注意
・自己満足作品
・作者は素人で駄文
・オリジナル展開あり
・自己解釈やオリジナル設定が強め
・文章は短い
・駄文すぎる為、不快になるかもしれません。
・これらが許せる方々は不快になるかと思いますが楽しんで頂ければと思います。
第4話 事情説明と海竜
エンドとなのはの2人は、桜刀宅で留守番をしてくれていたフェイト、ユーノ、アルフになのはの家族に事情を説明する為、ついて来て欲しいことを伝える。
3人は快く承諾した。
高町宅のインターホンを鳴らして出てきた桃子と士郎は、なのはがアリサとすずか以外の友達もいて、家に連れて来たことに喜んだが、なのはの真剣な表情を見て、重要な話だと察して部屋にいる恭弥と美由紀を呼び出してリビングに5人を招いた。
場は緊張に包まれる。
「何か話があるんだろう?話してみなさい」
「それは僕の方からから説明します。
僕の名前はユーノ・スクライア。実は・・・・・・・・・・」
ユーノは自分が知ることの全てを話した。
自分が[ミッドチルダ]と言う別の世界の住人で、考古学を学んでいた学生で、実習の時にジュエルシードを発掘し、時空管理局と言う組織に保管してもらう為、輸送船を手配したこと。
計21個のジュエルシードを乗せた輸送船が事故に遭って、この海鳴市に散らばってしまったこと。
落下時の強い衝撃で半暴走状態に陥ったジュエルシードの回収の際に怪我を負い、治療に専念する為に地球で言うフェレットに似た小動物に変身したこと。
そして魔導師としての高い資質を持つなのはに、ジュエルシード回収に協力してもらっていることを。
「これはなのはにも言えることだけどね。
君はまだ、学ばなきゃならないことが多い幼い子供。
子供は大人に迷惑をかけるものだ。
周りの大人を遠慮なく頼りながら育ちなさい」
「はい・・・・・。」
まさか励まされるとは思わず驚いてしまう。
大切な娘を巻き込んでしまったのだから、罵られても仕方ないと覚悟を決めて話し合いに来ていた。
だが実際に事情を説明してみれば、娘を巻き込んだことを責めるどころか、「できないことの多い幼い子供なんだから、困った時は大人に頼れ」と口調を優しくしままで説教をして来た。
故にユーノは理解した。
この優しくも厳しい両親のもとで育ったからこそ、周りの人に気を遣える優しい子になったんだと。
「それで君達はどうして?」
「俺は夢であるハッピーエンドの実現の為!
あとは・・・・・俺の夢に理由をくれた人の為にかな。」
そう発言したエンドの視線はなのはに向かっていた。
向けられた本人は何のことか心当たりがない。
どれだけ長く考えても分からずじまいで頭を傾げるばかりだ。
それも仕方ないだろう。
なぜなら、お互いがお互いに面と向かって話したのは昨日が初めてだったし、エンドは修行の一環として学校にいる間は氣を0にしている為、気配に敏感な者であろうが、0距離でもエンドの存在に気づかない。
なので、学校関係者で存在を知るのは教師陣だけ。
つーわけで、エンドが感じている恩については、エンドが勝手に救われただけなので、心当たりがないのは当たり前。
「私は・・・・」
「フェイトは親の不治の病を治すためにジュエルシードを集めてたみたいで、少し前まで焦燥感に駆られて話す前に攻撃して来たんだ。
でも昨日の話し合いで互いに事情を理解したから、今は協力関係になってる。」
口ごもるフェイトの代わりにエンドが口を開いた。
眉一つ動かすこと無く、ごく自然と嘘をついた。
ここに来る前に士郎相手に嘘はバレると言っていた本人は、無理に秘密を話させない為に、演技に関しては本番に強い自分に賭けることにした。
エンドの予想通り、騙せたのは士郎以外。
瀕死の重傷を負う前は凄腕のボディガードをしていたのもあって、エンドの嘘を簡単に見破っている。
エンドが朝についた嘘は見抜けなかったが、それは妻と一緒に喫茶店を営業する為に、常日頃から周囲を警戒する癖を捨てていたことが起因している。
彼が本気で集中しさえすれば重傷を負う前・・・・・つまり全盛期と遜色ないレベルの洞察力を発揮する。
ではなぜエンドの嘘を指摘しないのか?
