ナナミ(以下ナ)「……あー、あー。ただいまマイクのテスト中……」
2主(以下主)「ナナミ、もう始まってるよ!!」
ナ「おっといけない。せーのっ、みなさーん、こーんにーちはー!!! ……ふむふむ、あれー、声が小さいなぁ。じゃあもう一度、こーんにーちはー!!!」
主「どこかの子供番組じゃないんだから、普通に行こうよ、ナナミ」
ナ「とゆーわけで今回も始まりました!! 第297回(推定)、レックナート杯争奪城内大魔法大会!!! 司会&実況は私ナナミと、我が同盟軍リーダーの2人でお送りします!!」
(わーーーーっ!! ぱちぱちぱちぱち……)
主「わざわざこんなサクラまで用意して……」
ナ「本拠地である会場は大いに盛り上がっております! では、早速本日の大会の趣旨をご説明したいと思います! ほら、ホワイトボード用意して!!」
主「……ったく、人使いが荒いんだから……って、小説なのにホワイトボードって意味ないような……」
ナ「細かいことは気にしないの! えー、まずこの試合はトーナメント方式になってまして、一対一で闘い、中央にある丸いリングの上で戦います」
主「このためにわざわざアダリーさんに頼んで舞台を作らせるんだもんなあ……」
ナ「素手や武器による攻撃は無効。紋章の力を利用した魔法のみになっています。もちろん物理攻撃を主とした紋章は認められません。あくまで魔法系の紋章です。また、他の選手の試合は原則として見られないことになっています。相手の戦略を知りたい方は、右手奥のほうに忍者班がいらっしゃいますので、ご自由にスパイ行為などをなさってください。ただし、依頼料の方は保証できません。あらかじめご了承ください。そして勝敗の決定は、相手が降参したり、相手を場外に送ったり、戦闘不能になった場合に、勝者とみなします。もし物理的な攻撃を与えたり、場外に出た場合は、速攻で退場してもらいますのでよろしくおねがいします。また、私たち大会関係者に攻撃を与えた場合も、同様とします」
主「なお、優勝者には、レックナート様の自画像が描かれたカメオ付きビッグトロフィーと、賞金200万ポッチ、そして副賞として豪華温泉めぐりグルメツアー無料招待券をプレゼントしたいと思います!」
ナ「ちなみに、真の紋章を持っている選手は、公正を規す為に使用を禁止させております。下手したら世界がぶち壊れる可能性が出ますので」
主「それではまず、大会主催者のレックナート様からお言葉を……」
ナ「あ、それカットしといたから」
主「な、なんで!? レックナート様、久々の一大イベントだからって、昨日徹夜で開会式に言う言葉を必死に考えていたんだよ!?」
ナ「だってそういう開会式とか卒業式にやるえらい人の話って、すっごく長いんだもん。つまんないから大会責任者に断っといた」
主「えー……、それで大会責任者はなんていったの?」
ナ「なんか大賛成だったよ。『あの人はいつも話が長いから、あんたの言うことにも一理あるな』とか言って認めてくれたよ」
主「…………」
(後ろの来賓席でいじけている門の紋章の継承者。その隣で平然とした顔をしている真の風の紋章を持つ少年)
ナ「それでは早速第一試合をはじめましょう!!!」
主「ええと、第一試合は、『烈火の紋章』を宿したカミュー選手と、『雷の紋章』を宿したフリック選手の美青年対決です!!!」
ナ「お~っと、いきなり女性視聴者からの視聴率が15%ほどアップしました!! これぞ美青年効果か!!!??」
主「同じ五行の眷属ですが、質からいって『烈火の紋章』の方が有利に見えますけれども、この戦況をどう思われますか? 同じ騎士団のマイクロトフさん」
マイクロトフ「……まだまだだな……」
主&ナ『は?』
マ「あの立ち位置では、一番いい角度を女性視聴者に見せられないではないか……」
主&ナ『…………』
ミリィ(以下ミ)「はいはーい!! 突然ですが審判のミリィで~す! それじゃ早速試合はじめ~ッ!!」
どわわわわ~ん!(←注:銅鑼の音)
カミュー(以下カ)「フリックさんには悪いですが、ここは勝たせてもらいます!!!」
フリック(以下フ)「ふっ、それはどうかな?」
ナ「おおっと!!?? フリック選手、なにやら自信たっぷりの様子ですが、何か秘策でもあるのでしょうか!?」
カ「行きますよっ!! 必殺、『最後の炎』!!!!」
ゴアアアアァァァッッッッ!!!!!
