激痛が収まり、俺の瞼は開いた。
俺の瞳に映るは、ただの岩。
はっと驚き、飛び起きた。どうやらオイラは寝ていたようだ。
「夢...か?いや、違う。オイラの記憶にはソウルを砕かれた痛みが鮮明に残ってる。
それにこんな洞窟オイラは知らない」
辺りを見渡す。waterfallのようにあたりに川は流れておらず、エコーフラワーのささやき声も聞こえない。オイラの知らない別の世界だ。
「なら、オリジナルみたいに別時間軸の出来事に巻き込まれたのか?」
そう疑問に思い、洞窟を歩く。
十数分ほど歩いていると、光り輝く鉱石を見つけた。
鉱石を割ってみて観察する。
「やっぱりな、魔力じゃない。魔力に近しいものがこの世界ではそれが空気中に溢れてる。
そして、鉱石には特にそれが染み渡ってる」
その鉱石を間近で観察しているとモンスターが現れた。そのモンスターは巨大な赤いムカデのような形状をしており、奇声を上げてこちらに迫る。
「あー、なるほどな。おそらくここはUndertaleと一切の関係がない別世界だ。
そう呟き
「...仕方ないか」
その閃光によって、ムカデのモンスターは消し炭と化したようだ。吐き出された霧もガスターブラスターにより吹き飛ばされ先ほどのムカデのモンスターが存在した証拠はオイラの記憶にしかなくなった。
「すまない」
そう呟き鉱石の元に戻って鉱石を拾おうとしたその時だった。
黒い霧のよう何かがオイラの手のひらから溢れ鉱石を飲み込む。
「何だ!?」
そう驚き手からあふれる黒い霧を振り払おうとするが、黒い霧は止まらず鉱石すべてを飲み込んで消えた。
「オイラの体にはいったい何が起きてんだ。一旦、状況を整理するか。
オイラはさっき、
この世界は何回か時間が止まっていて時空間の流れが不自然だ。だけどsystemがないからLOADやRESETは起きない。
オイラの能力は死ぬ前に持っていたまほうの力に加えて何か複数ある。それにオイラの魔力みたいなもんが増大し続けてる。
んでこれだな」
視界に移る文字盤に目を向けた。
[Sans LOVE:2
SAVE LODA]
俺はこれを知っている、systemだ。しかし、これはこの世界には存在せず、俺の知っているsystemとは違い文字が黒くなっていて使うことができない。俺が深く考えようとした瞬間、頭に声が響いた。
*サンズのスキルの影響だ*
「誰だ?」
辺りを見渡した。しかし、視界に移るのは目の前の文字盤と遠くにある光り輝く鉱石のみでそれ以外特に目につくものはない。
*サンズの『決意者』の力だ*
「......決意か。まあ、それは置いておくか。
それで能力なら解析能力はあるか?あるならあの鉱石を細かく解析してくれ。あとあの黒い霧も何か知ってたら教えろ」
*魔鉱石:魔素が染み渡った鉱石。鉄鋼よりも硬度が高く柔軟で素材として優秀。
それと、先ほどの黒い霧は『偏食者』の権能である捕食だ。そして捕食したものは胃袋に収納されている*
「へぇ~、ありがとな」
オイラはスケルトンなのに胃袋があるのかと思いながらも感謝の言葉を告げ、洞窟を歩きはじめる。
体感で何日かが過ぎた。その間ずっと歩き続けていたが一切眠くなったりしない。
食べ物も食べていなかったのだがなぜかお腹もすかないし、栄養失調などが起こらなかった。
こうして歩き続けていると、広い空間に出た。するとそこにはドラゴンのようなモンスターが淡い光を放つ球体の中にたたずんでいて、そばにいるスライムと話していた。
(Alphysが言っていたドラゴンに似ているな...)
『 よし見えるようにしてやろう。ただし、条件があるがな』
〔どんな条件ですか...?〕
『簡単だ。見えるようになったからと言って、我におびえるな。そして、また話をしに来い。
それだけだ。お前にとっては良い話だろう』
〔それだけでいいんですか...!?〕
『うむ。実はな三百年前にここに封印されてな、それから暇で暇でどうしようもなく退屈しておったのだ』
〔封印ってのが気になりますけど、わかりました!〕
『魔力感知というスキルがある。使えるか?』
〔いや、使えないです〕
『そうか...おい、そこのスケルトン』
先ほどまでスライムと話していたドラゴンがオイラに指をさして話しかけてきた。
「なんだ?」
『魔力感知が使えるだろう、そこにいるスライムに魔力感知を教えてやってくれ』
ドラゴンにそういわれ、オイラは『決意者』に詳細を確認した。
(字面からして空間にあるすべての魔力を感知しているんだろうが、それであってるか?)