それはフェイトが「私は・・・・・」言う寸前に申し訳なさそうな表情でなのはとエンドを見ていたので、なのは達にも話していないことだと分かり、この件について口を出さないと決めたからだ。
「なのは」
「何?」
「本心を言えば、これ以上なのはを危険な目に遭わせたくは無いけど。
『どうしても』と言うなら僕はなのはの意思を尊重して、この件についてはこれ以上口出しはしない。」
「・・・・・・・・・・最初はお手伝い感覚でやってた。
でも今は違う。
これ以上、誰かが傷つく人を見たくない。
見てみぬ振りをして誰かが傷つく姿は見たくない!
だからやらせてお父さん!!」
いつも家族に向ける優しい目では無い。
相手を威圧する鋭い目でなのはを見つめる。
戦い慣れたフェイトとアルフ、猛獣を修行相手に据えたことがあるエンドを気圧されるほどの威圧なのにも関わらず、なのはは強い意志を持って士郎から目を離さずに自分の心情を告げた。
普通なら此処で桃子や恭弥、美由紀が静止する場面だが、士郎と同じ考えなのか、口を離さずに見守っており、なのはが心情を語った時には仕方ないとばかりに諦めて俯いていた。
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高町家への事情説明と説得が成功に終わった。
エンドとフェイトは「明日から1ヶ月は帰れないんだから今日は家族と一緒に過ごして」と言った。
しかしなのは「私は大丈夫だよ」と言っていたけど、1ヶ月もの間、家族と離れるのだから最初は大丈夫でも、後々知らず知らずのうちに精神的な疲労が溜まっていくのが人間というもの。
どれだけ言っても「大丈夫だよ」と返していたなのはだが、最終的には根負けして、エンドとフェイトからの優しさに甘えることにした。
そしてユーノは、桃子と美由紀に「どうしても」とお願いされ、フェレットに再び変身して、なのはと同じく高町宅で過ごすことになっている。
「あ、ありがとう・・・・・」
「アタシからも礼を言うよ。ありがとうね」
「ん?何だよ急に」
「さっき、私が言い淀んだ時に助けてくれたから。」
「別に気にしなくてもいいよ。」
高町宅から出て帰路についていると、フェイトとアルフが突然感謝を述べた。
人には誰しも秘密がある。
エンド自身に秘密と呼べるものは無いが、創作物にて秘密に関する話があり、その話では秘密を知りたい者と知られたくない者が言い争う話で、秘密は無理に聞き出すものじゃ無いと学んだから。
だからこそ無理に聞き出して険悪な雰囲気をつくり、これからの戦いや関係に悪影響を及ぼさない為、フェイトから話そうとしない限り知る気が無いだけ。
「秘密は話したくなった時で良いさ。
戦いに影響が無いなら、興味がないから聞かない。」
さらに言うと、エンドの第一優先はジュエルシードの回収を終わらせ、ハッピーエンドをつくること。
たった一つでも町を消し飛ばしかねないジュエルシードを回収したあとであれば話を聞くが、現在のジュエルシードは自然災害と同じく、いつ暴走するか分からない危険な代物。
常日頃から警戒心をマックスにしているエンドの精神は少し疲れているので、フェイトの秘密を聞いて頭を悩ませる余裕は無い。
それが分かっていても、フェイトにとって秘密を聞かず、自分から話してくれるのを待ってくれることは、とても嬉しいし、気が楽になると言うものだ。
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フェイト、アルフ、ユーノの3人は、エンドとなのはが学校にいる間に、ジュエルシード探索を行って、海鳴市にはジュエルシードが無いことが分かった。
「陸にないなら海に」と言うことで探索を行った結果、偶然にも陸地から十数km離れた場所にあり、ジュエルシード同士が1kmと離れていないところに固まっていた。
それを夜食時に2人に説明し、なのはは友達への嘘の事情説明、フェイト、アルフ、ユーノは朝からぶっ通しのジュエルシード探索で疲れが溜まっているので、明日の朝食のあとで回収に向かうことを決めた。
「ここにジュエルシードがあるの?」
「それは間違いない。」
