R18ソシャゲの世界に転生したのだが、無条件の忠誠心を示す『英傑美少女』たちが恐ろしい件 作:たたたった
色欲の強い主人公を窘めるような風紀委員長キャラの登場。
R18ソシャゲでは即堕ち要員ともいえる属性であり、誰もがエロに肯定的であるとスパイスのように反抗的なキャラを投入するのは当然の流れだろう。
スケベな主人公にお仕置きをし、場合によっては逆襲されたりと、よくあるエロイベントであるのだが、その当事者として『剣聖の騎士クランべリア』という英傑美少女に剣を向けられるのは肝が冷える状況である。
対峙するのは本物の一騎当千。
単騎で数千の兵士とすら渡り合える『英傑美少女』が冗談ではなく本気で立ち塞がっている。俺からすれば巨象がその大きな前足を掲げて、今にも目の前の小さな蟻である俺を踏み潰そうとしている光景にしかみえない。
「忠誠を尽くす従者に対する数多の狼藉、私の騎士道は相手が主君であろうとも見過ごすことはできない」
「ほぅ、騎士風情が国王である俺に逆らうと言うのか……面白い」
狼狽えるな……ッ!決して怯えや震えを見せるんじゃないぞ……ッ!
俺は虚勢を張り、精一杯の傲慢な態度を振る舞うことで反逆の騎士に対抗する。
弱さは見せない、隙を作ればつけ込まれ、あくまでもこちらが上であるという立場を示す続けることで、クランべリアが先手を取ることを防いでいるのだ。それは人間を相手に蟷螂の斧を振りかざす昆虫のように、彼我の実力差がハッキリしていようと国王という権威によって場を支配する。
対するクランべリアは黒曜石の輝く瞳は凛として俺を射抜き、その意志の強さを窺わせる美しい顔立ちは真剣な表情のままにこちらを睨む。その瞳には憎悪や嫌悪などは窺わせず、国家反逆の罪を被ろうとも王の愚行を止めようとする騎士の固い決意が垣間見えた。
全肯定するマゾヒストの美少女集団に居るから誰も止めないけど、俺の行動なんて傍からみれば愚王ムーブそのまんまだからなぁ……。そりゃ、忠義の騎士であるクランべリアからすれば例え剣を向けてでも止めようとするのは当然。
忠誠を誓う美少女たちの頭を踏みつけ、現代ならコンプラ的にアウトな罵倒を繰り返し、国王という立場を利用しての尊厳破壊とセクハラ三昧、ここ最近の活動を思い返すと俺はロクなことをしていない。それがマゾヒストな美少女たちの望んだ王としての振る舞いとはいえ、真っ当な価値観を持っているクランべリアからすれば義憤によって行動するのも頷ける話。
彼女の忠誠心が下がった訳ではない。高い忠誠心からくる真っ当な行動と思えば突破口は存在する。
「ならば、この俺を斬り捨てるがよい!」
「なっ、なにを――――ッ!?」
クランべリアは狂言に大きく狼狽えた。そして主導権を握るように彼女に向って大きく一歩前に進み、胸先に剣が突き付けられる事態になって動揺が激しくなる。少し力を籠めれば心臓を貫く位置、それでも恐怖を滲ませずにハッタリを大きくかます覚悟は俺にはあった。
忠誠心の高さを逆に利用してやる……ッ!試すんじゃなくて、試される立場にお前がなるんだよ!
『英傑美少女』たちとの望まぬSMプレイによって培われた技術があるとすれば、心の機微を見抜いて駆け引きに使う胆力だろう。
相手は猛獣よりも強大な力を有する美少女たち。そんな彼女たちを罵倒し、時にはセクハラも辞さない覚悟で接していれば、越えてはならないラインというものが直感で理解できるようになる。
実力差は蟻と象、つまりやり過ぎて反射的に手を出されれば俺は死ぬ。マゾヒストな美少女たちの被虐心を満たしてやりつつ、あくまでも理性と自制を失わない範囲で楽しませなければならないのだ。それはまさに極限のSMとしかいえない生死を賭けたプレイ。
国王という立場でありながら、従者に奉仕するという歪な支配構造の犠牲者である俺には、クランべリアが
「聞こえなかったか?俺が国王として相応しくないと思うのならば――――その剣を振るって殺せ!」
「まっ、待て!私はそこまでは望んでいない!騎士が王に剣を振るなど……そんなことは、あってはダメだ!」
「なら、なぜ俺に剣を向けた!答えろ、剣聖の騎士クランべリア!」
「――――――――ッ!!ぁっ、わっ、わたしは……」
覇気のある声音で恫喝するように問うと、クランべリアは幼子のように声を震わせて項垂れる。
美少女たちに罵倒を乞われて覚えてしまった恫喝の発声の仕方。嗜虐的な国王としてマゾヒストな彼女たちに完成させられていくのを感じながら、震える剣先を素手で弾いて更に一歩と進み、肩を掴まれて身体を竦ませるクランべリアと間近で相対する。
これが彼女の望んだ俺に望む被虐の形――――強権的で支配的な父親のような国王に心を囚われたいのだ。
「こちらを見ろ、クランべリア!国王である俺の命令に従えないのか!」
「ぁうっ……はい……申し訳ございません……陛下」
やめろ……そんな怯えた目で見るな!これじゃ俺がイジメてるみたいだろ!
