アビドスの後輩達と風紀委員共をぶっ飛ばし、敵の本陣とも言える場所に辿り着いた。既に空は晴れ、暴風も止まっている。イアンは健在のままだけど。
「ああ、火宮さん達も来てたのか。久しぶり、イオリも元気してた?」
「は?誰だお前。男子生徒に知り合いはいないぞ」
「“久しぶり、チナツ”」
「先生、こんな形でお目にかかるとは...いえ、待ってください。先生と一緒にいらっしゃるということはそちらの男子生徒はもしかして...」
「察しがいいね火宮さん。俺が【青星】だよ」
「はぁ!?お前が【青星】!?嘘だろ...」
「そしてアビドス高等学校3年、生徒会書記 龍塚レクトでもある。一応知ってるけど、そっちの所属も教えてもらえる?」
「それは...」
『それは私から答えさせていただきます』
「アコちゃん...?」「アコ行政官...?」
『今の状況について、少し説明させて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか?』
「風紀委員会のナンバー2か...まあ、この状況を説明してくれるっていうんなら是非もない。納得がいく説明なら俺らがそっちを潰す理由もなくなる」
『まるで私達を相手取って勝つのが当然のような言い方ですね...』
「ああ、戦車でもそっちの風紀委員長でもなんでも連れてこい。全員叩きのめしてやる」
『...ッ!』
『レクト先輩!?』
「ああ、勘違いするなよ?納得のいく説明ってのを貰えれば話は別だ。いくらゲヘナとは言え、他の学校の敷地内での無断の戦闘行為。シャーレやヴァルキューレでもなければ許されてない行為をどうして行ったのか。その納得のいく理由を貰えれば潰したりしねえよ」
『...すごい自信家のようですが、私達としては校則違反をした問題児たちを逮捕するために来たに過ぎないのです。あまり望ましくない出来事もありましたが...やむを得なかったと言うことでご理解いただけると幸いです』
望ましくない出来事というのは迫撃砲の着弾地点に明らかに俺たちも含まれていたことだろう。
『風紀委員会としての活動に、ご協力をお願いできませんか?』
「断る」
『あら...?』
「他の学校の敷地内で無断での戦闘行為...自治権の観点からして、明確な違反だ。それに、便利屋は俺らに矢を放った。だからまず俺らで落とし前をつけさせる。その後は煮るなり焼くなり好きにすればいいさ」
『...レクト先輩の意見に賛成です。便利屋の処遇は私達が決めます!』
「「「...」」」
『なるほど。そちらの方々も、同じ考えのようですね?』
現場にいるアビドスメンバーの覚悟の決まった顔を見て、アコと呼ばれたゲヘナの行政官は溜め息をつく。
『これだけの兵力をモノともせず、うちの風紀委員長相手どっても勝つと言う、その傲慢とも言えるその自信に満ちているのはやはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?...ねぇ?先生?』
「“多分、私がいなくても同じ結果になっていたとは思うけどね”」
やっぱ先生、指揮する側なだけあって分かってるか。確かにここに来るまでの一個中隊は皆で倒したが、俺はその大半をイアンとのペアで倒したし、先生の指揮下にも入っていない。
例えアビドスの3人(4人)と先生がいなくても俺1人で突破できる戦力でしかなかった。
『...?まあ構いませんが。シャーレの先生。あなたも対策委員会と同じご意見ですか?』
「“そうだね。アルはちょっと変な子だけど、悪い子じゃないから”」
「でもあいつら大恩ある柴関ラーメン爆破したぞ」
「そうよ!悪人に決まってるわ!」
「多分だけど...あれは間違って爆破させちゃって、そのまま言い出せずに見栄を張っちゃったんだと思う」
「はぁ!?」
「なんじゃそりゃ」
「私たちを狙ってたのなら、誰もいないタイミングで爆破する理由がない。一度やったら警戒されるあんな大掛かりな手段を、あの状況で使う意味もないはず」
シロコが銀行強盗以外で知能を回した...?