「それじゃあ早速ぶち込むぜ!」
ホルダーから15枚の御札[霊]を取り出す。
御札[霊]には霊力・・・・・つまりは魔力を貯蔵する為の御札であり、エンドはこの御札を使用して、自分の魔力の消費を0にするようだ。
魔力を水のように流し込む行為を[魔力流]と言い、それでジュエルシードを強制的に覚醒させる。
これはつい2日前にフェイトが実行した方法であり、離れた場所からジュエルシードを周りの被害を抑えて覚醒させるには、この方法しか無い。
「流れ行けー!魔力流!」
魔力流が撃ち込まれてすぐに6つの青白い光が現れ、太陽の光が届かない暗い海底を照らした。
それはジュエルシードの覚醒の証。
ジュエルシードはフェイト達が見つけた時から流されずにいたのは良いことだが、同時に6つのジュエルシードが宿った怪物を相手にしなければならない。
5人それぞれに緊張が走り、頬に汗が伝う。
たった一つだけでも仔猫を超巨大な猫に、犬をファンタジー世界にいそうな怪物に、木を魔力を扱う怪物に変えてしまう代物が6つとなると、どんな強大な怪物が現れるのか分からない。
その怪物は恐らく、5人の魔力を集束させた砲撃でも倒し切ることは不可能に近い強さを誇るだろう。
6つのジュエルシードは青白い光を発したまま海底から海面に浮上し、そのあとは宙に浮かんで一箇所に集まり、魔力の球体をつくって自身を囲んだ。
突然、6つのジュエルシードが海中から浮上して一斉に集まり、魔力で球体をつくり己を囲んだ。
ジュエルシード囲んだ魔力の球体[JS(ジュエルシード)]球体は、海水を操って体長240mクラスの巨大な水の体を形成した。
その姿は、古来より日本で力や大自然の象徴とされる伝説にして幻の生物たる龍に酷似している。
「日本で最強の存在とされる龍をしてるから・・・・・。
名前をつけるとしたら、海龍ってところかな」
「今は名前をつけるよりもジュエルシードの回収優先しなきゃダメ」
「それもそうっ・・・・・だな!!」
自分でやっておきながらフェイトの言葉に賛同する。
御札[障]を海龍の頭上へ投げて障壁を展開させたあと、魔式瞬歩でその障壁へ移動する。
移動の合間に竜一文字を抜刀し、切先に魔力を集束させてから大上段の構えを取る。
竜一文字を振り下ろそうとした瞬間、海竜の頭部より2〜3mサイズのミニ海龍が現れ、[月牙天衝]を放とうとしているエンドに向かって強力なダークピンクの砲撃を放った。
「危ねッ!」
エンドはギリギリで砲撃を避けることが出来た。
虚空を穿った砲撃は、ジュエルシードの魔力解放による気候変動で出来た暗雲を切り裂いた。
そしてその幅は1000mにも及んだ。
「アレを喰らわなくて良かったぁ」と安心したのも束の間、ミニ海龍が1体2体と次々に現れ、ミニ海龍群の口内は薄らとダークピンクに輝いた。
直後に放たれた砲撃は全て、先ほど暗雲を裂いたものと同程度の魔力を秘めている。
間一髪のところでフェイトが抱えて助け出し、次になのはが砲撃でミニ海龍群を迎撃してみせる。
思わぬ反撃に怒ったのかは分からないが、本体の海龍が大口を開けており、そこからはミニ海龍群とは比較するのも失礼なレベルの膨大な魔力が凝縮され始めたようだ。
超砲撃が放たれる寸前で、ユーノとアルフが力を合わせて3人を自分達の所に転移させた。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーッ」
鼓膜が破れるほどに大きな雄叫びと共に放たれた超砲撃は、海面に着弾してダークピンクに染まった天にまで到達し得る超巨大な水柱を上がった。
大気は震え、海は荒れ荒れて、高さ100m越えの津波を発生させ、その威力は核兵器をイメージさせるものであり、ここが結界内で無ければ海鳴市に甚大な被害を齎しただろう。
この事実は覚悟をもって、この戦いに挑む5人を震え上がらせるには十分な威力だ。
それを知ってか知らずか、海龍は5人を恐怖と絶望に陥れる為に体から十数体のミニ海龍を形成し、ミニ海龍の口から魔力光弾を発射する。
発射された魔力光弾は数百にも及ぶ弾幕を張ったが、魔力光弾の殆どがまったく的外れな場所を穿っている。
