転生ライダーinキヴォトス   作:KIARU

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カンナ視点回です。一応本編(?)なので番外編にはしません。
気づいたら過去最長...!
あと誤字報告初めて貰ったんですけどめっちゃ便利ですねアレ!
読者の皆さんのご厚意の上で成り立つ便利...!感謝...!


狂犬と青

 生活安全局で市民の悩みを聞きながら程々に生活するはずだったのが、どうしてこうなったのやら...

 そう考えるのも一度や2度ではなかった。

 

 元々生活安全局を希望していた私は、顔が怖くて市民に威圧感を与えてしまう、という理由で公安局に配属された。生まれ持った顔が理由でなりたいものになれなかったのはショックだった。

 

 反面、公安局での私はそこそこ優秀だったらしく、顔も相まって一目置かれるようになり、それなりの立場を得た。まあその顔のせいで友人らしい友人も出来なかったのだが。

 

 そんな時だった。竜に乗った鎧の男が賞金のかかった指名手配犯を換金しに来た、という連絡が来たのは。

 すぐにその場に行くと、なるほど確かに竜がいる。それの横には青の蛍光色が混じった、何処か虫の甲殻のような鎧を着た男が立っている。男の手にはロープが握られており、その先には確かに見覚えのある不良が縛られていた。

 私を呼んだらしきヴァルキューレの生徒は、竜に怯えており、今にも逃げ出したそうだ。かくいう私も、この竜の威圧感には少々耐え難い。

 かと言って、指名手配犯を捕まえてきてくれたのにこのままというわけにも当然いかない。震えそうになる体を意思で押さえつけ口を開く。

 

「お待たせしました。ヴァルキューレ警察学校、公安局の尾刃カンナです。賞金のかかった指名手配犯を引き渡したい、との事でしたが、そちらがそうでしょうか?」

 

 目線をロープで引きずられてる方に向け確認を取る。これで竜の方とか言われたらこちらが困ってしまう。引き取ってどうすればいいんだあんなの。

 

「そうだ。確かに指名手配されてた人物のはずだ。確認してくれ」

 

 引き渡されたロープでぐるぐる巻きにされた芋虫状態の不良を手元に持ってる端末でヴァルキューレのデータベースと照合する。

 

「ええ、現在賞金がかかってる指名手配犯で間違いありません。こちらでお引き取りします。ご協力ありがとうございました。賞金の振込はどちらに?」

 

「ああ、それだったらこの口座に頼む。また来るだろうから、その時は頼むよ」

 

 そうしてその男は竜の背に乗り颯爽と飛び去っていった。身にかかる圧がなくなり呼吸が楽になる。できれば2度と来ないでほしい。

 そんな思いと裏腹に、その男は何度もその手に賞金首を引っ提げやって来た。毎回他の生徒だと竜が怖くて対応できないので私が呼び出される。私も怖くないわけじゃないのだが...。

 

 その男が賞金稼ぎとして有名になり、【青のドラゴンライダー】と呼ばれるようになった時だっただろうか。私はふと怖さを忘れて気になったことを聞くために口を開いた。

 

「あなたは、その竜が怖くないのですか?」

 

「レウスのことか?怖いわけないだろ。相棒なんだから。怖いと思うのはきっと相手のことを何も知らないからだ。俺はレウスが助けを呼べば飛んできてくれることを知ってるし、その牙も爪も理由なく振るわないことも知っている。それこそ、左目の傷はまだ生まれて間もない時に俺を助けようとしてできた傷なんだ。そんなレウスの事を、信頼こそしても、怖がることなんてないよ。何より、俺とレウスは深い絆で結ばれてるからな!」

 

 唖然とした。これだけの力を持った竜と信頼を交わし、深い絆で結ばれていると断言できると言う。一体どれだけの時間をかければそれだけの信頼関係を築けるのだろうか。私には想像がつかなかった。

 

「...私も、その竜の事をよく知れば、怖く無くなるでしょうか?」

 

 気づけばそう口に出していた。独り言のようなものだった。顔のせいで遠ざけられる自分、その振りまく圧で周りを怖がらせる竜。考えてみれば近しい存在に一歩歩み出してみる勇気が湧いた。

