隠が驚いた様子で尋ねる。
「えぇっ!? ひなたくんと別れたの!?」
「別れたっていうか、ちょっと距離置いてるだけだよ葉隠さん。ひなたがセクハラしつこいから。確かに幸せにしたいとは言ったけど、別に無条件でセクハラを受け入れるって意味じゃないし。風俗嬢じゃないんだからさ」
「確かに、仰る通りですわね…」
「……つーか今更なんだけどさ。心操って何でひなたと付き合ったの?」
心操が珍しく愚痴をこぼすと、八百万が同意し、耳郎が素朴な疑問をぶつける。
すると心操は、少し頬を赤らめながらポツポツと話し始める。
「…入試の時にね。ひなたが、私を助けてくれたの。それで、『大丈夫かい? お嬢さん』って声をかけてくれて…すごいベタだったけど、それがすごく嬉しくて…今思えば、それがきっかけだった」
「え〜ロマンチック!」
「“個性”把握テストで最下位になって一人でこっそり泣いてた時も、ひなたはハンカチを差し出して話を聞いてくれた。私を強くする為に、相澤先生にも相談して一緒に放課後の訓練に付き合ってくれた。ひなたがいなかったら、私は多分除籍されてたし、入試にだって受かってなかった。それにね。ひなたは、私の“個性”を『世界一素敵』って言ってくれたの。それがすごく嬉しくて……だから私は、一生かけてひなたを幸せにしたいって思えたんだ。告白して、いいよって言ってもらえた時は嬉しかった」
心操は、頬を染めながらひなたとの馴れ初めを語った。
入学初日の体力テストで最下位になって悔しさのあまり人知れず泣いていた時も、強くなる為のトレーニングで悩んでいた時も、ひなたは側に寄り添って心操を支えてきた。
相澤に心操の特訓に付き合うよう交渉したのもひなたで、一時期『心操が相澤と付き合っている』などという根も葉もない噂が流れた事もあったが、その真相は相澤と心操が放課後特訓をしているというものだった。
心操の“個性”を『世界一素敵』だと言ったのも、ひなたが初めてだった。
心操は、ひなたの優しさと無邪気さに、いつの間にか強く惹かれていた。
「だったら、ヨリを戻せばいいんじゃないの!?」
心操がひなたとの馴れ初めを語ると、芦戸が無邪気に言う。
「心操さ、本気でひなたの事嫌いになったわけじゃないんでしょ? だったら、仲直りすればいいんじゃないの? 私も仲直りするの手伝うからー! 的な!」
「三奈ちゃん、あまり首を突っ込むのは良くないと思うわ。ここからは人使ちゃんが…」
「…ありがとう。芦戸さん。でも、自分で何とかしてみるよ」
芦戸と蛙吹が言うと、心操は無理に笑顔を作ってみせる。
その日の放課後、心操はひなたとのラインを見ながら一人で帰路についた。
いつもなら隣にいるひなたが今日はいないので、心なしか寂しく感じた。
(私もちょっと言い過ぎたかもしれないしな…今日は帰って頭冷やして、明日ひなたに謝ろう)
心操がひなたとのラインを眺めながら歩いていると、突然後ろからガバッと何者かに襲われ、口元にハンカチを押し付けられた。
「ん゛─────っ!!?」
◇◇◇
しばらくして、心操はゆっくりと目を覚ます。
「……ん」
心操が目を覚ますと、そこは知らない車の中だった。
口にはガムテープが貼られ、両手首をガムテープで縛られ、身動きが取れない状態にされていた。
そして目の前には、知らない男が三人いた。
「こいつは中々の上玉だな」
「いやぁ、しっかし、天下の雄英生がこんな簡単に捕まるとはな」
「すげえ、おっぱいでけぇ」
「俺が先にやるぜ。いいだろ? 俺のおかげで捕まえられたんだからよ」
「ちっ、さっさと済ませろよ」
男達は、下卑た笑みを浮かべながら心操の身体に触れようとする。
ようやく自分の置かれている状況を認識した心操は、力の限り暴れながら叫んだ。
「んんんん!!! ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」
