TS憑依堀北さん   作:larana

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すずめの戸締まりをNetflixでようやく見ました。いい映画だった……
ここ最近このSSの事だけ考えていたのでずっと「すずねの戸締まり」で検索かけて出てこなくてアレ?ってなってました。


お待ちかねの水着回です!

「おはよう山内!」

 

「おはよう池!」

 

 

……この2人が異様にテンションが高いことでお気付きの方も居ると思うが、今日はついにDクラスが体育で水泳の授業をする日である。

 

2人ともテンションたっかいなあ……こっちは朝から憂鬱だよ。

 

 

決して2人を含めた男子がこっちの水着姿をジロジロ見てきたり胸の大きさランキングを作ったりすることが原因ではない。問題はその()にあるのである。

 

 

 

───着替えである。

 

 

水泳の授業ということは授業の前に着替える必要が───まあこれは普通の体育の授業でも起きる問題なんだが、ましてや今回は水着───これが私にとっては非常に都合が悪い。

 

ただでさえ私以外の女子が19人居る更衣室に入る時点でもう心臓バクバクに緊張するのに、中に入れば当然着替え中の女子がたくさんいるわけである。

 

 

こんなん元男(前世)の私には耐えられん!無理!死ぬ!

 

 

原作通りであれば櫛田や小野寺など10人を除いて見学するからまだマシだったのだが(それでも体操服に着替えるから、下着姿にはなるのだが)、この世界では「授業態度悪化→来月の支給ポイント減少仮説」を私がぶち上げて櫛田と平田が上手くフォローしてくれたせいで、本当に体調の悪い人や事情の有る人……お腹に古傷のある軽井沢やグラビアアイドルであることを隠している佐倉、Dクラス随一の巨乳なのをコンプレックスにしている長谷部等を除いては参加している為に上記の面々以外はまず参加している。

 

 

というわけで私が昼休み終了前に事前に更衣室の前で待機しておこう、等と着替え一番乗りをしてできる限り緊張を避けようとしていると、なにやら男子の方が騒がしい。

 

「おーい綾小路、女子の胸の大きさで賭けしようぜ!博士がオッズ表計算してくれたんだ」

 

池、お前……正直初期の池のこういう方面での無遠慮さは中々凄い物がある。無敵かこいつ……?

 

呆れ半分で池や外村達を見ていると、綾小路がこちらに向けて当惑したように視線を送ってきているのに気がついた。

 

 

 

───綾小路、男友達(池や外村)女子の友人()の間でどうするか悩んでないか?

 

 

綾小路がそこまで(堀北鈴音)を優先してくれている事を嬉しく思うが、ここで仮に女子である私を優先して断らせるようなことをした場合、「あーっこいつ堀北居るから他の女子の胸とか必要ないんだ!イケメン死ね!」となってしまう可能性がなくもないので、私は「好きにしろ」という意味を込めて手をひらひらと振った。

 

 

……おい綾小路の奴真剣にベットしてないかこれ?何特別試験の時並に思考力使ってんだこんな場面で。

 

 

 

そんなこんなで、水泳の前の時間は慌ただしく過ぎていった。

 

 

 

そしてお昼休みも終わり、ついに水泳の授業が始まった。

更衣室前出待ち作戦が功を奏し、私は無事女子の着替えを見ることなく速攻で着替えてプールに入場することも出来た。

ちなみに着替え方に関しては堀北鈴音の記憶通りにした。女子の水着の構造とか知らんから本人の記憶がないタイプの憑依だったら危ないところだった……

頭脳明晰なクール系美人(水着の着方がわからない)とか言うアニメの登場人物か?みたいな謎のキャラが誕生するところだった。

 

 

 

一足早く来てしまったので他のクラスメイトを待っていると、池や山内、外村に連れられて綾小路が入ってきた。

 

 

───感動~! 綾小路さん筋肉すごいのね~! とでも言い出したくなるくらい引き締まった肉体をした綾小路清隆がそこにはいた。これがホワイトルーム産の筋肉……

 

 

ぼーっと綾小路を見つめていると、あちらから声をかけてきた。

 

