キヴォトスの連邦公用語とか分からんし   作:十文字マトン

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お前らの次の台詞はこうだ! 『知ってた』!


9 黒い軍隊と白い軍隊

 ??

 

 私は廃墟と化した飲食店の残骸と、倒れてるロボット店員たちを見て、何か起きたことを理解するのに時間がかかった。

 

 えーと、先ほど四人の女性が店の中に入り、少し時間を置いた後、また店から離れた。そして、灰色の髪の人が優雅な姿勢で何かのボタンを押したら、店内で爆発が起きた。

 

 たまたまガス爆発とは思えないので、あの先頭の女性の仕業としか考えられない。

 

 なんで?

 

 中には他の客がなく、ロボットだけ残ってるから死傷者はないだろうけど、もし客が残ってたら普通に死ぬぞ。

 

 とりあえずあんな危険なテロリストと絶対に目を合わせないように隠れて、彼女たちが去った後を待った。

 

 さすがに騒ぎになったのか、周りから人がぞろぞろと集まろうとした。

 

 ......冷蔵庫とかは割と頑丈だから、爆発の中でも無事だったとかは聞いたことがある。

 

 どうせこのままでは廃棄になる可能性が高い。それなら私がちょっとだけもらってもいいのでは?

 

 空腹の影響なのか、思考が完全に火事場泥棒のそれになってた。胃が今でも「なんか食べろ」と抗議のために収縮してるが、そんなの言わなくてもわかるって。

 

 そんなことを考えていたら、ピーという甲高い音が鳴り響き、私を含めた野次馬の注意を一気に集めた。

 

 全身黒い制服を着た子供たちの集団だ。

 

 これまで見た子供の「制服」は、どちらかというと学校のそれだったが、その集団は色合いとデザインからして、おそらく軍服のようなもの。

 

 統一された銃、帽子、肩の腕章。それらは彼女たちが同じ組織であることを示してる。

 

 おそらくこの国の軍隊、警察、もしくは軍閥に所属してるのだろう。

 

 一応私は傷害罪という理由で追われてるかもしれないので、もし見つかったら面倒なことになりそうと思え、私はすぐにこの場を去った。

 

 ......子供に銃を撃つのは、もう二度とごめんだ。

 


 

 公園なら、水くらいはあるかも。

 

 空腹を抑えるために、謎の飲料水を全部飲み切った。

 

 日本とドイツの水道水はそのまま飲めるが、それ以外の国は基本的に直飲みはダメだ。お腹を壊すだけならまだ軽い方で、最悪は病気になる。

 

 その時、公園に無料で水が飲める施設があるかもしれないと考えた。

 

 この国、技術の発展具合はかなり進んでるはず。そうでないと自律型と思われるロボットが存在するはずがない。

 

 それで公園の設備も整備されてるかもしれない......と薄々期待しながら、公園らしい場所を探した。

 

 やっぱりマップとか欲しい。探すと言っても土地勘が全くないので、同じ場所でぐるぐる回らないように注意してるが、どこに進んでいるのか全く分からない

 

 とはいえ、なんとなく開けた場所を見つけた。

 

 ──遊具が一切なく、代わりに放置された鉄パイプとコンクリートブロック。街灯もすでに半分以上が壊れてる。

 

 これ、公園というよりは廃棄された建築予定地だな。どう見ても綺麗な水や食べ物があると思えない。

 

 空が暗くなってきた。これで二日何も食べていなかった。さすがにもう体への影響が出たのか、思考が上手くまとまらない。

 

 ふらふらと真ん中に近づくと、気付いたら周りに別の人影が集まってきた。

 

 この国は子供でも銃を持ってる上、射殺やテロをするのにあまり躊躇しないということを思い出した。

 

 すぐに逃げたいと体を動かしたが、足に力が入らず、そのまま倒れこんだ。

 

「~~~!」

「~~~~」

 

 何か言ってる声が聞こえたが、それを返事する余裕はない。追い打ちのように、腹の虫が鳴き始めた。

 

 恥ずかしい。

 

 お腹空いた。

 

 あったかいお布団で寝たい。

 

 なんでもどうでもよくなって、このまま殺された方が楽になるのではないか? と考えたら、なぜか起こされた。

 

