このチョコボ頭に……誰がチョコボ頭だ   作:一般魔晄中毒者

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ちなみに、シュワシュワをぶっかけられた時の顔は、顔こそちゃんとクラウドだけど雰囲気は銀魂でクラウドコスした銀さんの様子とみてくれれば……


第2話

 

 

 

 

全く同じ服に着替え、紅魔族の少女を座らせた席の正面に座る。

落ち着かないのか、目の前に相手がいるのにも関わらず周囲をキョロキョロと見ている。

 

「俺に何か用があったのか?」

「いいいいぃえなんで……も……い、いえありまぁす!!」

 

情緒不安定にも程があるだろう。

紅魔族は変な名前が多いが、それを補って余りある魔力を持っている。実力も高く、何度も魔王軍を退けた経歴を持っている程だ。

最近にも魔王軍による襲撃があったが、事も無げに撃退したという話もある。

ちょっと前に観光に行ったし、馴染み深い場所でもある紅魔族の里出身の少女だ。マントと紅い瞳が特徴なので、紅魔族だとすぐわかる。

 

「もしかしてパーティの誘いか?なら、他を当たってくれないか?俺はソロで動いている」

「そこをなんとかお願いします!どこのパーティにも入れて貰えなくてぇぇぇ〜!」

「えぇ……」

 

結構訳ありなタイプ臭い。紅魔族にしては珍しく、名乗りをしないのだから。

紅魔族は名前を聞く聞かれる関係なく、決めポーズを決めて名乗ったりする。流行りか癖か、伝統かは分からないが……中には魔法を使いながらのパターンもある。

 

「その前に、名前は?」

「我が名はゆんゆん! アークウィザードにして上級魔法を操る者。やがて紅魔族の長となる者!」

 

しっかり決めポーズをして名乗る。様になってるのは美少女故か。

だが、アークウィザードか。その時点でパーティなら充分採用価値が高い。しかも紅魔族なら電池切れも起きにくいので、本来なら引っ張りだこのはず。

 

……ああ、人見知りなのか、それとも連携が取りにくいのかもしれない。確かに、俺がガンガン前衛を張れば活躍しやすいだろう。

 

「わかった。ゆんゆん、俺のパーティに入ってくれ」

「アクセルの英雄クラウドにシュワシュワをぶっ掛けた変女なんていわれたらあああもう怖い怖い絶対断られるに決まって───────はい?」

 

すっげぇネガティブ。戦力としては申し分無いし、自信を持っても良い気がするが。まぁこれがゆんゆんのスタンスなのか性格なのかは兎も角、パーティに引き入れといて損は無いだろう。

 

「ああ、俺のパーティにようこそ……だな。紅魔族の里には良く買い物や観光に行くし、世話になってる身だからな」

「本当ですか!?やったぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

乱高下が激しい。俺は人付き合いが苦手のほうだから、笑顔にさせる言葉が選べるかはわからないが、喜んで貰えたなら良い言葉を選べたのだろう。

 

「まず、実力は──アークウィザードの時点で大丈夫だな。何が使えるのか教えて貰えるか?」

「えっとですね──」

 

上級魔法の市場みたいな羅列だ。なんでパーティ組めないんだこの子。

魔王軍からの偵察かと一瞬邪推したが、紅魔族がそんな事するような性格じゃないし、するとしても進軍しまくるタイプだろうからな。というかこの子じゃ無理だろ。

 

疑う必要無し、実力申し分無し。性格は……うん、仕方ない。下手に見栄張られて壊滅は避けて貰えそうだ。俺が来たばかりの頃にいた先輩冒険者なんて、とてもじゃないが酷いものだったからな。あの時の先輩冒険者は反面教師とさせてもらおう。

 

「……問題なし、俺もいくつか魔法が使えるが基本的に前衛で戦う。援護を丸々任せる事になるが、大丈夫か?」

「お、お任せください!役立ってみせますとも!」

「今日は休む気でいたから、明日から頼む。キャベツのせいで疲れが取れなくてな」

「あ、すみません……」

「落ち込まなくて良い。アクセルじゃよくある事だろう?」

 

