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「はあ!? あんた等、今の絶対イカサマしてんだろ!?」
「してないっすよ! 姉貴でも負けたら罰ゲームを受けるっすよ」
ゲヘナ自治区、キヴォトスでも一番混沌とした場所。
先日、スケバンとヘルメット団の抗争で、スケバンの戦車の砲撃で勝負は決まったが、街も壊滅的な打撃を受けた。もっとも、それを気にするゲヘナ生は存在しないため、そのエリアを自分の縄張りと宣言したスケバンの一派は、学校をサボってここで遊ぶことにした。
遊ぶゲームは地球のババ抜きのようなものだが、【ジョーカー】の代わりに【グレネード】というカードが入っていて、最後までそれを持ったプレイヤーは本物のグレネードで自爆しなければならないルール。スリルもあるが、割と
「あれ、なんか知らんやつが近づいてきてるぞ」
「あん? チラシの文字も読めねーバカかよ」
大通りを占拠するにあたり、他の生徒や住民が紛れ込まないよう、周囲には大量の警告チラシを貼っていた。それを無視するのは文字の読めないマヌケか、縄張りを取り戻しにきたヘルメット団くらいのものだろう。
「そういえば何と書いてた?」
「通行費100万円」
「小学生っすか?」
「うるせぇ! 要は『近寄んな』ってことだよ!......万が一払いたいやついたら喜んで通らせるけどな。どのみちお出迎えだほら、お前らもついてこい」
「いいけど、それで罰ゲームを流そうとしてないよね?」
「ギクッ!」
そう軽口を叩いてながらも、三人はそれぞれ自分の銃を取って、来訪者を迎えに行った。
「おらおら止まれ! ここが誰のシマなのわかってんのか?」
「通りたいなら100万円を払い...っす」
三人が一斉に来訪者に銃を向けたら、向こうの生徒は明らかにびっくりした反応して、すぐに両手を挙げて投降のポーズをとった。
「なんだぁ? 迷子のガキかよ」
速攻で投降した生徒はかなり小柄で、セーラー服を着ていなかったら小学生と思われるほどの身長。薄い茶色の長い髪、綺麗な琥珀色の目。この三人とは面識はないが、姿だけならキヴォトスではそこまで特徴的ではなかった。
「これじゃアタシ達が低学年をいじめてるに見えるじゃん」
「姉貴こいつ......銃を持ってないっすよ?」
「げ、マジ? 頭がおかしいやつ?」
キヴォトスの住民にとって、銃火器を持ち歩くのは常識中の常識。統計によると、銃を持てずに外で歩いてる人は、全裸で出歩く者よりも少ないといわれるくらい。もちろん本当に全裸と同じ扱いではないが、それくらい「持っていて当然」のもの。
「おい、おめぇどこ高だ?」
「高校生なのか?」
「分からないから聞いてるっすよ」
来歴を問うているにも関わらず、相手は怯えながらその場に跪いた。
「あ、びびった」
「子供をいじめるのは流石姉貴っす」
「は? うるせえ」
しっかり怖がらせることはスケバンとしては誇るべきかもしれないが、なにせ相手の見た目はあんまりにも幼いから、ただの弱者いじめにしか見えない。
「どこの学校だって聞いてんだよ!」
よく聞こえてなかったのか、もうちょっと音量を上げてみたら。
「〜〜〜」
ようやく返事が来たと思えば、全然聞いたことのない単語。
「へっ? どこの高校だって? お前ら聞いたことある?」
「いや聞いたことないっすね」
「そもそも私達知ってる高校そんなにいないし」
そう、この三人はゲヘナの生徒である以上、いつもドンパチしてる相手も当然ゲヘナ、もしくは無学籍の生徒がメインである。たまには隣のトリニティのカツアゲもするが、知ってる学校はこの二つくらいしかない。そのため知らない単語が出されても、自然とそういう学校と勘違いするのも仕方ない。
「チッ、どうすんのこれ」
「トリニティに山ほど分校あるらしいから、そこかもしれない?」
「いや確かに統合して全部【トリニティ】になったっすよ、数百年前」
「出た出た、なんでも数百年。小学生か?」
「いや本当っすよ!」
数分間討論したけど、結局どの学校なの分からなかった。
「あーおいおめぇ、手を下ろしていいぞ、そんなのじゃあ疲れるだろ」
さっきからずっと手を挙げたまま動かない小柄の生徒を見て、リーダー格のスケバンはちょっとかわいそうと思って気遣いしたが。
「......」
議論の合間に投げかけた言葉とはいえ、文脈で察せそうなものだが、相手は全く動じず降伏の体勢を維持している。
「反応ないっすね」
「姉貴が無視されてる、可哀想」
「ちょっ、は?」
「あ、もしかしてだけど......こいつ、言葉通じない?」
「何それうける」
「いや、そんなやつこのキヴォトスに居ねぇだろ?」
キヴォトスで使われた言語は完全に統一されていてるため、基本的に言語が通じないことはない。一部学校が古代語や元々の言語の授業をしていて、引用などで使われることもあるが、それでもキヴォトス通用語を理解してる上での教養レベル。
「じゃあキヴォトス外から来た?」
「いやヘイロー持ってるし、それはないっすね」
キヴォトスの生徒は地球と違って、キヴォトス外の人......地球の言葉でいうと「異世界人」もしくは「宇宙人」の存在自体はすでに認識してる。その知識はどうやって伝えてきたのかは定かではないが、まったく未確認の存在ではないだけが確かな。*1
普通は遭遇するのがかなり稀ではあるが、普通の人は一生にクジラを見たことがないけど、実際見たときその知識はあるとほぼ同じ感覚。
しかし、目の前の生徒は人間タイプのキヴォトス人が持つ特徴の一つである「ヘイロー」を浮かべてるため、間違いなくキヴォトスの人間......スケバン達はそう判断した。
「でも態度から見てわざと無視してるに見えないけどね」
「うわめんどくせぇ、もう放り出しちゃっていいんじゃない?」
「でも、そのまま見逃しても他のスケバンにカツアゲされるじゃないっすか?」
「いや、それ私達と関係ない......けどなんか寝覚めが悪いっていうか」
「姉貴やっさしい」
「うるせぇ!」
とはいえ、このまましても埒が明かないので、リーダー格スケバンは一番無難の選択をした。
「よし、こいつからなんか金目なものを貰う代わりに風紀委員に突き出そう。めんどくさいことはあいつらに押し付けるに限る」
「まあそれが一番丸いっすね。でもどうやって? 多分言っても反応しないっすよ」
「こっちから勝手に探せばいいんじゃない?」
「お前、賢いな!」
「いや何年スケバンやってるっすか姉貴」
「とりあえず暴れないためにちょっとだけ眠ってもらおう、やれ」
「あいっす」
そう決めたので、拳銃を持ったスケバンは小柄の生徒に近付き、愛用の拳銃で彼女の頭に突き付けた。これは威嚇ではなく、そのまま撃つつもり。
「じゃあちょっとだけ眠ってもらうっすよ」
──もちろん、キヴォトスにおける無抵抗の相手に銃を撃つのは別に処刑や非人道的行為ではなく、文字通り「少し眠らせる」行為でしかない......が、もし地球と近い価値観を持った人がこの場面に遭遇したら、間違いなく命の危険を感じるだろう。
認識の違いでの温度差が凄い
モブ視点も書いてて楽しいかも