しかし乱雑に撃たれている分、縦横無尽に飛ぶことは出来ず、よほど大雑把な攻撃で無い限り、避けること叶うこと無く一巻の終わりだ。
「みんなアレを見て!」
ユーノの言葉に反応して全員が振り返る。
視界に映ったのは、再び超砲撃を放つべく大きな口を開け、口内に魔力を集束している海龍の姿。
否応にも自分が消失する瞬間をイメージしてしまい、誰もが体が恐怖で震える状況で、1人だけ口角を上げて飛び出す者がいた。
その者は実戦経験と、戦いの中で初めて感じ得る緊張を数日前に知った素人だが、[死の恐怖]だけは昔から・・・・・それこそ赤ん坊の時から知っていた。
彼には異常過ぎる[生存本能]が備わっていた。
それは些細なことであろうとも、どれだけ低確率であろうとも、それが[死]に繋がるのであれば、異常過ぎる[生存本能]は彼に[死の恐怖]を与える。
成長の過程で[死の恐怖]を与え続けられた彼は、やがて[死の恐怖]を克服することに成功した。
それにより彼は[死]の真っ只中にあろうとも、彼は余裕を持って状況に対応する力を得た。
「行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」
その行動は味方も敵も予想外のもの。
相手を絶望に叩き落とし得る状況をつくった。
相手を恐怖に陥れる状況をつくった。
だと言うにも関わらず、エンドは平然とした態度で動き、高速で海龍のもとへ接近する。
海龍は焦りに焦った。
感情も無ければ、元々生物ですら無かったジュエルシードは、空想上の存在なれど生物の姿を得て、JS球体となって脳に似た働きを持った。
そのせいで感情を持ち、焦りで魔力のコントロールがお座なりとなったことでミニ海龍は形を崩し、ただの水に戻った。
「戦いにおいて、焦った方が負けるのさ!
さあ、龍神の剣を喰らええええええええええッ!!」
魔力を切先に集束した状態で維持する技[竜撃剣]を発動する。
技が発動中であることの証であるライトグリーンで、半透明な龍がエンドと竜一文字に纏わり付く。
エンドは腕を引き、竜一文字を一気に突き出す。
しかし、海龍の額を貫くことは無かった。
確かに魔力量はなのはとフェイトよりは劣るものの多い方であるし、抜群の魔力コントロールを誇るエンドであれば、なのはとフェイトの砲撃に匹敵する威力の[龍神衝波]を放てる。
攻撃こそただの突きではではあるが、砲撃クラスの魔力を切先に集束して高めたもの。
その一撃を持ってしても傷を付けられないところを見るに、前述した通り、5人の魔力を集束させた砲撃でも、あの鉄壁の防御は貫けないだろう。
「フェイトちゃん、無茶なお願いしてもいい?」
「・・・・・任せて」
「私にアレを倒せる秘策があるの。
だから時間稼ぎをお願い。エンドくんにも伝えて」
「分かった。」
「ユーノくんとアルフさんは私が合図をしたら、一瞬でも良いから海龍を止めて」
「任せて(ろ)!」
フェイトはなのはに背を向けて飛んで行く。
同じ光景を何度も見ているなのはだが、以前とは違って今は嬉しい気持ちで溢れていた。
以前だったら、敵同士で目的を達成して自分から去る時であった。
だけど今は自分を信じて背中を任せてくれている証であり、自分を仲間だと認めてくれている。
そんな現状が嬉しくてたまらない。
その違いがなのはの口角を上げさせる。
《マスター。アレはまだ訓練段階です。
その段階で使うには、あまりにも強大な魔法です》
「でも、今使わなきゃ皆んな死んじゃうよ。
だからお願いレイジングハート。力を貸して」
《お願いされるまでもありません。
私は貴方のデバイスです。
先程は差し出がましいことをしてすみません》
「気にしなくていいよ。
私を心配して言ってくれたんでしょ。」
失敗した時のことを考えると怖い。
それでも此処でやらなければ自分を信じてくれる仲間達は死ぬし、海鳴市でいつも通りの日常を過ごしている人達が、そして何より大切な友達や家族が死んでしまう。
それは絶対に嫌だ。
なのはは自分が傷つくことよりも、大切な人が傷ついているのに何も出来ないことが何よりも怖い。
自分の不注意で傷ついた2人の男女を知っている。
