樽に入れられたリムルと一緒にカイドウと呼ばれた警備員の質問に答える。
ゴブタは案外図太いようで、体をロープで巻かれて床に倒されてるのにもかかわらず鼻提灯を浮かべて寝ている。
「で?」
「あ~、以上だ」
鉄格子の向こうで、カイドウは資料を書き溜息を吐く。
「まあ、スライムとスケルトン、それにゴブリンだから絶好のカモだと思われたんだろうな」
「ちょっと追い払おうと思っただけなんですが...ご迷惑をおかけして本当にすんませんした!」
「まあ、大体目撃者の証言と一致する。今回は君たちを 」
「隊長ッ!大変だッ!」
隊長と叫びながらやってきた警備員はとても慌てた様子でカイドウに近づき、情報を伝える。
「鉱山に、アーマーサウルスが!討伐隊は向かわせましたが、魔鉱石の採掘に置くまで潜ってたガルムたちが大怪我をッ...!」
「回復薬は!」
「それが、戦争の準備だかで足りてないんですよ!」
会話の内容を聞き、リムルが詰められた樽の蓋を開き近道で牢獄の外に瞬間移動する。
「お前さん」
「ん?...あ!何勝手にというかどうやって出てきたんだお前!?ついでにスライムも出てんじゃねえか!」
「今はそれどころじゃねえんだろ?リムルが入ってた樽を見てみな」
リムルは体を矢印のように伸ばし、樽に視線を向ける。
樽の中にはスライムのようなきれいな水色の液体が樽いっぱいに入っていた。
「あれ、必要なんじゃないですかね?」
「これは...?」
「回復薬ですよ。飲んでよしかけてよしの優れものですよ!」
「試したらどうだ?」
カイドウは迷うことなく牢獄の鍵を上げ、樽の蓋を占めて持ち運ぼうとする。
「隊長!魔物などの言うことを信じるんですか!?」
「時間がない!行くぞ!」
カイドウは他の警備員の制止を振り切り、急いで樽を持って走っていった。ついでに牢に入ってろよと注意されたが、鍵を閉められた。
「まだオイラ入ってないぜ...?」
そう呟きながら、オイラは近道による瞬間移動で、リムルはそのまま鉄格子をすり抜け牢の中に戻ったのだった。
まあ、あれほどなりふり構ってられなくなるほど仲間を大切に思ういいやつなのだろう。
その日の夜、リムルは粘糸を鉄格子の窓付近に動かす。
脱獄...というわけではなく、あやとりをしていた。
「スキルで自分の思い通りに動かせるんだから簡単にできるだろ?」
「簡単にできても、楽しいものは楽しいんだ。サンズだって何か好きなことあるだろ?」
「あ~...オイラの場合はないな」
リムルと会話をしていると、複数人のドワーフを連れてカイドウがやってきた。
「助かった!ありがとう!」
「アンタが薬をくれたんだってな!ありがとよ!」
「腕がちぎれかけてて、生き残れても仕事がなくなるとこだった。ありがとう」
「うんうん、うんうん」
「なんか言えよッ!」
牢の鍵が開かれ、カイドウが扉を開ける。どうやら釈放してくれるみたいだ。
客室に案内され、ソファーの上に座る。
パンとシチューを出してもらい、ドワルゴンへ来た理由である人手不足という事情をカイドウに話した。
「なるほど。そういうことなら腕のいい鍛冶師を紹介しよう」
「それは助かります!」
「礼など不要だ、任せとけ!」
さすがは千年不敗の大国というべきか、比べる対象が悪いがゴブリンの村とは比較にならない文明だ。
あたりに露店が立ち並び、地下世界の都レベルでモンスター...ではなく人が多く歩いている。
「魔法図書館...?」
「ああ、簡単な魔法とかなら覚えられる図書館だ。あとで行くかい?」
「そうするぜ」
しばらく歩いているとリムルは人の数に呆気に取られているのか少し止まっていた。
「こっちだ。迷子になるなよ」
すると、腕のいい鍛冶師がいる店にたどり着いたようでカイドウが声をかけ、店内に入った。
店内ではRG02が来ていた鎧に似ている金色の細かい装飾がなされた鎧や、盾、剣が立てかけられており壁には盾やモーニングスター、手斧に剣など幅広い武具がかけられている。
あの刀身がうっすら光ってる剣…強そうだな。
*名称不明:魔鋼を芯に打たれた剣で使用者のイメージに沿って成長する剣。武器の等級としては
特上級?この世界は武器にもランクとかがあるのか?
