転生してもスケルトンだった件   作:perusonazuki

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5話 爆炎の支配者

 カイジン達を連れ帰って、数週間が過ぎた。

 超一流の腕を持つ鍛冶職人のカイジン、ドワーフ三兄弟の長男である防具職人のガルム、ドワーフ随一の細工の腕を持つ次男のドルド、器用で建築や芸術に精通している無口な三男のミルド達の指導によって、オイラ達は新しい村を作りつつあった。

 衣服も小さい骨で無理やり止めていたものから変わり、布制の衣類が作れるようになった。まだ着色などはできないのと魔物由来の布なため、地下世界で来ていたものの完全再現とはならないがパーカーのついた似ている服なども作れるようになった。

 食事に関してはまだそこまで発達していないが、この調子ならいずれ地下世界での食事を超えるだろう。

 

 あと、ドワルゴンから帰ってきたとき、庇護を求めてやってきた各部族のゴブリン達500体が集まり名づけを行った。オイラは魔素の消費で低位活動状態(スリープモード)になることがないためオイラが350体ほど名づけし、リムルは150体の名づけを行った。

 3人目で名前で悩み始めて、もう9人目に入ってるリムルを見て、やっぱりリムルはすごいなと実感した。

 

 名づけをした後、オイラは疲労感を感じたのだが…

*いくら魔素増加効果があろうと、供給量より消費量が上回れば当然だ。いつも通り半分通りにしていればよかった*

 と怒ってるような感じで説m

*怒ってない*

 なんか、既視感があるな。この会話。

 

 てなわけで、人手も増えて村づくり...いや、街づくりもより早く進み始めた。

 ついでに、ゴブリンの数が増えたため各族長を ゴブリンロード に、リグルドを ゴブリンキング に任命しなおした。前よりも筋骨隆々になり大柄になっている。役職の変化でも強さは変わるようだ。

 

 住居に関してだが、リムルの提案で最初に上下水管路を最優先に作ることにした。仕組みとしては、川から直接水を引く仕組みである。

 下水に関しては地下に材木で支えられた専用の下水路を作成した。腐食に関しても、防腐してあるため問題ない。

 また、近くの山脈からいろいろな資源を掘り起こしており、魔法とスキルを利用して銅鉱床や鉄鉱床などの採掘を行っている。また石灰なども採掘できるため、セメントなどの資材も生成が可能になり、下水路や上水路、防具の作成に利用している。

 水道管理の建物も作る予定らしく、水の浄化を行い、各家に配給する仕組みを考えているそうだ。

 そして下水路を作るなら、当然下水処理用の施設も作らなければならない。そのため、町はずれに建設中。肥料も作るとのことだ。

 

 街の区画分けはオイラが担当し、洞窟などのもしもの時のために最終防衛ラインに近い場所にリムルや各族長の住居を立てる予定で、ゴブリンの村があった場所をいったん解体し、中央に事務仕事用兼役所の施設を立て、十字に街道を設置し同心円状に住居を建設していく。それだけでは面白みがないのと子供のゴブリンがいるため、噴水や公園も建設予定だ。訓練施設は北側に配置し、南に避難施設と本当に危険な時のための避難通路を地下に建設。商業施設に関してゴブリンたちに任せる。

 まあ、今は区域分けをしただけで家は建っておらず、開けた土地が続いているだけだ。

 

 やることも少なくなったため、森の芝生の上で、日光に当たりながら昼寝を行う。

 すると、リムルから意思伝達による連絡が来た。どうやら人間がやってきたらしい。

 

<まあ、やっぱりいるよな>

<やっぱり?>

<木の影で隠密の技術(アーツ)を使ってこっちを見てるやつがいた>

 

 隠密技術(アーツ)を使っている奴に気づかれないよう念話を行う。

 

<けどまあ、多分その人間たちは関係ないだろうな。魔力感知と空間感知とやらで分かるけど、魔物(ジャイアントアント)複数体に襲われて逃げてる>

 