「おっ、起きたか」
「何言ってんのかわかんねえよ」
心操は、男達から逃れようと暴れたが、口をテープで塞がれて“個性”を発動できず、さらには三人がかりで押さえつけられて逃げようにも逃げられなかった。
男二人が心操の腕を押さえつけると、もう一人の男が心操の制服のブレザーとシャツを無理矢理剥いだ。
ラベンダー色のブラジャーに包まれた溢れんばかりの巨乳が、男達の前に曝け出される。
心操は、目に涙を浮かべて顔を赤くしながら、男達をキッと睨みつけた。
「ひょー、雄英女子の生乳やべえ」
「エリートのくせにでけえ乳しやがって、どうせ他の男にも揉ませてんだろう? 今までも、そのデカ乳と『洗脳』なんてエロい“個性”で男を誘惑してきたんじゃねえのか?」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」
三人の男のうちの一人が息を荒くしながら心操の胸の膨らみに手を伸ばすと、心操は首を横に振りながら激しく暴れた。
男が胸を触ってくると、心操は、ゾゾッと背筋に寒気が走り、まるで身体中を虫が這っているような悍ましさを覚える。
ひなたにも毎日のように胸を揉まれていたが、ひなたの時は、あまりにもしつこいのでやめるように言う事はあっても、生理的に嫌悪感を抱いた事は一度もなかった。
ひなたの事は本気で好きだったから触られても嫌じゃなかったのだと、今になって気がついた。
自分を犯そうとしてくる男達を前に、心操は、ひなたへの罪悪感が込み上げてくる。
(そっか…これはきっと、罰なんだ。私を助けてくれたひなたに酷い事言って遠ざけたから、バチが当たったんだ。私が悪い事したから、ひなたにあげるはずだった初めてをこんな奴等に奪われちゃうんだ。こんな事なら、もっと早くひなたに謝っておけばよかったなぁ)
心操は、菫色の瞳から涙を溢れさせながら心の中でひなたに謝罪する。
心操が涙を流している事などお構いなしに男が心操の下着を剥ぎ取ろうとした、その時だった。
『YEAHHHHHHHH!!!!!』
突然、車の外から爆音が響き、車の窓ガラスが粉々に割れる。
車の中にいた男達は、直接爆音を喰らって鼓膜が破れ悶絶する。
「ぎゃあああああ!!?」
「み、耳がぁぁぁ!! 耳がぁ!!」
男達が耳から血を流しながら悶えていると、車のドアが勢いよく吹っ飛ぶ。
そこには、額に青筋を浮かせ髪を逆立てたひなたが立っていた。
(ひなた…!)
振ったはずの恋人の姿を見て、心操は僅かに目を見開く。
「何だてめぇ!? 邪魔すんじゃ…」
心操を襲った男の一人が、逆上してひなたに殴りかかる。
だがひなたは、男の拳を軽々と回避すると、小柄な体格を利用して懐に潜り込み、男の股間を思いっきり蹴り上げた。
グシャッと嫌な音が響き、男のズボンにはじわっと大量の血が滲んだ。
「ぐぎゃあああああああっ!!!」
ひなたに股間を蹴り潰された男は、断末魔のような叫び声を上げ、股間を押さえながら泡を吹いて失神した。
ひなたは、ヒーローのそれとは思えない、小心者なら死に至らしめる程の殺気を男達に向けて放つ。
“個性”を発動して睨んでいる時のオーラは、父の相澤の遺伝子をしっかりと受け継いでいるのがわかる程鋭く研ぎ澄まされていた。
「お前ら…ひーちゃんに手ェ出したら、殺すぞ」
ひなたが髪をざわつかせて殺気を放ちながら言うと、他の男二人はガタガタと震えながらみっともなく失禁し、逃げるようにその場から立ち去っていった。
変態達を撃退したひなたは、すぐに心操に駆け寄って助け出す。
「ひーちゃん!」
ひなたは、心操の口に貼られていたガムテープを剥がし、心操の無事を確認した。
ひなたが心配そうに心操の顔を覗き込むと、心操は安堵からか目に涙を浮かべる。
「ひなた…」
「ごめんっ!」
