「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

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お前モンスターになるのか……(困惑)

あれ……青眼新規は?


13話 バーサクエンジェル

「くっそー! ハノイの奴等やりたい放題やりやがってよー!」

 

 リア凸ハノイをぶっ飛ばして数日。

 後のことは全部警察にぶん投げて俺は登校してきていた。

 そして放課後の部室。熱意だけはある男、島君は憤っていた。

 

「リンクヴレインズが大変な今こそ、オレ達デュエル部が立ち上がる時じゃないのかー!?」

「まあまあ落ち着きなって島君。鬼塚もブルーエンジェルもユウギ(仮)も負けるかもだが、Playmakerは無敵だからさ。大人しくしてなって」

「めっちゃ人任せ! そういう話じゃなくってさぁ、任せっきりにせずオレ達も手伝わなきゃって話よ」

「ブルーエンジェルも負けないわよ」

「なんだよー? 財前、お前ブルーエンジェル推しだったのか?」

 

 ムスッとする財前さん。

 いや負けるってブルーエンジェルは。

 鬼塚とかいう主役級以外には勝ってるのに扱いが悪くて闇落ちする奴と違ってさ。

 マッチアップも悪いけど、遊戯王ヒロインらしくしょっちゅう酷い目に遭うんだから。

 

「駄目だ。そんな危険なことはできない」

 

 一年組でワチャワチャと騒いでいる中、部長が告げる。

 部員に何かあったら、という極めて真っ当な理由の下、デュエル部の活動は休止になってしまう。

 

「特に工藤君! 君は最近何やら家に不審者が来たそうじゃないか。噂ではハノイの騎士だったとか……まさかリンクヴレインズに行ってるんじゃないだろうね?」

「行ってますが?」

「危ないからやめるんだ。いいね」

 

 肩を竦めて聞き流す。

 俺もそうしたかったんだけど、できないんだなぁこれが。

 

「大丈夫だったの、それ?」

「心配してくれてありがと。ま、見ての通りピンピンしてる」

「そう。ならいいけど」

「あー優しさが染みるわ」

 

 いやぁ、可愛い女の子に心配されるとニヤけちゃうね。なんてったって──

 

「誰も心配してくれねーんだもん、俺のこと」

 

 親もさぁ、デンシティ来る前の友達もさぁ。

 揃いも揃って相手に怪我させなかった? って。

 我被害者ぞ。

 

「家族仲悪いの?」

「そんなことないと思うけどね」

 

 ただみんな俺のことをデュエリストだと知ってるから心配されないだけで。

 そうこうしている内にリンクヴレインズへPlaymakerが現れたらしく、部長が切り上げる。

 

「平和になったらまた集まりましょう。では」

 

 次々に部室から去っていく部員達。

 俺も席を立つ。さぁて、今日も帰宅したらリンクヴレインズにログインするかー。

 部長にやめろっと言われてももう遅い! やめろっと言われてももう遅い! 二回言ったのは帰るまで暇だからだ。

 

「ねぇ。工藤君」

「あれ財前さん、どした?」

 

 正面玄関までの道すがら、財前さんに声をかけられる。

 なんだろう、わざわざ待ち伏せなんかして。

 は! まさか告白……。という冗談はさておき、視線がチラチラと俺のデュエルディスクに向かっていることからも、まあ俺がユウギ(仮)なんじゃないかと疑っているんだろう。

 ……疑うも何も無いわ。名札貼ってるようなもんでしょ。

 

「……自分で負ける、なんて言わないか」

「何が?」

「なんでも。……リンクヴレインズにはまだ行くつもり?」

身体(デッキ)が闘争を求めてるんでね」

「そ、そうなの。えぇと……気をつけて」

「オーケー、気をつけます。じゃあまた明日」

 

 そう言って手を振り、帰路につく。

 まあ別にそんな気になるんだったら明かしても構わないんだけど。

 というかむしろ誰か俺に聞いてくれ。自分から言うのは恥ずかしいし。

 

 ■◆■

 

 とはいえ俺がどれだけ意気込んだところで、ハノイの幹部達とかは向こうから来てくれないと出会えないわけで。

 つまるところやる事は今日も雑魚狩りである。

 まあ雑魚の方が被害者出してるし、これも社会貢献だ。

 

 そしてそして! とうとう俺はやり遂げたのである! 

 何があったのかと言えば、ブルーエンジェルとハノイの三騎士、バイラとのデュエルを見届けることができたのである。

 きゃー、カッコいいー! うぉおお、ブルーエンジェルー! 

