例によってギャグ・お色気回です。
1学期の終業式を終えた後、無人島への豪華客船でのクルーズ───というのは学校側が出した嘘で実際は無人島と客船内での2つの特別試験───を数日後に控えた私は、部屋で課題をやったりパソコンで映画を見たりしながらダラダラと過ごしていた。
「……あら? 電話?」
今日の分の課題もやったしそろそろ暗くなってきたから寝るか……などと考えていたそんな中、スマホに着信が入った。画面には「佐倉」の文字が表示されている。
……何の用だろ? この前の件のお礼とか?
とりあえず出てみることにする。
「もしもし?」
「あっ、堀北さん!あの、佐倉です……今ちょっと良いですか?」
「別に構わないけど、どうかしたの?」
「えっと、その、この前は助けてくれて本当にありがとう」
「気にしないで。佐倉さんはその、大丈夫?私がもっと早く気づいて助けに行けたら良かったのだけど」
原作知識でああいう展開になるってことを知っててあの状況を起こさせたようなものなので、私には礼など言われる資格は無いと思ってる……というのが正直な所だ。
原作通りならちゃんと綾小路が止めてくれると知っていたとは言え私の行動で原作と異なっていることも有るわけだし、万が一ということも有り得たわけで。
「そんな……堀北さんと綾小路君には2回も助けてもらってるし、感謝しかないよっ」
「……ありがとう佐倉さん、そう言ってもらえると嬉しいわ。 ところで何か用事があって電話をかけてきたと思うのだけど……」
「! そ、そうなの、堀北さんに手伝ってほしいことがあって……」
佐倉がこの段階で頼み事?
なんだろ、綾小路の事が気になってるから色々教えてくれとか?それくらいなら問題は───
「私と一緒にケヤキモールで水着選びを手伝ってほしいの!」
なんて?????
「み、水着……?」
「うん!今度ケヤキモールに一緒に水着を買いに行ってほしいんだけど……駄目ですか?」
待て待て待てどういう事だこれは!? バカな、こんなの
いやマジでどういう事……?
「佐倉さん、その、私は申し訳ないけどその役目にあまり適しているとは言い難いと思うのだけど……ファッションにも疎いし、それに佐倉さんは
「……? あっ、その、水着選びを手伝ってほしいっていうのはそういう意味じゃなくて……」
正直に思ったことを伝えると、一瞬間が空いた後に佐倉はこう続けた。
「その、夏の無人島に行くのに備えて水着を新調したかったんだけど……
……?無人島試験で水着要るっけ?というか私物持ち込み禁止ではあの試験? 船のプールに関して言えば水着の貸出有るらしいし……と考えて、或ることに気づく。
そう、私以外の全員まだ無人島と豪華客船内で特別試験をやることを知らないのである。
つまり、文字通り2週間のバカンスだと思っているのだ。
なるほど、そりゃ水着を新調って発想になるわけだ……無人島のペンションに滞在してビーチで遊ぶ、みたいな感じの説明だったしな。
グラビアアイドルであることを隠してるから流石に上からラッシュガードとかを着て身体を隠すような形になるとは思うが、それにしたってそのラッシュガードの下に着る水着も必要だし。
しかし水着か……よく考えたら私も特別試験中は要らないにしても夏休みに開放されるプールに行く時は必要になるし、どうせなら一緒に買いに行くのも手か……
「そういうことなら私も手伝えると思うわ」
「ありがとう堀北さん! じゃあ明日ケヤキモールで集合ね!」
そして迎えた翌日、私と佐倉は水着を買うためにお店に向かっていた。
「今日はありがとう堀北さん、堀北さんも水着を買うの?」
「ええ、今まで小中学校と友達が少なかったからあまりこうして水着を買いに行くことはなかったのだけど……この学校に来て佐倉さん含め何人も友人ができたから、今年は必要かなと思って」
「そうだったんだ……私も雫としての撮影とかで忙しかったし、こういう性格だからあまりプライベートで海とか行ったことないんだ!仲間、ですね」
「ふふ、今日はよろしくね佐倉さん」
「こちらこそ!」
店内に入ると、夏を間近にしての需要を見込んだのか水着の売り場が大きく設けられていた。
色とりどりの水着が陳列されている店内。
今更ながらある深刻なことに気づいてしまった。
……
電話がかかってきて約束を取り付けた時は寝る直前であまり深く考えていなかったが、冷静に考えると男だった記憶がある私がここに来るの凄く場違い感あるし心臓の鼓動が止まらん……!
「わあ、学校の敷地内のお店とは思えない位沢山ある……堀北さん?大丈夫?」
マスクこそしてないが、夏ということでつばの広い帽子を被りいつものように伊達眼鏡をかけた佐倉が店内で立ち尽くす私を見て心配して声をかけてきた。
「………その、こういったお店に来るのは初めてだから、どこから見ればいいかわからなくて」
その言い訳は
「あっ……そうしたら私が堀北さんの水着選び、手伝ってあげるよ!」
「えっ!?」
「堀北さんには色々助けてもらってるし、その御礼……ポイントも沢山あるから」
「ありがとう佐倉さん。私の方が佐倉さんのお世話になってしまったわね」
ええい、ままよ! もうこうなったら行くところまで行ったれ!
「えへへ……」
こうして私達は夏に向けて水着を購入したのであった。
「うーん、堀北さんならこっちの水着が……いやこっちの方も似合うかな?」
「あの、その、佐倉さん……いくら同性で同級生とは言え、あまり水着姿を見せるのは恥ずかしいのだけど……」
「恥ずかしくなんてないよ!堀北さんなら何を着ても似合うと思うよ」
「そ、そう……かしら?(試着室でとは言え外で水着に着替えてそれ人に見せるの顔から火が出るほど恥ずかしいんだけど!?)」
「───ねえ堀北さん、こっちのデザインなんてどうかな?」
「(あかん佐倉のやつ
「(ようやく終わった……顔どころか全身真っ赤になったわ)ところで佐倉さんはもう水着は選んだのかしら?」
「私はこれの上にこのラッシュガードを組み合わせようかなって(おもむろに水着を取り出しながら)」
「!? そ、そう……私はこういう事は素人だけど、に、似合ってる……と思うわ」
「(堀北さんの
「(佐倉の水着姿を想像してしまった……! 落ち落ち落ち着け私……)」
「(堀北さんって水泳や体育の時もいつも凄く早く来て準備するか先に着替えてきてるし、もしかして……)」
普段は冴えない人がその人の専門分野の話になると真面目モード入ったり活躍したりするの好きです
次回から無人島・船上試験編!