「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
「海馬ァ!!お前抜け駆けしやがって羨ましいZE☆」
「見るが良い遊戯!貴様の貧相な魔術師よりも、オレの青眼の方が人気なのだ!!」
「くっ。この間まで光と闇の竜とか、なんか黒色のタキオンとかいうカードを青眼新規ってはしゃいでたくせに」
「Playmaker! 君は人類の未来を自らの手で──」
なんか普通に俺の知らないところでファウストに拐われていたらしい島君。
事件があったらしい日の翌日、登校してきた島君がニマニマしながら話しかけてきたのである。そして。
「うおお! Playmaker!」
「くぅぅ、カッコいいぜー! どうよ工藤。羨ましいだろう?」
「いいなぁ……俺も助けられたい。あんま困りたくはないけど」
Playmakerに助けられたんだぜ、と楽しそうに自慢され、そして撮影していたらしいデュエルの様子を一緒に視聴していた。
「にしてもハノイの奴、人類の未来とか何言ってんだ?」
「さあてね。ただの命乞いでしょ」
「ま、それもそっか」
悪いけどそういうことにしておいてもらおう。
なんにせよ大事にならずにすんでよかった、よかった。
「で、どうするんだ。またリンクヴレインズ行くのか? それとももうやめとく? おすすめはやめとく方だけど」
「もちろん、まだまだ行くぜ! Playmakerの相棒としてもっと実績積まないとな」
ファウスト、キャラがあんまり立たないくらいまともな人だったからまあ平気だろとは思ってたけど、予想以上に元気そうだな。
「だから安全に活躍できそうなとことかあったら教えてくれ」
「一緒にログインした時の相手とか雑魚だったろ」
「……もっと弱くならない?」
ハック・ワームを召喚。ターンエンド。みたいなレベルは流石にいないんだなぁ、これが。
なんていうかだいたいのハノイの騎士が使ってるデッキって、多分なんだけどリボルバーか誰かが用意した同じデッキだと思うんだよ。
だからそこまで酷い奴がいない。
「ううむ。なら仕方ない。このブレイヴマックスの活躍は一旦置いておくとしよう。今はまだ俺が動く時ではなかったな」
「来るのか? そんなタイミング」
まあ島君が活躍するかは置いといて、カッコよく勝負を決めるPlaymakerの勇姿を眺める。
カッコいいなぁ、パワーコード・トーカー。
自分で使った記憶は無いけど、真っ赤なコード・トーカーってのが良い。
惜しむらくは撮影したのがデュエルが始まってからなので、Playmakerとファウストが肩を並べて夕陽に向かって走るシーンが無かったことだろうか。
■◆■
放課後、俺は例の広場に向かっていた。
そういや三騎士も全部倒し終えて、そろそろ最終決戦だなーって頃なのに、一回もカフェナギ行ってないなーと思い立ったのである。
ハノイも最後の騎士が負けてからちょっぴり大人しくしてるし、今のうちに遊びに行こう。
なんてことを考えながら道を歩いていると、人にぶつかってしまった。慌てて謝る。
「おっと、ごめんなさい」
「こちらこそすみません、前をよく見ていませんでした」
うお。リボルバー。じゃなくて鴻上了見。
なんでこんなところに、って思ったけどそういやこの人、カフェナギの常連さんだったな。
家の場所特定されるレベルで話し込んでるタイプの。
「何か?」
「いや」
あービックリしたわ。もうホント本気で。
しかしイケメンだなぁ、リボルバー。余りにも顔が良すぎる。
でもジロジロ見すぎるのもあれだしもう立ち去るとしよう。
……、あ、そういや。
腰のデッキポーチに手をかける。
リボルバーの鋭い視線を受けながらカードを二枚取り出すと、それを渡した。
「ラッキーカードだ。こいつらが君の所に行きたがってる」
「はあ?」
なんだかんだあったとは言え、後で確認したらスペクターとの賭けデュエルの勝敗は黒星付いてたからな。
俺の方で通信切ったから負け判定。悲しみ。
でもまあ負けは負けだし、ちょうど出会えたことだ。ミラフォと筒はリボルバーに渡すとしよう。本当はスペクターに渡すべきなんだろうけど、あんま会いたくないからなぁ。
「これは……待て!」
グッと親指を立ててその場を離れる。
これで追ってこられてたらカッコ悪いよなとか思ったけど空気を読んでくれて助かった。
■◆■
「よっ、藤木君」
トラブルもありつつようやく辿り着いたカフェナギ。
丸テーブルに腰掛けていたPlaymakerに声をかける。
「ん? あぁ、工藤か。こんなところで何してるんだ?」
「おいおい遊作。こんなところはないだろう」
おお、草薙さんだ! めっちゃいい人そう。
「散歩かな。藤木君は? 馴染みの店だったり」
「まあそんなところだ」
「そっかー。あ、じゃあおすすめの奴とかある? なんか食べてこうかな」
「お、いいな。うちはなんでもあるぞー! ホットドッグにフライドポテト、ドリンクだってある」
Playmakerイチオシのホットドッグを注文して、同じ席につき、できたてほやほやのホットドッグにかぶりつく。
う〜ん、まあ普通。
「君は遊作の友達、でいいんだよな?」
「そうですよ。クラスメートで部活仲間です」
「ああ、デュエル部の」
そういいながら頷く草薙さん。
ハノイは俺の正体暴いてたけど、Playmaker達にはバレてるのかな。
ブルーエンジェルのことはSOL関係で調べてたけど、俺のことは別に調べる必要ないし、もしかしたら知らないのかも。
「といっても部活は今、活動休止中なんですけれどね」
「あれ? そうなのか。遊作からはそんな話は聞いてないが」
「最近来てなかったですからね、藤木君」
なにはともあれホットドッグをもぐもぐしながらのんびりお話をする。
「何かあったのか?」
「部長がさ、リンクヴレインズの問題が解決するまでは危険だからって」
「そうだったのか」
「ああ。だからまあ……色々解決したらまた部活で遊ぼうぜ。面白いもの持ってくからさ」
Playmakerが学校に持ってきているダミーデッキ、マジで家のストレージから適当に持ってきました。な40枚だからな。
俺も似たようなデッキを用意したりしていたんだけど、流石にあれじゃあ満足できない。
「そうだな。またその時は──っ」
「大丈夫か?」
「……。すまない、頭痛がしてな。悪いが話はまた今度だ」
「気をつけろよ〜」
いきなり頭を押さえてふらついたPlaymakerがカフェナギのトラックの中に引っ込む。
彼の持つ特殊能力、リンクセンスで仮想空間の異変を感じ取ったんだろう。つまるところ遊戯王VRAINS一期のラスト、ハノイの塔の予兆を。
俺も帰ってデッキ見直しておくか。
「ごちそうさま。また来ますね」
「ああ。またいつでも来てくれよ」
代金を支払い店を後にする。
こっからPlaymakerのデュエルって何があったかな。
リンクヴレインズのゴミ捨て場みたいなとこでハノイの塔を建設してるところに乗り込んで行って、確かそこではデュエルしなかったはず。
ゴミ捨て場では確か……あー……ごめん、ゴーストガール。
■◆■
マンションの自室にて──
「デッキどうしよっか……どうすればいいと思う? いやごめん、流石にガール三枚は使わない。こら、勝手に入ろうとしない。師匠を見習えよ、ほらこうして大人しく……馬鹿な、いつの間にブラマジがデッキに四枚も」
「ハノイの崇高なる力の前に平伏すがいい!(ウキウキ)」