 ジャイアントアントは赤い体色の巨大な蟻で、群体で出現する。対処は簡単なのだが後処理が面倒くさい。なので、出現した場合はリムルに後片付けを任している。

 

 近道などの力を使うのは隠密技術(アーツ)を使っている奴がいるため最近控えていたのだが、死者を出す方が嫌だ。特に人間は死なせたくない。クソガキはどうでもいいが、アイツを思い出す。

*…*

 

 『決意者』の反応が少し気になるが、無視して助けるために動く。しかし、どうやらその必要はないようだった。

 

 突如として”シズ”と呼ばれた仮面をつけている女が、剣を鞘から取り出し炎を纏わせた。

 そして、炎を纏った剣を構えジャイアントアントへと掲げた。次の瞬間、炎は円を描き球体となりそこから爆炎を放出した。

 その爆炎にジャイアントアント二体が飲み込まれ爆散し、そのことに怒ったのかジャイアントアント二体が跳びかかった。だが、遅い。シズと呼ばれた仮面の女には遅かった。

 シズと呼ばれた仮面の女は地面を踏み込んで跳躍し、炎を纏わせた剣による流麗な剣戟(けんげき)によって流れるようにジャイアントアントを切り刻み、爆散させる。そして、着地した勢いのまま走りジャイアントアントの懐に入り込み首を切断しながら空中に跳ぶ。

 そして自由落下の勢いを利用しもう一体のジャイアントアントの頭も切りかかり、剣に纏わせた炎を炸裂させ、ジャイアントアントを蹴飛ばし離れた。

 切り付けられたジャイアントアントは内側から発火し、爆散した。

 

「す、すごい...」

 

 金髪の女はシズと呼ばれた仮面の女の力量に驚き、魔物の亡骸を見渡す。その時、一匹のジャイアントアントの触角がピクリと動いた。

 

「シズさん!まだ!」

 

 ジャイアントアントの内、一体は体内からの発火に耐えたようでシズの前に立ちふさがる。それを迎撃しようとシズは剣を構えたが、その直後よろめき剣を地面にさして跪いた。

 

「シズさん!」

 

 絶体絶命、そういうしかないだろう。パーティーの三人は距離的に届かない。魔法を使えると思わしき金髪の女も魔法の発動速度が間に合わない。

 

 ジャイアントアントは顎を大きく広げ、シズに近づく。

 しかし、蒼白い二本の閃光と、黒き稲妻によってジャイアントアントは跡形もなく消し飛んだ。

 黒き稲妻と蒼白い二本の閃光は、余波だけでとてつもないほどの衝撃波を放ち、シズの仮面を吹き飛ばした。

 

 金髪の女はシズを心配し、駆け寄って体を支える。

 

「大丈夫?」

「えぇ...」

 

「今の...なんでやす?」

「黒い稲妻と、ビームみたいだったが...」

 

 稲妻によって土煙が巻き起こる中、パーティーの男二人は剣を取り出し、緊迫した空気の中で警戒を強めた。

 

「リムル、お前さん前にも言ったが黒稲妻はあんまり使わない方が良いんじゃないか?」

「そうだな、あまり使わないようにって、サンズのガスターブラスターの方が強いだろ!」

「確かに、骨でやったほうがよかったか」

 

 土煙の中からした声に向かい、剣を構える。

 

「「「スケルトンと...スライム?」」」

 

 何か、拍子抜けしたかのような言葉にリムルはムッとしながら返した。

 

「スライムで悪いか?」

「あ...いや、スケルトンはまだわかるんだがスライムが喋るとは...」

「オイラには驚かないのか」

「いや、明確な自我があるのにFランク未満の魔素量しかないのには驚いたが...」

 

 リムルは自身にのっかった仮面をシズに返す。

 

「ほら、そこのお姉さんのだろ?すまんな、怪我しなかったか?」

「ええ、大丈夫」

 

 仮面を受け取ったシズという人物は、黒髪に黒い瞳、左瞼の下に火傷のような痣が縦に三本ついた美人だった。そして、オイラはこの姿に見覚えがある。

 

*リムルが夜の蝶とかいう店で占った運命の相手だ*

 

 ドワルゴンからの帰宅後、リムルから思念伝達によって送られてきた情報と全てが合致していた。

 リムルの運命の人。あと数年は出会わないと思っていたな。

 


 

 仮設テントにパーティーを案内し、自由にさせた。

 リムルを抱えて、仮設テントの様子を見に行くと...