*下から
へえ...伝説級とか手に取る機会ないだろうな。
*サンズは地下世界の時と違い、寿命がない。いつかは伝説級にもたどり着く*
そんなにオイラはすごくないな。
「あの刀身が光ってるやつ。アレを打った鍛冶師に会いに行くぞ」
いったん店外に出て、バックヤードのような扉を開いて中に入る。
中に入った瞬間、熱気と鉄を打つ音がオイラ達を出迎えた。
「カイジン、俺の兄貴だ」
鉄を打って剣を作っている鍛冶師がカイジンといい、カイドウの兄あるらしい。
そして、釈放されたときに見たドワーフたちが扉を開け、材料を持ってやってきた。
「あっ!俺たちを助けてくれたスライムとスケルトン!」
「こいつらですよ!俺たちを助けてくれたのは!」
「うんうん!」
「おおっ、そうだったのか」
カイジンは剣を打つのを止め。オイラ達の前に座り、頭を下げた。
「ありがとう。感謝する」
「いやいや!それほどでもあるような無いようなぁ?へへへ、ハハハ!」
「それで何の用で?」
リムルはカイジンの感謝を受けて、変なテンションになりながらも事情を話した。
「話は分かった。だがすまん!今立て込んでてなあ...
どこぞの馬鹿大臣が無茶な注文をしてきてなあ。戦争があるかもしれないってロングソードを20今週中に作れってな、まだ一本しかできてねえんだよ。材料がなくて」
「だったら、無理だといって断ればいいじゃねえか」
「そのとおりだな」
「馬鹿野郎!俺だって無理だって最初に行ったんだよ。そしたらクソ大臣のベスターの野郎が
「おやおや、王国でも名高い鍛冶師のカイジンともあろうお方がこの程度の仕事もできないのですかな?」何ぞとほざきやがったんだよ!許せるかあのクソ野郎が!」
オイラの場合は上司に恵まれたが、カイジンの場合は恵まれなかったみたいだな。いや、オイラも一時期は恵まれてなかったか。
「材料がないって?」
「ああ、魔鉱石という特殊な鉱石が必要でな」
「昨日俺たちが掘りに行ったんだが...」
「アーマーサウルスが出てな」
「うんうん」
なるほど、だから昨夜はあんなに慌ててたのか。
「どちらにせよあの鉱山はほとんど掘りつくしてて」
「もう残ってないようだ」
「うんうん」
「しかもなあ、たとえ材料があっても20本打つのに二週間はかかるんだよ。なのにあと五日で王に届けなければならない。
国で請け負い。各職人に割り当てが行われた仕事だ。できなければ職人資格の剥奪もあり得る」
「大変だな。あ、リムル。お前さん確か大量に魔鉱石を取ったって言ってなかったか?」
「フッフッフ、フッハハハハハ!」
リムルはペッと体から魔鉱石を吐き出した。しかも吐き出した魔鉱石は純度が高くなり魔鉱塊となって虹色に光り輝いている。
「すでに加工されて魔鉱塊だ!さらに強力な剣を作ることができる!そんな...この塊全てが?」
カイジンは固唾を飲み、絶好の機会を逃すわけにはいかないとリムルに対し交渉を始めた。
「こっ、これは譲ってくれるのか?あっもちろん金は言い値で払うぞ!」
「さてどうしたもんかね~」
「くう~、何が望みだ。できることなら何でもする!」
「その言葉が聞きたかったよ。
だれかオヤジさんの知り合いで、技術指導として村まで来てくれる人がいないか探してほしい」
その言葉にカイジンは目を見開いて驚愕した。
「そんなことでいいのか?」
「オイラ達にとって、今最優先のもが衣服と住み家なんだ。それに今後の衣服の調達や武器なんかも頼みたい」
「フッお安い御用だ」
交渉は成立した。だが問題が残る。それは今から作っても間に合わないということだった。
リムルはそのことについて何か案が思いついたようで、剣を持ってきてもらった。
その剣はロングソードといい先程解析したもので、この剣を20本作るということみたいだ。
「よし、捕食」