ユーノは「仕方ないことだ」と言っていたが、ジュエルシードなんて危険な代物を見逃した挙句に無関係の人を危険に晒してしまった。
その時に感じた胸の痛みは今でも覚えている。
「エンド!待たせてごめん」
「気にしない、気にしなーいの。
良い顔をしてるってことは、秘策ありってこと?」
「うん。なのはが『私にアレを倒せる秘策があるから時間稼ぎをお願い』って」
「承知ッ!!」
フェイトの顔からから恐怖と絶望の表情が消えている。
それはエンドが恐怖に押し潰されずに勇猛果敢に海龍に挑んだこと、なのはに秘策あること、この2つが3人に希望を齎し、恐怖を乗り越えさせた。
最も、2人にそんな気は無く、今自分がやれる最善の一手を実行しているに過ぎない。
何度も言うが、5人の全魔力を集束させた砲撃であっても、海龍が魔力を防御に回してしまえば、ダメージを与えることは不可能に近いだろう。
それを分かっていても倒せると豪語する秘策に希望を見出し、成功させる為には、意識の誘導に全力を注がねばならない。
「よし!じゃあ行くぞ!」
「うん!!」
2人は海龍に近接攻撃を仕掛ける。
それは無謀な行動に見えるけど、海龍の意識を自分達に向けさせて、なのはに準備時間を与えることが2人の第一優先だ。
だからダメージが与えられなくても問題ない。
海龍も何とか攻撃を当てようと暴れるも、2人のスピードは海龍の遥か先をいっているので、2人の集中力が切れない限り攻撃は空を切るだけに留まる。
その身に秘める魔力量と圧倒的な体格差より繰り出される一撃は、2人の命を容易く奪える威力。
当てさえすれば勝てる。
けれど、その状況で相手に勝利するには、相手の行動を先読みするだけの観察力、洞察力、経験の3つが必要になる。
ただ本能の赴くままに暴れ回るだけのケダモノでしか無い海龍に、それらを備えている筈も無い。
その違いこそが勝敗を分ける要因になる。
(今のところは大丈夫そうだ)
(でも、ユーノとアルフが隠匿魔法で魔力を感知させないようにしてるけど、なのはが魔法を撃つ時には海龍を拘束する為に隠匿魔法をとかなきゃいけない)
(その時は全魔力を込めた一撃で妨害阻止だ。)
暴れ回っていた海龍は、突然逃亡を謀った。
それを見て2人は考えた。
今まで自分達の攻撃を真正面から受け止め、無傷の姿を見せて来た海龍が逃げる理由。
考えられる可能性は2つ。
1つ目は距離をとって超砲撃または、超砲撃と同等以上の攻撃を行うから。
2つ目は防御と攻撃を同時に行えないから。
なのはの砲撃でミニ海龍を倒せたことと、エンドとフェイトが近接攻撃を行っている時にミニ海龍を生み出さなかったことから、可能性が高いのは2つ目。
ならば行うことはさっきと変わらない。
奴が攻撃に出る隙を与えないほどの連続攻撃のみ。
「今度は全力且つ全速力で行くよ」
「応ともさ!ペース配分フル無視だ!!」
2人のスピードがさらに上がる。
さっきまでの雄大で恐ろしい姿は無く、今はなのはの魔法によって倒されるのを待つ、正しくまな板の上の鯉のようだ。
次の瞬間、海龍は全身から魔力を放出する。
確かに海龍ほどの魔力量と魔力放出の出力なら、近づくのに困難を極めるだろう。
しかし、いかに6つのジュエルシードの力があろうと、いずれ限界がくることは必須だ。
あとは魔力切れを待つだけかと思われたが、海龍はエンドとフェイトの真上に移動して魔力を放出したまま旋回を始め、徐々にスピード上げていく。
「何をするつも・・・・・ッ!!」
突如、エンドの脳内にバザー音に似た音が響く。
音はすぐ隣にいるフェイトには聞こえない。
何故ならこのブザー音は、エンドに[何も対策をしなければ、確実に訪れる死]を知らせるもの。
それと同時に[死の恐怖]を与えるものでもある。
音が鳴った直後、エンドの脳内に映ったのは、巨大な竜巻に巻き込まれる自分とフェイトの姿。
エンドはすぐに振り返って叫んだ。
「フェイト!バインドで俺諸共自分を縛るんだ!」
「私にそんな趣味はありません!!
そしてぇ!何で私に抱きついて来るの!?」
「俺にもそんな趣味は有りませんけどぉ!!
じゃあ簡潔に伝えるぞ!
