R18ソシャゲの世界に転生したのだが、無条件の忠誠心を示す『英傑美少女』たちが恐ろしい件   作:たたたった

3 / 12
邪知暴虐の王

 

 ガチャ石で召喚される美少女たちは経歴も種族も様々だ。

 善神から悪神、天使と悪魔、多様な亜人種、人間種、魔物娘、と数えきれない程にあり、そこに個々の性格や価値観が加われば、統率なんて不可能な程の混沌とした軍団が誕生するだろう。そんなおよそ統一性の欠片もない英傑美少女たちが心を一つにして纏まっている理由は――――召喚者である国王という存在が君臨してるからだ。

 

 召喚された英傑美少女同士の仲はすこぶる悪い。

 種族的に相容れない者、善性の存在と悪性の存在、レアリティという明確な格付けから来る劣等感、各々のプライドの問題、価値観の違い、呼び出される者が誰もが『英傑』と称されるほどの美少女であるからこそ、その強烈な個性のぶつかり合いは火花が散ると称するには控えめで、国王である俺の住処の王城は『英傑美少女』たちの衝突による伏魔殿(パンデモニウム)と化していた。

 

「おいっ、そこはアタシの担当だろ?勝手に持ち場を取るんじゃねぇ……ッ!」

「これは申し訳ございません。主様のお部屋に毛玉がありましたので、メイドとして清潔に保つのは当然とばかり」

「あ゛っ?どこに毛玉があるんだよ?」

「そんな凄まれなくとも、()()()の始末を付けるのは同じメイドとして当然のことです……ですから、矛先を収めてください」

 

 俺の部屋の入口では人狼の赤髪のメイドと魔族のメイドが言い争いをしていた。

 同じ役職であろうと瑕疵があれば引き摺り落とすチャンスを虎視眈々と狙っている。国王の私室となれば、掃除をする名誉を欲しさに相手を殺すことも厭わない雰囲気を放つ彼女たちは、俺の存在に気付くとすぐさまにひれ伏す。

 

 喧嘩の仲裁……しないとマズいよな。平等に裁かないと不和を招く。どちらの証言が正しいかなんて分からないけど、彼女たちからすれば絶対者である俺の判断は間違うはずがないと思っているから選択すべき行動は――――

 

 Q.さて、問題です。言い争いをするメイドの両者の証言を裏付ける証拠はありません。しかし、国王である俺は公平に裁き判断を間違えてはならないとしたら、どういった選択が最も正しいのでしょう?

 

 A.全ての責任を国王が背負い込む。禍根を残さぬように、理不尽な制裁を両者に与えて喜ばせてあげましょう。

 

「下級メイド共が、そんな些事で俺の耳を煩わせるな。お前たちには平等に罰を与えてやる」

「ありがとうございます!主様!」

「主様の御身足に踏みつけにされる栄誉に授かれるなんて、私はとても光栄に思います!」

 

――――喧嘩両成敗。このメイドたちの関係を悪化させないために、俺は平等に彼女たちにとってはご褒美と言える罰を与える。

 

 

 足の裏でグリグリと手入れの行き届いた綺麗な髪を踏みつけにして、まるで咲いた花を踏みにじるような罪悪感に見舞われながら、たっぷり嗜虐的な罵りも忘れずに床にキスするメイドたちを見下す。

 

「舌で靴を舐めて綺麗にしろ。お前たちの汚言を放つ口に相応しい、囀るよりも舌を使って埃でも毛玉でも舐め取れ!」

「ひゃっぃ!ひぃたで、よごれをなめますぅっ!」

「あるじさまの汚れを……しぃたでなめられるなんて……ッ!ありがとうございます……ッ!」

 

 喜悦の表情を浮かべて、感涙にむせいで靴を舐めるメイドの姿。仲を取り持つ為とはいえ、悪役を演じている俺の方が遥かに涙を流したい状況だった。

 忠誠心MAXであるからこそ、その身を捧げて支配されることを至上とするマゾヒストの精神。そんな召喚された美少女たちの心を満たすために、SMプレイに付き合わされる俺の身になって欲しい。

