「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
起動したら前のイベントが終わって、いきなり聖天樹って名前が見えたからビビったぜ……
頑張って組むぞー!
明日はトリックスター強化が来るわけだし、サンアバロン新規も欲しい……けど難しいかな
リボルバーにひっそりとカードを託した次の日のこと。
リンクヴレインズに異変が起きた。
いつものことだろって言われりゃそうなんだけれども、ともあれだ。
各地に配備されていたAIデュエリスト達が誰に負けた訳でもないのに片っ端から停止し、遊んでいたプレイヤー達も次々と消えていった。
異変を察知しログアウトしようとした人もいるが、どうもそれさえ許されないらしい。
そしてリンクヴレインズにある全てをデータ化し、その中心部に塔が建設されていく。
一本の巨大な棒の周りに、輪が形成されつつある。
──ハノイの塔
人類文明を消滅させるリボルバーの奥の手が始まった。
「すぅ……はぁ……よし、行こうか」
デッキをディスクにセット。
楽な姿勢で椅子に腰掛ける。
「イントゥザヴレインズ」
デュエルディスクから光が放たれ、俺の視界が切り替わった。
■◆■
「おっと。俺が一番最後だったか?」
ハノイの塔攻略のため集まっていたPlaymaker達に声をかける。
「ふ。命知らずがまた一人増えたか」
「なんだGo鬼塚。負ける気でいたのか?」
強気に笑うGo鬼塚にそう返す。
「まさか。オレがリボルバーを倒してリンクヴレインズを解放してやる!」
拳を握り締めて宣言するGo鬼塚。
脳裏をよぎるハノイの舞に思わず笑いそうになってしまうが、真剣な雰囲気なので我慢する。
「お前も来たのか、ユウギ」
「まあな」
「ここから先は危険すぎる。お前たちは帰れ」
ぶっちゃけ帰っても問題ないとは思ってるんだけどね。
スペクターもリボルバーも、なんだかんだ倒すのは結局Playmakerなわけだから、本当にここから一人で全部解決してしまえる。
でもまあ一人で出来るからって、一人でやる必要はないわけで。
「まあそう言うなよ。手伝うぜ」
「ここまで聞いてすごすごと帰るわけにはいかない。それに子ども達の未来のために夢や希望を守るのはオレの義務だ」
「同じ思いよ。ゴーストガールを助けないと」
「勝手にしろ」
アニメでの状況を軽くまとめると、リボルバーが作ろうとしているハノイの塔は後六時間で完成する。
あれが完成してしまうと、膨大なデータがネット上に放たれ、全てのネットワークが消滅してしまう。
あらゆる電子機器が破壊され、人類文明は石器時代に逆戻り。という状況だ。
まあなんだかんだリボルバーの目的は人類滅亡の回避なわけだし、イグニスの抹消をやり遂げたら文明を復興する手段くらいは考えてると思うけど。
……考えてるよね。
「ゴーストガールの情報によるとリボルバーは恐ろしいカードを持っている」
おっと。
ドンナカードナンヤロナー。
冗談はさておき、ちょっと気まずいのでしっかりこっち側にも肩入れしておこうか。
カードを三枚取り出して、Playmaker達に一枚ずつ渡す。
選定基準は遊戯っぽいカードかつ彼らにとっても有用であることだ。
「なんのつもりだ?」
「こいつを預けておく。扱いは……まあ好きにしな」
「ほう」
「勝って返しにこい」
不服そうにする鬼塚にそう告げて先に進むことにする。
ここで負けてもすぐにPlaymakerが解決して解放されるからな! 安心して突撃できるぜ!
俺は何時ぞやのDホイールもとい移動ツールを取り出して跨り、アクセルを思いっ切り踏み込む。
「あっクソ! リンクヴレインズがイカれててツールが動かねぇ!」
「先に行くわよ」
仕方ない。普通に走るか。
■◆■
「お久しぶりです、ユウギ(仮)」
ブルーエンジェル。お前もう負けたのか(困惑)
別れてから十数分、無人の街を走っていた俺の前に現れたのはスペクターだった。
「また出たなスペクター」
「先日は私の部下が失礼しました」
「ああ、そんなことか。別に」
「彼等のことはきちんと処分しましたのでご安心を」
「お、おう」
背後の塔を指差して言うスペクター。
特にそこまでしなくてもよかったのに。
南無南無。もうすぐ助かるから許せ。
「さて。じゃあそこをどいてもらおうか」
「残念ですがそれはできませんね」
無視して走り抜けようかとも思ったが、前も失敗したからな。今回も出来ないだろう。
仕方ない。
「いいだろう。ならばデュエルだ!」
「ええ。私も貴方にリベンジがしたかったところです」
「いくぞスペクター! 対戦よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
『デュエル!』
礼儀正しく挨拶を交わしてから始まるスペクターとのデュエル。
「今回は俺の先攻でいかせてもらうぜ! 俺は手札から『黒の魔導陣』を発動。デッキから『ブラック・マジシャン』を手札に加える」
