ようこそ!読者が紡ぐ実力至上主義の教室へ 作:海月
作者の海月です。
この物語は、母親に捨てられて、親戚に蔑まれ、冷遇されながらも、祖母に養女として育てられた名家のお嬢様が、幼なじみの山村美紀と一緒に実力至上主義の教室を生き抜く物語です。
主人公の祖父は元政治家なので、原作の一部のキャラと薄い繋がりがあったりします。
アンケートの1票で、この子の人生は明るくも暗くもなります。
結末や筋書きが決まっていない物語ですので、皆様と一緒に楽しく紡いでいけたらと思います。
宜しくお願いします。
※物語のルールやアンケート補足については後書きに記させていただきます。
クラス分け
「おぎゃあ、おぎゃあ。」
とある病院の一室で赤ん坊の泣き声が響く。その病室にはたった今母になった女性と、女性を心配そうに見つめる老婆、白衣を羽織った女医がいた。
「おめでとうございます、元気な女の子ですよ。抱いてみますか?」
女医が赤ん坊を母親に抱かせようとするが、母親は女医の手を払い除け、キッときつく睨み付けた。
「何をするの!私、こんな子供いらないわ!」
母親はそう言い、赤ん坊から視線を逸らして目を閉じた。そんな彼女を心配し、付き添いの女性は何度も優しく頭を撫でる。
「美月様、落ち着いてください。あの子は、私が責任を持って育てます。貴方様が何かする必要はございませんわ。」
「そ、そう。婆や、あなたは本当に頼りになる人ね。」
女医は2人のやり取りを見て小さく溜息をつき、たった今生まれた娘の未来を心の中で哀に思いながら病室を出た。廊下に出ると、外で黒髪の品の良さそうな女性と目が合った。
「あの、女医さん。」
「はい?どうかされましたか?」
「近衛美月の母でございます。生まれた子の性別をお伺いしても宜しいですか?」
母親と名乗った女性は、不安げな表情で女医に尋ねた。近衛といえば、平安から続く名家で、五摂家の一つに選ばれている雅な一族だ。2代前の厚労大臣である近衛寛和は感染症を鎮め、感染症のせいで落ち込んだ観光業の成績を回復させた事で有名で、現在も近衛家は大きな力を持つ家として日本中に名を馳せている。
「元気な女の子ですよ。数分後、助産師が新生児室にてお預かりさせて頂きますので、それまでの間でしたらお嬢様にお会い出来ますよ。是非、お嬢様に声を掛けてあげてください。」
子を嫌う母親はそうめずらしいものではない。
特にお産の後は疲れやストレスによって子より、自分の事を優先してしまってもおかしくはない。それだけ、お産は過酷で危険な行為なのだ。
しかし、今回担当した女性は妊娠時の検診の時から不機嫌で、子供に対しての愛情を一切見せていない。度々、養子縁組や里親というワードを口にし、お腹の子を流産させようと、何度も飲酒を繰り返していた。
彼女が妊娠に気付いたのは、妊娠22週を過ぎてからで、望まぬ妊娠に対して嫌悪感を抱くのも仕方ない。特殊な事情があるようだし、下手な慰めは出来ない。
それでも、生まれてくる子供に罪は無い。母として愛せずとも、存在を否定しようとする事だけはしないで欲しかった。お腹を痛めて産んだ我が子をに少しでも感動を覚えて欲しかった。
女医はそんな思いを胸に秘めながら、貴夫人に頭を下げ、去って行った。
「入るわよ、美月。」
貴婦人は言われた通り、病室に入る。
「あ、お母様!聞いてよ!役に立たない女の子が生まれちゃったの!それも、あんな男との子供なのよ?私、もうどうしたら良いのかしら……」
貴婦人は娘のそんな言葉に耳を傾けず、付き添いの女性が抱く赤子を見てこう言った。
「雨が止めば空は晴れる。そしていつかきっと虹がかかる。この子の名前は美雨にしましょう。この子は私が育てましょう。」
「え?どうして?だって、この子は私の子よ?」
貴婦人は美月の肩に手を置き、優しくこう言った。
「いいえ、貴女の子ではありませんわ。私はこの子を自分の子供として育てます。貴方はまだ若いし、この子の母にはなれないでしょう?望まぬ妊娠の果てに絶望する必要はありません。貴方の好きに生きなさい、美月。」
「え、お母様?」
そう言い、貴婦人は1枚の紙を置いてから病室を後にした。
1人の赤子が生まれてから約15年の月日が経った。彼女は実母の母である祖母に養女として迎えられ、近衛家の養女として大切に育てられた。
しかし、実母や叔父叔母、祖父や彼らに付き従う使用人には嫌われ、憎まれ、こころない言葉を浴びせられ、彼女は自分の生まれを呪った。彼女にとって唯一の支えである祖母がいたから我慢出来たが、祖母が病に倒れてからは近衛家の本邸で暮らすようになり、嫌がらせはエスカレートしていった。
そんな時、私は幼い頃からの親友である山村美紀との再会を果たした。
「……み、美紀ちゃん?」
「……美雨ちゃん、ですよね?お久しぶりです。」
