【試走】ブルーアーカイブRTA 称号『特異現象消失』獲得 エイミチャート…?   作:和泉 元エイミ

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「やっぱりアレはなぁ……」

 

 人の持ち物に対してアレコレ言うのはあんまり良くないかもしれないけど、流石にあの軽トラは…うーん……

 

 部ちょ…いや、もう部長じゃないんだっけ。ヒマリ先輩が乗るかもしれないんだからちゃんとした物にして欲しい気持ちはある。

 

 …あ、エイミだ。

 

「おー「やめてって言ったでしょ!」

 

 怒鳴り声と共に発砲音、エイミの銃からは硝煙が出ている。撃ったのはエイミで間違いない。

 

 発砲⁉︎校内で⁉︎

 とりあえず物陰に隠れて様子を……

 

「わ、分かった…もう君には金輪際近寄らないよ……そ、それで良いかい?だからその銃を下ろして……ね?」

 

 ウタハ先輩……?撃ち合いになるなんていったい何が……

 

 目の前にいるのがたまに話すこともある同級生とは思えず、私の足は動かなかった。

 

 

 

 エイミが軽トラに乗ってどこかへ去った後、ウタハ先輩はへたり込んでしまった。それと同時に私も動けるようになった。

 

「ウタハ先輩……大丈夫ですか?」

「あぁマキか……今の、見てた?」

「はい、でも何が……」

 

 

「まぁ、私が悪いから気にしなくて良いよ」

 

 そう言って、ウタハ先輩は立ち去ってしまった。エイミがあそこまで怒るなんて…本当に何があったんだろう……

 

 

 この日はその疑問がずっと頭の中に残ってなかなか眠れなかった。

 

――

 

「ほら先生!みんなも早く早く‼︎」

「ちょ、ちょっと早いよ……」

 

 先生はゲーム開発部のモモイ、ミドリ、ユズ、そして廃墟で出会ったアリスの5人で廃部の危機を乗り切るため、伝説のゲームクリエイターによる最高のゲームを作るための方法が記されているとされる「G.Bible」を探して立ち入り禁止の危険地帯「廃墟」へ赴いた。

 

 道中様々なことがあったが見事「G.Bible」を手に入れることに成功し、後はヴェリタスに解析を頼むだけである。

 

「でもさ、もうこれさえあれば廃部の危機は乗り切ったも同然!ゆっくりしてなんかいられないよ!!」

「はい!アリスも早く最高のゲームをクラフトしたいです!」

「おお、アリスもやる気十分だね!!」

 

 廃墟から帰ってきたゲーム開発部一行は興奮が隠しきれない様子であった。ただ……

 

「なんかそううまくはいかないような気がするんだよなー……」

「ちょっと先生、そんなこと言わないでよ!フラグだよそれ!!」

「……その返しはフラグを補強してる気がするけど」

「アリスたちの廃墟冒険は終わりました!エンディングの後は続編です!!」

 

 廃墟で危険な目にあったとは思えないほど4人は楽しそうである。きっとこの4人ならいいゲームが作れるに違いない。

 

「そうだね!私たちの冒険はこれから……」

「全員持っているものを置いて手を上げて」

 

 冷たい声が勇者パーティを制止させる。

 振り返るとシャーレにもよく来る生徒が冷たい目でこちらに銃口を向けていた。

 

「そういえば、廃墟の管理と調査も活動内容の一つだったね」

 

 モモイはユウカのことを魔王と呼んでいるが、ユウカをラスボスとするなら彼女は“隠しボス”だろう。

 ゲームを開発部ほど嗜んでいるわけではないが、たいていの場合隠しボスという存在はラスボスより強いことはなんとなく知っている。

 

「げぇーっ‼︎今1番会いたくない人が出てきちゃった‼︎」

「特異現象捜査部の和泉元エイミ…… C&Cと同じように生徒を拘束する権限が“現行犯の場合に限り”認められているリオ会長の懐刀……!!」

「実力もC&Cに劣らない… 強行突破は無理そうだね」

 

 廃墟に侵入した生徒を拘束するために与えられた権限だと以前本人から説明された。

 ……今の自分たちそのままだ

 

「聞こえなかった?」

「いえいえいえちゃんと聞こえてます!!!!」

 