 

「ちょっ!それ俺が狙ってた肉!!!」

「ひどくないですか!?それ話達しが育てていたお肉なんですけど!!!」

「旦那方!こと食事に関しては譲れないでやんすよ!!!」

 

 テントの壁越しでもわかる大声。何をしているのかリグルドに尋ねてみた。

 

「すみません、腹ペコだというので食事を...」

「おお!いいじゃないか、困っている者に親切にしてやるのは良いことだぞ」

「ははっ!ありがとうございます、今後とも昇進したいと存じます!」

「リムル様、サンズ様、どうぞ」

 

 リグルに案内され、仮設テント内に入る。

 仮設テント内では、刻印魔法によって熱された鉄板で肉やきのこなどの山菜を焼いた焼き肉が行われていた。

 シズは仮面を外さず、正座をしてマイペースに食事を行い、そのほか三人はリスのように頬に肉を詰め込んで食べている。

 

 この三人組...確か封印の洞窟であった人間か?

*そのとおりだ*

 だよな? こいつら、何の用でここにやってきたんだ?

 

 推測をめぐらそうとした時、リグルドが話し始めた。

 

「お客人、大した持て成しは出来んが、寛いでくれておりますかな?

 改めて紹介しよう!こちらが、我らが主・リムル様とサンズ様である!」

 

 リグルドは腕を大きく振り上げ、冒険者たちに強調するように俺たちを紹介した。

 

「「「主?」」」

 

 三人はリスのように膨らませた頬に詰まった肉を飲み込み、驚愕の声を現した。

 どうやら、スライムとFランク?とやらよりも低い魔素量のオイラがC~Dランクであるホブゴブリンやテンペストウルフ達の主であることに困惑しているようだった。

 

*Fランクは戦闘能力なし。Eランクは大人の人間よりは弱い。Dランクは大人の人間が3~4人で相手しても負ける可能性あり。Cランクは戦闘訓練を受けた職業兵士よりも強く、大人の人間十人がかりでも勝てない。この冒険者たちはこれに値する。Bランクが一体相手に村が滅ぶ実力で、逃げるのも困難。

 Aランクから表記が少し変化し、Aランクは災害級(ハザード)と評され、街に甚大な影響を与える実力を持つ者がつけられる。今のリムルはAランクだ。

 特Aランクは災厄級(カラミティ)と評され、一体で国家転覆を行える実力を持つ。上位悪魔や上位魔人がこのランクに位置する。

 Sランクは災渦級(ディザスター)と評され、大国の総力を挙げてやっと対処可能な存在だ。サンズはここに当たる。

 特Sランクは天災級(カタストロフ)と評され、人類が国家を超えて協力し、生き残りの命運を賭ける存在だ。ヴェドラとかの竜種がこのランクに位置する*

 ...『決意者』

*何だ?*

 急に大量の情報を送り付けないでくれ...

*...今後から気を付ける*

 

 『決意者』の急な説明をかみ砕きながら、冒険者たちの困惑をどうにか解こうと考える。すると、リムルが動いた。

 

「はじめまして!おれはスライムのリムル!わるいスライムじゃないよ!」

 

 どこかで聞いたことがあるようなリムルの言葉を聞き、三人はぽかんとした顔を浮かべ、シズは笑い、噴き出した。

 リムルが使うネタのほとんどが前世のネタであるため、この世界で通じるわけがないのだが...転移者なのだろうか?