「確かにそれはそうだな」
「じゃあ罠を準備してる途中で間違って爆破させちゃったってこと?どんだけバカなのよあいつら...」
「でも柴関ラーメンぶっ壊したのは事実だしそもそも柴関ラーメンに爆弾の罠しかけた時点で有罪だろ」
「ん、それはそう」
「そうですね、彼女たちの背後にいる正体も分かっていませんし、先にお話しを聞かせてもらいませんと!」
と、その時。突如銃声が鳴り響き残り少ない風紀委員会とイオリが倒れた。
「ちょっと待ってもらえない?」
『...カヨコさん』
「おや、力はもう戻ったのか。俺が目の敵にしていることをわかっててどうしてここに?」
「カヨコっちが戦力分析と推理をしてつくならこっちだって言ってねー、風紀委員とアビドスどっちからも追われるくらいならアビドスに味方しよーって」
「はっ!残念だったわね!あんたらの助けが必要になる程敵は残っちゃいないわよ!」
「いや、私達は情報を渡しに来た」
『情報?』
アヤネちゃんが通信機越しに首を傾げる。
「そう。...最初は風紀委員会がどうしてここまで現れたのか理解できなかった。風紀委員会が他校の自治区まで追ってくる理由。しかも私達を狙って?こんな非効率的な運用、風紀委員長のやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない。...そしてこの大規模な兵力。私たち以外との集団を相手するのを想定している。とはいえ、アビドスの全校生徒は5人...いや実際は6人だったけど。とにかく、ごく少数を相手するには多すぎる...なら、結論は1つ」
「アコ、あんたの狙いは最初からシャーレの先生だったんだ」
ふーん。最初感じた違和感はこれかあ。
「“私?”」
「!?」
「な、なんですって!?」
「先生を、ですか...!?」
名探偵じゃんカヨコとやら。虫のいい話をしに来ただけと言うわけでもなさそうだ。
『ふふっ。なるほど。便利屋にカヨコさんがいることを忘れていました。のんきに雑談なんてしている場合じゃありませんでしたね』
『まあ、構いません』
アコが何やら1人で納得して指を鳴らすと、遠くから微かではあるが、多くの足音が聞こえてきた。しかも四方から。
『12時の方向、それから6時の方向...3時、9時...風紀委員会のさらなる兵力が四方から集結しています!』
「...これがお前らの答えか?」
『少々やり過ぎかと思いましたが、シャーレには【青星】も所属している、なんて情報もありましたし、大は小を兼ねると言いますからね⭐︎』
「アコ行政官、目の前にいる男子生徒が【青星】です」
『...え?』
最初の会話聞いてなかったんかコイツ。
『...まあいいでしょう。元々想定内ですしね。それにしても、さすがカヨコさんですね。先程のお話は正解です。ですが、私としては意図してこの状況を作り出したわけではありません。それだけは信じていただきたいのですが...どうやら難しそうですね。仕方ありません。事の次第をお話ししましょう』
曰く、ティーパーティー...トリニティの生徒会がシャーレの報告書を手にしているという情報が上がってきたと。そしてシャーレについて無知だったアコ行政官は火宮さんの報告書を読み、その怪しさ満点の存在に危機感を抱いた。なのでトリニティとの大事な条約が結ばれるまで、風紀委員会の庇護下に置いてしまおう、と。ついでに居合わせた不良性とも始末した上で...そう言う魂胆らしい。
「ん、むしろ状況がわかりやすくなっていいかも」
「それで私たちが「はいそうですか」って先生を渡すと思った?」
『ふふっ。やっぱりこういう展開になりますか。では仕方ありませんね、龍塚レクトさん』
「ん?」
『ゲヘナの風紀委員会は、必要とあれば戦力の行使をすることもあります。私たちは一度その判断をすれば、一切の遠慮をしません』
「...古より生きる龍を知ってるか?」
『...はい?』
「彼らは古来より我々人間よりもより自然に近く、そして自然そのものだ」
四方から集結しつつある風紀委員達。晴天だった空は再び暗雲に塞がれる。
「あるものは氷を操り、あるものは炎帝と呼ばれ、あるものは墓標で瘴気を撒き散らした」
俺の後ろに控えていたイアンが頭上に飛び、暴風が吹き荒れる。
「彼らは古龍。時に天災と呼ばれる、生態系の頂に位置する龍達だ」
「一気に終わらせてやる」
遂に集結した風紀委員達を一掃するべく、イアンに飛び乗る。アビドスと便利屋メンバーの位置を確認しいざ絆技を発動しようとした瞬間、「待って」の声がかかった。この場にいなかった第三者の声だ。
「雲が急に出てきたから急いで来てみたら...アコ、これはどういう状況?」
『委員長!?ど、どうしてここに!?』
「アビドスに向かう大規模な風紀委員の戦力を確認したから来ただけ。アビドスには手を出しちゃいけないって言ったはずだけど?アコ」
『い、いえ!でもほら!そこに便利屋68の面々が!』
「便利屋?便利屋が何処にいるの?」
あ、逃げやがった。あいつら逃げ足速いな。
『!?...いつの間に』
「アコ、言い訳はいい。大体理由は察した。ゲヘナにとっての不確定要素の確認及び排除。そう言う政治的理由の一環ってところね」
『...』
「...詳しい話は帰ってから。通話を切って校舎で謹慎してなさい、アコ」
『...はい』