彼女とは幼稚園からの親友で、小学校卒業までは同じ学校に通っていたが、私は近くの女子中学に、美紀は公立の中学に進学し、私達の進路は別れてしまった。私が本邸で暮らすようになってから彼女の家とは随分離れてしまったのに、下校時に会えるなんて驚きだ。
「……久しぶり。元気そうでなによりだよ。」
「……美雨ちゃんは、少し元気が無さそうです。また、本家の方達に何か言われたりされたんですか?」
「ううん。大丈夫だよ、美紀ちゃん。心配してくれてありがとうね。」
私は彼女に心配をかけまいと笑顔を見せるが、彼女は少し悲しそうな表情を浮かべていた。
「……美雨ちゃんは強いですね。……美雨ちゃん、一緒に逃げませんか?」
「え?」
美紀の突然の申し出に私は困惑した。彼女はそんな私を他所に、1枚のパンフレットを私に差し出した。そこには『東京都高度育成高等学校』と大きなタイトルが書かれており、その学校の入学案内のパンフレットだという事が一目で分かる。
「高度育成高等学校?」
「はい。この学校は国が主導して作られた、全国から選りすぐりの優秀な生徒が集められた学校なんです。この学校を卒業すれば、自分の望む進路が叶えられるそうで、もしかしたら美雨ちゃんの未来にも自由があるんじゃないかって、そう思ったんです。……私、担任の先生に薦められてこの学校を受けてみようと思っているんです。もし良かったら、美雨ちゃんも一緒に受験してみませんか?」
彼女からの提案に私は僅かな期待を抱いた。しかし、本家の人間は私を一つの駒として認識しており、私の自由を認めてくれるとは到底思えない。
「ごめん……即答はできないかな。でも少し気になるから、パンフレットを読む時間を貰っても良いかな?」
彼女はパンフレットに書いてある内容を分かりやすく説明してくれた。高度育成高等学校は徹底した実力主義の学校で、進学率・就職率が共に高く、卒業生にはテレビや雑誌で名前を見る事の多い有名人もいる。そして何より凄いのが、入学してから卒業までの三年間において特例を除き、学校の許可を得ずに外部との連絡を取る事を禁止している点だ。私は祖母の事は心配だが、本家の人間の事は苦手なので、外部との連絡が絶たれるという一文に強く惹かれた。
「美紀ちゃん、私この学校を受けてみようと思う。」
「え?ほ、本当ですか?」
「うん。あの家から抜け出すにはこれが本当のラストチャンスだと思うんだ。私はあの家に必要とされていないし、このまま操り人形として生きるだけの人生なんて嫌だよ。」
私がそう言うと彼女は少し悲しげな表情を浮かべたが、すぐに微笑みこう言った。
「……とても嬉しいです。美雨ちゃんとまた同じ学校に通えるかもしれないと思うと、少しわくわくします。」
「ありがとう。」
その後、私は高度育成高等学校に関する情報を集め、受験勉強に励んだ。本家の人間達は私が家から遠い全寮制の学校に行くと言えば強く反対したが、祖母が私の入学を認め、祖父に掛け合ってくれた事でこの学校を受験する許可が得られた。
それから私は2月に高度育成高等学校を受験し、見事合格を勝ち取る事が出来た。
「では、行って参ります。」
私がそう言うと、母は私を強く睨みこう言った。
「早く消えて。私の視界に入らないでって言ったでしょう?ゴミはさっさと消えなさい。」
私は母の言葉に申し訳なく思いながら、何とか返事を返す。
「はい。かしこまりました。」
私は母に頭を下げ、玄関から出て行くと、門の前には美紀が待っていた。彼女は私に気付くと嬉しそうに手を振ってくれたので、私も手を振り返す。
「美雨ちゃん、合格おめでとうございます。」
「ありがとう。美紀ちゃんもおめでとう。これから一緒に学校に通えてとても嬉しいな。」
私達はお互いに手を取り合い喜んだ後、学校に向けて歩き出す。近くのバス停に着くと、そこには高度育成高等学校の制服を見に纏った新入生達の姿があった。
「ここのバス停から乗る人が私達以外にもいるんだね。」
「.....そうみたいですね。」
そんな会話をしていると、バスがやって来たので私達はバスに乗り込んだ。バスの乗客は殆どが新入生のようで、皆少し緊張した面持ちをしている。しかし、一部の生徒は友人と会話を楽しんでいたり、携帯端末を操作していたりと余裕のある様子だ。私はそんな彼らの姿を見て少しだけ羨ましく思うと同時に、自分もこれからの学校生活で彼らのような余裕を持ちたいと思った。
「.....あそこの席に座りましょう。美雨ちゃんは窓際と通路側、どちらが良いですか?」
美紀が指差す方へ視線を向けると、そこは朝には珍しく空席で、丁度2人座れるスペースが空いていた。
「えっと……私は通路側にしようかな。」
私がそう言うと、美紀はクスリとい「分かりました。」と言って、私を窓際に座らせてくれた。私は窓から外の景色を眺めていると、バスが停留所に到着して停車する。すると一人の女子生徒がバスに乗り込んで来た。