その言葉とともにリムルは剣を飲み込み、胃袋にしまい込んだ。
「リッリムルの旦那!?」
「まあ少し待て」
「えええ!?」
リムルは数秒後、ロングソードを次々と吐き出していく。
そしてすぐに20本作製し終わったようだ。
「魔鉱塊のロングソード、20本完成だ!」
「えええぇぇぇ!?!?!?!?」
リムルたちはお祝いということで「夜の蝶」と呼ばれるエルフの店に行ったらしい。
オイラは魔法図書館を見たいということで誘いを断り、一人で歩いて図書館に向かった。
「いらっしゃいませ」
「邪魔するぜ。代金は払えないが、これを換金したら言い値になるだろ」
オイラはそう告げるとともに、先ほど見た時に加工して作成した魔鉱塊を胃袋から取り出し代金代わりに渡す。
*注意しておく。『勤勉者』『堕落者』の効果によりサンズの胃袋の中はとてつもないほどの
えっ、それはつまり...
*そもそも15立方cmの魔鉱石でとても高い価格だ。それに加えて超高純度の魔鉱塊、つまり百万は超えるだろう*
まあ、いいか。まだストックはあるしな。
目をぱちくりして固まった受付を無視して魔法の本を読み漁る。
「今更なんだが、『決意者』。お前はいろいろな情報を知っているがなんで直前にしか教えてくれないんだ?」
*サンズも手にしている情報、もしくは視界に入った情報しか、僕は知れない*
「へえ、つまり魔法について詳しく書かれた図鑑を見たら魔法を覚えれるのか?」
*魔法に少しでも触れれば、解析し自由に行使できるようになる。
また魔法は元素魔法、精霊魔法、召喚魔法、神聖魔法の四つだ*
「オーケー、あらかた読み漁るぜ」
木製の床を軋ませながら、手すりにつかまって階段を上り、二回の魔法に関連する書籍が置かれている本棚付近の机に座った。
重力操作を応用して本を複数本取る。
「読書自体は何とも思わないが...楽できないか?あまり時間をかけるとリムルに怒られる」
*解析すればいい。サンズが触れて、僕がそのまま情報をサンズに流し込む。どんな存在であれ他者から教えてもらうのと自身で理解するのでは自身で理解するほうが記憶に残るし実感がわく*
「じゃ、解析するか」
表紙がかすれていて読みずらいが、ラーゼンの書と書かれた本に手を置き、解析を行った。
まず魔法とはイメージを特定の法則に則って具現化するものらしい。例えば風の刃を飛ばす等のイメージをエネルギーとして放ち、それに付随する形で風や炎、雷の物理現象も発生する。発生する物理現象が効果ではなく、効果は具現化されたイメージなので、精神生命体にも効果が及ぶ。また属性ごとの関係は、地>空>風>水>火>地という相互関係だ。
空は空間属性のことを指し、雷などは風属性で生じる。氷は水属性だ。
元素魔法。
法則を紐解き、世界の真理を探ることで物理法則を魔素で塗り替えて起こす詠唱魔法。一般的には体内の魔素を源として用いて、呪文の詠唱により大気に満ちる周囲の魔素を集めて魔法を構築する。制御には精神力と魔力が必要なため、どちらかがかけた場合は使えなくなる。
そして、原理的には魔物は体内の魔素を源として使うだけでなく体内の魔素でそのまま魔法を構築することができるようだ。そのため、体内魔素量が多いものは無詠唱で行える。
元素魔法を極めたものが核撃魔法と称される戦略的魔法だ。詠唱が必要で威力は元素魔法をはるかに上回る。だが、核撃魔法を使用するにはかなりの練度の魔法使いや儀式、集団詠唱が必要になるため、膨大な魔素量を持つ種族でなければ連発する事は不可能。
精霊魔法。
自然界に存在する精霊と契約し、その力を借りて魔法を行使する。契約した精霊の魔素量に応じた呪文の詠唱を必要とせずに効果を発揮できる。 魔物による魔法の即時発動に近く、実戦的だが効果が限定的であり、精霊の力以上の効果は発揮できない。また契約できる精霊にも個人差がある。