 相手は、少し青味のある長い黒い髪の女性。かなり鋭い目つきと、口元にマスクのようなものを付けているから、全体的にちょっと大人っぽい雰囲気を持っているが、間違いなく子供だ。

 

 彼女の手には素朴な水筒と、乾いたパンのようなもの。まさに今の私が一番欲しい物だった。

 

「~~~~」

 

 彼女は左手で私の肩を支えながら、右手でそれを差し出した。

 

「あり...がとう?」

 

「......? ~~~~」

 

 知らない言語で話しかけられたのか、彼女は一瞬固まった。その後すぐに水筒とパンを口にするというジェスチャーをしてから、両方私の手に押し付けてきた。

 

 どういう意図かは分からないが、少なくとも今はそれが好意だと受け取った。

 

 おそらく保存食用のパンを手に取り、まずは齧ってみた。見た目から心の準備をしたが、予想以上に硬くてうまく齧れなかった。

 

 もう一度力を入れて噛んでみると、味がほとんどなく、ただの粉っぽいという保存食特有のまずさ。

 

 まるで喉に詰まったとすら思える粉だから、水と共に何とか飲み込んだら、予想通りにお腹の中で膨らんで空腹感をかなり解消された。

 

 二日何も食べてないならなんか食べる速度何とかあった記憶あるけど、そんな事を全く気にせずパンをどうやって腹に入れるためだけに奮闘した。

 

 全部食べ切ったから、私はようやく、あの黒髪の子以外に周りを全く見ていなかったことに気づいた。

 

 周りを見ると、何人か白い服の子供たちが集まっていて、私が先ほど食べていたパンを食べながら、私を観察している。

 

 全員の服に少し違いはあるが、左肩に髑髏のような腕章を付けてる。昼間に見た黒い軍服の子たちと似たような、どこかの軍隊のイメージだ。

 

 ......つまり、これは配給食なのでは?

 

 少し離れた場所に先ほどパンと水をくれた黒髪の子を見つけた。彼女は武器を整備しているだけで、食事をとっている様子はない。

 

 私の目線に気付いたのか、彼女は手にしたアサルトライフルを隣に置いて、もう一度私の近くまで来た。

 

 空になったパンの袋を手に持ちながら振ってから、彼女を指さした。あなたは食べないのか? という意味だ。もし私の予想通りなら、これは彼女の分のはず。

 

 私の無言の質問に対して、彼女は頭を横に振ってから、袋と水筒を取り上げた。そして少し迷った素振りを見せた後、何かの通信設備を取り出して、誰かと連絡し始めたらしい。

 

「~~~」

「~~~~!」

「~~~!」

 

 最初は報告のような声だけど、何かで口論したのかちょっとだけ声が大きくなった。

 

「ーー!」

 

 結論は出たのか、彼女は通信設備を収めて、先ほど置いた銃を拾い上げてもう一度私の近くまで来た。

 

「......」

 

 少し悩んだ後、彼女は自分の外套を脱いで、手で自分の頭にぐるぐるする動きを見せたあと、外套を私に渡した。

 

 ......自分から目隠ししろって意味なのか?

 

 確証はないけど、彼女は私にとって割と友好的な態度を取っていたから、おそらくこれからどこかに連れていくつもりだけど、その場所は普通の人にバレてはまずいので、目隠しをする必要があるということだろう。

 

 どのみち、今は行き先がないので、彼女に従った方がいいだろうと、私は大人しく外套で自分の頭を覆った。

 

 前が見えなくなってから、彼女が外套が落ちないように私の頭に結び目を作ったのか、布に締め付けられた感じがした。

 

 そして、後頭部に強い衝撃を受けた。

 

 なるほど、気絶する前提だけど、途中で目覚めても問題ないように二重の保険か。

 

 いや、それなら普通に気絶してから勝手に巻けばいいじゃない??

 

 と、それが私が意識を失う前に最後に考えた事。

 



 

所持物:

アサルトライフル*1

銃弾*?

額面不明のコイン*1

ロボットの写真がある貼り紙*1




こんな優しい人なら、彼女の組織もきっと優しい組織ですね!

というわけでアリウスルートとなります、予想できた人はどのくらいいるかね?

なお、次回はIFとなります。
なんで?
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