 

「これは失礼しました。まさか、魔物に助けていただけるとは思ってもいませんでしたが、助かりました」

「あっ、お肉ありがとうございます。とってもおいしいです!」

「どうも、助かりやした。こんなところでゴブリンが村を建設中とは思いませんでした」

 

 冒険者の三人は感謝の言葉をつづるが、シズはマイペースに焼き肉を食べている。オイラが言えることではないがずいぶんマイペースだ。

 

「んで、お前さんたちは何しにここに来たんだ?」

 

 俺の問いかけに、センター分けの男が答えた。

 

「俺はカバル。一応このパーティーのリーダーをしている。でこいつが...」

「エレンです!」

「どうも、ギドといいやす。お見知りおきを」

「で、この人は行く方向が同じということで臨時メンバーになった...」

「シズ」

 

 シズは名前だけをつぶやくと、そのまま焼き肉を食べ始める。

 

「で?」

「俺たちはブルむんど王国のギルドマスターの依頼を受けて...」

 

 カバル達は危機意識がまるでないのか、疑うことを知らずに目的を教えてくれた。

 なんでも、ジュラの大森林周辺国の一つ、ブルムンド王国のギルドマスターの依頼を受け、ヴェルドラの消失による森周辺での魔物活性化などの変化を調査に来たのらしい。

 

 今のオイラ達は人間から見れば、急に街を作り始めたC~Dランクの魔物の集団である。明らかな変化だ。

 

「オイラ達は見ての通り街を作ってるが、ギルド的に問題はあるか?」

 

 オイラの問いに、一瞬考えるための沈黙が生まれ、カバルが口を開いた。

 

「いや?大丈夫だろ」

「そうね、ギルドが口出す問題じゃないしね。国はどうなんだろ?」

「う~ん...あっしにはわかりやせん」

 

 カバル達にはわからないようだ。

 

「そうか。まあ、今日はここに泊まるがいい。ゆっくり疲れを癒してくれ!」

 

 リムルはリグル達に丁重に扱うよう指示を出した。リグル達は睡眠用の仮設テントを紹介し、 リムルはシズに話し掛けに行った。

 オイラは特にやることもないので木の上で昼寝を始める。

 

*仮面が外れた時、シズから炎の上位精霊・炎巨人(イフリート)の力を感知した。

 子供の召喚者はスキルを得ることができず、莫大な体内魔素により短い寿命となる。短い寿命を長くするためには精霊を使役し、同一化して魔人となる。もしくは反旗を(ひるがえ)さない精霊を使役し操る必要がある。

 シズはリムルのネタが通じる点、正座、箸を扱えることからして召喚者である可能性が高い*

 へえ、じゃあ兵器として扱われてたのか。

*その可能性は高い。シズから感知した炎巨人(イフリート)の力は特A級・災厄級(カラミティ)に匹敵し、爆炎の支配者という英雄の情報とシズの情報が合致する*

 爆炎の支配者?

*約50年前に活躍した英雄。流麗なる剣戟と爆炎を操り数多の魔物を討伐した。現在は引退している。

 しかし、シズの種族は人間であり、魔人ではなかった。そのため、イフリートの力を操るのには寿命という限界があり、いつ暴走してもおかしくない*

 ・・・なんとなく、シズの目的が分かった気がする。だがまあ、推測だし俺がとやかく言うのは野暮だ。

 

 

 


 

 そして翌日。

 カバル達はブルムンド王国に戻るそうだ。シズは途中までカバル達についていくらしい。

 そのため、俺、リグル、リグルドで見送りをすることにした。サンズは木の上でぐーすかと寝息を立てて昼寝している。アイツは仕事をするときはキッチリするのに怠けるときは極限まで怠ける。よくわからんやつだ。

 

「待ちくたびれたでやんすよ」

「ったく、女は支度が遅えよな」

 

 カバルがエレン達の身支度の長さに対し、小言を言った時、()()は起こった。

 

 シズさんの足が止まった。

 

「シズさん?」

 

「があっ! ...うっ! そんな...もう...」

 

 シズさんは頭を押さえ、地面に跪いた。

 

「シズさん!」

 

 エレンはシズさんに近づこうとするが、異様な雰囲気を放つシズさんの前に、カバル達が引き留める。

 

「あああああああああああ!!!!」

 

