国家の体裁を整えたプラントに一応は正規軍のザフトを組み合わせたら、何故かギャグになった件について 作:種再燃祭
「はっはっはっ! 地球全土に私の発明品、ニュートロンジャマーを投下したら瞬く間に経済に致命的影響を与えるでしょうなぁっ!!」
本日も絶好調、実にイイ空気を吸ってるマッドサイエン……もとい。クルーゼ博士。
ちなみにこの世界線においては、どうやらマスクをつける習慣はないらしい。
スタイルは相変わらずのアロハシャツにジーンズ&スニーカーに白衣を合わせたラフな物。
ただ、”ヴェサリウス”の時とまた違うのでバリエーションは豊かなようだ。もしかして、割とこだわりのある洒落者なのか?
一説には、アロハシャツは友人がよく買ってくるらしいが……
「ラウ君、地球人口を思い切り削って旧プラント理事国以外の国からも恨みを買わない方向性でのニュートロンジャマーの有効な使い道ってある?」
公聴会が開かれ、なし崩し的に復帰早々国防委員長に抜擢されたレノアの言葉に有頂天(レノア=クルーゼの初恋の人)なクルーゼは、
「レノアさん、それは実に簡単なことなのですよっ! プラントのあらゆる施設、軍民問わない艦船にニュートロンジャマーを搭載し、また占領した宇宙拠点に設置する。それで連合の核攻撃は封じられ、ついでに通信網は電子的目隠し状態になるでしょう。電磁波に頼り過ぎな地球連合の兵器など、物の数ではなくなりますっ!」
「はぁ~。やっぱりその方向性よね。手が届くとこに置いてあれば、手動でオンオフできるわけだし。地球連合には”核は決戦兵器に成らず”って教訓を教え込むには、そのあたりが妥当だわ」
レノアは覚悟を決めたように、
「シーゲル議長、ニュートロンジャマーを搭載した大規模な宇宙艦隊をもって、ニュートロンジャマーとモビルスーツを独占できているうちに地球連合の制宙権を奪取。同時に通商破壊作戦を行い月面基地を日干しにして月と地球を分断。然る後……」
視線を強めて、
「示威行為として地球降下作戦を行うことを提案しますわ」
☆☆☆
「我々の戦争目的は、地球征服ではありません。無論、恒久的な占領でもない。正直、ようやく”人口1億”を数えるプラントに大規模な占領作戦は不可能です」
そして再び始まった最高評議会である。
ちなみに「1年ごとに議長を議員が持ち回りでやる」原作プラントの政治的悪癖は、この世界線では是正され「議長の選出は議員の投票。基本任期は4年」で、その間も議員の多数決で罷免もできるし、無論、辞任の自由もある。
そもそも町内会の幹事じゃあるまいし1年で政治的成果を出せというのは土台無理な話で、「少しは腰を落ち着けて政治を行う」をモットーに最高評議会改革は以前に行なわれていた。
「この戦争の目的は、宣戦布告してきた地球連合に『我々の再支配・再植民地化は不可能』なこと、『我々を敵に回せば、いかに損をするか。コストパフォーマンスが悪いか?』を理解させるとです」
レノアは苦笑しながら、
「おそらく地球連合の裏で糸引いてるのはブルーコスモスの飼い主、ロゴスとかアズラエル君でしょ? まあ、アズラエル君は大分拗らせちゃってるみたいだけど……それでも彼も企業家だもの。損切りの見極めくらいはできるでしょう」
戦争の目的を明確化する。ブルーコスモス、そして地球の軍需産業産業複合体の”ロゴス”……どちらもレノアには馴染みがあった。
「戦闘も大事だけど、それより大事なのは外交ね。まずは反地球連合の非プラント理事国、そして中立国を中心に……かしら? 重要なのは”地球上にプラントの味方”を作ることよ。コーディネーターの人口比率が多い国が狙い目ね」
(あと一応、
「外交か……」
プラントの外交チャンネルの乏しさ、貧弱さはその成り立ちから言って宿命的な物だ。
特に「コーディネーターを排除すべし」という人間が随分と増えてしまった昨今では。
「シーゲル、難しい顔をするのもわかるし、実際に難しいこともわかるわ。でもやらなくちゃいけないのよ。戦争が政治の一手段であり、外交は戦争の形態の一つである以上、政治家である我々がね」
そしてレノアはクスリと笑い、