 どう考えても立ち入り禁止の危険区域に勝手に入ったこちらが悪いのでエイミの指示に大人しく従い銃を落とす。

 エイミが向けている銃口は少しも震えることなく4人を狙っている。

 

「先生、たしかシャーレは特異現象捜査部と協力していましたよね。…難しいとは思いますがなんとかできませんか?」

「うーん……」

 

 エイミはシャーレに所属していて仕事も手伝ってくれているしこっちも調査を手伝ってはいるけれど……

 

「あ!そういえば特異現象捜査部の部長はヒマリ先輩じゃん!ちょっと!!ヴェリタスから聞いてないの!!」

「無断侵入とは関係ないことでしょ」

 

 それはそう。ぐうの音も出ない。

 

「お姉ちゃんが『知らせたらユウカに止められるから黙って行こう!!』って言ったせいじゃん……」

「うわーん、知らせても知らせなくても詰みなんて聞いてないよ~」

 

「違います!まだゲームオーバーじゃありません!」

「アリス……?」

 

「アリスたちの冒険はゲームを完成させるまで絶対に終わりません!!」

「!!」

 

「そうだねアリス‼︎こっちには先生もついているんだからなんだってできるは」「少し黙って」

 

 モモイの声をかき消すように銃声が響いた。アリスの足元に銃弾がめり込んでいる。

 

「次は当てる」

「……負けイベント、だね」

 

「分かったら大人しく私の指示に従って」

「……はい」

(ユズ……)

 

 良くも悪くもエイミは仕事にまじめに取り組んでいる。

 勝手に廃墟に侵入した生徒を拘束する。いつも通りの仕事なのだろう、情状酌量はない。

 

「…………」

 

 エイミはこちらに銃口を向けたままゆっくりと近づき、置いた荷物を調べ始める。少しの間念入りに調べていたが、目的のものは無かったらしい。

 

「まだあるよね?」

「えっ」

(……やばい!これ多分G.Bible持ってきたのバレてるやつだ!)

 

 G.Bibleのデータが入っているモモイのゲームガールアドバンスSPはモモイのポケットに入ったままだ。

 

 

「まだ何か隠してるよね?例えば……GGA(ゲームガールアドバンス)とか」

「うっ……」

 

 エイミの鋭い眼光はモモイのGGAが入ったポケットを射抜き、まるで獲物に狙いを定めた猛禽類のようだった。

 決して逃さないという強い意志から放たれる威圧感はゲーム開発部を萎縮させるのに十分すぎるほどに効果があった。

 

『エイミ!何してるんですか‼︎』

「⁉︎」

 

 その重苦しい空間を切り裂くように現れたのは一機のドローン。搭載されたスピーカーから聞こえてくる声からして操縦者はおそらくエイミと同じ特異現象捜査部の部長、明星ヒマリだ。G.Bibleのおおよその位置を割り出したヴェリタスの元部長でもある。

 

「……部長、何しに来たの」

『それはこっちのセリフです!急に飛び出したから何事かと思って大急ぎで追いかけてきたら……早く戻ってきてください‼︎』

 

 ドローンの前面に付いている液晶画面には怒っていることを意味する顔文字が表示され、それと連動するように赤く光ったり揺れたりしている。

 ただの機械であるのに感情表現が豊かだ。淡々と無感情に処理しようとしているエイミとは正反対に。

 

「分かった……じゃあここは見逃してあげるからGGAだけ渡して」

『エイミ‼︎』

「……はい」

『はぁ…すいません先生、うちのエイミが…… 今度正式に謝罪しますので……』

 

 不服そうなエイミはモモイのポケットに入っているGGAをキッと睨みつけた後、ヒマリのドローンにせかされるように帰って行った。

 

「な、なんか知らないけど助かったー!!やったー!!」

「良かったね。一時はどうなることかと思ったけど……」

「本当に怖かった……」

 

 助かったことを抱き合って喜ぶモモイとミドリ、解放された安心感からか体の力が抜けてその場にへたり込んでしまったユズ。

 丸く収まった……とは言い難いけど何とか乗り切ることができた。

 でも、こちらも悪いので後でエイミとヒマリに謝っておこう。

 

「よーし!後はヴェリタスに解析を頼めばゲームクリアー!!