 絶叫。そしてその直後、仮面にヒビが入っていき、そのヒビから爆炎が噴出された。

 その爆炎は空を埋め尽くし、黒雲となって辺りを闇にする。

 

 シズさんの体は浮き上がり、シズさんを中心として球状の爆炎が巻き起こった。

 爆炎による衝撃波によって、俺たちは後方10メートルほど吹き飛ばさる。

 

「おい!大丈夫か!?」

「なんだよこれ!危険手当上乗せしてもらうぜ!」

「だから!それはヒューズの旦那に言うでやんすよ!」

「シズさん! シズさん!!!」

 

 エレンの叫びに、シズさんは答えない。

 そして、その時。カバルがあることに気づく。

 

「シズ...シズエ・イザワ?

 もしかして、爆炎の支配者か!?」

 

 サンズに聞かされた、50年前に活躍し、引退した英雄。

 

「リグル、リグルド! 皆を避難させろ」

「しかし  

「命令だ」

「ははっ、承りました!」

 

 (みな)は立ち上がり、リグル達はゴブリンたちの避難誘導を開始する。

 

「いるな? ランガ」

 

 俺は自身の影に向かって問いかける。

 

「我が主よ、ここに」

「始まったら頼む」

 

 俺は影の中にいるランガに向かい、指示をだした。

 

 シズからひび割れた仮面が剥がれ、地面に落ちた。

 シズの表情は無機質で、無表情といってよかったが、目から涙を流している。しかし、その涙は地面に落ちることを許されず、蒸発し、シズは渦を成した爆炎に飲み込まれた、

 

 そして、現れるは、燃え盛る炎のような頭髪を持ち、下半身を民族衣装のような物で隠した角の生えた上位精霊。炎の巨人・イフリート。

 

「炎の精霊!」

「まちがいないでやんす、シズさんは...!」

「伝説の英雄・爆炎の支配者! ...あんなのどうやってもかてないんですけど!?」

「無理でやす、あっしらはここで死ぬんでやす。短い人生だったでやんすねぇ!」

 

 あきらめに近いギドの言葉の直後、イフリートは雄たけびと共に莫大な魔力を解放した。

 

『ガウオオォォォ!!!』

 

 魔力を解放するだけで、空気を揺らし、大きな熱風と衝撃波を生み出した。

 カバルは即座に魔法障壁(マジックバリア)を発動したが、一撃で破壊され吹き飛んだ。

 

 そして、魔力を解放した直後、イフリートは三本の炎柱をたて火炎蜥蜴(サラマンダー)と呼ばれる非行型の魔物を生み出した。

 サラマンダーは衝撃波によって破壊された仮設テントに火の粉を落とし、発火させる。周囲は炎上した仮設テントに囲まれ、逃げ場は無くなった。

 ちくしょう...作ったばっかだったのに...! だけど、さっきので分かった。こいつは俺かサンズじゃないと戦えない。

 

「お前たちはさっさと逃げろ!」

 

 立ち上がったカバルは背中から剣を取り出し、ギドは短剣を、エレンは杖を構えた。

 

「そんなわけにはいかねえよ...! あの人が何で殺意をむき出しにしてんのか知らねえが!」

「俺たちの仲間でやすよ!」

「ほっとけないわ!」

 

「そうか...気をつけろよ!」

 

 シズさんは、いい仲間に恵まれたようだ。

 

 サラマンダーを前方に二体、後方に一体配置させ、無機質な表情を見せるイフリートに問いかける。

 

「おい! お前の目的はなんだ!」

 

 答えるはずもないが一応問いかける。それに対する答えは、手のひらほどのサイズの火球を投げつけるものだった。

 それを跳んで、回避した勢いのまま『水刃』を放つ。俺の体から放たれは超高水圧の水の刃はイフリートに届く前に蒸発した。

 

「まあ、そりゃそうだよな」

 

 火球は避けられると判断したのか、俺に向かってサラマンダーを指しかける。しかし、

 

水氷大魔槍(アイシクルランス)!」

 