ナ「す、すごいです!!! いきなり炎系最強の魔法を繰り出すとは!!! 恐るべしカミュー選手!!!」
主「あっ!! この絵的にかっこいい魔法の一撃を決めたとたん、女性視聴者からの視聴率がさらに10%アップしました!!!」
ナ「恐るべしカミュー選手!!! フリック選手だけでなく、女性ファンにまで決定的な一撃を与えてしまうとは!! これはもう勝負ついたか!!??」
ミ「……ふぅ。ありがとう、ボナパルト。うわー、地面が真っ黒こげだぁ。さて、フリック選手はどうなったでしょうか?」
(もうもうとたちこめる煙)
場内アナウンス「ただいま、あまりにもすさまじい爆炎のため、場内はたいへん視界が悪くなっております。皆様、出来るだけそこから動かないでください。繰り返します。ただいま、すさまじい爆炎のため……」
ルック(以下ル)「……ケムい……」
レックナート(以下レ)「あら? どうしました、ルック?」(←いくらか立ち直ったらしい)
ル「……真の風の紋章よ……。その力を我が前に示せ!!!!」
レ「え!?」
ビュゴゴゴオオオオォォォォッッッッッ!!!!!!
会場全員『ぎゃーーーーーーーーッッッ!!!!!』
(次々と風にあおられる一同。徐々に煙が晴れていく。そしてその傍らでうがいをするルック)
主「……ったく、ルックの奴……。4、5人ぐらい飛んでったぞ」
ナ「……げほっ、げほっ。ど、どうやら煙は退いたようですが、いったい事態はどうなっているのでしょうか!? 私は丸焼きのフリックさんが個人的に見所なんですが……」
カ「やった……のか?」
ざわっ!
フ「……残念だったな……。俺はこの通り、ピンピンしてるぜ……」
カ「なッ……!!??」
ナ「うぉおおっっとぉぅ!!?? 一体これはどういうことでしょうか!!! あれだけの火炎をまともに受けて、傷ひとつついていません!!!」
主「ナナミ、マイクないよ、マイク」
ナ「んっ? あ、あれ? ホントだ、いつの間に。さっきの風で飛ばされたのかな。……って、そんなことはどうでもいいのよ!!! カミュー選手、さすがにショックでなかなか立ち直れない!! おおっ、そしてフリック選手がその隙を突く!!!」
フ「残念だったな。こんなこともあろうかと、俺は『雷の紋章』の他に、『火封じの紋章』も宿しておいたんだ」
カ「そ、そんな――!!」
フ「お返しだ! 行くぞ、『雷撃球』!!!!」
バリバリバリバリバリッッッッ!!!!!
カ「うわぁぁあああぁぁっっ!!!!」
ドサッ……!
ミ「うーん、カンペキに気絶してるね、どうみても。ボナパルトもそう思うよね?」
ボナパルト(以下ボ)「ぶきゅっ」
どおおおおっっっ!!!!(歓声)
ナ「カミュー選手倒れました!! 戦闘不能!! フリック選手の用意周到な作戦に、もろくも敗れ去りましたカミュー選手!!! よってこの試合、フリック選手の勝利です!!!」
ニナ「きゃ~~~~!!! かっこい~~~~!!! フリックさ~~~~ん!!!!!!」
ミ「いやー、それにしてもさすがですね、フリック選手。一言感想をお願いします」
フ「いや、これくらい、たいしたことないさ(キラリ)」
ナ「さすがフリック選手。『無敵スマイル』を装備しているだけあります」
主「さりげないカメラ目線も忘れてませんね。しかし彼はもともとこういうキャラでしたっけ?」
マ「カミュー、あの時、もう少し右斜めにずれていれば……」
カ「角度の問題じゃないだろ、マイクロトフ……」
(そういうなり、救護班に運ばれるカミュー。心配と後悔が入り混じった複雑な表情をしているマイクロトフ)
ナ「というわけで、第一試合は、フリック選手の勝利です!! さあ、次はどんな試合が見られるのか、楽しみですね!!!」
主「というか、楽しみにしている人っているんだろうか……?」
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ぱんぱん。
ル「……あーあ、埃が……」
レ「ルック。気持ちはわかりますが、いきなり真の風の紋章を使うのはあまり喜ばしいことではありませんよ」
ル「だって、煙がすごかったんですよ? ああでもしなきゃ眠れませんでしたよ」
レ「……この大事な試合の最中に、寝ようと考えていたのですか?(額にうっすら見える青スジ)」
ル「(びくっ!!)……あ、いや……別にレックナート様主催のイベントがつまらないから寝ようと思っていたわけではなくて、あの……」
レ「ルック。あなたさっき開会式での私の話を、カットしましたよね?」
ル「そ、それはただ、わざわざレックナート様が自ら出向くまでもないというか……」
レ「覚悟はいいですか? ルック」
ル「………………………………はい」
ナ「あれ? そういやルックは?」
主「さぁ……。レックナート様もいないようだけど、二人ともどこに行っちゃったのかな?」
……続く。