神聖魔法。
一般的には精霊魔法や核撃魔法を超えた元素魔法の極致という説がある。最上位の精霊といっていい『聖霊』と契約して行うのだとか、世界の理を完全に理解して完全に塗り替えるのだとか。使えるものはごく少数のエリートのため、一般には公開されない秘法なのだという。
だが、この本には神を信じる心によって発動する魔法と記されており魔物を滅する退魔の力などと書かれていた。
だが、『決意者』の解析を行使しても理屈があまりわからず、実物を見ない限り使用するのは不可能だろう。
召喚魔法。
上位存在である精神生命体や、配下にした魔物を召喚し使役する魔法。魔物を召喚するためには空間を理解し、元素魔法を習得しておく必要がある。精霊召喚でも精霊との契約は必須であり、精霊魔法の習得が必要となる。つまり、召喚魔法は他の魔法を修めたうえで初めて習得可能な魔法だ。
また、下手に召喚魔法を使うものではなく高位な悪魔(
なので、命令は厳しく細かいところまで抜け目なくすること。
…本当の物理法則と混ぜた魔法はないのか?
*ない。作ろうと思えば作れるが、今までに物理魔法という分類の魔法は存在しない
サンズなら開発に成功できるだろう*
必要になったら開発するか。それより、たしか認識によってスキルが生み出されるはずだがオイラのユニークスキルたちは全てまほう扱いになるのか?
*『近道』『最弱』『堕落者』『勤勉者』『決意者』『空間感知』『分子操作』以外すべてのスキルが魔法スキルだ*
それってつまり、
*問題ない。魔法といってもスキルだ。安全に使用できる*
「じゃあ、村に帰ったら試し打ちするか」
『決意者』によって解析結果をコピーし、保存する。これでリムルにも教えられる。
*元素魔法・精霊魔法・召喚魔法の完全解析が完了。『詠唱破棄』を習得した。魔導書には記されていなかったが、刻印魔法・幻覚魔法を元素魔法の応用として使用可能となった*
なんか知らん魔法を習得したが、後回しにして図書館を出ようとしたその時だった。
警備員と同じ格好をしたドワーフが扉をけ破り、鎖につながれたリムルと手錠をかけられたカイジン達を連れて俺の目の前にやってきた。
「サンズ=テンペストだな?裁判に同行してもらおう」
「...ええ?」
月明かりがリムルの粘糸によってぐるぐる巻きにされてつられたゴブタを照らす。
ゴブタは牢から出してもらえなかったようだが、いまだ眠っているようだ。
「お前さん達、なにやらかしたんだ?」
昨夜ぶち込まれた牢の中で、リムル達に問いかける。
すると、カイジンが先に口を開いた。
「すまねえ、俺が短気を起こしちまったばっかりに...みんなも巻き込んじまった」
「それにかんしちゃ、別に何とも思ってないな。短気を起こして何をしたんだ?」
「ベスターの野郎をぶん殴ったんだ」
「大臣じゃなかったか?」
「リムルの旦那に酒ぶっかけられてイラついちまったんだ」
「俺は気にしてないよ。それに、カイジンが来てくれることになったし。それより裁判にかけられるのか」
「そうなるな。まあでも、死刑にはならんさ。罰金ぐらいで済むだろ」
「ならいいけど、あの大臣えらくカイジンを目の敵にしてたような...」
リムルの呟きを聞くと、カイジンは座りなおして正面に振り向き、過去の話を思い返してオイラ達に伝えた。
「俺はこの国の王ガゼル・ドワルゴに仕えていたんだ。7つある王宮騎士団のその一つの団長だった。奴はその時の部下、副官だった。侯爵の出でな、俺は庶民の出だったし面白くなかったんだろう。当時からよく衝突してた。
そんな時、功を焦ったベスターの計画の一つ。魔兵装計画がポシャッちまった。ベスターは自分の失敗をすべて俺に押し付けた。軍の幹部を抱き込み偽の証言まで用意してな...