「…え?」
「俺、ひーちゃんが嫌がる事ばっかりしてたよな。ひーちゃんが拒否しないからって甘えて、調子乗って…俺、ホント最低だな」
ひなたは、心操の素肌を見ないように顔を背けながら言った。
すると心操は、首をふるふると横に振る。
「…ううん。謝るのは私の方。酷い事言ってごめん」
「何言ってんだよ、ひーちゃんは何も悪くないよ。ほ、ほら、俺の上着使って。小さいかも知んないけど…」
心操が謝ると、ひなたは慌てて自分の上着を心操に差し出した。
すると心操は、自分の胸元へとひなたを抱き寄せる。
「わぶっ!?」
心操は、ひなたを抱き寄せると、そのままひなたの顔を胸で包み込んだ。
柔らかい感触と甘い香りが、ひなたを優しく包み込む。
「ひ、ひーちゃん!?」
「助けてくれてありがとう」
ひなたが顔を真っ赤にして狼狽えるのも気にせず、心操は礼を言いながらひなたを抱きしめた。
心操は、気が済むまでひなたを抱きしめると、ようやくひなたを解放した。
ひなたは、興奮して鼻から流れた血を拭いながら、心操に語りかける。
「…それじゃ、改めて…ひーちゃん。俺、バカだし、セクハラしてばっかだし、色々ひーちゃんを困らせてきたけど…でも、ひーちゃんと一緒にいてすげえ幸せだったし、俺だってひーちゃんの事幸せにしたいと思ってる。今更何言ってんだって話かも知んないけど、これが俺の気持ち、だから…俺と、もう一度付き合ってください」
ひなたは、心操に頭を下げて告白した。
すると心操は、クスッと微笑みながら口を開く。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
心操が首の後ろを手で押さえながら言うと、ひなたはパァッと笑顔を浮かべる。
心操は、ひなたの顔に手を添えて微笑むと、ひなたの唇にキスをした。
心操にキスをされたひなたは、頬を赤らめて唇をモニョモニョさせる。
すると心操は、愛おしそうにひなたを眺め、クスッと微笑むと自分の胸の膨らみにひなたの手を置いた。
「ひーちゃん…」
「今日は特別。ひなたの好きにしていいよ」
「………きゅぅ」
ひなたが顔を真っ赤にして口をパクパクさせていると、心操は女神のような笑みを浮かべながら胸を触らせた。
するとひなたは、首や耳まで真っ赤にして鼻血をドクドク流し、魂が抜けたように後ろに倒れ込んだ。
普段は心操にセクハラをしているひなただったが、心操が自分から触らせてきた事はなく、心操の胸に直接触った事もなかったため、免疫が無くすぐにキャパオーバーしてしまった。
◇◇◇
翌日。
「えっ、ヨリ戻したの!?」
「「うん」」
芦戸が尋ねると、ひなたと心操は同時に頷く。
二人は、腕を絡め合って身体を密着させていて、どこからどう見てもカップル同士だ。
昨日まで喧嘩していた二人が仲睦まじそうに教室に入ってきたのを見て、クラスメイト達は驚く。
「まぁー俺は今回もすぐ仲直りするって思ってたけどな」
「何だかんだでラブラブだもんねぇ」
瀬呂と葉隠は、微笑ましそうにひなたと心操を見ていた。
二人は、誰もが認めるラブラブのカップルだ。
心操は、耳の後ろに髪をかけながらひなたに話しかける。
「ひなた、今度の週末海行こうよ」
「えっ、うん、行きたい! でも何で海?」
「新しい水着買ったから…ひなたに見てほしいなって」
心操は、ぺろっと舌を出して悪戯っぽく笑った。
するとひなたは、触角をピコピコさせて満面の笑みで頷く。
「行くっ!! 絶対行く!!」
ひなたは、心操の机に手をついて食い気味に答えた。
二人が仲睦まじそうに話しているのを、クラスメイトは微笑ましそうに遠巻きに見ていた。
◇◇◇
数年後。
近隣に自然の多い豪邸の一室で、心操は写真を整理していた。
セクシーな水着を着た心操と顔を真っ赤にしているひなたとのツーショットの写真を、心操は微笑みながら眺めていた。
