彼女はマッドサイエンティストである。真か偽か。 作:lkjhg
任務が終わって帰投した私の胸にはぽっかり穴が空いてしまった気がしている。
松宮時貞が目の前で、私の腕に抱かれて死んだ。
彼は私の相談役でいつも迷惑ばかりかけているのになんだかんだ付き合ってくれるいいヤツだった。気づけばアイツ以外とほとんど話さなくなるほどには。
時貞が死ぬ間際、『愛してる』だなんてか細い声で伝えてきた。こんな状況じゃなければきっと恋人になっていたんだろう。でもそれは許されない。現実が、否が応でも否定してくる。膝の上に乗せた日記帳の存在のせいで。
全部読んだ。時間をかけてゆっくり、ゆっくりと。私が知っていること、知らないこと。アイツの考えとか思い出とか。任務に行って帰ってきて読んで寝て任務に行ってを繰り返した。
相談役の研究成果は天音に託した。参考にできるかもしれないと言っていたから相談役の努力もきっと報われる。報われなくちゃいけないのよ!
私達と一緒にいるときしか世界に色がない?知らなかったわよそんなこと!そんな素振りすら見せなかった!なのに!私は!アイツに愚痴ったり弱音はいたり迷惑かけたりしてただけじゃない…。実際にモノクロに見えていたのか比喩なのかは重要じゃない。私達がいない世界に、意味はなかったってことでしょう?
だから、あそこにいた。ドームを抜け出して、危険を犯してまでして、思い出の場所に帰ろうとした。思い出の場所ならきっと色を取り戻せると思った。そういうことなんでしょう?時貞。
日記は、私と豊後に読まれても大丈夫なような書かれ方だったけど、全部本当のことだと思った。わざわざ嘘を付くようなやつじゃないし。何より私達に対して、ずっと優しかった。ああ、こんなことなら、もっともっと気持ちをぶつけておけばよかった。きっと何でもいい。それこそ愚痴でも弱音でも。私はそればっかりだったって後悔しているけれど、それでも良かったのかもしれない。
好き、という感情は抱いてなかった。それは相談役も同じ。だって、十何年も一緒に過ごしていたから。頼り頼られ、苦楽を共にしてきたと言っても過言じゃない。流石に同棲はしてないわよ。でも、ほぼずっと一緒にいたって言えるわ。それくらい一緒にいるのが当たり前だった。
「世界ってどうしてこうも残酷なのかしらね。」
キャンサーが来てから、文字通り世界が変わった。人類は滅亡の危機に瀕している。滅亡するか否かは私達セラフ部隊にかかっている。
「やっぱり、私達が世界征服する前に滅亡されるのは困るわね。」
「山脇様!ここにいたんでゲスね!何をやっていたんでゲスか?」
「この古い日記を読んでたのよ。」
「誰の日記でゲスか?」
「そうね。私達の相談役よ。相談に乗ってくれたり、尻拭いしてくれたり、最高の相談役だったわ。」
もう会うことはできない。でも、一つ、誓う事がある。それはキャンサーをこの手で殲滅すること。私達みたいな、死別を繰り返させないために。
世界征服?そんなのずっと前から誓ってるに決まってるじゃない。だからこそ新しい誓いをこの胸に刻むのよ。
「このまましおらしくしてるのは私らしくないわね…よし豊後!景気づけにアリーナで特訓よ!」
「何かよくわかんないでゲスけど、お供するでゲス!」
待ってなさいキャンサー共。このマッドサイエンティスト、山脇・ボン・イヴァールが自ら殲滅してあげる!
読んでいただきありがとうございました。なんだかんだヘブバンで好きなキャラが山脇に落ち着いた結果書きました。こんな悲劇的な話を書くつもりはなかったんですけどね。
ピース使ってEbon Night完凸させるくらいには好きです。おかげで僕の手持ちだと最強の単体アタッカーになりました。
ちなみに本編書き上げたのがワンピース山脇様実装直前でした。実装ってなってよっしゃ小説書いてるし引けるやろ!って思ってたんすよ。出なかったんですよねぇ。(FGOとかだとそのキャラのイラスト書いたりして触媒になるみたいなのがあるじゃないですか。あれのノリです。)
その結果萎えてそれからログインしてません。
まあそろそろ復帰しよううかなって思い始めたので後編を書き上げた次第です。31Cのイベントも来てたみたいですし。
これ以降、ヘブバンの二次創作を書く予定はまったくありませんので悪しからず。ではまたどこかで。