でッ!俺は責任を取って軍をやめたってわけだ。アイツはいまだに何かというと俺を目の敵にして無理難題を吹っかけてくる」
「しょうもないな」
オイラの呟きに同意するが、カイジンは訂正した。
「ただ、奴も別に悪人てわけじゃないんだ。俺とはウマが合わなかったが、もともと研究熱心で努力家だ。功を焦ったのも王の期待に応えようとした結果だしな。俺がこの国から出ていけばアイツも少しはましになるかもな。
リムルの旦那にサンズの旦那。改めて、世話になるぜ」
「それなんですけど、俺たちもカイジンさんについていきます」
「そうっすカイジンさんと一緒に働けるならどこにでも行けます」
「うんうん」
「リムルの旦那にサンズの旦那、俺たちがついていったら迷惑かい?」
「「こき使ってやるよ!」」
リムルと一緒にそう口を開き、皆で笑ったのだった。
兵士たちが均等に並び、弁護をしてくれる代理人、検事、ベスターが裁判上に集った。
オイラ達を裁くのは、裁判官の席に座り、オイラ達を見下げる武装国家ドワルゴンの王ガゼル・ドワルゴだった。
英雄王ガゼル。視ただけで分かる、アズゴアと同等の化け物だ。罪は一切犯していないがLOVEが20。戦闘経験も豊富だと思われる。
「これより、裁判を始める」
側仕えにより、宣言された。オイラ達を姿勢を正し、側仕えを見上げる。
武装国家ドワルゴンでの裁判は、王の許しなく発言することができない。そのため弁護には代理人が当たるのだが
「と、このように店でお酒をたしなんでいたベスター殿に対し、カイジンらは複数で店に押し入り暴行を加えたのです。これらは断じて許されることではありません!」
代理人はベスターを指刺し、オイラ達を糾弾した。
ベスターは腕を固定し、頭を包帯で巻いていた。
〔カイジン、お前さん一発じゃなかったか?〕
〔ああ、一発だけだ〕
「これは事実であるか?」
「はっ!間違いございません!」
側仕えの確認に代理人はそう答え、ベスターがガゼル・ドワルに話しかけた。
「ガゼル王よ!お聞きけいたしましたでしょうか?この者達への厳罰を申し渡し下さい」
カイジンはベスターのことを悪人ではないといっていたが、偽の証言を作ったり嘘で自身を塗り固めたり賄賂で代理人を買収したりと悪人である要素しかない。
「王よ!」
ベスターが王に語り掛けようとすると、木槌の音があたりに鳴り響き、静寂が法廷を包んだ。
「これより、判決を申し渡す。主犯カイジン、この者は鉱山での強制労働20年に処す。そのほか共犯者共は鉱山での強制労働10年に処す。
これにて、この裁判は閉廷する!」
オイラが判決に異議あり!しようとした時だった。
「待て!」
その言葉により法廷にいた者たちすべてが英雄王を見上げる。
「久しいなカイジン、息災か?」
「カイジン、答えてよろしい」
側仕えにより許可を出されて、カイジンは地面に手を付け答える。
「ハッ!王に置かれましてもご健勝そうでなによりでございます」
「カイジンよ、余の元に戻ってくる気はあるか?」
その言葉にベスターは息をのみ、少しの間沈黙が流れる。
そして、カイジンは頭を上げて、王の目をまっすぐ見て答えた。
「恐れながら王よ。私は既に主を得ました。この契りは私の宝であります。この宝、たとえ王の命令であれど手放す気はございませぬ!」
「無礼な!」
カイジンの言葉によって、兵士たちが一斉に槍を向ける。最悪を考え戦闘態勢に移ろうとしたが、ガゼル王が手を上げ、兵士たちは槍を下ろした。
「であるか、カイジン及びその仲間は国外追放とする。
以上である!余の前から消えるがよい!」
ガゼル王は少し寂しそうにもしながらカイジンのことを考え、国外追放を言い放った。
