TS憑依堀北さん   作:larana

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ついに原作1巻終了です。ここまで長かった……

追記:指摘があったので一部文章を修正しました。


祝勝会と櫛田桔梗

「中間テスト終了を祝して~……」

 

 

「「「乾杯!」」」

 

 

試験結果が発表された翌日、私達は綾小路の部屋に飲み物や食べ物を持ち寄って祝勝会を開いていた。

 

他のクラスメイトは中間テストが終わったことや祝勝会自体にテンションが上がっているようだが、私は別の理由で興奮していた。

 

「ここが綾小路君の部屋……」

 

 

すなわち聖地巡礼(いつもの奴)である。

 

なにせ原作主人公の部屋である。作中でもよく登場する場所であるが故に、1回中に入ってみたかったのだ。

しかし「男子生徒の部屋」である都合上、今の私(女子生徒)が気軽に訪れることのできない場所でもあり、機会を伺っていた。

 

そこに今日こうして祝勝会という名目で堂々と立ち入ったわけである。例えるならテーマパークの関係者以外立入禁止のエリアを特別に見学させてもらったような、そんな興奮と緊張が身体を満たしていた。

 

「しかし綾小路の部屋って何も物ないのな~」

「ゲームとかも一切ないし、私物ほぼゼロ?」

「綾小路君ってもしかしてミニマリストってタイプだったりするのかな?」

 

池や山内、櫛田が口々に綾小路の部屋に関する感想を述べていく。たしかにこの部屋全く私物ないよな……

 

 

「そうか?入学してまだ2ヶ月も経ってないし、こんなものだろ」

 

いや正直ちょっと不自然なレベルで物がないと思うぞ……?

 

「いや~にしても俺達本当に中間テストを赤点なしで乗り越えたんだな!」

「もう怖いもんなしだぜ!」

 

 

そうこうしていると早速山内達がつい先日終了した中間テストの話をしだす。

これからも期末やその他特別試験が待ち構えているわけだが、まあ今くらいは浮かれててもいいか……

とは言え浮かれすぎて次の期末でいらん面倒を起こされても困るので、一応指摘しておく事にする。

 

「過去問を配った時にも言ったけど、次の期末テストからは過去問には頼れないのよ?毎日ちゃんと学習する習慣をつけておくことね」

「うへ~、勉強自体は続けないといけないのかよ……」

「めんどくせー」

 

「まあまあ堀北さん、今は試験が無事終わったことをお祝いしないと!」

「……そうね、櫛田さん」

 

山内達をたしなめていると櫛田が声をかけてきた。

 

 

「櫛田ちゃん過去問ありがとう!マジ感謝だわ!」

「クラスの皆のためだし気にしないで、ねっ」

「櫛田ちゃんは夏の無人島バカンス楽しみ?俺は今から超楽しみだよ」

「私も無人島楽しみ!夏が待ち遠しいね」

「櫛田ちゃんはそ、その……ビーチで泳いだりするタイプ?」

「そうだね、泳ぐのは嫌いじゃないし水着に着替えて遊んだりするかも!」

 

 

「うおおお水着姿の櫛田ちゃん!!!」

「無人島行ったら俺達も一緒に遊んでもいいかな!?」

「良いよ、クラスメイトだもん!」

 

山内達は櫛田と無人島で遊ぶ妄想をして興奮しているようだ。

最も無人島では特別試験でキャンプ生活をすることになるし、水着は支給されたポイントを使用しての購入になるからまず買わないだろうが。

着るとしたら無人島の行き帰りの船上のプールかなあ……

 

しかし水着か……夏になったらプールに行ったりする機会もあるし、買いに行かないと……

しかし女子の水着売り場なんて(TS憑依野郎)にはとてもじゃないが入りづらい場所だ……でも夏休みに起きるイベントを考えると、行かないわけには……

 

1人で行ってもいいけどどんなの選んだら良いか分からないんだよなあ、一応原作やアニメやグッズのデザインで着てたようなのにしておくか?

 

そんな事を黙々と考えていると、櫛田がまた声をかけてきた。

 

 

「ところで堀北さん、私達……これからどうしよう?」

「これから、というのは?」

「Cクラスのこれからだよ!この学校、Aクラスしか卒業時に進路が選べる特典ないんだよね?ならAクラスを目指したほうが良いんじゃないかと思って」

「Aクラス!?Aって確か今940ポイントもあるんだろ?」

「俺達Cクラスが550ポイントだからまだ400ポイント以上差がある……」

「追いつこうと思ったらマジで勉強しないとじゃん……」

 

そう櫛田が言うと、池達はやや躊躇して不安を口にする。

 

「それにAクラスって勉強めちゃくちゃ出来る奴が多いんだろ?俺等で太刀打ち出来るかどうか……」

「私達はこの学校史上初のDクラスからの成り上がりをしたクラスだって茶柱先生も言ってたし、私達たちなら出来るって!」

 

 

「そうね、私も櫛田さんの言う通りだと思うわ。私達Cクラスは不可能だと思われていたことを成し遂げたクラス。可能性はあると思う」

 

「堀北さん……!」

 

「それにこれから先、勉強以外の方法で私達の評価が問われる機会もきっとあるはずよ。例えば……」

「バスケとかか?それなら俺に任せろ!」

 

「そうね、スポーツや身体能力が問われる事も必ずあると思うわ。あとはクラスで一丸となって何かに取り組む団結力……とかかしら」

 

「団結力……」

 

「でも私達は4月から授業に真面目に取り組んで、今回の中間テストだって勉強会を開いて無事に突破した。だから団結力も問題ないと思うし……私はCクラス全員でAクラスに成り上がるの、成功させたいわ」

 

「私と堀北さん、綾小路君、須藤君に池君山内君……それにCクラスの皆で目指そうね!Aクラス!」

 