 

 罠デッキを使うバイラを相手にスキルを発動。

 一枚でも罠を引かれたら負け、という状況で三枚ドローさせるリスクを通し切り、新たなる切り札のリンク4、ベラマドンナを召喚。

 一気にライフを取りきって大逆転!! というめちゃくちゃに格好いい流れに、はーってなったわ。後でスパチャしよ。

 

 しかしベラマドンナが持つ耐性は『発動した効果を受けない』というもの。

 この耐性の厄介さはサイコ・エンド・パニッシャーで散々経験してきたが……。

 

 勝負の決め手となったバイラの罠カード『-R-ハックウィルス』

 

 このカード、こいつが墓地にある間、リンク召喚される毎に場のリンクモンスターの攻撃力を0にし、効果を無効にする。

 って書いてあったんだけど……これ発動って書いてないしベラマドンナの耐性貫通して攻撃力0になるのでは? 

 

「ならない!」byブルーエンジェル

 

 そうか〜。ならないか〜。ブルーエンジェルがそう言うんならそうなんだろうなぁ〜。デュエルモンスターズって難しいなぁ。

 

 そしてブルーエンジェルに感化され、心を入れ替えたバイラによって除去プログラムが配布された。

 これでアナザー事件の被害者達も次々に回復。

 ハノイの三騎士も残り一人となった。

 

 最後の一人は……ええと。名前何だったかなぁ。

 DNA大好きおじさんとロスト事件エンジョイ勢のキャラが濃くって記憶が……。

 でも確か、この三人目が登場する回は──

 

「工藤ー! 工藤ー!」

 

 カエルとハトの記者達が撮影したデュエルを見ながら前世の記憶を振り返っていた俺の元へ、島君が走ってくる。

 

「ぬっふっふ〜。なあなあ確かリンクヴレインズに行ってるんだよな」

「そうだけど」

「お願い! 一緒に来てくれー! 怖いんだよぉ」

 

 島君がとうとう闘いに! 

 ということはあれか、これが後に伝説となる完璧な手札回! 

 向こうからイベントが来るとか嬉しすぎる。

 

「いいぞ、行こうか」

 

 当然二つ返事で承諾し、いざリンクヴレインズへ。

 適当な空き教室に入って椅子に腰掛ける。

 そして大層緊張した様子で島君はディスクを構える。

 

「よし、行くぞ行くぞ行くぞ。……。イントゥザ、ヴヴ……ヴレインズ」

「イントゥザヴレインズ」

 

 どこぞの倉庫街みたいな場所へログインした俺達。

 初のリンクヴレインズにはしゃぎまくる島君もといブレイヴマックス……いや今はまだロンリーブレイヴだったっけ。

 俺も初ログインの時は興奮したなぁ、と見守る。

 

「……って、もしかしてここPlaymaker狩りのど真ん中? な、なあ──うお、ユ、ユウギ!」

「俺だよ俺」

「え、なーんだ。工藤かよ。お前、そのアバター使ってんのか?」

「本名で呼ぶな。こっちではユウギ(仮)だから」

「それお前の名前じゃないだろ」

 

 む。信じてないな。まあいい。どうせこの後、その辺のハノイとデュエルすることになるんだし、そこで実力で証明すればいいだけのこと。

 そうやって騒いでいた俺達の所へハノイがわざわざやられにやってくる。舐め腐った態度のハノイに対し、島君がディスクからカードを抜き出し、見せつける。

 

 そう、Playmakerの持つサイバース・ウィザードのカードを。

 

「オレの名はロンリーブレイヴ。Playmakerに認められた唯一の男!」

「じゃあやるか。Playmakerの知り合い」

 

 ゆるゆるな空気感の中、始まる完璧なデュエル。

 

「で、こっちはユウギ(仮)のパチモンか」

「パチモン扱いはやめな。……ユウギ(仮)自体パチモンだけど」

「じゃあこっちもやるかぁ。かかってこいユウギ(仮)(仮)」

 

(仮)がゲシュタルト崩壊しそう。

 まあいい。このまま思いっきりぶっ飛ばして──あ。

 

『ふ。完璧な手札だ!』

 

 横でやってる愉快なやり取りを尻目に、ドローした手札を見つめる。

 

 やべ。学校でログインしたから、ブラマジデッキ家だわ。

 カード収納式の悪いとこ出たな。




青天使(あのデュエルディスク、ユウギ(仮)と同じ物だけど流石にそんなわけないわよね。それにデッキも全然違う。学校で使ってるデッキ、すごくちゃんとしたデッキだもの)

バカのSNS『部活が休止になったんで早めに出撃しまーす』
リプ欄『青春を満喫するな』『地味にログイン遅いのそのせいだったんか』『状況考えろ。(俺達が)今際の際だぞ?』
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