「……オレの身体になにか気になるところでもあったのか?」

 

「いえ、その……筋肉の付き方が凄いわね、と思って」

 

「自慢じゃないが運動部は未経験だぞ、書道とピアノを習っていたくらいだ」

 

それもっと後の台詞だろ。

 

「それだけでこんなに発達しないと思うのだけど……私は小中と武道を色々やってたけど、ここまでは、とても……」

 

「おはよっ、堀北さん!」

 

と、ついさっきまで向こうで池達に愛想を振りまいていた櫛田がこっちに来た。

 

 

───デカい。

 

 

池や山内のことを馬鹿にできないアホみたいな感想が思わず浮かぶくらいにはでっかい物をお持ちの櫛田がそこにはいた。

これで作中1番じゃないって改めて考えると凄いな……

 

 

いかんいかん、気を取り直して……と。

 

 

「おはよう、尤も午後一の授業だけど。 櫛田さんは休まず参加したのね、水泳」

 

「堀北さんが初日に授業態度の話をしてたから……それに私、中学校に入るまで水泳が苦手だったの。今は克服したけど…だから夏になる前に練習もしておきたくて」

 

「うむ、櫛田、その意気は素晴らしいぞ!さあ全員集合しろ」

 

そしてマッチョの先生に集められた私達は、男女に分かれて50m自由形で競争する事になった。

賞金は5000ポイントだが、男子の目線は須藤など一部を除いて別の物に注がれていた。

 

 

当然の如く全力で泳ぐ際に色々と揺れたり動いたりするであろう女子の身体である。スケベ。

 

 

「……こうも露骨だと怒る気にもなれないわね」

 

ここまでオープンに猥談したり巨乳ランキングで賭けしたりは流石にマナーやモラル的にダメだろとは思うが、同時に男子高校生だな〜……と感じて羨ましくなる自分もいる。

 

こういうアホなこと、学生の頃しか出来ないもんなあ……

 

そうしてボーっと眺めていると、女子から5人ずつに分かれてレースをスタートすると先生から指示があった。

 

原作と違って女子の参加人数が増えてるんで、レースが3回に分かれている。

しかも女子の方も決勝をやるようだ。

 

「堀北は第1レースか。自信はあるのか?」

 

「水泳自体は苦手では無いけど、優勝は厳しいわね……なにせ水泳部の小野寺さんがこのクラスには居るし」

 

「そうか……ならオレは他の男子と一緒に見学させてもらうとするか」

 

「……何か変な妄想とかしたらただじゃおかないわよ」

 

「変な妄想?どんな妄想だ?教えてくれないか堀北」

 

「……」

 

いい加減にしろよ、という意味合いも込めてじいっと綾小路を見つめた後、第1レースに参加する為に飛び込み台に並ぶ。

 

よく考えたらこの身体になってから行う始めての水泳だ。さっき慣らしに1周したとは言え、無理して溺れたら洒落にならないから、ある程度力を抜くべきか?

 

……いや、ここは全力で行ってみよう。

 

 

───合図で一斉に飛び込み、勢いよく泳ぎ始める。

そして結果は……

 

「第1レースの5人の中なら1位、ね」

 

まあ、こうなるだろうという事は予想していたが、なんだかんだで少し嬉しい。

 

 

プールサイドに上がると、綾小路がこちらに話しかけてきた。

 

「1位おめでとう、と言った方が良いのか?」

 

「どうも。でも決勝では勝てる気がしないけれどね」

 

「小野寺が居るから、か……たしかに練習でも小野寺のフォームは見事だったからな。あれに勝つのは難しいだろう」

 

「まあ私も部活で本格的に水泳をやっている人に勝てるとは思ってないわよ……」

 

「この学校に来て直ぐ水泳部に入った小野寺の事だ、中学校以前から水泳をやってたんだろうしな。経験と技術に差が出るのは当然だ」

 

「綾小路君はどうなの?男子のレース、勝てそう?」

 

「オレは……書道とピアノくらいしか習ったことがないし、それに前にも話したように事なかれ主義だからな。まあ適当に泳ぐさ」

 