親に叱られる子供のように身体を縮めるクランべリアは、もう騎士としての誇りなどないただの女の子だった。
国王とはいえ圧倒的な実力差がある相手に怯え、窺うように上目遣いでこちらを見る彼女の瞳の奥には、どこか心が満たされているかのように輝きが灯っている。
父性を求め、頼りになる父親としての姿を国王である俺に望んでいる。仕えるべき主君を父親とみなす程の忠義と依存、その望みに応えるにはどうすれば良いか、俺は必死に頭を回転させて考えて行動する。
「お前の忠誠心は見事だった。反逆の罪を犯すことも厭わずに、剣を向けて俺を諫めようとするとはな。クランべリア……俺はお前のような従者を得られたことを誇りに思うぞ」
「私が陛下の誇り……」
まずは肯定してあげるのが大事だと本で読んだ気がしたので試してみる。どうやら効果はあったようだ。そして求められているプレイの方向性というものが見えてくる。まずは持ち上げて、次に突き落とすことにしよう。
「だが、俺にはあまりに過ぎた騎士だ。お前の言うように間違いを犯した主君の傍に置くべきではないな」
「そ、それは違います!私が尽くすべき主君はあなただけです!」
打てば響くように捨てられると思えば、すぐさまに縋り付くクランべリア。肯定され、褒められた分だけ落差は激しくなり、黒髪の騎士はすぐさまに跪いて頭を垂れて懇願する。そして奈落に落としたら、今度は道標となる光を灯してやればいい。
「そうか。ならば、お前はこれからも俺の騎士だ。だから、自信を持って顔を上げろ」
「陛下……?そ、そんな私如きのために片膝を突くなど……ッ!」
「そこまで自分を卑下することはない。お前は俺の騎士だ!その誇りを胸に抱いて強くいろ!ここまで国王にさせる価値が、『剣聖の騎士クランべリア』にはあるんだぞ!」
「――――――――ッ!!はいっ!」
片膝を突いて目線を合わせるような姿、国王が従者である騎士の視点に立ってくれるというアピールは、クランべリアの心に大きな衝撃をもたらしたようだ。
大切なことはクランべリアが自身の価値を信じる基準は国王である俺が認めているから。主体は己ではなく、主君として仕える俺に軸を移すことで精神を深く依存させ支配する。まるで洗脳をしているようであるが、こういう形を望んでいるのは他ならぬ『剣聖の騎士クランべリア』自身。
そもそも英傑とされる美少女たちが、こんな簡単に洗脳される訳がない。洗脳されるというプレイを楽しんでいるのだ。そして何度も持ち上げられては突き落され、その落差に酔いしれるクランべリアの瞳には心酔と依存の色が強く浮かぶので、ここで一摘まみのスパイスを施せば完成だ。
「とはいえ、主君として定めた者に剣を向ける騎士には罰が必要だな。ならば、恥辱を与えよう――――首を晒せ」
「はい。陛下――――んっ……ッ!」
「これからお前は反逆の罪を犯した罰として、鎖に繋がれて俺に連れ回される。従者たちの誰もが、国王に剣を向けた騎士に侮蔑と憎悪の視線を向けられるだろう。だが、これはお前の犯した罪の結果であるから受け入れられるな?」
「当然の処罰でございます。反逆の騎士である私に、陛下からのご温情を授かり生かされるだけでも、言葉に尽くせぬ感謝が湧き上がる思いです……ッ!生涯、陛下の剣としてクランべリアは……ッ!いえ、この血筋が続く限りの忠義と忠誠を!」
良い感じのプレイになって満足してくれたかな?うん、これから首輪を嵌めた女の子を連れて回るなんて……どんな恥辱プレイだよ!
長い髪を掻き分けて首を晒すクランべリアに首輪を嵌めて鎖というリードを掴み引っ張る。
ここで満足していなかったら、鎧を脱がせて全裸で連れて回らなければいけないが、どうやら首輪を嵌められるだけでご満悦らしい。
そしてこれから始まるのは、忠誠心の極まった『英傑美少女』たちによる、プレイではなく本気の罵倒と蔑みの視線を向けられる罰。これによりクランべリアの王国内の地位は最底辺に堕ちるだろう。
本当にやらないとダメ?えっ、マジでやる気なの……?
「本当に良いんだな?後戻りはできないぞ?今なら、全裸で土下座だけで内密に済ませてやる」
「陛下に剣を向けた大罪。その罪を私は全て受け止めます」
助け舟を出すが瞳の意志は固く、本気で王城内を晒し物になる覚悟があるようだ。
ちょっと怖かった。というか、本気で怖かった。『英傑美少女』の本物の殺気と憎悪を一身に受けることになるクランべリアは、もう完全にそういうプレイで乗り気であるが、そんな状況を作り出させる立場に追いやられる俺の罪悪感が凄まじい。しかし、ここで公的にちゃんと処罰をしなければ、
「クランべリア。例え、お前が王国内でどれだけの侮蔑と誹謗中傷を受けて底辺に堕ちようとも、俺だけは最後までお前を見捨てず、そしてその価値を認め続けることを誓おう」
「っ~~~~~~~~!!ぁっ、ありがとうございます!陛下!」
気休めにしかならない言葉であるが、それでもクランべリアの心には届いたようだ。
不安と緊張なのか顔を赤くして身悶えする彼女の首輪に繋がれた鎖を掴み、王国全体に『剣聖の騎士クランべリア』の罪を公にするための連れ回しという罰を与えることにする。