カイジンはガゼル王のその言葉に涙を浮かべ、跪く。
「これにて閉廷!」
被告人がいなくなった法廷にてベスターとガゼル王が会話をしていた。
「さて、ベスター。何か言いたいことはあるか?」
「お、王よ...私は」
ベスターが王に対し言い淀んでいたところ、王はつぶやいた。
「残念だ。余は忠実な臣を一人失うこととなった」
「な、何をおっしゃいます!カイジンなど...Fランク未満でこけただけでも死にそうな弱いスケルトンと、どこの馬の骨ともわからなぬスライムと 」
「ベスターよ、お前は勘違いをしておる。余が失う忠実な臣、それは...」
沈黙が十秒ほど続いたころ、ベスターはその先を悟り、絶望したかのような表情を浮かべた。
「余はお前に期待していたのだ。ずっと待っていたのだ。魔装兵事件の際も、真実を話してくれるのを。
そして今回も、それを見よ」
側仕えが瓶に入った水色の液体を取り出し、ベスターに差し出した。
「何かわかるか?ヒポクテ草から作られた完全回復薬、フルポーションだ」
「そんな...ドワーフの技術の粋を集めても98%の抽出が限界のはず、いったいどうやって...!」
ベスターが王を見上げて問いかけた。王は椅子から立ち上がり告げる
「それをもたらしたのはあのスライムだ。
お前の行いがあの魔物達とのつながりを絶った。何か言いたいことはあるか!」
ガゼルの質問に対し、ベスターは涙を流しながら跪き答えた。
「何も…ございません...私は王の役に立ちたいと、幼い日に王を見た時からただそれだけで...
私は道を誤ったのか、カイジンに嫉妬した時からあるいはもっと前から、王の期待を裏切ってしまい申し訳ありません」
「ベスター、二度と余の前に姿を見せるな、そして最後に一つお前に言葉を贈ろう。
大儀であった!」
ベスターは泣きじゃくり、王は法廷を後にしたのだった。
いろいろあったが、職人を連れて帰るという当初の目的は、これ以上ないといってもいいほどの腕前の職人を連れて果たされたのだった。
そんなとき、ガゼル王は柱の裏にいる女に命令を知らせる。
「代理人は捕らえたな?厳罰に処せ。
あのスケルトンの一挙手一投足を細かく監視し、何かあれば余に知らせよ。
あんな化け物が存在していたとは...絶対に気取られるなよ。絶対にだ」
ガゼル王の命令を聞き、女は闇の中に消えた。そして、ガゼル王の独白は続く。
「
深層心理さえも分かる読心スキルでスライムは表層意識しか読めなかった。それだけでも暴風竜に匹敵する化け物だ。
しかし、スケルトンは違った。
俺の本能が告げている。
名前:サンズ=テンペスト
EP:231894
種族:骨性生物 スケルトン
加護:暴風の紋章
称号:無し
魔法:元素魔法 精霊魔法 召喚魔法
固有スキル:属性付与 魔力感知 空間感知 分子操作 重力操作 時空間認識
ユニークスキル:審判者 決意者 近道 堕落者 勤勉者 偏食者 最弱
エクストラスキル:思念伝達 威圧
耐性:状態異常無効 改変無効 精神攻撃耐性
この話の後の魔法習得リムル
名前:リムル=テンペスト
EP:14650
種族:粘性生物 スライム
加護:暴風の紋章
称号:魔物を統べるもの
魔法:元素魔法 精霊魔法 召喚魔法
固有スキル:吸収 溶解 自己再生
ユニークスキル:捕食者 大賢者
エクストラスキル:魔力感知 水操作
会得スキル:毒霧吐息 熱源感知 麻痺吐息 鋼糸 粘糸 超音波 身体装甲 威圧 影移動 黒稲妻 超嗅覚
耐性:痛覚無効 物理攻撃耐性 熱変動耐性 電流耐性 麻痺耐性
この時期のリムルのEPって言及されてないけどAランクぐらいだったから1万越えにしたよ。