 

「ああ、きっと怖く無くなるさ。カッコ良くて頼りになる、最高の飛竜だからな」

 

 そう言って男はレウスと呼ばれた竜の頭を撫でると、それに呼応するようにレウスは自分の頭を男の胸に押し付ける。

 それを見ているとまるで飼い主と忠犬みたいでなんだか微笑ましくて笑みが溢れてしまった。...そしてこちらを見て固まる男。

 

「...?どうかしましたか?」

 

「いや、カンナさん、笑顔素敵だなって思って」

 

「...はい?」

 

 何を言い出すかと思えばこの男は本当に何を言ってるんだ?顔が怖いからと言う理由で公安局に配属された私の笑顔が素敵だと言う。ヴァルキューレの懐まで来てやる事が公安局の生徒のナンパ??何を考えてるんだコイツは??

 こんがらがる頭を抑えつつも内心若干の嬉しさがある事に困惑している間に奴はさらに追い討ちをかけてくる。

 

「気づいてなかったか?笑ってる間大人の色気っていうか、惹き込まれそうな雰囲気っていうか...そういうの出てたぞ。多分あれは天性のものだな。自然に笑うだけで天下取れるぞ。...ごめん盛ったかも。でも笑顔が魅力的ってのは本当だな」

 

 自分の笑顔に対する情報で殴られ少し眩暈がする。コイツはいつもこんな感じなのか?

 少し頬が赤くなるのを感じながらなんとか頭を整理し口を開く。

 

「...あなたはこんなことをいつも周りの女性に言ってるのですか?」

 

「ん?えーっと...ホシノに可愛いって言ったし、ミカには羽綺麗だねって言ったよな...ユメ先輩は普通に(先輩として)好きですって言った気がする...母親に女の子を褒めるのに躊躇するなって言われて育ったからな...まあ言ってるな」

 

「そうですか...精々背中を刺されないよう気をつけてください」

 

「??まあ鎧あるし刺されても大丈夫だろ」

 

「はぁ...」

 

 将来この男が刺されても私は知らないフリを決めることにした。

 

 そして少し今の立場の力を使って調べたらすぐに分かったのだが、男の正体はアビドス高等学校 一年、龍塚 レクトというらしい。なぜ分かったかというとレクト本人がアビドス校舎を守るために、ヘルメット団撃退に最初に使った弓と青のドラゴンライダーが使ってる弓が同じという目撃情報があったためだ。その情報を元に調査を行ってみたらやはり、というわけだ。

 

 アビドスには約9億の借金があるらしく、彼が賞金稼ぎに身を粉にする理由もわかる。

 分かったところで、私にできるのは彼が連れてきた指名手配犯を賞金に換えるだけなのだが。

 

 そんな作業も気付けば会話が発生するようになり、そこそこの頻度で来る彼との会話は楽しいものだった。

 

 ゲームショップに行ったらそこは実際にはない店だったとか。先週は水族館に行っただとか。その水族館で怪奇現象にあっただとか。偶にはこっちの愚痴も聞いてもらったり。

 本当に効果のあるお守りというのも貰った。実際着けていると現場で怪我した時傷の治りが早かった。いや早すぎると言って良い。軽い傷なら数分で塞がった。なんなら相打ち覚悟で敵の攻撃を受けてから急所に撃ち込んで鎮圧した時は、一瞬で傷がほとんど塞がった。助かってるので良しとしておく。

 

 あの青のドラゴンライダーの相手をしてるなんて...という哀れみから接触してきた子もいた。そこからできた友もいた。

 

 龍塚レクトという劇物(イレギュラー)は、私にとって、確実に良い作用として働いていた。

 

 そんな折だった。レクトは突然姿を消した。何日経っても指名手配犯どころか顔すら見せにこない。こんなことは初めてだった。

 

 アビドス生だという事を知っていた私は、仕事を休み、急遽アビドスに向かった。真相を知るために。

 

 そこで見たのは、同じアビドス生であろう少女が、哀しみを孕んだ目でレウスを撫でていたところだった。そしてそのレウスの傍らにいるはずのレクトはどこにもいない。

 