*魔力は魔素を動かす力のことを刺す。そして魔素はエネルギーのようなもので魔物にとっては生命の源。つまりサンズのいた世界でいうところのまりょくだ。
だから魔素の動きである魔力から空間の動きを全て逆算してそこに何があるのかを感知できるようになるのが魔力感知の原理だ*
(そうなると高い演算能力が必要になるが...大丈夫か?)
*この世界のスライムは体の細胞全てが脳細胞と言えるので大丈夫だ。また魔力感知は長く使っていると慣れることができる。現にサンズも持っている*
(へえ~、勉強になるぜ)
「お前さん、魔素を認識してみろ。魔素は体の全てを構成するエネルギーだ。だから体内をめぐる魔素の流れを認識できたら、その感覚を体の外まで広げてくれ」
オイラの言葉に疑問符を浮かべながら全身に力を入れ、ん~と声を上げる。
数秒がたつ。すると、スライムが声を高らかにして喜んだ。
〔見える!見えるぞ~!!!〕
スライムは飛び跳ね、歓喜を言葉と体で表した。そしてスライムは水面のそばに行き、水面を見つめる。
「どうだ?」『見えるか?』
〔あっ、はい!みえま——〕
スライムはドラゴンの姿を見て叫んだ。
〔ドラゴン~!?〕
ドラゴンはそんなスライムの様子を無視して喋りかける。
『そこのスケルトンが増えたことだし、改めて自己紹介するとしよう。
わが名は、暴風竜ヴェルドラ。この世に四体のみ存在する竜種が一体である。
クフフフ、クハハハ、クハハハハ!!!』
ヴェルドラは自身の種族を紹介し、高らかな笑いを口に出した。またその笑いの影響で軋む音が洞窟全体から響き渡り、天井から石の欠片が降る。
それほどまでの強者。笑うだけで洞窟全体を軋ませる力を持ったモンスターなのだ。
(多分アズゴアよりも強いな。こいつなら、
もうすでに亡くなったモンスターと世界のことを考え、俺を殺したニンゲンをこいつなら倒せると思った瞬間、『決意者』に話しかけられた。
*倒せない。竜種は魔素の塊、ただの魔物とは違う神といっていい種族。だから
だが、前世の最期。サンズはソウル6つと決意を吸収したことにより、竜種と同等の存在であるかみに進化し戦っていた。しかし、かみになったサンズは負けた*
(もう別世界だ。
そう『決意者』に告げた。
—”生きる決意”を確認しました。『決意者』の
頭の中に声が響く。しかし、感覚で分かる。これは『決意者』ではない。世界の言葉だ。どうやらオイラは前世といえる地下世界にいたときのように、決意を抱いた時に身体能力が向上するようになったみたいだ。
『おい、約束は覚えているか?』
〔もちろんっすよ!怯えてなどいません!じゃ、また話にきますで!〕
スライムがヴェルドラになぜか敬語を使い、急いで離れようとしたところでヴェルドラが待てとスライムを引き留めた。ついでにオイラにも話があるようで、オイラにもこっちにこいと指令する。
『スライムもスケルトンも、本来魔素だまりから生まれるレベルの存在であれば思考能力、自我を持たない。それなのにお前達は自我がある。お前達、ユニークか?』
ヴェルドラはそう問いかけた。
「「ユニーク?」」
当然、オイラは転生したばかりでこの世界の知識は知るはずがなく、疑問符を浮かべた。スライムも疑問符を浮かべ首?をかしげる。
『知らないか。ユニークとは、特異的な能力を持つ個体のことだ』
〔ちょっとよくわかんないです...その、自分人間だったんですけど、刺されて死んで気が付いたらこんな姿になってて〕
「オイラは殺人鬼に殺されて気づいたらこの世界に来たな」
『なるほど、転生者か』
その言葉を聞き、スライムはやっぱり転生したんですねと残念そうに呟き俯いた。
(やっぱり死んだのか...いや、オイラの魂は完全に砕かれたはず、なんで転生できたんだ?)
