キヴォトスの連邦公用語とか分からんし   作:十文字マトン

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殺人事件(本人は器物破損程度としか思ってない)


IF~A-2 ※殺人事件

「ひっ!?」

 

「......アコは下がっていいわ」

 

「い、いえ。大丈夫です......ちょっとだけ驚いただけです」

 

 空崎ヒナと天雨アコは、事件が発生した現場に急行した。

 

 ──ゲヘナ自治区に殺人事件が発生した。

 

 最初にその通報を受けた火宮チナツは、そこまで深刻に捉えていなかった。

 

 キヴォトスの人は、寿命以外の死はかなりめずらしい。強盗、テロ、組織間戦争が毎日のように起きるゲヘナ自治区で風紀委員会をやっている彼女達ですら直接「人の死体」を見たことはなかった。

 

 そのため、チナツはその通報がいたずらと判断しながらも、義務上確認しようとした。

 

 一応内容は重大事件になるため、手順通りに委員長であるヒナに報告した。するとヒナはこの前に聞いた妙な事件を思い出した。

 

 何となく嫌な予感をしたヒナは、自ら現場に行くことを決めた。アコは特に呼ばれてないが勝手についていった。

 

 そしていざ現場に来たら......そこには見るのも耐え難いほど無惨な死体だった。

 

 被害者は三()。この辺りの裏社会の幹部とその護衛の二人。

 

 幹部は最近敵対組織から懸賞金をかけられたが、この世界で殺害することは極めて困難のため、懸賞されたといっても基本的に拉致が目的。

 

 しかし、今回は違った。

 

 間違いなく死んでいる。しかも殺害された。

 

 流石にヒナにも少し動揺したが、すぐに冷静さを取り戻した。

 

「アコ、大丈夫?」

 

「......行けます」

 

 吐き気を必死に耐えながらも、アコは現場の確認を始めた。

 

 三人とも死亡原因は銃撃。幹部は胸部、護衛の二人は頭部に致命傷と思われる銃創があった。

 

 被害者の持ち物と思われる物が地面に散乱し、元々リュックや鞄に入っていたものが無理やり引きずり出された形跡が残っている。

 

「......犯人は、何を探しているでしょうか?」

 

 何か消えたのかわからないが、逆に何か残っていたのを確認し始めたアコ。

 

「財布、端末、密輸品と思われる禁制品......データ保存用のデバイスも手付かずです。これらを放置してまで奪う価値のある物となると、オーパーツの類でしょうか?」

 

 アコの分析を聞きながら、ヒナも財布を手に取った。開いてみると現金と幹部の顔写真がついてる身分証明が入っている。間違いなく被害者の私物である。

 

 恨みによる殺害なら持ち物を漁る必要はない。強盗なら財布から現金を抜き取るはず。敵対組織の襲撃ならデータをも奪った方が組織のため。それらがすべて残っているということは、犯人はかなり特定の物を狙っていた可能性が高い。

 

「? これらは被害者の私物なら、これを入れるための鞄とかあるはず。それだけとったのか?」

 

 戦闘中で破壊される可能性もなくはないが、あたりにそういう残骸が見られない。被害者が普段自分の物をビニール袋に入れてるでもない限り、犯人に持ち去られたと考えたほうが自然。

 

「鞄だけ? 高級ブランドのものでしょうか? それとも別の意図......」

 

 同時に、ヒナは理由だけでなく方法について考え始めた。

 

 先日、救急医学部の部長である氷室セナから連絡があった事件を思い出す。

 

 ──「医療を求めてきたスケバンは肩に銃による銃創を受けた」という、雷帝の遺産が絡むかもしれない一件。

 

 詳細を聞いたところ、正体不明の生徒がスケバン集団からハンドガンを奪って、その銃による銃撃を受けただけで肩が貫通されたとのこと。*1

 

 ヒナも自身の火力に多少の自信がある。普通の不良なら愛銃で掃射すればほぼ一発で戦闘不能にできる、たまにそれで怪我する人も出る。しかし、やっぱり「銃創」ができること自体がほぼあり得ない。

 

 セナは雷帝の遺産との関係性を疑っていたが、ハンドガンを何度も検査したものの普通の銃という結論になった。つまり、雷帝の遺産が絡んでいるとしても、銃そのものではない。

 

 なら、まずは前回の関係者から詳細を聞くべきだ。

 

「アコ」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「セナに連絡して」

 

「セナさんですね。分かりました」

 


 

「まさか、本物の死体がこの部室に安置される時が来るとは......」

 

「セナ部長、普段から死体に執着してますけど、あんまり嬉しそうには見えませんね?」

 

「もちろん。私は死体が欲しいだけで、人が死ぬのは望んでいません」

 

「? そうですか」

 

 連絡を受けたセナは、ヒナ達と一緒に現場と死者の調査をし、それから遺体を救急医学部に移動して。先日負傷したスケバンがまだ退院してないため、ついでにもう一度その日に発生したことを聞き出した。

 

