TS憑依堀北さん   作:larana

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2024/5/8 追記:事件の時系列を確認していたらちょっと時系列に矛盾発生しそうなので最後の一文を編集しました。


Dクラスが喧嘩を売ってきたようです

「すごい量の写真と記事ね、これ……」

 

特別棟にカメラを仕掛けてあとは須藤とDクラスが喧嘩するのを待つだけ……と言う状態の6月末のある日の放課後、ちょっと暇があった私はクラスメイトの一人、佐倉愛里のブログをパソコンで眺めていた。

 

……実を言うと高育内の施設で入りづらい場所やまだ入れない場所───生徒会室や2学期の末に綾小路が龍園達と喧嘩する屋上───以外はあらかた見て回ってしまったので、暇を持て余していたのだ。

 

昔観たゾンビ映画──あれはザック・スナイダーの方の『ドーン・オブ・ザ・デッド』だったか───でショッピングモールに立て籠もる主人公達が暇潰しに色々な娯楽を作り出していたのと同じ状態に自分がなるとは、と苦笑しつつ何か校内で出来る暇潰しはないかと考えていた所、ふとあることが思い浮かんだのだった。

 

 

───そういや佐倉って部屋でブログ用に自撮りしてたな

 

 

6月末から7月にかけてのもう1つの大きなイベントである佐倉ストーカー事件、その主要登場人物である佐倉愛里は、グラビアアイドルとしての活動の一環でブログを更新しているのである。そのブログには4月の入学以降は高育の敷地内で撮影された彼女の自撮り写真が投稿されており、それを撮影しに人気の無い特別棟に立ち入った所須藤の喧嘩を目撃・撮影してしまう……と須藤の暴力事件にも大きく関わってくる人物なのだが、その中には幾つかこの寮の部屋で撮影された物もあったのだ。

それを思い出した私に、ある1つの疑問が浮かんでいた。

 

彼女のブログって実際どんな感じなんだろう?と。

 

デビューから毎日写真付きで更新とか仕事とは言え学業とよく両立できたものだ、と思うような更新頻度でファンからのコメントも多い……とは描写されていたが、よく考えたらブログの記事自体は原作でもアニメでも絵としては出てこない。出てくるのはそこに掲載されていた写真だけだ。

 

 

という訳で私は、事件の情報収集として───決してやましい気持ちがあったわけではない───佐倉愛里、いや雫のブログを開いていたのだった。

 

 

 

ブログの記事を読んでいると、4月以降からの記事のコメント欄に楠田(ストーカー)の物であろうコメントが載っているのが見受けられた。

 

やはりここで出会ってしまったのが暴走のきっかけだったんだな……しかし、たまたまカメラを買いに行った店の店員が自身の熱狂的なファンって運の悪い奴だな佐倉も。

 

そんな事を考えながらブログを流し読みしていると、スマホに着信があった。

 

「……誰かしら」

 

そう呟いて画面を見ると、須藤の名前が表示されていた。

はて、何の用事だろう?この時期に電話してくるイベントなんてあったか?と思い着信を受ける。

 

「須藤君?一体何の───」

 

「堀北、俺……まずい事しちまったかもしれねえ」

 

開口一番、須藤は彼らしくもない狼狽した様子でこう口にした。

 

「落ち着いて須藤君、何があったの?」

 

「あ、ああ……なあ堀北、4月にコンビニで2年の連中とモメた時、『俺達はカメラで観られている』みたいな話してたよな?」

 

……まさかこの流れは、()()か?

 

「ええ、そうね……この学校には多くの監視カメラが設置されているから、犯罪行為や喧嘩をしたらすぐに処分が下るはずよ。それがどうかしたの?」

 

「その、今日同じバスケ部でDクラスの小宮と近藤のやつに話があるって特別棟に呼び出されて……そこで殴り合いになっちまって」

 

やっぱりこの事件か。しかしまさか須藤の方からやらかした事に気づいて連絡してくれるとは……

原作だとそもそも茶柱先生がポイント支給が遅れている話をした後職員室に呼び出されるまで特にマズい事をやったと認識してなかったみたいだからな。

それを考えれば良い成長具合だ。

 

「殴り合い?大丈夫、怪我はしてない?」

 

「まあちょっと殴られたが逆に全員叩きのめしてやったからそこは問題ねえよ。へっ、あいつら4()()()1人に喧嘩売って負けるような雑魚だからDクラスでレギュラーにも選ばれねえんだ……ざまあみろ」

 

……ん?4人?石崎、小宮、近藤の3人じゃなかったのか?

