キヴォトスの連邦公用語とか分からんし   作:十文字マトン

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ちなみにですけど、「心から相手を人として認識してない状態で相手を攻撃して死に至る」場合、実は日本では殺人罪にならないらしい。法律はややこしいですね。



IF~A-3 交戦

 ......軍服っぽい黒い制服、同じ帽子と腕章を着用した人が増えた。

 

 これまで見た子供たちも制服のようなものを着てるが、どちらかというと学校の制服に近い。しかしこの黒いやつはどう見ても普通の子供ではなく、腕章も加えて同じ組織の者だと考えられる。

 

 武器も数種類に分けてるが、どれも同じ型式で、他の子供のように変なコーティングもされてない。しかも今までの子供が持ってない防弾服に、防弾盾──対人用の透明のやつではなく金属製のタイプを装備してる、明らかにに普通のギャングやマフィアが用意できる範疇を超えてる。

 

 この国の警察や軍隊、もしくは軍閥と思ったほうがいいだろう。

 

 この前に子供を撃ったこともあって、今の私は犯罪者になってる可能性もある。それに言葉が通じないから、もし職務質問されたらめんどくさいことになる。だから意識的にその格好の子供は頑張って避けていたが、心なしかその数が徐々に増えてきてるようだ。

 

 私を捕まえに来たのだと考えるのはさすがに被害妄想が過ぎるが、その可能性も考えた方がいいだろう。

 

 ──その時、後方から足音が近づいてきた。

 

 私は咄嗟にアサルトライフルを握り直し、素早く振り返った。敵意として見られないように戦闘態勢ではないが、実はいつでも撃てる体勢。

 

 しかし、私の警戒に対して、三人の軍服の子供が私を見て、視線がライフルに移した後、何も言わずにそのまま通った。

 

 ......特に私に対して反応はないようだ。いや、銃を持つ識別のない人物にその反応は正常なのか? まあこの国のほぼすべての住民が銃を持ってるから、全員に何等かのアクションを起こしたら何もできなくなるから、これくらいが普通かな?

 

 なら単純に、このあたりに重要な施設があるのか、あるいは軍事演習か、国家の重要人物が関わるイベントが近いのかもしれない。いずれにせよ、この区域は避けた方が賢明だ。

 

 今はまだ金に余裕がある。自販機で買えるお菓子やパンばかりでは栄養が偏るかもしれないが、当面食料に困ることはない。もう少し遠くへ移動しても問題ないだろう。

 

 そう思って、私はその場から離れた。

 


 

 ようやくあの軍服の人たちが多い区域から離れることができた。かなりの数がいたので、本当に私を包囲しようとしてるのではないかと錯覚しそうになるほどだった。

 

 さて、夜もかなり深まってきた。そろそろ安全に休める場所を探すべきか。

 

 周りに人の気配あんまりしないから、隠れる場所を見つけるのはそんなに難しくはないはず......

 

 違う、静かすぎる!

 

 ──突然、右頭部に強い衝撃を受け、気付いたら床に転倒してる。

 

「!?」

 

 脳震盪は......してない! かなり痛いけど、何とか体は動かせる。

 

 何に当たったのかはわからないが、偶然だとは思えない。

 

 なら、ターゲット()を無力化しきれていないと判断された今、すぐに次の攻撃が来るはずだ。

 

 嫌な予感がした瞬間、私は無理に起き上がろうとせず、そのまま横に転がった。

 

 そしてその予感が当たったように、次の瞬間──私が先ほどまでいた地面が、凄まじい衝撃で抉り取られた。

 

 辛うじてなんか飛んできたのは見えたけど、さすがに確認できなかった。

 

 接触後に化学の爆発は起きていないから、爆発物ではなく純粋な衝撃力による威力、のようだが......信じられないくらいに大きな穴が出来た。

 

 どのみち、食らったらただでは済まないだろう。

 

 そう考える暇もなく、私は体勢を立て直し、遮蔽物を求めて走り出した。

 

 具体的な位置はまだ分からないが、地面にぶつけた瞬間でおおよその方位はわかった。私はすぐにその方向から死角になる位置へ移動し、近くの壁の陰に身を隠した。

 

 初撃はおそらく非殺傷の攻撃だが、二撃目は間違いなく本気で殺しに来てる。

 

 砲弾でもないのにあの威力......なんだ? バリスタ? レールガン? 

 

 そんな疑問が頭をよぎる間もなく、私が隠れてる壁が何かの衝撃を受け、同時に、瓦礫が四散した。私もそれに巻き込まれ、バランスが崩れた。

 

 爆弾でも使った!? いや、その音はしなかった!

 

 とにかく早く逃げないと......そう思った時は、すでに遅かった。

 

 倒れてる最中で避けようのない私は、もう一度頭に強打を受け、体が強く吹き飛ばされた。

 

 あ、これは......だめかも。

 

 さすがに連続に頭が打たれるのはまずかったのか、意識が遠くなっていくのを感じる。

 

 頭が一瞬で吹き飛ばされなかったということは、おそらく一撃目と同じ攻撃だろう。もっとも、頭を吹き飛ばされた経験などないので、断言はできないが。

 

 まあ......目が覚めてから考えよう。また、目が覚められるのなら。

 


 

 目覚めると、私は檻に入れられていた。とはいえ、手枷足枷とか特にされておらず普通に動ける。未成年者だからなのか? 割と緩い気がする......まあ、私は拘留された事ないけどこれが普通かもしれない。

 

 スパイ容疑や傷害事件で何をされるかと危惧していたが、特に何もされなかった。これからされるかもしれないが。

 