「まずは前回のことを整理する、気になる点があったら教えて」

 

「わかりました」

 

「相手は最初に銃を持ってない生徒、特徴のないセーラー服を着用してる。学校名を聞かれたときは答えたが、スケバン達は聞いたことのない学校だった」

 

「少なくともトリニティやミレニアムではなさそうですね」

 

 スケバンは「知らない単語」をとだけ覚えてるが、具体的にどんな発音だったかは全く覚えていなかった。制服も特定の学校ではなく、普通に購入できる制服と思われるため、学校の特定には至らなかった。

 

「でも、見た目は分かった」

 

 風紀委員会には似顔絵を得意とする生徒がいる。スケバンたちの証言から、かなり精度の高い似顔絵が完成していた。

 

「......一応、この件にもマコトに伝えておいて」

 

 風紀委員会と万魔殿の不仲は周知の事実。ヒナ自身、何度もマコトと衝突してきた。しかし死者が出た今、雷帝の遺産と関係するか否か、万魔殿の協力も必要となった。

 

「あの狸ですか......わかりました」

 

「連邦生徒会の方は......返信は来ないと思うが、そっちも一応連絡して」

 

 殺人容疑となると連邦生徒会が対処すべき案件なのに、あそこは最近()()()()()()()()()()()()()()()から、行政自体が麻痺しているという未確認情報が入ってきた。そのせいでエデン条約の締結も危うくなってきた。

 

「風紀委員会の全員にこの似顔絵を配って。もし該当する人物を発見したら、特に行動せずに私やイオリに連絡するように」

 

 方法はわからないが、どうやら犯人には人間を殺す手段とその動機を持ってる。そうなれば、瞬間で制圧するか、遠距離での狙撃の二択となる。

 

「次は、今回の死体から発見した情報です」

 

「お願いします」

 

 そしてヒナの代わりに、会議を主導し始めたセナ。

 

「一人目の死因は頭部ですが、実は胸部にも銃による痕跡が発見されました」

 

「あの凹みか......どうしてこっちは無事になった?」

 

「もう一つ調査報告と照らし合わせる必要があります、こちらです──犯人のバースト射撃は一発が外れたのですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()でした」

 

「ま、まってください。つまり死者達は()()()()()()()()()()()攻撃に殺されたというのですか?」

 

 今までの前提として、ヒナのような強者ですら人体に直接損傷を与える事が出来ないので、犯人はおそらくそれよりも高い威力の攻撃で一撃で損傷を与えたと推測した。

 

 そんな人や武器は今まで存在しないから検証は出来ないが、一撃であの怪我を作るにはこの可能性しかないと思っていた。

 

 しかし、それがいま否定された。

 

「そこはまだ確定出来ませんが......とりあえず、防弾チョッキや防弾盾にはある程度有効かもしれません」

 

「ああ、そういうことね」

 

「? あの、お二人だけ分かったようですが、私にも理解出来るように説明してもよろしいでしょうか?」

 

「アコ、オートマタとオートマタの撃ち合いは見たことある?」

 

「ええ、もちろんです」

 

「オートマタ間での戦闘は、少し厚い鋼板ですら貫通出来ないらしいよ」

 

「ええ、それも知っています......? この状況と同じってことですか?」

 

「私達が同じ銃を使っても人によって威力が違うのは、みんな知っていると思いますが、小学生でもオートマタよりも高い威力が出せます。それこそ、オートマタの装甲くらいは簡単に破壊できます。しかし、犯人はそれが出来ないようです」

 

「......? つまり、犯人は幼稚園児?」

 

「そうではなく、現象としては同じのようだわ。推測だが、犯人は私達を攻撃する時、オートマタからオートマタへの攻撃と同じ威力になる」

 

「......そういうことですね。なら、防御装備を急いで調達します」

 

「ええ、よろしく」

*1
正確には銃が奪われたスケバンと撃たれたスケバンは違うが




つまり......何を意味する??

雑に言うと、キヴォトス人からの銃撃はその人の攻撃力によってダメージが違う。ヒナとかなら戦車を貫通できる。
しかし、戦車を貫通できるとしても、人を貫通できない。

逆に、犯人は床ですら貫通出来ない。代わりに簡単に人体を貫通出来ると推測


もっと簡単に翻訳すると、犯人の攻撃は「地球人が地球の敵兵や兵器に攻撃する時」と同じ現象にしかならないこと。こっちだと当たり前だけど、キヴォトスからしたらそっちのがおかしい。


オートマタ
ロボ市民と違って、ドローンなどと同じ扱い。デカグラマトンの兵士はこっち。
カイザーの戦闘員ロボ市民と見た目が同じせいでややこしいけど、明確に工場から作られた存在のため、神秘持てず、簡単に壊される。
リオがパヴァーヌ2で先生を説得する言い訳として、アリスはこっちだから命ではないとの事。オートマタとロボ市民に違いがないとリオは主人公と同じようにロボ市民を人として見てないやばいレイシストになる(?)
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