これから奴は大きな竜巻を起こすから、吹き飛ばされないようにバインドで固定するんだよ!!」
「だったら御札を使えば・・・・・」
「手から離した瞬間、御札何処かに飛んで行くぞ。
だからフェイト、お前に頼むしか無いんだ。
あと、抱きついている理由は何となくそっちの方が面白そうだからだ!」
「真剣な顔をして言うことじゃ無いよ・・・・・」
「そんなことは良いから早くやって!
でないと2人仲良く『GO!GO!ヘブンッ』だぞ!!」
「ちょっと何言ってるか分かんない・・・・・」
少し恥ずかしいけど、自分と、コアラのように抱き付いて来るエンドをバインドで縛って固定する。
直後、エンドの脳内に映ったのと同規模の巨大な竜巻が、海龍の手によって発生した。
エンドの案にのった(強制的にやらされた)おかげで飛ばされずに済んでいる。
しかし、キツく縛っているせいでバリアジャケットごしだけどエンドの体温を感じてしまい、恥ずかしさから顔を赤らめてしまう。
フェイトは誓った。
この戦いを終えて家に戻ったら、自分が味わった恥ずかしさの分だけ、エンドの頬をビンタすると。
「何とかしないと(精神的にも)危険だ」
「打開策ならある」
「あるなら早く言ってよね!」
「ごめんごめん。じゃあ早速説明するぞ。
この[転]の御札に魔力を纏わせてから投げる。
風に乗った御札が海龍の上まで飛んで行ったところで、転移するって策なんだけど・・・・・やる?」
「それしか策が無いなら」
「即決してくれてありがたい!さあやるぞー!」
「おー!」
エンドが作戦通りに御札を投げた瞬間、竜巻をつくり終えた海龍は、今度こそ仕留める為に口内に魔力の集束を始めた。
最早これは御札が竜巻から出るのが先か、海龍の超砲撃が撃たれるのが先かの賭けになってしまった。
心臓の鼓動がうるさく感じる。
それは生まれてから現在までの9年間、一度も味わうことの無かった、一か八かの賭けの勝負。
初めての命を賭けた勝負はエンドに興奮を与える。
口内の魔力が爆ぜたかのように輝いた瞬間、[負け]を意識したが、その直後に御札が竜巻から脱し、エンドは「勝った」と口角をさらに上げた。
「転移した瞬間にぶちかますぞ!」
「全開パワーで!」
「良く分かってるじゃない♪ 解ッ!」
海龍の超砲撃によって、とても大きな穴が出来ており、おそらくこの穴は海底まで届いているだろう。
魔力の残滓で塞がらずにある海に空いた大穴を見れば、超砲撃に込められた魔力の多さが分かると言うもので、これを何度も見ていると言うのに挑んでくるエンド達は、知らない者がみればただのバカだ。
例え無茶で無謀だとバカにされようとも、譲れないものがあるから5人は必死で戦う。
転移した直後、フェイトはバインドを解除する。
そして2人は分かれて海龍の側面に高速移動し、月牙天衝とサンダースマッシャーで挟撃を行う。
まさかの不意打ちで海龍の体が崩れる。
2人は疑問に思っていた。
なぜ海龍の体は元々は海水を操って龍の姿にしたもので、例え攻撃を受けても何ら悪影響は無い。
ならば何故、攻撃を避けるのか。
それは攻撃を喰らえば喰らうほど、海龍は自分の姿を維持できずに崩壊するのだろう。
「2人が無事で、本当に良かった・・・・・。」
超砲撃が穿ったあとの空間に、2人の姿が無く、なのはは不安で押し潰されそうになっていた。
自分が秘策があるなんて言わなければ。
時間稼ぎをしてなんて言わなければ。
不安と後悔で押し潰され、2人が時間稼ぎをしたおかげで集束できた魔力が霧散しそうになったその時、黄緑色と金色の輝きが空を染めた。
その光が2人の魔力光だと気付いたなのはは、嬉しさから目から涙が溢れそうになったが何とか堪えた。
「(なのはの魔力を感じる!)エンド!」
「応よ!んじゃまあ、この技を海竜への冥土の土産にしてやろうじゃないか!スゥ・・・・・晴天大征。」
エンドは膝を曲げ、腰から上を真っ直ぐにした状態で、大上段の構えを取って力を溜める。
そして「晴天大征」の一言で自己暗示をかける。
瞬間、真面目ながらも明るい雰囲気から一転。