辺境故にキャベツの被害が大きい。ゆんゆんも昨日の今日で疲れているだろう。彼女もキャベツを確り取って稼いだとは思うが。

 

ギルドから出るゆんゆんを見送る。俺はその後鍛冶屋に行って研磨して貰ったり、大ぶりの片手剣を見つけては試し斬りしてから購入したりして時間を潰して昼、夕食をギルドで済ませてから拠点で夜を明かした。

 

翌日の朝、ボードに貼られているクエストを探す。

……またジャイアントトードが繁殖しているらしい。遠出にはならないので、どれぐらい単独で戦えるかを見極めるのに丁度良い。貼り付けられている紙を引き剥がし、ゆんゆんが来るまでサラダを貪る。

1時間ぐらい待つと、ゆんゆんがギルドに入ってきた。

 

「おおおおまたせしました!」

「ああ、よろしく頼む。クエストはこっちで決めさせてもらった」

「うえぇ!?何時からいたんですか!?」

「1時間前には居たな」

「は、早すぎる……」

 

早めに来ないと他の冒険者に持ってかれてしまうからな。ジャイアントトード系統はパーティである程度狩ったら撤退して売りさばいて、再度狩ってまた撤退を繰り返す。

だが、俺はそれを無視して狩り続けて、出来る限り殲滅する。それでも時間はかかるので、どれだけ効率良くなるかを試したい。

 

朝食を食べ終わり、アクセルの外れの方にあるジャイアントトードの繁殖場所に向かう。

所狭しっという程ではないが、池の一角がカエルで埋まりきってしまっている。

一掃出来るのであれば楽だが、一対一を何百もやる羽目になる冒険者が後を絶たないのだろう。そこそこの頻度で依頼が残っているわけだ。

 

こうして残っている上に、初心者じゃ任せて置けないのは俺が遺物回収の遠征がてらに処理したりしている。ギルドへの寄付にもなるし、魔王軍の侵攻起点になるのを防ぐのに役立つ。それに、案外実入りが良いので小金稼ぎになる。

依頼料の吊り上げがあるが誰も受けてくれないからな。俺の懐が膨れるし、唐揚げも美味い。

 

 

目下にいる巨大なカエルの大群にゆんゆんは顔を青くしている。中々見ないであろう光景か、パーティ以外でこれを相手にするのを嫌がっているのか。

 

「どれだけ討伐できるか見てみたいんだが……」

「ここまでいっぱいなんて聞いてないですぅぅぅ!!!」

「……やっぱり中々見ないか。最近はこの手の依頼が多い。時期が時期なのも相まってか、数が多くて相手しにくい。報酬が倍額になっても受けてくれる奴らも少ない。受けても中途半端だったり、危険だと思って切り上げてくる冒険者が多い。間引くレベルで処理するのは、俺ぐらいしかいない」

 

大剣を横に構え、チャージをする。

そうだ、紅魔族風に言えばやる気を出してくれるだろうか。

あの名乗りは、紅魔族同士のコミュニケーションになる。名乗り上げる事は俺が言うにはヘイスト替わりになるという事だろうか。

 

「……よく聞け、ゆんゆん。こういう手合いは、大きな声で引き付けて、広域攻撃で一掃するのが良い。ただ、魔力に気を使う事も忘れない事だ」

 

チャージが溜まりきったので、トードの大群に向けて大声で紅魔族風の名乗りをする。

 

「俺はクラウド、アクセル最強の英雄也!」

 

一斉にこっち向いた、怖。ギョロっとした目で見られると気持ち悪いというか、怖いというか。

まぁ処理するが。

 

「魔の軍勢よ、我が魔法にて平伏すが良い!!メテオレイン!」

 

虚空からいくつかの隕石が大群に降り注ぎ、破壊の限りを尽くす。

かなりの数を減らしたが、まだまだ大量にいる。

残ってる奴らをゆんゆんに処理してもらおう。

 

「どうした?俺は名乗り上げ、ここまで殲滅したぞ。やらないのか?」

「………」

 