「それで、龍塚レクト。できるのならまずこの暴風を止めてもらえる?話をするにもこの環境は少し話しづらいわ」
「了解」
俺はイアンに言って暴風を止めてもらうよう頼んだ。程なくして元の天気に戻り、落ち着いて話をする場が出来上がった。
「ん、残念。レクト先輩が本気を出す瞬間が見れるかと思ったのに」
「勘弁して欲しい...そういった最悪の事態を避けるために急いでここに来たのだから」
『ゲヘナの風紀委員長にここまで警戒されるレクト先輩って一体...』
「それにしても...龍塚レクト。戻ってきていたのね。2年間いなかったけど、貴方ほどの人物を忘れるはずが無い。そう...だからシャーレが」
「俺風紀委員長と面識あったっけ?」
「...覚えてないの?」
龍塚レクトとしてはない気がする。
「
「...そう。そういうこと」
2人だけでわかる会話をしていると背後から足音が近づいてくる。
「うへー、なんだか大変なことになってんじゃん」
「お、ホシノ」
『「「「ホシノ先輩!?」」」』
「ごめんごめん、ちょっと昼寝しててね。遅刻しちゃった。でもレクトがいたから大丈夫だったでしょ?」
「いや、俺戦闘に関してはほぼ別で動いてたから、やっぱいた方がいいぞお前」
「そうよ!前衛がいなくて大変だったんだから!それなのにシロコ先輩はガンガン前いくし!」
「うひゃー。それは大変だったねー。ごめんよー。次からはママも行くからね」
「揶揄うなー!」
後輩と戯れるホシノを見て委員長が随分驚いている。
「...1年生の時とは随分変わった。人違いじゃないかと思うくらいに」
「ん?私の事知ってるの?」
「情報部にいた頃、各自治区の要注意生徒達をある程度把握してたから...特に小鳥遊ホシノ、あなたの事は龍塚レクトの次に印象に残っていた」
「とにかく、私も戦うためにここに来たわけじゃないから」
「イオリ、チナツ。撤収準備。帰るよ」
「えっ!?」
『帰るんですか!?』
イオリとアヤネちゃんが驚いているが、戦闘に発展させたくない委員長としては、帰る以外選択肢がないだろう。
「それと」
まだ何かあるのかと思えば委員長はスッと頭を下げた。
「えっ?」
「事前通達なしでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員長としてアビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する」
「今後、ゲヘナの風紀委員会が無断でここに侵入することはないと約束する。どうか許してほしい」
まあトップに頭下げられちゃったらこっちもそれなりの対応取るしかないし...矛を収めてもらった側だしな。許すしかあるまい。
その後イオリが何やら騒いで委員長にひと睨みされ黙った後、風紀委員会の全勢力は隊列を成して撤退していった。委員長は撤退する前何やら先生と話してたようだが...。
『あれほどの大部隊が一瞬でアビドス郊外へと去っていきました...風紀委員長、すごい方ですね...』
「ん、せっかくレクト先輩の必殺技が見れるチャンスだったのに」
「シロコ先輩、どこかの戦闘民族みたいだね...」
「うへ〜、おじさんは結局状況が分かってないんだけど。なにがあったの?」
「それは俺も聞きたいな。ホシノ。
「...うん。
「「「「???」」」」
「ホシノの質問への返答だが、俺たちもよくわかってない。風紀委員長が何故来たのか、何故風紀委員が俺たちの自治区に堂々と来たのか。シャーレの先生が目的だって話だが、どうもそれだけじゃピースが噛み合わない気がする」
『...そうですね。でも、今日は色んな事がありましたし、また明日教室に集まって状況を整理しませんか?』
「賛成〜。早くシャワー浴びたーい」
「そうですね。今日はたくさん動きましたし、まずは疲れを取るのも大事です」
「じゃあまた明日」
「またね〜みんな〜」
俺はクシャに乗り、皆はその場で現地解散。明日また教室でと約束しその場を去った。
「ねぇ委員長、本当にあの龍塚レクトはそんなに警戒する人物なのか?確かにうちの部隊を全滅させたけど、それでも委員長がいれば...」
「無理よ」
「「え...」」
「私が初めて彼に会った時、彼は赤い竜を引き連れていた。その手に縄で繋がれた指名手配犯を引き摺ってね。赤い竜なんて見たことなかったから、つい立ち止まって凝視してしまったの。そしたら目があったの、その右目と」
「
「「!?」」
「私はその時情報部にいたから、急いでその正体を調べたの。そしたらそれが...」
「...龍塚レクト」
「彼はそんな化け物とも言える生物を複数従えている。きっと彼を倒すなら...」
キヴォトス全土を挙げての総力戦になるでしょうね。
レクト君が一応生徒会なので代表として賢く見える(?)会でした
本来はアヤネちゃんが矢面に立つんですけどね、先輩なので...
実際レクト君が祈りの壺とかも使って本気を出したら生徒では勝つの厳しい...絆技大体地形破壊するし...
各学園の特記戦力集めても絆技ドン!でみんな大ダメージくらう気はしてる(?)
必中術式的な何か
サクラは本編に出しますか?出した場合ホシノはライダー化します。
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