 私を捕まえたのはやっぱりあの軍服の組織だったけど、多分あの時はすでに私を探していたのだろう。発見したらすぐに交戦するのではなく、遠距離から無力化するという作戦だったらしい。私も銃を持ってるからそれが正しい。

 

 前の世界でも、テーザーガンとかでも服や体質によって効かずに、犯人が暴れ出して警官を撃ち殺す事件は数えきれないほどあった。

 

 檻の外にはもう一つドアがあり、おそらく外に繋がってる。そしてそのドアの横、通路、私の檻のドアそれぞれに、一人ずつ軍服の看守が立ってる。かなり厳重な警備体制に見えた。

 

 まあ、観察するだけで、特に脱獄とかしないけど。そもそもそれができるほど器用でもない。

 

 暇つぶしに看守たちを観察すると、私の視線に気づいたのか、動きがちょっと硬くなったのがわかった。

 

 外で見た時は怖い雰囲気だったが、よく見ると小動物のようにちょっと可愛いかもしれない。まあ、それは私が捕まったことで逆に吹っ切れた影響もあるのだろう。

 

 と、外に繋がるドアが勢いで開かれて、一人の銀髪ツインテールの少女が入ってきた。

 

 これまで見てきた軍服とかなり雰囲気の違う服装をしてる。部外者か、別の部隊の制服か、それとも私服が許される地位なのか。よく見ると肩にも同じ色の腕章が付いているから、部外者という線はないようだ。

 

 下半身に尻尾らしい装飾してるのはちょっと気になるけど。

 

 まあ、とりあえず挨拶してみた。

 

「お疲れ様です」

 

「~~~」

 

 私が軽く頭を下げると、相手もなぜか慌てて頭を下げてくれた。先ほど看守たちに挨拶した時もみんな律儀に返してくれたが、私が囚人だからこちらはしなくてもいいのではないか?

 

「~~~~」

 

 と、やっぱり何を言ってるの全然わからない。

 

「すみません、その言語は分からないです」

 

 ここの看守にも何度も伝えたが、多分この内容自体も通じていないだろう。でも言語が通じないことはおそらく伝わったはず。この銀髪の子はそれを聞いてなかったのか、実は別の言語を試してるのか私はわからない。

 

 何回か会話を試みたが、やっぱり内容がわからないので銀髪の子は諦めて外に出っていた。

 

 それから特に会話されず、看守の人を観察しながら時間を潰した。

 

 ちなみにご飯ももらった、看守達と同じ弁当。最近まともな食事してないせいなのか、めっちゃ美味く感じる......いや多分シンプルに美味いか。食文化は意外とアジアのそれに近いかも。

 

 どのくらい経ったのわからないが、今度は小柄の白髪の子供が入ってきた。なんかすごい色の銃と、多分私が気絶されるまで持ってたアサルトライフルを持ってる。

 

 頭の上のは......角? が結構複雑な形をしてる。

 

 今更だけど、二足歩行の獣がいる時点人間以外の種族がいてもおかしくない。この子がそれかもしれない。

 

 彼女はデザインが違うものの軍服らしい服装に、袖が通っていない長いコートを羽織ってる。そして左肩にも軍服の人達と同じ腕章を付けてる。おそらく上位の者か、その関係者なのだろう。

 

 彼女は三枚の写真を見せてくれた。私が破壊したロボットの写真らしい。多分「お前がやったのか?」と聞いているのだろうが、今更隠しても仕方ないので素直に頷いた。

 

 すると彼女は私が奪ったアサルトライフルを持ち出し、ライフルを指してから写真を指した。これも隠す必要はないので頷いた。

 

 先に強盗と傷害が問われるかと思ったら、ロボットの一件の方を聞かれるだけはちょっとだけ予想外。もしかしてあのロボット高かった? よく考えたら自律戦闘できるロボットは絶対安くはないだろ。

 

 そしたら彼女は何かを悩んでる様子を見せた後。手を振って看守を呼んだ。

 

 看守はそのライフルを受け取って、白髪の子を狙って......え、何してるの?

 

 突然目の前で自殺すると思ってなかったが、反応できる前にすでに銃声が響いていた。

 

 ......でも、どうやら彼女は無事らしい。

 

 外した? どういうこと? 実弾入れてなかった?

 

 看守はそのまま白髪の子に向けてフルオートで撃ち続けた。銃口から何か飛び出したのが見えたから空砲ではないと分かった。

 

 でも、やっぱり白髪の子は特に怪我してない、逆にどう見ても当たらない角度の壁になんかぶつけた音がした。

 

 ......もしかしてこの白髪の子は、銃弾が効かない?

 

 銃弾の軌跡はもちろん見えないけど、角度的には彼女に当たってから壁に弾かれたかも。

 

 あの銃、金属のロボットも貫けるから実銃なのは私が一番知ってるのに......まあ、実際見た以上その事実を疑っても仕方ない。

 

 でも突然それを見せてくれるのはなんだ? 抵抗しても無駄という警告?

 

 確かにこれを見て敵対したいアホはいないだろうし、私も絶対戦いたくないので、かなり効果的だと言える。

 

 そう思ってたら、彼女は手に持ってるライフルを私に渡そうとした。流石に看守に必死に止められた。

 

 ......何をしたいだろうこの子。




イオリやっぱり強いね、変な後退したせいで二発目だけよく外す以外


ヒナが何をやろうとしてるの読者からして多分わかると思うけど、主人公目線だとめっちゃ意味不明で面白い
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