呆然としたまま固まっているゆんゆんを煽る。こうすると勝手にやる気を出すらしいのが紅魔族の特徴なのだとか。嘘か本当かは言った紅魔族に言ってくれ。

 

「かっこいい……!!これは、負けていられませんね!!」

 

どうやら、見惚れてたらしい。……嬉しいが、やはり気恥しい。元の世界でいう厨二病の初期症状だとかなんだとか。

俺はそうだった記憶は無い……無いはずだ。クラウドに憧れてる辺り、人の事は言えないか。

 

 

こうして、魔法による殲滅によってジャイアントトードの大群は片付けられ、ギルドに報告した際にはしばらくは遊んで暮らせるだけの金を貰った俺たちは、ギルド内で飲み食いしていた。

 

「申し分無し、これからもよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします。まさか、理解のある人だとは思ってなかったので」

「前にも言ったが、紅魔族には世話になった事がある。多少は気恥しさはあるが、名乗りは身分を明かして事態を収束させたりするのに使えるんだ。それを苦もなくやれるのは誇るべきだ。場面さえ気をつければな」

「お恥ずかしい限りですぅ……」

 

唐揚げをフォークで突きながら顔を赤くするゆんゆん。動作は間違いなく可愛らしいのに、なんでパーティを組んでもらえないのかを聞いてみる。

 

「なんか、噂が独り歩きしてるようでして」

「どう言った噂だ?俺の耳にも入るはずだが、ゆんゆんの事は昨日初めて知ったんだが」

「言わないでしょうから、聞かなかったんだと思います。なんか、1人が好きな紅魔族、と思われてるようで……」

「ああ……」

「ああ、ってなんですか!!」

 

絶対傷つく内容だ。コミュ障が祟り過ぎて、組んだ人から一匹狼と勘違いされるのが原因だとは。

これを口にする勇気は俺には……あるな。

 

「コミュ障ってやつだなそれは」

「うぐっ!?」

 

ショックで唐揚げに顔から突っ込んだゆんゆんに濡れタオルを渡しながら、解決方法と言えるかどうか分からないが、言うだけ言ってみる。

 

「まず、当たり障りない会話を続けるのが良い。受付嬢と会話する時と同じ感覚で、ウェイターに注文する時の心持ちで話すと良い。なんなら俺と話す時ぐらいの感覚で話して見るといい。次第に慣れていく筈だ」

 

俺もこの世界に転生当初はコミュ障だったからな。壁と話してる気分だったが、回数を重ねたら最低限、相手の立場によって丁寧さを変えるぐらいは出来るようになった。

貴族や王族、金持ちってどの世界でも変人奇人守銭奴だなぁってなったがな。

子供は除くが。まぁセルフクズか素がクズなのかは家次第だが。

ダスティネス家には確り敬意を払うが、他は……うん。

王族が俺に直接依頼するぐらいにはダメダメなので、結構腐ってるのは世の常なのか。

でも第1皇女が強いので、余程な事じゃなければ俺の所には来ないが……。

 

そういえば最近、そういう系統の依頼が来ないな。明日はフリーにするから、ダスティネス家に行くか。ついでにドリスで買った飾用の剣を持って行くか。

 

寝潰れたゆんゆんをギルドの2階の宿部屋のベッドに寝かせ、俺は隣の部屋を借りる。2部屋分の宿泊代を払おうとしたら、これからはタダで良いと言われた。トード狩りでの被害が減った事を受付嬢に感謝された。その礼としてらしい。

 

アクセルのギルド限定でタダで泊まれる許可証を受け取り、ゆんゆんの分だけの代金を受付嬢に押し付けて、寝ることにした。

 

 

 

翌日、朝食を食べてる時に来たゆんゆんに今日は自由にして良いと伝える。

 

「まさか、パーティを抜けろと!?」

「言ってない。俺が用事があるから、今日1日は自由に過ごして良い。伸びるかは分からないが、伸びるようであればギルドを通すか、こうやってギルドで話す。場合によっては着いてきて貰う」

