R18ソシャゲの世界に転生したのだが、無条件の忠誠心を示す『英傑美少女』たちが恐ろしい件 作:たたたった
この世界において最も強い存在は英傑美少女ではなく召喚者たる国王である。
召喚能力と引き換えに本来の力を失い弱体化した王。チュートリアルの段階では一般兵と同程度のステータスであるが、闇の軍勢との本格的な戦争が始まる1年後にはUR相当のステータスを取り戻している。最終的な強さは最高リアリティのGRの英傑美少女たちの完全上位互換、つまり最強のユニットとして戦場を荒らしまわれる程の実力なのだ。
もちろんリスクは当然ある。盤上遊戯の将棋やチェスのように王が討ち取られたら敗北。ヒーローエネミーの可愛い魔物娘に負けるのならば逆レイプのエロシーン展開であるが、雑兵のゴブリンやオークに負けるとマゾ向けにしてはハードな絵面を眺める結果となる。
ゲームならば一定期間後に復帰、しかし現実となった現在ではどのような末路になるかなんて分からない。それにいくら可愛いと言っても望まぬ凌辱、期間として考えると1年近くも種馬として監禁されることを想像するだけでも恐ろしい。
そしてしばらくすれば戦場でその時に生まれた娘と対峙するシリアスな状況に陥るのだ。
「ふははは!とうとう俺も力を取り戻せる機会が訪れたぞ!この宝玉の力により最強へと駆けあがるのだ!」
椅子に座る俺の手に握られるのは深紅の宝玉。視界に映る半透明のディスプレイには『チュートリアルモード終了』のお知らせが届き、数多の英傑美少女に強要されたSMプレイによって摩耗した精神に活力が戻ってくる。
これは『上限解放の宝玉』という余りにもストレートすぎる名前のアイテム。使用すれば英傑美少女を召喚する能力を得たことで失われた力の1割ほどが戻ってくる。本来の実力である力の10分の1と考えれば小さくみえるが、国王と臣下でありながら実力差は蟻と象という状況から脱却することができる。
少なくとも最低レアリティのコモンの英傑美少女よりは強く、レアの英傑美少女たちと同等の強さ。臣下のレアリティの分布を考えれば、約9割もの英傑美少女たちに対して心の底から怯えなくても平気になれるのだ。
これで平手打ちされたら首が折れることを心配したり、胸を叩かれるだけで臓物を抜かれるような状況からおさらばできる!
マゾヒストな英傑美少女たちの望みとはいえ、猛獣を調教するようなSMプレイには精神がガリガリと削られていた。加減を見誤って激情に駆られた彼女たちの平手打ち一発で俺の人生は退場させられる危険が常に付きまとっていたのだ。英傑と呼ばれる存在の自制心はその程度で暴走する訳はないと思うが、絶対に人のことは噛まないライオンが居たとして、その檻の中で日常を平然と過ごせる人間など存在しないだろう。
それくらいに俺と英傑美少女たちのスペックは違っていたのだ。だが、これでもう安心だ。宝玉の力によって全盛期のおよそ1割、末端の英傑と同等の力を手に入れる。
「さぁ!これで俺の実力を――――おぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺は椅子から立ち上がり天に捧げるかのように掲げた宝玉に力を籠めて握りつぶした。途端、全身を満たすのは力の渦。万能感による陶酔と漲る肉体の生命力に思わず雄叫びを上げながら、熱を持つ身体が冷めやらぬうちに家令のセスラが恭しく礼をして跪く。
「おめでとうございます、陛下。その力の一端を我が身で授かれる光栄、選ばれる栄誉に俗せたことを心からの感謝と忠誠を」
「おおぉぉぉぉぉおぉ――――お、おぉ?えっ……うん……えーと……?」
燕尾服を纏った男装の麗人であるSSRの『家令のセスラ』。その胸部がはち切れんばかりの胸元に白手袋を当てて、揺蕩うように心酔に陥った金色の瞳で俺のことを見つめていた。ふんわりとした紫色の髪のセミロング、山羊の角を覗かせる頭部は悪魔の印、そんな彼女が国王である俺の前で胸を開けさせるので困惑するしかなかった。
そしてしばらくの思考の空白のあとに気付く。あっ、これご褒美エッチの展開じゃん、と。そうだった、プレイヤーである主人公が英傑美少女たちとエッチをするのはレベルが上がった時か、戦いで勝利を収めた時、基本的にめでたい時に子作りをするのが習わしであり、それがより良い子孫を残せる方法として世界に定められた掟に近い。
つまり俺が家令のセスラしか居ない状況でレベルを上げたのは、お前を世継ぎを設ける相手として認めたというようなものであり、性欲と被虐の詰まったピンク色の脳内の持ち主である英傑美少女たちにとっては
興奮していた身体から熱が引くように一気に冷めていく。国王である俺は種付け必中、ヤれば確実にデキるという恐ろしい能力の持ち主なのだ。
逃げ道は……な、い……?えっ、これ世界が止まってるの?もうそういうルールって、子作りしないと絶対に出られない部屋が実在する頭の悪い世界観なの……?