「魔導陣……とうとう普通に使ってきましたか」
「
「はたしてそう上手くいくでしょうか」
不敵に笑うスペクター。
残りはスペクターとリボルバーの二人だけだから対抗手段を考えて来てはいるのだが、どうにも見透かされてる感が強くて嫌になるな。
リベンジとか言ってたし、向こうも俺への対策を練ってきていることだろう。
まあ? ゆうて除外してやれば余裕っしょ。
「『古のルール』発動! 来い、『ブラック・マジシャン』! これで俺はターンエンド」
「それでは私のターンですね。ドロー」
がら空きで返すと防御寄りのスペクター相手とはいえ死ぬかもなので壁だけ立てて番を返す。
「『ブラック・マジシャン』が場に出る度にカードを除外する『黒の魔導陣』。確かに強力です。ではそのカード、私が使わせていただきましょうか」
「なにっ!?」
「永続魔法『
虚空から蔓が現れて俺の魔導陣を貫いていく。
カシャンと消え去った陣はスペクターのフィールドへと現れた。
「ふふ、これで貴方の戦術は私のもの。そしてまだまだ行きますよ。『予想GUY』を発動し『聖種の地霊』を特殊召喚。さらに私の場に通常モンスターが存在することにより『
「モンスターが三体。来るか」
「現れよ、私達の道を照らす未来回路! 召喚条件は植物族二体以上、リンク召喚! 『
「リンク3の聖天樹……」
聖天樹の大精霊
リンク3 ATK0
攻撃力0でリンク3とか、全身全霊でろくなことしないって書いてあるなこいつ。
この世界の聖天樹は召喚したターン、リンク素材に出来ないからな。一気に高リンクを召喚するならこうするしかないのか。
「『聖蔓の略奪』とコントロールを得たカードの二枚は聖天樹が場に存在する限り効果の対象にはできません。そしてこれはただ封じただけではない」
スペクターの攻撃手段である聖蔓の剣士は、戦闘破壊したモンスターをパクる効果を持つ。
高リンクの聖天樹を出したのは剣士の打点上昇効果込みでブラマジの打点を上回るため。
そしてパクれば魔導陣の効果をスペクターが使うことができる。
なるほど。これで魔導陣のコンボは完全に奪われたわけだ。
「これで私はターンエンド。さあどうぞ」
「俺のターン、ドロー」
お。
「そういえば貴方に聞きたいことがあったんです」
「なんだ?」
「貴方はいつどこでどうやってリボルバー様の正体を知ったのですか?」
「あん?」
「調べても調べても分からないのですよ。どこから情報が漏れたのやら……」
ああ、いや、うん。
渡すにしても二期以降のそこはかとなく仲間になってる時期にすればよかったな。
「あ〜、まあ精霊のお導き的な」
「なるほど。道理でリボルバー様にもわからないわけです」
「え? リボルバー精霊見えねぇの?」
「見えませんよ」
そんな馬鹿な。ストーリー的に精霊とか出てこなかっただけでほんとは見えてるでしょ。
「お前はどうなんだスペクター。さらっと信じてたし、見えるんじゃないのか?」
「そうですね。私もかつてはデュエルモンスターズの精霊、そのようなものと共にありました。ですが今となっては……。ユウギ(仮)、貴方には今も精霊が見えているのですね」
「ああ。毎日モーニングコールしてくれるぜ」
「思ったより親密ですね」
休日もカードショップ連れてけと叩き起こされるし。
「こればかりは少し羨ましい」
「そうか? そうだな。なんなら俺が通訳してやろうか」
「本当ですか? それは素晴らしい! そしてとても残念です。貴方をここでただのデータに変えてしまうのが!」
急に狂気を振り撒き始めるスペクター。
おしゃべりはおしまいだ。さてぶっ飛ばしてやるか。
「それはどうかな。俺は『師弟の絆』を発動。これにより『ブラック・マジシャン・ガール』が呼び出される!」
「ほう。頭数を揃えに来ましたか。ですが『聖天樹の大精霊』は三回まで受けたダメージを回復できる。それではまったく足りません」
「『師弟の絆』のさらなる効果、俺のデッキから必殺技をセットすることができる。そしてそのまま発動『
「そのカードは!」
「これにより俺の魔術師達は連携攻撃を行える!」
正確には場と墓地のガールの攻撃力分、ブラマジの打点を上げる魔法カード。
ブラック・マジシャン
レベル7 ATK2500→4500
これが聖天樹もう一つの攻略法、ライフ以上の攻撃力でぶん殴る、だ。
8000ならともかく4000くらいはいけるいける。
「これでトドメだ! 黒・魔・導・連・弾!」
師弟が杖を交差させ、魔力を束ねて強大な一撃を放つ。
爆発に吹き飛ばされるスペクター。頭からは落ちていかなかった。
「全部終わったらどっかで会おうぜ」
スペクターがデータになって消えていく。
ことが終われば、スペクターがいた孤児院でも探してみるかな。
どう考えても聖天樹の精霊が憑いてた樹に会いに。
■◆■
ちなみにブルーエンジェルは普通に存命だった。
が、共々ハッキングされたっぽいSOLテクノロジーのAIデュエリストに足止めされたため俺達はここまでっぽいな。
後は全部任せておくとしよう。