そう思考をめぐらしているとヴェルドラが話し始めた。
『お前達、すごくまれな生まれ方をしたな。異世界からやってくるものはたまにいるが転生者は我の知る限り初めてだ。魂だけで世界を渡ると普通は耐えられないからな』
「つまり、異世界から転生ではない方法でやってきたやつがいるのか?」
『うむ、異世界人と呼ばれている。そういう者達は世界を渡る際に特殊な能力を会得するらしい』
(なるほどな、さっきの黒い霧はそれか。決意者もそうなのか?)
*『決意者』の場合はサンズの
(なるほどな、直前にsystemの操作を経験して俺の中の決意の認識にsystemが含まれたからこの世界で俺だけがsystemに近いものを使えるようになったのか)
俺がそう考えているとスライムが言葉を発した。
〔それじゃあ、ちょっとその異世界人を探して、あってみたいと思います〕
その言葉に対してヴェルドラは、
『何だ、もう行ってしまうのか...』
と、頭を下げ、自身の指を握り翼を自身に寄せて明らかにしょんぼりとした。
オイラがそれをカバーする前にスライムが急いで言葉を口にした。
〔え、えっ~と。もう少しいようかな、どうせ暇ですし〕
『そうか!ゆっくりしていくがよい!』
ヴェルドラは食い気味にそう答え、ふふんといいながら上機嫌に腕を組んだ。
「そういえば、ヴェルドラはたしか封印されたとかいってたが、何したんだ?」
オイラの問いかけにヴェルドラはよくぞ聞いてくれた!と元気よく答え、過去を語り始めた。
『300年前のこと、ちょっとうっかり街を灰にしちゃってな。そんな我を討伐に来た者がいた。ちょびっと相手を舐めてたのは間違いない。それでも、途中から本気を出したのだがな、負けてしまったな!』
〔ヴェルドラさんすごく強そうなのに、相手はそんなに強かったのですか?〕
『加護を受けた人間の勇者という存在だ』
(人間の勇者...Undyneのような奴が人間にいたのか)
『ユニークスキル
〔その光ってるのがインフィニティープリズン?なのか?〕
『ああ、その勇者は自身のことを召喚者だといっておったな』
「召喚者、異世界人とは違うのか?」
『三十人以上の魔法使いで何日もかけて儀式を行い、異世界から呼び出すのだ。召喚主の強力な兵器としての役割も期待されておる』
〔兵器?〕
『召喚者は召喚主に逆らえないように魔法で魂に呪いを刻まれる』
〔なんじゃそりゃ!ひどい話ですね〕
『ひどいか。元の世界ではどうだったのかは知らないが、この世界では弱肉強食こそが絶対なる心理だ』
〔そっか...で、その勇者に封印されてずっとここで?〕
『そうだ、もう暇で暇で...』
(オイラは一晩で仲間が、家族が、友達が、全員死んで本当にきつかったのに、ヴェルドラは三百年間もずっとここにいたんだ。ヴェルドラの友達も三百年もたったら普通は死ぬ。三百年間一人きりで友達の死に際にも向かい合えずに...いったいどれだけ...)
ヴェルドラの気持ちを考えていると、スライムがふとオイラ達に話しかけた。
〔じゃあさ。俺たち、友達にならないか?〕
その言葉に、ヴェルドラはすこし、呆気にとられたかのような表情を浮かべ反射的に言葉を叫ぶ。
『何だと!?たかがスライムとスケルトンの分際で暴風竜と恐れられるこの我と友達だと?!』
その息を荒げた言葉により、洞窟が少し揺れたがスライムは動じず、嫌ならいいんだけどさと言葉を発した。
その言葉を聞いたヴェルドラはすぐに誰が嫌だといった?と答える。
〔決定な!嫌なら絶交!二度とこない!〕
「そうだな、友達になるか」
『し、仕方がないな、お前の友達になってやるわ感謝せよ!』
スライムは素直じゃないねえとつぶやきながらも体の一部を伸ばし、ヴェルドラの手に近づける。オイラも腕を動かしヴェルドラ、スライムの手を握った。
こうしてオイラは、ヴェルドラ、のちにリムルと名前を付けられるスライムと友達になった。
この瞬間、数多もの絶望を避け、一つだけの希望を手繰り寄せなければならない物語は、たかが1匹の最弱のスケルトンの介入により、絶望は消え失せ希望に収束された。しかし、サンズ達はまだそれを知らない。
最後にポエムっぽいの入ったな?なんでだろ。
ちなみに名づけ前だけどもうサンズのEPは10万を超えて増加していってる。