逃げよう、と思った時には周囲の時間が止まっていた。国王である俺と家令のセスラだけが動いている世界、着崩して誘う彼女を無視して部屋の扉に手を掛けるがビクともしない。私室に掛けられた時計は止まっている。
世界に子作りセックスをすることを強いられている……ッ?!なんだ、この世界!
そうだここは頭の悪いR18のエロソシャゲなのだと改めて認識させられた。
こんな異常事態になっても当たり前のように順応し、ベッドの上で豊満な身体を晒すセスラさんは俺を待っている。国王が初めての夜伽の相手として自分を選んだ事実が嬉しくて堪らないように、そして悪魔のように蠱惑的な笑みを浮かべて妖艶に誘う。白手袋は嵌めたままの彼女に、そういえばエロシーンは授乳手〇キだっけ、とアホみたいなことを考えながら途方に暮れる。
きっと俺がセックスをしなければ時間が動かずに世界は静止したままなのだろう。貞操の危機どころか世界の危機だ。こんな馬鹿げた状況で世界の時間が止まっている事実にちょっと引き攣った笑い声をあげる。
「さぁ、陛下……いえ、私の旦那様。どうぞ、その獣欲のままにこの肉体を貪りください」
「ふっ……少し待て、あまり急かすのではないぞ。世界は俺たちを祝福して時間が止まっているのだからな」
「旦那様のためだけに世界が時を止めるなんて……本当に選ばれた最後の男なのですね」
誰かツッコめよ。子作りのために止まる世界に突っ込めよ、ツッコんでください……。これヤらないといけない流れだよな……いや、別に良いけど、別に童貞じゃないから別に良いんだけど……ッ!子供が出来るのはちょっと覚悟が……あっ!設定画面で避妊を選べ――――ちくしょう!もうシーンが始まっているから、そういう分岐は
半透明のディスプレイの画面が機能していない。つまりシーンが始まっていることを意味し、本番種ありということで世界が納得してしまったのだろう。頭悪いなこの世界!と内心で悪態を吐きながらも、こうなってしまっては仕方がないので、やることはやることにした。
そして悪魔は人を堕落させる意味を身を以てして理解し、その手練手管を味わってしまえば危うくオトされそうになるのを既の所で踏みとどまり本物の好色堕落王になることだけはなんとか防いだ。
「生まれる子は内政に従事させる。決して戦場には連れていかせないからな。悪魔の叡智が生きるのは武力ではない」
それっぽい理屈を述べながら、生まれる子の処遇は戦場とは縁遠い内政に携わらせることにした。というか、子供を戦場に平然と立たせるなんて親のすることじゃない。そりゃ血統的には優れて強いだろうが、生きるか死ぬかの状況に追いやるとか鬼畜そのものだ。セスラも国王である俺に抱かれて酔いしれているので聞いているか怪しい。
レベルアップと戦勝の時は不可避のエロイベントか……これは覚えておかないと。
恐らく、というより確実にこの件は王城内で瞬く間に広まるだろう。
そうなると英傑美少女たちによる国王の貞操の奪い合いが始まる。あらゆる状況、機会、その全てに目を光らせて子作りチャンスを窺って血で血を洗うような刃傷沙汰が確実に起きる。今回のように不意の出来事ならともかく、『戦勝』などの分かりやすい機会となれば戦争の次は内紛が起きるのは避けられない。
「事前に決めておかなくちゃ……誰をどの順で抱くのか。それもその後の生まれる子の処遇と責任も……これ、思ったより大変だな……」
闇の軍勢との戦争、伏魔殿と化した英傑美少女たちの王城内の力関係、そして内政パートの国家経営とやることは山積みである。ハーレムとか気にしてる場合ではなく、全てを上手くやらなければ破滅する状況。それも自分の命だけならまだしも、英傑美少女たちや国民となる者たち、そして生まれる俺の子供たちと、背負うべきもの全てに対して国王としての責任があるのだ。
「まっ、やるだけやってみ――――」
「大変です陛下!王城内で臣下たちの喧嘩があちこちで勃発しております!」
忠誠心MAXの英傑美少女たちの貞操を賭けた血みどろの争いのゴングは鳴った。次は誰が国王と寝るのかを巡って、当人を差し置いて今のうちに序列付けを画策する彼女たちの、闇の軍勢との戦争を前にしてその前哨戦となる争いとその仲裁のために俺が城内を駆け巡ることとなる。