彼女は私達の存在に気付いたようで、こちらに近付いて来た。
「おはようございます。貴女方も高度育成高等学校の新入生の方ですよね?」
彼女が目の前にやって来ると、私は異変にようやく気付いた。私はすぐに席を立ち、彼女に向かってこう言った。
「良かったら、ここの席に座って下さい。道中はまだ数分時間がかかるでしょうから。」
彼女は杖を持って歩いていた。つまり、歩行が困難であるという事だ。そんな人物を通路に立たせたままにはしておけない。困っている、いないに関わらず、気遣いの出来る人間になれと祖母に教えられている。だからこそ、私は彼女に席を譲ろうと思ったのだ。
「いえ、私は……」
彼女は遠慮して断ろうとするが、私は彼女の手を取りこう言った。
「どうぞ、お座り下さい。」
私の笑顔に押されたのか、彼女は申し訳なさそうにしながらも席に座るとお礼を述べた。
「ありがとうございます。とても助かりました。私は坂柳有栖と申します。お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「私は近衛美雨です。宜しくお願い致します、坂柳さん。」
「……私は山村美紀です。宜しくお願いします。」
私達が自己紹介を終えると、バスが発車した。
バスに揺られながら雑談をしていると、数分後に目的地のバス停に到着した。バスを降りると、目の前には巨大な学校がそびえ立っていた。高度育成高等学校は私の通っていた中学や小学校とは比べ物にならない程広く、敷地内には一つの街が存在しており、在学生が飽きないような工夫が施されている。
「凄い学校ですね……」
美紀がそう呟くと坂柳も賛同を示した。
「ええ。事前に情報として知ってはいましたが、実際に見るとここまで広いとは思いもしませんでした。」
私達はパンフレットに書いてある通り、まずは正門をくぐった先にある生徒玄関へと向かった。
「凄い人だかりですね。」
「そうですね.........私は見ての通り、この杖を使いながら生活しております。ですので、この人混みの中に入る事は出来ません。申し訳ないのですが、山村さんか近衛さんのどちらかに私のクラスを探して頂けませんか?勿論、後程お礼はさせていただきます。」
坂柳は少し申し訳なさそうな声でそう言い、小さく頭を下げた。
「分かりました。私が責任を持って確認させていただきます。ついでに、美紀ちゃんのクラスも確認してくるね。」
「ありがとうございます、近衛さん。」
「.....ありがとう、美雨ちゃん。」
私は彼女の助けになりたくて、人混みの中を掻き分けてクラス分け表を探し始める。この学校のクラスは全部で4つあり、AクラスからDクラスまでアルファベット順になっているようだ。そして坂柳の名前はAクラスにあった。
(......後は私と美紀ちゃんのクラスだね。)
私と美紀のクラスは......?クラスだった。同じクラスになる事が出来てとても嬉しい。
早く2人の元へ戻ってクラス分けを伝えようと、逸る気持ちを抑えながら、私は2人の元へ向かって駆け出した。
「坂柳さん、美紀ちゃん!お待たせしました。坂柳さんのクラスはAクラスで、美紀ちゃんのクラスは?クラスでした。私も?クラスです。今後がとても楽しみですね。」
私は坂柳と美紀に笑顔でそう伝える。2人は少し驚いた顔をしていたが、直ぐに微笑み、礼を述べた。
「そうですか、分かりました。早速教室の方へ向かいましょう。」
「......わざわざ教えてくれてありがとう、美雨ちゃん。」
それから私達は自分達のクラスに向かう為、下駄箱の近くにある階段を上り始めた。
『ようこそ!読者が紡ぐ実力至上史上主義の教室へ』に関するルール。
①1話につき1つ選択肢がある
②選択肢は多数決で決める
③選択肢に関する補足説明は後書きにて記す
④主人公のステータスは選択肢によって増減する
⑤ステータスは最大値は100、最小値は0となる
⑥アンケートの締切は約24時間後
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
近衛美雨のステータス
体力:1
頭脳:1
芸術:1
コミュ力:1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※補足1→入学時に組み分けられたクラスによって、現在の能力値や今後の限界値が決定する
※補足2→山村美紀は主人公と同じクラス
※補足3→選ぶクラスによって人間関係や今後の展開が異なる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
主人公と山村美紀の所属するクラスはどれが良い?(補足は後書きにて記載)
-
Aクラス
-
Bクラス
-
Cクラス
-
Dクラス