国家の体裁を整えたプラントに一応は正規軍のザフトを組み合わせたら、何故かギャグになった件について   作:種再燃祭

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実はアスランママは、この世界線では凄い人だったという話です。






第02話 ”女傑”レノア・ザラ

 

 

 

「お久しぶりです、皆さん。レノア・ザラ、(大変不本意ながら)代表議員に復帰いたしますわ」

 

 凛とした声が、プラント最高評議会に響いた。

 

「君の帰還を待っていたよ。レノア君」

 

 心から安堵の表情をする壮年の男性に、

 

「シーゲル議長、あまり期待されても困るのですが?」

 

 すると最高評議長シーゲル・クラインは、

 

「君に期待するなと言う方が無理だろう? ”女傑”殿」

 

 

 

 ”女傑”

 それが、レノア・ザラのもっとも知られる二つ名だ。

 今は久しい話だが、女性で「史上最年少の最高評議長(通称:”第一次レノア内閣”)」となった逸話、何より彼女を有名にしたのは、

 

”婚姻統制の廃絶”

 

 だ。

 その理由と言うのも今の夫であるパトリックと結婚したいが為であったというのだから驚きである。

 実際、パトリックとレノアの子作りという意味での相性は、むしろ最悪に近い物であったらしいが……その定説をレノアはアスランという一人息子を授かることで覆してみせたのだ。

 まあ、その時のパトリックは干物になりかけたようだが……まあ、それが何の因果かレノアがパトリックに対し上下関係を教え込む所謂「わからせ」なったようである。

 

 ちなみにその肝心のパトリック、「妻がいるユニウス・セブンが核攻撃を受けた」という報告でアスランの予想通りに卒倒し、息子が無事に妻を連れ帰ったことで強面をくしゃくしゃにして大号泣。

 あっさり代表議員代行の地位を放り投げ、本職である初等教育担当に戻ったらしい。

 本人曰く、

 

『政治はもう懲り懲り。私は疲れた。後は妻に任せる。私は子供たちの顔を見れて、趣味の盆栽ができればそれでよい』

 

 ……いや、マジでマダオじゃね?

 事実、以後パトリック・ザラの名をプラントの政治畑で聞くことは無かった。

 ただし、文化人、”盆栽マスター”としてはプラント盆栽史に名を残す著名人となるようだが。

 プラントに盆栽があるのかって? まあ、日舞習ってるのがいる(=ディアッカ)くらいだし、あっても不思議ではない。

 

「シーゲル議長、そのカビが生えたような呼び名はいい加減止めてください」

 

「ははっ。何を言うかと思えば……未だにプラント()()にとっては君は女傑で”英雄”だよ。君がいなければ、”プラントの独立・建国宣言”はずっと遅れていただろう」

 

 まあ、そんな感じだったらしい。

 プラントの歴史学者によれば、「レノア・ザラこそがプラントにおけるジャンヌダルクでありエリザベス一世だった」そうな。

 圧倒的なカリスマを持ち、彼女がプラントの「独立と建国」を宣言したのは、もう5年も前の通称”第二次レノア内閣”時代、C.E.65年だ。

 シーゲルの議長就任は同68年、レノアの路線を継承するのが基本路線だった。

 

「まあ、良いですけど……ところで、今回の議題は何ですの?」

 

「いや、宣戦布告もされたことだし、今回の”ユニウス・セブンへの核攻撃”にどう報復すべきか……まあ、そんなところだな」

 

 だが、レノアは顔色一つ変えず、

 

「有力な案は?」

 

「核兵器による報復、あるいは”ニュートロンジャマー”の地球全域への投下が有力案なのだが……」

 

 その瞬間、レノアは顔色を変えて、

 

「エザリア! アイリーン! タッド!」

 

 その瞬間、窮地(旧知)の仲である同じ評議員、エザリア・ジュール、アイリーン・カナーバ、タッド・エルスマンの背筋が反射的にピンと伸びる。

 