「そう……それは残念ね。その身体つきなら、早いタイムが出るかと思ったのだけど」

 

「オレの身体に興味があるのか?」

 

「……へ、変な意味じゃないわよ? ただ相当の運動量をこなしてないとそういう身体つきにはならなさそうだと思ったから、その実力が少し見てみたいと思ったのよ」

 

「実力……か。なあ堀北、ここでオレが仮にごく平凡なタイムだったとしたら変だと思うか?」

 

「……変とまでは言わないけど、何故かしら?」

 

「……わかった。それじゃあ行ってくる」

 

 

そういうと綾小路はレースに参加し……男子の第1レースを1位で難なく通過した。

 

俄にざわつくプールサイド。泳ぎ終わって水を振り払う仕草をする綾小路に女子がちらちらと目線を送りながら噂話をしている。

 

「えっウソ、綾小路君めちゃくちゃ速くない?」

 

「もしかして実は水泳得意だったり?」

 

「よく見たら顔もイケメンだし良いかも……」

 

 

流石に原作でもイケメンランキングで学年の上位、Dクラスの男子だと2番目に上に来るだけはある。

 

しかし全力ではなさそうとは言えここまで速いタイムで泳ぐとは思ってなかった。何か心境の変化でもあったのか?

 

 

 

そして女子の決勝戦───当然のように小野寺さんが優勝して私は2着──の後、男子の決勝戦が始まった。

 

綾小路、高円寺、須藤、平田とDクラスの男子上位陣揃い踏みだ。

 

結果は───

 

 

 

 

「お疲れ様、綾小路君。2着とは言え、他の3人を突き放してのゴールよ?誇って良いんじゃないかしら」

 

 

なんと高円寺の少し後ろにつける形、3位以下を突き放して2位である。

事なかれ主義どこいった。

 

「堀北が『その身体つきならある程度良いタイムが出た方が自然だ』って言ったんじゃないか」

 

 

あっ。

 

 

 

 

───自分のやらかしに気づいた後、授業も終わったので着替えに更衣室に入る。

 

 

「ねー、今日の平田くんマジかっこよかった!」

 

「決勝戦は惜しかったけどね~」

 

「高円寺と綾小路速すぎでしょ、水泳未経験であの速さならちょっと練習したら全国大会優勝も夢じゃない」

 

「そうなの小野寺さん!? 高円寺君はちょっとアレだけど綾小路君意外とイケメンだし鍛えてる感じで私的には有りかも」

 

 

 

思わずドアを閉めた。

 

 

 

しまった、帰りにも着替える必要があるのを忘れてた……

 

 

 

私は出来る限り平静を保ちながらドアをこっそり開け、急いで着替えた。何も見てない。

 

 

 

 

 

その後寮に戻ろうと歩いていると、目の前に綾小路が現れた。

 

 

「綾小路君?今から寮に戻るところなのだけれど、何の───」

 

「堀北にこれを送っておかないとと思ってな」

 

「───何を? これは……」

 

突然綾小路がポイントを送金してきた。何千ポイントか有る。

 

「池達が賭けをしていただろ?あの時オレも賭けていたんだ」

 

「……本命の長谷部さんが見学で無効になったものと思っていたんだけれど」

 

「女子の欠席者が多くなかったからな。オレは欠席するであろう長谷部と佐倉は避けて別に賭けて一人勝ちしたんだ」

 

え、そこまで考えてたの?

 

「あとそこに更に男子の順位予想……こっちは誰が一番速いかというのを賭けるよう提案したんだが。須藤に賭ける奴が多かったから、そこでももう少し稼げたんだ」

 

倍プッシュ!?

 

「初日に須藤に奢った分を半分堀北に払ってもらっただろ?これはそのお礼だ」

 

「須藤君にはあの後返してもらったのだけども……」

 

「いや、あの時須藤と2年生の喧嘩を止めることが出来たのは堀北のおかげだ。受け取ってくれ」

 

「ありがとう、綾小路君」

 

思わぬサプライズを受けながら、私は上機嫌で自室に帰った。

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