「それに実は私はこれは良い機会だと思ってるのよ。プラントに蔓延る、狭く閉ざされた箱庭のような世界を耽溺する”引きこもり体質”を是正するね」
☆☆☆
「よお♪ ”大尉”昇進、おめっとさん。アスラン」
「ヴェステンフルス中尉」
母親を連れ帰る”お召艦”を兼ねてアプリリウス市へ”ヴェサリウス”は帰港していた。
まあ、正規艦隊ではなく軍研究所管轄の特装実験艦扱いなので、母港はザフト本部のある”首都”になるのは必然だろう。
「相変わらず堅いねぇ。俺の事はハイネでいいっていつも言ってるだろう?」
同僚であり、アカデミー時代の先輩であるこの男、その名を”ハイネ・ヴェステンフルス”という。
「それに階級で言えば、お前さんの方が今や上官なんだぜ?」
「まあ、それはそうですが……」
対してアスランは困惑顔だ。
まあ、帰港したら軍令部に呼び出され昇進の手続きを言われたのだから仕方が無い。
それも理由が「ユニウス・セブンの核攻撃を未然に防いだ」ご褒美昇進というのだから猶更だろう。
「なんだ? 昇進したのに嬉しくないのか?」
「正直、道端で拾った宝くじで1等当選した気分です。俺の功績と言うより”ラウ兄”……クルーゼ博士の功績ですし」
するとハイネは思い出したように、
「ああ、お前の幼馴染っていう”変人博士”ね。あの有名な」
どうやらラウ・ル・クルーゼ、この世界線では奇人変人枠扱いらしい。
まあ、あのテンションならフォローもできないが。
「まあでも、良かったんじゃないか? これでアスランにも”パーソナルカラー”の使用許可が出るだろうし、新型機も回ってくるだろう」
「ああ、そういえば俺、本職はモビルスーツのパイロットでしたっけ? 最近、艦長席ばかりにいたので危うく忘れるところでしたよ」
皮肉気に笑うアスランに、
「ヲイヲイ。大尉となれば、艦長どころか1個部隊を率いる隊長だろ?」
「まあ、何とかしますよ」
「淡白だねぇ」
「基本、軍で出世するのはそこまで興味ないんですよ。上へ行けば行くほど、やりたくもないデスクワーク増えるのわかりきってますし」
「じゃあお前さん、一体何がやりたいんだ?」
「強いて言うならロボット工学の研究者……かな? そもそも
「勤勉なこって」
「まあ、暇を持て余したというのもあるんですけどね……」
数年前……やたらと手のかかる「何でもできるくせに面倒臭がって何もやりたがらない幼馴染(♀)」と別れてから、不意に日常がひどく味気なくなってしまった。
『俺の方こそ”
だが、このまま腐っているのもなんだしと、灰色に変わりつつあった日常を振り払うように「自分のやれること」を必死に行い、その結果としての飛び級だ。
(キラは、相変わらず怠け者なのかな?)
不思議と憎めない、むしろダラダラしてる姿が愛らしく見えてしまう幼馴染を思い出しながら、
「それとも、ちょっとは女の子っぽくなったか?」
「あん?」
「いいえ。何でもありませんよ。ハイネ
☆☆☆
同時刻、”ヘリオポリス”
「へっくちん」
「キラ、風邪?」
「ううん。そうじゃないと思うけど……ありがと。ミリー」
「どういたしまして♪」
二人の再会は、まだ1年近く先の話だった。
ご感想で指摘がありましたが……レノアさん、やってることがほぼ「ハマーン様」というw
ハマーン様との違いは、
・男運は悪くない(旦那はマダオだが誠実な愛妻家)
・モビルスーツには乗らない(代わりに息子が乗る。それもなんか赤いの)
そして、出てきましたね~。
まずはフライングにも程があるハイネ。アニメじゃないので中の人の大人の事情とか関係なく、どうやらアスランとは長い付き合いになりそうです。
そして、最後にちらっとキラ(♀)。
一緒に話してるのは多分、ミリアリアです。
なんか仲間内では「優秀なクセにポンコツ可愛いマスコット」的な扱いを受けてそうw
ちょっとネタ公開
この世界線のキラ、ヘリオポリス組の中で一番ちっこく(本人は150㎝はあると主張)、いわゆる”ぺたん
おかげでフレイより年下に見られるのが常と言う……というか、フレイから絶対に年上扱いされてないだろうなぁ~と。
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