「貴方達がついていながら、どうしてこんな馬鹿げたプランが出るのっ!?」

 

「ま、まちたまえレノア君、いきなり血相を変えてどうした?」

 

 レノアの剣幕にたじろぎながらシーゲルが聞くと、

 

「シーゲル……核報復は論外としても、ニュートロンジャマーを地球全域に投下した場合の被害、ちゃんと計算した?」

 

 議長ではなく古い友人として話しかけるレノアに、

 

「そこまで詳細には……」

 

 レノアは深々と溜息をついて、

 

「地球全域にニュートロンジャマーを投下すれば、下手すれば10億人規模の死者が出るわよ? 貴方達、地球人全てを敵に回す気?」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「あのね、ニュートロンジャマーの効果は核兵器に限らず商用原子炉なんかにも普通に作用するの。原理は同じなんだから当り前よね? ついでに言えば電磁波や磁場に干渉するから、コンピューターやネットワークを始めとしたあらゆるインフラに影響が出るわ。ニュートロンジャマー自体に人を殺す力はないけど、結果としてインフラ破壊、特に電力網に壊滅的な打撃を与えることで、間接的には『限定核攻撃の方がマシ』って感じの被害になりかねないのよ。食料生産や医療方面にも洒落にならない悪影響が出るでしょうし……餓死と凍死と疫病が蔓延するわよ?」

 

 どうも「ニュートロンジャマー投下論者」の多くは、「核での報復は過激すぎる」という穏健派が多かったようだが……実は結果として、副次効果で大量の死者が出るとは考えてなかったようだ。

 レノアが直ぐに思い至ったのは、自らも食料生産に携わっていただろう。

 

「皆にも理解して欲しいのだけど、人類史上最も多く人を殺したのは人が作った兵器じゃないからね?」

 

「……それほどかね?」

 

「それほど、よ。それとシーゲル、ニュートロンジャマーって一度投下して地中に潜ってしまえば、自機の妨害効果で遠隔操作でスイッチのオンオフできなくなるって分かってる?」

 

 するとシーゲルはきょとんとした顔で、

 

「それ、本当なのかね?」

 

「タッド、貴方はそのあたりの事情、詳しいはずよね?」

 

 原作でもタッド・エルスマンは地球へのニュートロンジャマー投下に伴う地球のエネルギーや経済への影響を懸念していたのだが……

 

「だから、私は地球への限定核攻撃を支持した」

 

 フンスと胸を張るタッドに、

 

「だったら、ニュートロンジャマー投下に反対する理由をキチンと説明しなさい。貴方のそういうとこ、アカデミー時代からちっともなおってないわね~」

 

「……昔の話はよせ」

 

「言われたくないなら、その悪癖直しなさい」

 

 そして一同を見回し、

 

「これは一度、専門家を呼んで公聴会でも開いた方がいいかもしれないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レノア・ザラ伝説
最年少で最高評議長に就任し、婚姻統制を廃絶に追い込む(第一次レノア内閣)
ザフトの創建と同時期に連動してプラントの「独立と建国」の宣言を行う(第二次レノア内閣)

本人は、「流石にここまでやっておけば、政治家として幕引きでしょう」と夫を代表評議員代行にして半引退状態でキャベツと戯れていたが、開戦になったので呼び戻された。

パトリック・ザラ→顔は怖いが基本、マダオw
実は文化人として後年、有名になる。現在も将来も政治家として話題に上がることはほとんどない。(ただし、レノアの夫という意味ではしょっちゅう話題になる)

アスラン・ザラ→容姿も性格も中身も母親似。初恋の相手は幼馴染(♀)の養母(カリダ)

クルーゼ博士→科学的愉悦主義者(マッドサイエンティスト)w なお、初恋の相手はレノアらしい。

まあ、こんなカオスな作品ですが、読んでやってください。
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