真顔で目つきが鋭く、不自然なほどに物静かであり、まるで嵐の前の静けさを体現しているようだ。
「流転と・・・・・手向けを以って、終極と為す。」
一つ一つ言葉が紡がれる度にエンドの集中力は増し、氣と魔力は徐々に高まっていく。
・・・・・斬る・・・・・。
エンドの思考はこの一言で埋め尽くされる。
「晴天転じて我が窮極の一太刀・・・・・我、龍をも断つ。」
ーーーーーーーーー 天晴 ーーーーーーーーーー
最後に[天晴]と言葉にしたタイミングで、集中力、氣、魔力が極限にまで高まり、瞳が白銀に輝く。
直後に振り下ろされた一太刀は海龍の代名詞となりつつある超砲撃を断ち、青白い軌跡をつくった。
その時、海龍は・・・・・この戦場にいた者達は、青白い斬撃の中に太陽を中心に広がる青空を見た。
エンドが使用した技の名は[天晴]。
元々はアニメキャラの必殺技。
膝を曲げ、腰をから上を真っ直ぐ伸ばし、大上段を構えた状態で自己暗示をかけて集中力、氣、魔力を限界以上に高め、そして全エネルギーを刃先に集束させて刀を一気に振り下ろす大技。
以上が、エンドが必死に考えに考え抜いた天晴を使用する方法だ。
エンドは跳び引き、なのはにむけてサムズアップ。
「あとは任せて! 行くよレイジングハート!」
《all right》
「これが私の全力全開!!」
なのはの上に集められた巨大にして膨大な魔力の塊。
まるで恒星のように美しく燦然と輝くそれは球体状となっており、そのサイズは海龍をのみ込むほどに大きい。
今までは海龍にバレなかったのは、ユーノが結界魔法の応用でなのはの姿を隠し、アルフの隠匿魔法で魔力感知を阻害したおかげだ。
そして、もしもエンドとフェイトが接近戦を仕掛けていなければ、超砲撃と巨大竜巻、ミニ海龍による砲撃であっという間に全滅していただろう。
「スターライトォ・・・・・ブレイカァアアアアアアアアアアアアッ!!」
なのは最強の魔法[スターライトブレイカー]。
戦闘の中で体外に放出されて空気中に霧散し、漂っている魔力を集束させて相手に撃つ。
[集束系魔法〈ブレイカー〉]はとても難しく、ベテランの魔導師でさえ使用するのを躊躇うレベルだ。
これを9歳で習得し、しかも元は他人のものだった魔力をも集めると言う、幼いながらに集束系魔法を極めてしまったなのは。
ユーノから魔導師の資質が高いとは言わしめたので、天才の部類に入るかと思われたが違った。
10年に一度と言っても遜色ない大天才だ。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーッ!!」
スターライトブレイカーの威力は、今まで海龍が超砲撃として放出した魔力を集束しているだけあって、超砲撃を遥かに上回る砲撃になった。
全魔力を防御に回した海龍の体を呆気なく消し飛ばし、さらに強固と思われたJS球体をも穿つ。
「な、何だぁ!?」
「これはまさか・・・・・!!」
しかし、スターライトブレイカーの威力が強すぎた為に、[次元震]を引き起こしてしまった。
[次元震]は地震とは違う。
[プレート]と言う10〜200kmほどの岩石の層があり、地球は数十枚のプレートに覆われている。
そのプレートとプレートの境界上でそれぞれが押し合ったり、跳ね上がったり、あるいはプレートの内部にズレが生じることで地面が揺れ、地震が起こる。
しかし次元震は地面が揺れるのでは無く、空間そのものが揺れる超常現象で、最悪の場合には次元の海が割れる[次元断層]と呼ばれる現象も引き起こされてしまう。
断層内では全ての魔法が行使できない。
断層に底があるのか分からない。
何故なら生還した者はいないから。
つまり、断層に落ちてしまっだが最後、魔力を動力源としない飛行道具を所持していない限り、断層から生還することは叶わない。
今回のものは小規模だったようで、次元震はほんの30秒程度でおさまった。
5人はジュエルシードの元へ集まる。
なのははフェイトにジュエルシードの回収を促し、海龍戦での緊張を無くす為に一度深呼吸をしてからジュエルシード、計6個を回収した。