 真実を理解するのにそう時間はかからなかった。納得をするのを頭が拒んだだけで。

 なぜ?どうして?あれだけの力がありながら?疑問はループし消えることはない。

 結局その疑問の答えが出ることは無く、友人の形見のお守りを握りしめ、雑念を晴らすように職務に明け暮れ...2年が過ぎた。

 

 気づけば局長という立場になり、やる仕事も増えてきた。【狂犬】などという異名をつけられたのは、どうせ治るからとなりふり構わず現場で暴れ回ったからだろうか。まあそれでスッキリなどはしなかったのだが。

 

 最近は連邦生徒会長の失踪などという噂が出回り、不良やスケバンなどと言った生徒の暴走が急増している。おかげで2年前誰かさんが指名手配犯を頻繁に連れてきた時よりも仕事が多い。

 

 そんな時だった。ヴァルキューレに一本の通報が入った。なんでも、大量の矯正局を脱走した生徒を確保しているから連行してほしい、という。それが本当なら相当数の人員を動かさなければいけない。

 思案した私は指示を出し急いで現場へ向かった。

 

 死屍累々。実際に死んでないだけで、そんな言葉が似合う現場だった。

 広範囲に抉れた地面。ひしゃげた戦車。墜落したヘリ。場に似つかわしくない立ち込める冷気。そして戦意喪失し倒れている矯正局から脱走したであろうボロボロの生徒達。

 

 そして最奥にいるのは、黒い棘の悪魔と、()()()()()

 

 まさかとは思ったが、違うだろう。そもそも鎧のデザインが違うし、横に立ってる相棒も違う。

 

 私と同じくこの場にやってきた、先生と呼ばれている背の高い大人の女性も気になったが、あちらも用事があるようだし、何より私は仕事をこなさなければ。

 

「こんにちは。ヴァルキューレ警察学校公安局局長、尾刃カンナです。貴方が通報者ですね?同時にこの惨事を引き起こした人物でもある、と...」

 

 ゆっくり歩み寄り、挨拶する。そうしたつもりだったのだが、隣の黒い悪魔の圧が尋常じゃない。それでも知らないだけだと思い平静を装う。

 

「ハイ、ソウデス...」

 

「...?そこまで緊張しなくても大丈夫ですよ。暴動を鎮圧してくれたのは確かですから、感謝こそすれども、処罰することはしません。まあ、このえぐれた地面や漂う冷気に思うことはありますが...」

 

 上擦った声で返す男に疑問を覚えながらも思った言葉を吐き出す。

 

「ソウデスカ。ソレハヨカッタデス」

 

 ...。ところで察するに彼は傭兵【青星】だ。傭兵たる彼が何故こんなところにいるのだろうか?そう思い疑問をぶつけてみた。すると...

 

「ああ!それは先生に会うために...」

 

 2年前から聞きたかった声が耳に入った。

 

「青のドラゴンライダー?」

 

「あっやべ」

 

 

 私は無言で全力の腹パンをお見舞いした。

 

 2年ぶりの友人は全く変わっておらず、私が怒っている事を察したのか終始下手に出ていた。どうして勝手にいなくなったのか。戻ってきたのなら何故顔を出さないのか。レウスとはどうしたのか。言いたいことは沢山あった。

 

「全く...それで、先生に話があるのでしょう?あちらも用事が終わったようですので行ってきてみては?」

「そうします...まだお腹がいたい...」

「それは甘んじて受け入れてください」

 

 だが、それでもお腹をさすりながら立ち去る情け無い背中にかける言葉は

 

「おかえりなさい...レクト」

 

 聞こえてるのか聞こえてないのか、背を向け先生の方に歩みを進めるレクトが立ち止まる事はなかった。

 

 

 

 

番外編としてホシノのお昼寝中の夢としてモンスターハンターストーリーズ世界に飛ばそうと思っています。その時の立場決めアンケートです。ちなみに初代。場合によってはちょろっと本編に繋げます。

  • 主人公に憑依
  • 主人公(レクト)の幼馴染(ライダー)
  • レウスに憑依させようぜ(主人公はレクト)
  • そんなことより本編書け
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