 

「「おおー!!」」

 

 

こうして私達はAクラスを目指す決意をして、祝勝会を終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堀北や櫛田、池達との祝勝会を終えたオレは夜風にでも当たろうかと部屋の外に出ていた。

するとエレベーター内の様子を写したカメラに、櫛田の姿が写っていた。

寮の部屋に戻るのか?と思ったが、様子がおかしい。

モニターを見ていると、エレベーターは1階で止まったようだった。

 

「堀北も前にこんな事してたな……」

 

以前堀北がこんな風に放課後出かけていった時は、兄で生徒会長の堀北学と寮の裏で密会していて……会話の流れでちょっとした()()()()()も発生したが、まあ堀北の意外な一面を見れたしアレはアレで良かったんだろう。

 

そんな事を考えながらオレはエレベーターに乗り、櫛田の後をこっそり追いかける。

 

後をつけてみると櫛田は放課後で誰も居ない校舎に入っていった。

堀北のように校舎内で誰かと密会するのだろうか?などと考えながら階段を上がると───

 

 

 

 

「ああもう何なの堀北の奴!中学で聞いた話と全然違うじゃないあの女!」

 

 

───そこには普段とはかけ離れた様子で堀北の事を罵っている櫛田が居た。

 

「周りに突っかかってばかりの狂犬みたいな奴って聞いてたのに全然そんな素振りないし、かと思えば初日からとんでもない事言ってクラスの注目集めるし……!」

「あの時はクラスで初日から面倒は御免だと思ったから話合わせてクラス内を宥めたら、まさかアレが事実だなんて……!」

「クラスポイントは堀北のおかげで維持できたけど、その分クラスの関心が堀北に向くし!」

「可愛くて頭まで良いとか反則でしょ、クソ……」

 

 

ぶつぶつと堀北に対する愚痴をひたすら述べる櫛田に気圧され、オレは階段下から動けずその愚痴に暫く耳を傾けていた。

 

「私のこと覚えてるかと思って声をかけてみたらあいつ……あの教室で声かけた時の素振りからして絶対覚えてるじゃない」

「初対面のフリしてたけどバレバレだっての」

 

「あの後は特に向こうから話しかけたりしてこないから安心してたらちょくちょく厄介な頼み事してくるし!私の立場的に断れないの分かっててやってるだろあいつ……!」

「あの過去問貰った3年生私の胸ばっか見てんの丸わかりなんだよ気持ち悪い……」

「クラスの男子もキモいし最悪……」

 

「堀北の奴、()()()()をバラしたりはしてないみたいだけどいつ口を滑らすかわかったもんじゃない……」

「やっぱりあいつには退学してもらわないと」

「ああもうイライラする……!」

 

そう言うと思い切り扉に拳を叩きつける櫛田。無人の校舎内に大きく音が反響する。

 

その音に驚いたのか慌てて周囲を見回す。まずい、と思って隠れようとしたが視界に写ってしまった。

 

 

「……綾小路?見たの?」

 

「何も見てないし今帰る所だ」

 

「嘘ね」

 

そう言うと櫛田はオレの方に歩いて近づいてきた。

 

「あんた、今のこと誰かに喋ったら……ただじゃおかないから」

「堀北のことか?それともクラスの男子のこと?」

「全部よ全部」

「もし話したら……どうするつもりだ?」

「あんたにここで襲われかけたって学校中に言いふらしてやる」

「そんな事実は存在しないが?」

 

オレがそう言うと、櫛田は突然オレの手を取って自身の胸に押し当てた。

突然の行動に思わず硬直してしまう。

 

「おい、何を───」

 

「これで証拠が出来た。あんたが私の胸を鷲掴みにした、指紋付きの制服って証拠がね」

 

「ここまでやるとか正気か?とりあえず手を離せ」

 

「裏切ったら学校や警察にも言うから。絶対誰にも言うんじゃないわよ」

 

そう言うと念の為かもう暫くの間胸に手を押し当てた後、櫛田は手を離してオレから距離を取った。

 

「なあ、櫛田……お前と堀北の間に何があったんだ?口振りからして、中学───」

 

「それ以上言ったら今この場で悲鳴と大声出すわよ」

 

「………」

 

「ところで堀北のやつ、あんたとよく一緒に居るみたいね?」

 

「……まあ友人だからな。それがどうかしたのか?」

 

「あいつのほぼ唯一の友人と言ってもいいくらい心を許してたあんたが私を襲って無理やり胸を揉んだなんて言ったら、どんな反応するでしょうね」

 

「……堀北がお前を信じると思うか?」

 

「こっちには証拠も有るのよ?それにもし堀北があんたを信用したとしても、私の発言と堀北と綾小路君の発言……どっちの方がクラスで信頼されると思ってるの?」

 

「……っ」

 

 

 

「わかってくれたかな綾小路君?それじゃ帰ろっか」

 

 

先程までの態度が嘘のようにいつも通りの笑顔を浮かべる櫛田。

そうしてオレの前を歩き去っていく。

クラスメイトの思わぬ一面を前に、オレは困惑していた。

ふとしたきっかけで握ってしまった櫛田の秘密とそこからの脅迫。

あの施設(ホワイトルーム)を飛び出して始まったオレの高校生活は、波乱を迎えていた。




初の他キャラ視点を入れてみました。上手く書けてるか不安です。
櫛田の綾小路脅迫シーンはアニメで初めて見た時強く印象に残っていたシーンだったので今作でも入れてみたかったのですが、作品の展開上入れるタイミングが原作から前後してしまったのは自分でも予想外でした。
次回から2巻の内容に入る予定ですがもしかしたら本編の内容に入る前に小ネタ集という形でギャグ・ちょっとしたお色気回をやるかもしれないです。
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