キーンコーンカーンコーン。今日も今日とて、始業を告げるベルが鳴る。今頃、他のクラスはみんな席に着き、先生の話を聞いている事だろう。
「おーし、お前ら!手筈通り行くぞー」
隣に立つ
「ふむ。わしも行くとするかの」
「ん。俺も行く」
「おう。頼んだぜ二人とも」
そうしてみんなの姿が見えなくなり、教室には、頬杖をつき、ボーッと外を見つめる僕と、バカと畳みとちゃぶ台だけが残された。
「ほんじゃ、俺らも行くか。王子様?」
「そうだね。演習とは言え、これも何かの縁って事で」
僕とバカはボロボロの教室を出て、少し寂れた教室の前を通り、普通の教室の前を横目に歩き、高級デスクが並ぶ教室の扉に手を掛けた。
「準備は?」
「もちろん」
少し真面目そうなバカからの問い掛けに、僕は肩を竦めて笑ってみせる。それが僕らにとっての合図だった。
「頼もう!」
「お邪魔しまーす」
「"坂本"?それに"吉井"?嘘でしょアンタら。よりによって、ココなんだ」
授業真っ最中の教室。その扉を
「おう。木下姉か。その言い草、俺らが来た理由。分かるよな?」
「分からないなら教えてあげるよ。僕ら"
そう、これは
「「
「って訳だ。翔子!逃げんなよ?」
「望むところ」
「そういう訳で、やろっか。姫路さん」
「何時でも来やがれ、ですっ」
僕らの、青春の物語の──。
◇
放課後。人の去ったFクラスの教室に、三人の人影があった。
「……それで?各クラスへの振り分け早々、せっかく手にした千載一遇のチャンスをみすみす逃してきた、と?」
どんよりと沈む空気を割くように、このクラスの担任となる鉄人、西村宗一の声が頭上から届いた。
「そもそもお前ら分かっているのか?"試験召喚獣"は直近行ったテストの点数を使うんだ。振り分け試験の
鉄人から聞かされる正論は、石抱を乗せて正座で待機させられる今の状況よりも深いダメージがあった。
「はぁ……。まぁいい。それで?どうだった?」
「どうだった、って。そりゃ聞くまでも無いだろ。負けだよ負け」
鉄人からの問い掛けに不貞腐れたように返すのは僕の友人の一人、坂元雄二だ。
「阿呆。そんな事は百も承知よ。どうせ此度の"模擬戦争"で負けたからといって、それでキッパリ辞めるお前達では無いだろう?」
「……今回戦場に出てきたのは木下姉と工藤。あと四人くらい名前の知らん奴らが居たな。今回はせめて翔子か姫路のどちらかは引きづり出したかったんだが」
「僕と雄二、秀吉とムッツリーニはともかく、他の人達じゃAクラスのモブと張り合うのは厳しいもんね」
いつの間にか石抱を放り出し、胡座をかいて頭を搔く雄二にならい、この教室の特徴でもある畳に身体を横たわらせた。
「アイツらを上手く丸めこんで点数を底上げ……は焼け石に水か?」
「雄二、この場合は暖簾に腕押しじゃない?」
「バカもん。そんな事はどうでもいい。それに他の連中も頑張ってはいただろう。初めての試召戦なら上々だろう」
今回僕達はわざと苦手な教科、弱い点数の人を先に当てて、そのバトルの最中に横から別の教科で袋叩きにする。というゲスな戦法を用いて戦った。勿論、考えたのは雄二だ。
「それでも相手の二強どころか幹部の一人も落とせてないんだもんね」
「元々Aクラスは層が厚い上、翔子も姫路も自身の立場に驕らないタイプだからな。今後Aクラスは更に強くなっていくだろうさ」
「なるほど。お前達の考えは理解した」
鉄人はわざとらしい様子で首をコクコクと縦に振り、真剣な眼差しで僕らの目を見てこう言った。
「その上で改めて聞くぞ。お前達に勝算は?」
「「ある」」
どうやら、雄二の考えは僕と同じようだった。
「確かに下位五十名で勝つのは厳しいが、全員がそうという訳じゃない。普通のバカは八割程度ってところか?後は何かしらの事情があって休んだヤツと、俺や明久みたく、"何かを企んでいるヤツ"だ」
「僕達はその二割と協力して、残りの八割を上手く使っていくって事だね」
「あぁ、そうだ。俺達は、アイツらに目標を与えてやる」
「そうやって向上心を持たせて、僕達は、彼女達に勝つ」
雄二は幼馴染の翔子さんに勝つ為に。僕は目標である姫路さんと戦う為に。それぞれの目的があって、僕達はここにいる。
「やるぞ。"明久"!」
「うん。やろう!」
これは、科学とオカルトが混じり合う学園から生まれる、