 

「よ、4人?誰が居たか教えてくれる?」

 

「さっき言った小宮と近藤に同じDクラスの石崎ってやつと山脇だ。ほら、あの図書館で喧嘩売ってきたやつ」

 

なんでここで山脇出てくるんだ……?なんかしたっけ?

 

「石崎のやつは小宮と近藤のダチだって言ってたが、山脇のやつは俺に仕返ししに来たらしい。あいつ、前に俺がDクラス野郎って呼んだの根に持ってやがった」

 

……あー、あの時の……

本来ならこっちがDクラスだからあっちから一方的に馬鹿にしてきて終わりだが、ここだと私達の方が上のCクラスになってるわけだからな……そこでボロクソに言ったもんだから恨まれたか。

 

 

「あいつら俺が1年生でレギュラーに選ばれたのは贔屓だ、卑怯者は痛い目に遭いたくなかったらレギュラー辞退しろ……とか言って殴りかかってきたから全員ボコらざるを得なかったんだよ。特に山脇のやつとか辞退するって言っても殴りそうな雰囲気あったしな」

 

それで全員ちゃんとボコって帰ってこれるのすげえな。有言実行じゃん。

しかし4対1でも負けないって須藤信じられないほど強いな……正直、綾小路(ホワイトルーム最強)とか高円寺(天才御曹司)龍園(Dクラスの王)を除けばマジで1年生の最強格だろ。

 

「事情はわかったわ。……残念だけどこのまま放置しておくと、貴方が悪者に仕立て上げられる恐れがあるわね」

 

「は?悪者?俺が? 呼び出されて殴られたんだぞ!」

 

「呼び出して4人で待ち構えて殴ってきたんでしょう?となると単にカッとなってやった……というより、貴方を陥れる為に最初から仕組まれていた可能性があるということよ」

 

「マジかよ……クソ、小宮と近藤のやつマジで許さねえ」

 

仕組んでるのは龍園だけどな……まあこの段階で言っても何で知ってるんだってなるから言わないでおく。

 

「このままだと下手したら『須藤君が話し合いの最中に急に殴りかかってきた』とか虚偽の報告をされかねないわ。まず医務室に行って保健医の星之宮先生にありのまま起きたことを話して治療を受けてきて」

 

「治療って、そんな大した怪我じゃ……」

 

「『石崎君達に呼び出されて殴られて怪我をした』という事実を認定してくれる人が必要なのよ。それに星之宮先生はBクラスの担任でもあるから、CとDクラスの生徒のもめ事に関して中立的な立場からの証言ということにもなるわ」

 

「あ、ああ分かった……そうする。他に何かすることはあるか?」

 

「その後はバスケ部の顧問の先生と茶柱先生に今回のことを相談して。出来れば石崎君達より早くこの事を学校側に報告できれば良いのだけど」

 

「よし分かった、今から医務室にダッシュしてくる!ありがとな堀北!」

 

いやダッシュしちゃダメだろ。一応怪我人なんだから……

 

 

こうして須藤はその日の内に星之宮先生の治療を受けバスケ部の顧問とCクラス担任の茶柱先生に事態を報告したのだった。

そして翌日……

 

 

「須藤、お前大丈夫か?Dクラスの連中に殴られたって聞いたぞ!」

「うわ須藤君ほんとに怪我してる……Dクラスマジでやったんだ」

 

須藤は登校直後、Cクラスで池や山内と言った友人達を中心としたクラスメイトに囲まれて質問攻めにされていた。

 

須藤のCクラス内での立場を悪くしない為にクラスチャットで今回起きた事を昨夜須藤と私が説明したのだった。

治療を受ける前の須藤の怪我───正直4人組に殴られたにしてはかなり軽微な怪我ではあったが───の写真も載せた為、クラス内では須藤を心配する声が大きくなっていた。

 

クラスの人気者を演じている櫛田やいじめにはトラウマのある平田・軽井沢も積極的に動いてくれたことも有りCクラスは須藤をサポートする方向で団結できそうだ。

 

 

 

 

こうしてCクラス対Dクラス……須藤対石崎達4人組の審議が始まったのである。

 




ついに暴行事件編が本格的にスタートです!
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