左手の薬指にはプラチナの指輪がはめられていて、大きくなった腹を愛おしそうに撫でていた。
すると、エプロンをつけたひなたが鍋を持って心操の部屋に入ってくる。
「ご飯できたよ、ひーちゃん」
「ありがとう」
ひなたが入ってくると、心操はクスッと微笑みながら礼を言った。
ひなたの左手の薬指には、心操とお揃いの指輪がはめられていた。
卒業後、プロヒーローになって独立した二人は、収入が安定してきたので半年前に結婚したのだ。
結婚してすぐに妊娠が発覚し、心操はヒーロー活動を休止して出産に向けて準備を進めていた。
ひなたは、心操の顔を覗き込みながら尋ねる。
「何見てんの?」
「いや、ね? 写真整理してたら、高校の頃の写真が出てきたから、懐かしいなって思って見てたの」
心操は、写真を見ながらクスッと微笑んだ。
するとひなたは、学生時代の心操を見てニンマリと笑う。
「この頃のひーちゃんかわいいなぁやっぱ」
ひなたが言うと、心操はムスッとした表情を浮かべる。
「ちょっと、それって今はかわいくないって事?」
「まさか。ひーちゃんは今も昔も世界一可愛いよ」
「もうっ、調子のいい事言って」
ひなたが心操に抱きつきながら言うと、心操は若干呆れる。
だが、満更でもないのか、ひなたの腕にそっと手を添えていた。
「それはそうと、ご飯食べたいな。せっかく作ってくれたんだし」
心操が言うと、ひなたは持って上がってきた鍋の蓋を開ける。
ひなたが心操の為だけに作った鶏つくね入り梅だし鍋と、自家製の漬物が、心操の食欲を唆る。
「食べられなかったら無理しなくていいからな。残り俺食うし」
「ありがとう。大丈夫だよ。今日体調良いし」
心操は、クスッと微笑むと、ひなたの作った鍋に手をつけた。
「…うん、美味しい」
「よかったぁ!」
心操がひなたの作った鍋を気にいると、ひなたはパァッと笑顔を浮かべる。
無邪気に笑顔を浮かべるひなたを見て、心操は笑顔を浮かべながら話しかける。
「…ひなた。私の事、幸せにしてくれるって言ったよね」
「うん」
「今、すっごく幸せ」
心操が笑顔を浮かべながら言うと、感極まったひなたは後ろからガバッと心操に抱きつく。
「わっ」
「俺もだよ、ひーちゃん」
ひなたは、頬を染めて心操に抱きつきながら耳元で囁いた。
心操は、そんなひなたの手を優しく撫でる。
心操は、ひなたやこれから産まれてくる子供との幸せな生活を想像しながら、幸せそうに微笑んだ。
はい、ひなたくんはおっぱい星人です。
本編のひなたちゃんは巨乳好きに対してメチャクチャ殺意抱いてますが、あれも巨乳に対する憧れの裏返しだし、小さい頃に相澤先生にふざけてセクハラするような子だし、ひなたちゃん自身メンクイなので、まあ男体化したら巨乳好きセクハラ男になるんじゃないかなって。
ちなみにひなたくんと心操ちゃんのプロフィール
相澤ひなた(♂)
身長:157cm
体重:55kg
心操の彼氏。
相澤の養子だが、遺伝子的には実子。
女子のような可愛らしい顔立ちをした美少年。
実験施設では、本編と違い殺し屋として英才教育を受けてきた側面が強いため、感情が昂ると殺気を漏らす。
前述の背景から、小柄な体格と中性的な顔立ちに反して身体はバッキバキに鍛えられており、腹筋も割れている。
おっぱい星人。クラスでは峰田と仲良し(ただし峰田とは違って心操以外の女子には絶対にセクハラはしない)。
心操人使(♀)
身長:167cm
体重:?kg
スリーサイズ:93/60/92(Fカップ)
ひなたの彼女。
スタイル抜群の美少女。
ひなたからのセクハラに頭を悩ませつつも、何度も自分を救ってくれたひなたには感謝している。
見た目はレディ・ナガンを華奢にした感じ。
最近胸が育ちすぎているのが悩み。
知的でミステリアスな性格も相まって、ヒーロー科女子の人気株の一人。