「じゃあレウス。俺たちは...こいつの相手だ」
レウスと横に並び立ち、眼前の標的を睨みつける。よくよく考えてみれば、ユメ先輩を救出した時点で俺の目標は達成したも同然である。それならばレウスに乗ってサクッとこの場を撤退するのも手なのだが...ユメ先輩をボロボロにした奴を放って逃げるのも癪である。なので潰す。
銃はいつも携帯しておくものだとホシノに言われて弓を持ち歩くようにしていたが、正解だったようだ。おかげで今回のような不測の事態でも戦える。黒龍弓は賞金稼ぎの時に使っているため、普段使いの『絶衝弓【虎翼】』を持ってきている。モンスターハンターストーリーズ2上で、無属性最強の攻撃力を持つ弓だ。
「レウス、別れて攻撃するぞ」
レウスにそう告げると俺たちは二手に別れて攻撃を始める。レウスは火球と爪で、俺は弓で。2方向から繰り出される戦車級の攻撃、しかしどちらも機動力は機械蛇の攻撃力を避けるのに十分。ビームはギリギリだがしっかり躱せる。偶に来るミサイルも直撃したら危なさそうだが掠るだけで問題なし。口から吐かれる通常サイズのエネルギー弾など目で見てから余裕で回避できる。レウスに至っては全て余裕で回避してる。だがどうにも嫌な予感が拭えない。
そうしてかなりのダメージを与えた頃、機械蛇がいきなり地面に潜った。撤退か?
「いや、違う...これは....!」
次の瞬間、目の前に起こったのは砂の津波。いくらライダーの体が丈夫といえど、砂に生き埋めにされたら無事では済まない。しかし逃げ場はない。されど不安はなく、足に力を込め、高く跳んだ。
感じたのは、浮遊感。硬く、そして温かい、頼りになる相棒の背中。
「やっぱり来てくれると思ったぜ、レウス!」
画面の向こうからとはいえ、ライダーとオトモンの絆はこの世界の誰よりも知っている。それにこの世界に来てからも支えてくれた相棒は、決して期待を裏切らなかった。
「このまま行けるか!?相棒!」
もう一度の絆技で完全に決めようと、空を舞うレウスに意を問うと、小さな唸りで返答し空高く舞い上がらんと翼をはためかせる。
いざ天上へと行こうとした刹那、目の前に飛来する
ーーーマズイ。
そう思ったのも束の間、凄まじい衝撃が体を襲い、空中でレウスと離れ離れになってしまった。
なんとか激痛が走る体を空中で持ち直し、意識を標的に向ける。そこには既に極大の
俺はこちらに向かってくるレウスを手で制して叫ぶ。
「レウス!ユメ先輩とホシノの事頼んだ!」
レウスは尚もこちらに来ようとするが、その背中は最後に俺を乗せることは叶わず、俺を光の奔流が包み込んだ。
Side ホシノ
「はぁ...少し言い過ぎましたかね。いやでも砂嵐の発生源を探しにあんな場所にまで行くなんて自殺行為としか言いようがありません。大体ユメ先輩はいつも...」
1人でぶつぶつと愚痴を吐きながら廊下を歩いていると、謎の物体が猛スピードで校舎に向かって近づいて来るのが窓越しに目に入った。
「何ですかアレ...とりあえず確認しますか」
校舎の外に出て見るとそこに居たのはボロボロのユメ先輩を背中に乗せた、目の潰れた化け物だった。レクトのレウスと同格、もしくはそれ以上の強さを感じ取ることができる。
「お前ッ...!ユメ先輩をどうした!お前がやったのか!?」
化け物は銃口を向けられてるのにも構わずユメ先輩を降ろすと、光となって消えていった。
「はぁ?いや、今はユメ先輩が先!」
「ユメ先輩!大丈夫ですか!」
降ろされたユメに駆け寄ったホシノは不審な点に気付く。確かに服装はボロボロで血だらけだが、
「とりあえずユメ先輩を病院に連れて行かないと...」
救急車を手配しユメ先輩を病院に送ってもらう。もうすっかり夕方だ。
「こんな時にレクトは一体どこに...そういえばユメ先輩の居場所を気にしていましたね。帰ってきたと一報入れておきましょうか」
最近ではすっかり自分の中で当たり前の存在になっている1人に電話をかける。...出ない。仕方がないのでモモトークでメッセージを送っておく。
そんな時だった。いつもアイツを背に乗せてるレウスが一体だけでやってきたのは。
「どうしたんですか?レクトはどこいったんです?」
レウスは何も答えない。まあ言葉を喋るわけではないのだが。
「まあいいです。今日は帰るのであなたもレクトのところに帰ってくださいね」