 

 

 

 

……とはいかないんだね?」

「うん、ファイルのパスワードがまだ解析できていないんだ」

 

 ミレニアムに帰ってきたゲーム開発部はそのままヴェリタスへGGAを渡してG.Bibleの解析を頼んだのだがパスワードの解析ができず、まだ見ることができないのだという。

 

「で、そのパスワードを解析するためにはOptimus Mirror System……通称『鏡』って呼ばれるツールが必要なんだけど……」

「残念なことに没収されちゃったんだ」

「何で!?」

 

 ハレとコタマ曰く、その「鏡」を作成したのはヴェリタスの部長だったヒマリ。

 しかし、「シャーレに対して武力行使しようとしたエイミ」の責任を取る形で特異現象捜査部は2週間の活動禁止、当然部長のヒマリも活動を禁止された。それに付随する形でヒマリの作成物である鏡も押収されてしまった……とのこと。

 

 なんだろう、何か裏があるとしか思えない。

 エイミの行動がキヴォトス情勢的にまずかったのは分かるが、それで無断で廃墟に立ち入ったゲーム開発部側に何もないのはおかしい。あの状況はどう考えても10:0でこちらが悪かった。正当性があるのはエイミの方である。いくらシャーレが特権を持つ機関だからと言っても……

 それに「鏡」を没収する理由が全く分からない。特異現象捜査部の持ち物だったのならば分かるが、言い方からしてヴェリタスの所有物なのだろう。

 

「なるほど……ネル先輩は今は居なくて、さらにその代わりのエイミも活動停止……」

「正面衝突を避けて、鏡だけ奪って逃げるだけなら……何とかなる……のかなぁ、うーん……」

「……やってみよう、お姉ちゃん」

 

 考え事をしている間にいつの間にか話は差押品保管所にある鏡を取り返すことになっていた。その場所を守っているのが噂のメイド部、通称C&Cらしいのだが彼女たちは覚悟を決めたらしい。

 

「よし!やろう!生徒会に潜入して鏡を取り戻す!ハレ!何か良い計画とかない!?」

「任せて、ただ…計画を組む前に情報が必要、盗聴もしなきゃいけないし、…あとは、仲間もね」

「仲間?」

「でも、私たちが頼むより…先生に頼んでもらった方が良いかな?」

「エンジニア部か……よし、任せて。頼んでくるよ」

 

 仲間という素敵な単語に目をキラキラさせるアリス。よし、ここはみんなのためにも頑張って頼み込んで……

 

「エンジニア部……ちょっと先行ってくるね」

「マキ?」

 

 そう言ってマキは一足先に部室を出てエンジニア部の下へ行ってしまった。

 

 

 

「本当にいいんですか……?」

「うん、彼女は活動停止中なんだろう?それなら……」

 

――

 

 “エイミ”と部長は2週間の活動停止になった。全身をぼんやりと包み込む不安と焦燥からして“何か”の想定通りではないのだろう。良かった、ざまあみろ。

 

「エイミ?汗がすごいですよ?」

「大丈夫」

 

 “エイミ”は大丈夫かもしれないが私はそうじゃない。

 2回も生徒に銃を向けておいて何が……!!

 

 

 部長を巻き込んでしまったのが申し訳ないが2週間と言わず無期限の活動停止にしてくれても良かったのに。そうすればもう生徒に向かって発砲するなんてことできなくなるだろうから。

 

 ただ……この活動停止はパフォーマンスでしかない。ヒマリを動けなくして「鏡」を没収する理由が欲しかっただけだ。

 リオ会長も部長もアリスのことを脅威なのかどうか見極めたいらしい。

 

 ……本当の脅威は目の前にいるのにね。

 この活動停止を全く守る気がなさそうな“エイミ”とか

 

――

 

「先生、ちょっといいですか…?」

「ユズか、どうしたの?」

「やっぱり何かおかしいと思うんです」

「そっか……やっぱりそう思うよね。あの活動停止周りは何か裏に…」

 

「あっ、いや、そうじゃなくて……」

「あの時は怖くて気が付かなかったんですけど、今になって冷静に考えてみれば……」

 

「エイミさんはどうしてあのタイミングでモモイのGGAの中にG.Bibleがあるって知っていたんでしょうか……」

「周りに何もいないことを確認してたのに……」

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