「な、なんだ……わかりました」

 

食べ終わり、ダスティネス荘に向かう。

アポ無しな為一瞬だけ門番に訝しげに見られたが、俺だとわかった瞬間に速攻で門を開けた。良いのかそれで。

 

とりあえず中に入り、扉の前に居た執事に今日来た目的を話す。

 

「ドリスで見つけた飾用の剣だ。見栄えは良いが実践用じゃないし殺傷性が無い。飾には丁度良いと思ってな」

「これはこれは……結構な値段したでしょうに」

「大した額じゃない。依頼で弾んだ金で買った物だからな」

 

中に入っていった執事を少し待つが、すぐに戻って来た。

 

「すぐに会いたいとの事です。どうぞ、お入りください」

 

頷き、中に入る。

客間で待っていたダスティネス伯に促され、席に座る。

真剣な表情で、切り出してきた。

 

「ありがとう、クラウド君。丁度良い時に来てくれた」

「なにかあったようですね」

「ああ、君が言っていた通りだったよ。……アルダープが脅迫してきた」

 

……事態は深刻のようだ。

 

過去に、ダスティネス宅の門前でアルダープに無理やりキスをせがまれたララティーナ嬢を助けた事がある。ララティーナ嬢は罵倒してそのまま逃げたが、アルダープは俺を糾弾しようとでっち上げ、冤罪に問われた事がある。

嘘発見器みたいな天秤には白判定をもらい、冤罪である事が明るみになって釈放されたものの、アルダープは捕まる事は無く、通称セクハラ事件は有耶無耶となってしまったのだ。

 

その後、ダスティネス伯に感謝されたが、あの様子だと諦めないし近いうちに強硬手段に出る可能性があると言った。

 

それが現在、アクセルの領主たるアルダープは強硬手段にでたという事である。

領主としての立場を使って、ダティネス家をアクセルから追い出すと言い切ったらしい。嫌ならララティーナを寄越せ、と。

 

「王には言いましたか?」

「言ってない。流石にお家関係で巻き込む訳には行かない。まぁ前回の事を既に報告したが、腐っても領主だからすぐには排他できないと言われてしまってな……」

 

いや、腐り果ててるから切除しないと他にまで伝染るって絶対。

 

「なので、アクセルの英雄たる君に、冒険者としてララティーナを預けたい。君が相手ならアルダープも下手に手を出せまい。王族に直接コンタクトが取れる君だからこそ、任せたい」

 

俺の評判を盾にする方法を選んだようだ。こればかりは仕方ないだろう。これは、長丁場な依頼になりそうだ。

 

後日に再度訪れる事を約束し、ギルドに戻る。

ゆんゆんに事情を話し、事実上の護衛兼仲間として1人メンバーが増える事を話し、その日を終えた。

 

さぁ、明日から忙しくなるぞ。

 




ちょっとした解説



クラウドメモ

紅魔族特有の名乗りで煽るのが1番効果的のようだ。
無理やり載せてる感じが強いのは、彼女がコミュ障の究極系に近いレベルでコミュ障だからだろうか。
だが、ジャイアントトードを殲滅してる時にイイエガオだった為、戦闘狂の気質がある紅魔族の血は争えないのだろう。
これからコミュ障が少しづつ改善されていけば、知る人ぞ知るアークウィザードになれる筈だ。試しに魔法のメテオを教えてみようか。


クラウドメモ2

アルダープに冤罪で捕まえられた時の内容で既に領民からの支持が地の底より下に下落してはいるが、まだ諦めない辺りもはや怖さすら感じる。
ダスティネス伯の所に訪れて正解だった。実際は飾剣を渡しに行っただけなんだが。
ララティーナ嬢を仲間にするのは良いが、あの性格だと盾以外には成れないだろう。盾を2つ持って突撃させるか、ガチガチに固めてみるのも一考か。
……色んな意味で長丁場になりそうだ。巻き込むことになってしまったゆんゆんには悪いが、護衛として一緒に来てもらおうか。

さて、アルダープをどうするか……
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