それからというもの、レウスはホシノに着いてきた。家までぴったり着いて来るし、家の中まで入らないものの、次の日学校に行くまで外でじっと待っている。
「なんなんですかあなた...着いて来る相手が違うでしょう。...今日はユメ先輩の面会日なので大人しくしててくださいね」
病院の前までレウスはしっかり着いてきた。中には入らなかったが。
「あ、ホシノちゃん。来てくれたんだね〜」
「ユメ先輩、具合はどうですか」
「うーん、それがね?私の記憶では瀕死だったはずなんだけど、今ではもう元の生活に戻れるくらい元気なんだって〜」
「そうですか、それはよかったです。それで、何があったんですか」
そしてあの日、何があったかを聞かされた。砂嵐の発生源があるとされる場所に行ったら巨大な蛇のような機械がいて襲われたこと、必死に応戦したが歯が立たず意識を失ったこと。意識を失っていく中でレクトの声が聞こえたこと。
「それで、レクト君はどうしてるのかな?お見舞いに来ないなんて悲しいなぁ〜なんて」
「それが...恐らくユメ先輩が砂漠に行った後、レクトからユメ先輩は何処だ、と電話がかかってきたんです。それで行き先を言ったら一方的に切られて...その後ユメ先輩が戻って、
「それって...」
自分で何を言ってるのかわからなくなった。整理するために事実を述べたはずなのに頭の中がぐちゃぐちゃになって、どうすればいいかわからなくなった。レウスだけが帰ってきた?じゃあレクトは一体どこに?レウスは何故レクトの元に帰らない?蓋をしてた嫌な想像が一気に溢れかえる。
「すいません、ユメ先輩。今日は帰ります...」
「あ、待ってホシノちゃん!」
ユメ先輩の静止も聞かないでレウスが待っている人気のない駐車場に向かう。予報が外れたのだろうか、雨が降っていた。さっきまで晴れていたのが嘘のように、ホシノの気持ちを表したかのように、空は荒れていた。
そんなこともお構いなしに、来た時と同じ姿勢でレウスが佇んでいた。
「レウス」
「レクトは何処ですか」
「...あなた程の存在がいながら、どうしてレクトがこの場にいないんですか」
「私の当たり前の日常をどうして守ってくれなかったんですか」
「どうして!!あなただけがここに居るんですか!!答えてください!!」
視界が涙で滲むのも構わず、目の前の竜に銃口を突き付ける。
レウスは何も言わず、残った片目を閉じ、頭をホシノのお腹に当てた。
いきなりの事にどうしていいかわからず困惑するも、雨の中感じた確かな体温に思わずレウスの頭を抱きしめた。
「そう、ですよね。一番辛いのは、今まで一緒にいたあなたに決まってますよね...」
「すいません、もう少しだけ、こうさせてください...」
降り注ぐ雨の中、今は亡き友人の相棒を抱きしめ泣き崩れる、少女の姿があった。
「うへぇ〜、私ももう3年生になっちゃたよ。レクトもそっちで元気にやってるかな?まあレクトなら心配いらないかな?なんてね。意外と寂しがりやさんなのわかってるから心配だよおじさんは。...こっちは後輩が2年生が2人に1年生が2人も出来てね〜、もう賑やかなのなんのって。ユメ先輩も偶に会いに来てくれるし、あ、そうそう、レウスなんだけど、ちょっと前から背に乗せてくれるようになってさ!いゃ〜空を飛ぶのって楽しいね!まだちょっと怖いけど。うへへ。今はアビドスのみんなで世話してるけど、食事もいらないみたいだし本当に生物なのかな?おかげで助かってるけどね!あと、このネックレスも助かってるよ。効果が本当にあるって気づいたのは最近なんだけどね。痛みを感じる時にいつもよりも痛くないなぁ〜みたいな?効果が実感しづらくて分かりにくかったけど、結構発動してるっぽくてね!中々助かっておりますよ。レクト様様だね。...でもやっぱり、レクトがいないと、ちょっぴり寂しいかな。うそ。ちょっとじゃないかも。うへへ。じゃあまたね、レクト」
ピンクの長い髪を揺らし、過去を引き摺る少女は砂漠を背に向け、
曇らせ部分は筆が捗るッ!!
先生は?
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男
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女