 

 本気を出したら……このメイドたちだって、俺を一瞬で殺せるんだよな……怖いなぁ……。

 

 まるで気分は猛獣使い。判断を一歩誤れば、激情に駆られて暴発した暴力に命を刈り取られる危険を覚える環境、適度に飴と鞭を与えねばならず、鞭の加減を間違えれば喰われるのはこっち側というスリル。もし俺が真性のサディストだったとしても、こんなプレイを本気で楽しめる訳がない。

 

 むしろ、真っ当な感性をしている方だと思うので、鞭という飴を与える度に俺の良心がガリガリと削られていく。

 

「上手に舐められたじゃないか。ふむ、お前たちは2人で掃除をした方が良いだろう。半人前同士でも、くっ付けば多少はマシになる。くくっ、この綺麗になった靴がお前たちの有用性の証明だ!」

「はっはい……ッ!主様の仰る通りです!」

「私たちはこれからは2人で部屋の掃除を――――ふぎゅっ?!」

「誰が顔を上げて良いと言った?メイド如きが王である俺の顔を拝めると思うな」

 

 踏みつけ十八足、顔面スタンプ。

 

 理想の国王を演じる為に寝る間も惜しんで考えて嗜虐のプレイ。

 『英傑美少女』の被虐心を満たすにはどうしたら良いかと、俺の少ない人生経験から知るうる限りのSMプレイの知識や尊厳を傷つけ被虐を高める行為を必死に思い出して編み出した技。

 

 美少女の顔面に靴裏を乗せるという正気とは思えない最低の行為を、俺は喜びに満ちた表情を作って行わなければならない。

 

「とはいえ、下種なお前たちにもいずれは貴種である俺の子を仕込んでやろう。王である俺の高貴な血によって薄汚れた血を綺麗にしてやる。母胎としての価値は見出したのだから、その身をいたずらに傷付けるなよ」

「アタシがお世継ぎの御子を……?はっ、はい!この身は常に最高の状態を保ちます!」

「メイドの身分である私が……王の貴種を授かれる……あぁっぁぁ、ありがとうございます!」

 

 自分で言っておきながらなんだけど、これって最低のセクハラ発言な気がする……でも、この世界だと最高の誉め言葉なんだよな……。

 

 世界に存在する繁殖可能な男は、国王である俺しか存在しない世界。

 唯一の番いと呼べる存在に、繁殖する価値を認められることは彼女たちには最大の名誉なことであるらしい。

 

「これからは不毛な争いはよせ。せっかくの母胎が壊れたらつまらんからな」

 

 こう言い含めておけば、伏魔殿(パンデモニウム)と化した王城内も少しずつ落ち着く。

 国王である俺の子を授かれることは『英傑美少女』にとって最大の栄誉。そしてその機会を与えられたならば、手放すような愚を犯そうという気なんて絶対に起きない。

 

 俺の貞操を切り売りして配っているようなものであるが、1年後の戦争に負けて闇の軍勢に世界を支配された上に、雌ゴブリンや雌オークたちの生涯種馬肉奴隷として暮らすより遥かにマシだ。

 

 嗜虐的な王として振る舞い『英傑美少女』の忠誠心を保ち、俺の貞操を担保にして伏魔殿(パンデモニウム)と化した王城の治安を維持する。

 生き残るのならばなんでもしてやる、そんな覚悟で王城内の治安の維持に努めようとしていると――――

 

「邪知暴虐の王よ。仕えるべき騎士の務めとして、主君の間違いを私は正しにきた」

「『剣聖の騎士クランべリア』……?」

 

――――『英傑戦記』の風紀委員的なポジション。白銀の鎧を着た女騎士、王城内で最大戦力である『剣聖の騎士クランべリア』が兜を取り、長い黒髪を靡かせながら剣をこちらに向けるのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。