 その声とともに鋭い氷のつららがサラマンダーの胴体に激突した。しかし、大した損傷はしておらず、標的を俺からエレン達に変える。

 

「おい!大丈夫なのか?」

「任せてくださいよ! こっちだってね、命張って冒険者やってるんです!」

「おいおい勘弁してくれよ、リーダーは俺だっての。まっしょうがねえ、一匹は俺たちが受け持った!」

「一蓮托生ってやつでさあ!」

「じゃあ!任せる!だが無理はするなよ!」

 

 しかし、サラマンダーたちは会話の隙を見逃さず、無数の火球を放つ。火球を回避し、空中に跳び、影に向かって叫んだ。

 

「ランガ!」

「はっ!」

 

 俺の呼びかけにランガは答え、影の中から姿を現したランガの背中に乗る。

 空中でランガに火球を浴びせようとするがランガは身をひねって回避し、勢いを失うことなく地面に着地し走り始める。

 火球による攻撃は止むことを知らず、勢いを増す。

 

「お前は回避に専念しろ!攻撃は俺がする!」

「心得ました!」

 

 火球による攻撃を回避し続け、戦況を分析する。

 イフリートの前に、まずあいつら(サラマンダー)だ。『水刃』は蒸発してしまうが...

 『大賢者』、俺の胃袋に入っている大量の水を一気にぶっかけるのはどうだろう?

 

『解・大量の水の放出は可能です。サラマンダーとの接触により、水蒸気爆発が生じます。実行しますか?』

 それでサラマンダーは消滅するか?

『可能です。ただし、爆発の威力であたり一帯は吹き飛ぶでしょう。』

 アホか!? 意味ねえだろ!

『ならば、魔法を使用しますか?』

  魔法...? あ、確かサンズに教えてもらった...!

『元素魔法を使用しますか?』

 イエスだ!

 

 『大賢者』からの問答を終えランガを空中に(はし)らせ、元素魔法を発動させる。

 サンズは確か、魔法はイメージの力が重要といっていった。氷の魔法は氷を出すのが効果ではなく、熱が奪われるという効果の付随減少で生じる。ならば、サラマンダーのいる空間全ての熱を奪うイメージ...!

 

水氷大魔嵐(アイスブリザード)!!!」

 

 俺の叫びとともに、サラマンダー二体が飛んでいる空間は氷雪によって埋め尽くされ、サラマンダーの熱を完全に奪い、爆発させた。

 エレン達は、カバルの魔法障壁(マジックバリア)にて防御しながら、エレンの水氷大魔槍(アイシクルランス)を用いてサラマンダーを攻撃する。しかし、一度に一発なので、易々と回避されエレン達の目の前に立ちふさがった。

 

「そいつも俺が! ...!?」

 

 イフリートがサラマンダーを四体同時召喚し、エレン達の元に向かわせた。そして、サラマンダーたちは一匹のサラマンダーに魔力の全てを集約させ、熱とエネルギーの圧縮を開始する。

 

「自爆か!?」

『解・(マスター)魔法障壁(マジックバリア)を発動させれば問題ないですが、カバル達は確実に死亡します』

 まっずい!!!

 

 間に合わない、そう思った瞬間。5匹のサラマンダー全てが不自然に上空に飛んだ。

 そして、無数の骨がサラマンダー全てを貫き、巨大な蒼白き閃光がサラマンダーを飲み込んだ。

 

「昼寝はしないほうがよかったな」

 

 聞き覚えのある声とともに、サラマンダーは爆発を引き起こす。しかし、即座に無数の骨によって球状に囲われ、そのうえで魔法障壁(マジックバリア)の中に放り込まれた。その影響で爆発の規模は最小まで減少し、空中で小規模な爆発が起こっただけで済んだ。

 

 サンズは左眼から蒼炎を出しながら、ポケットに手を突っ込んだまま宣言する。

 

「へへ、ここからは俺のターンだぜ?」




 投稿遅れてごめん。もうすぐで9000字だったから一旦区切った。

 描写されてないところは原作と同じ。
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