「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

18 / 41
とうとうマスターデュエルに炎王が来るのか……
最近売るためにあんま規制されないからどうなることやら


一・五 間話
第18話


「オレは、オレは一体どうすればいい……?」

「いや。そんなこと言われても」

 

 今日も今日とて、平和になったリンクヴレインズで遊んでいた俺の下へやって来たGo鬼塚は、開口一番そう言った。

 

「デュエリストランキングの話だと思うんだけど、あってるか?」

「そうだ」

「俺に聞かれても困るぜ」

 

 Playmakerに勝ったあの一件はネット上でも大いに盛り上がった。

 トレンド上位には俺やPlaymakerに関する単語が立ち並び、そして俺のランキングもシビルドン登り。

 なんとなんとトップ10に入ったのである! 

 

 俺もやったけど、ハノイが暴れてる間リンクヴレインズから離れてた奴等に負けてるんだよな。俺もやったけど。

 

 それはそれとして有名人であることに変わりはないのだが、鬼塚の悩みはどうやってナンバーワンに返り咲くか、というレベルのものだ。

 俺トップ争いとかしてないし。

 

「お前はPlaymakerに勝った」

「まあそうだな」

 

 今日は負けたけど。

 

「だがユウギ、お前は一位になれていない」

「煽ってる?」

「オレは、オレが一番強ければ良いと思っていた。誰よりも強く、圧倒的な力を見せつければオレは再び一位に戻れる。子供達も喜んでくれると」

 

 ぐっと拳を握りしめて鬼塚が語る。

 

「だがそうではなかった。……、ユウギ、オレとお前で何が違う。オレとPlaymakerで何が違うんだ! 勝ったお前なら何かわかるんじゃないか?」

「お、おう。そうだな……うん」

 

 そんなこと聞かれても困る。

 趣味とおふざけ半々で武藤遊戯の格好してリンクヴレインズにログインしている俺から何を得ようというのか。

 とはいえライトサイドとダークサイドを反復横跳びするGo鬼塚である。

 変にこじらせても困るので真面目にアドバイスするとしよう。

 

「Playmakerはニューヒーローだからな。一旦ブームが落ち着くまで待つのが最善なんじゃないか」

「目新しさか。確かにそれは一理あるな」

 

 腕を組んで考え込むGo鬼塚。

 

「少し考えてみるか」

「ああ、がんばれ。後は……」

「なんだ? 言えよ、怒りゃしないさ」

「お前のプロレススタイルには一つ、明確にPlaymakerに劣っている点があるのさ」

「なん、だと……!? それは一体なんだ!」

 

 俺が気づいたPlaymakerとGo鬼塚の明確な違い。

 そうそれは。

 

「ファン層の男女比だ!」

「男女比!?」

「そうだ。鬼塚、お前のファン層は男性に偏っているが、Playmakerは男女問わず人気だ。女性からの票が少ない分、お前の得票数はPlaymakerを下回っている!」

「そうだったのか、クソぉ!」

 

 驚愕の真実である。

 確かに広く浅くやるよりは、どこかに特化した方が人気商売ではいいのだろう。

 だがPlaymakerは広く深い! 

 これでは勝つのは難しいと言わざるを得ない。

 

「ならば手は一つだ。オレも女性受けを伸ばすしかない」

「まったくもってその通りだ。それでどうする? 流石にアドバイス思いつかないぞ」

「ふ、心配はいらない。オレ達にはいるだろう? 流行の最先端みたいな女が!」

「いたか? そんな奴?」

「ブルーエンジェルに話を聞きに行こう。彼女なら流行りにも詳しいはずだ!」

 

 そんなことはないと思う。

 

 ■◆■

 

「ホーリーエンジェルでダイレクト〜アターック!」

 

 本日も絶好調に対戦相手をぶっ飛ばしていたブルーエンジェルの所へやって来た俺達。

 見事に勝利し終えた彼女がこちらへと向かってくる。

 

「何よ急に相談なんてらしくもない。ていうかユウギもいるし」

「ああ。お前にアドバイスを貰いたくてな」

 

 空気感が変わったことを察してブルーエンジェルも真面目な顔をする。

 会話が周りには聞こえないようプライベートモードに設定し、真剣な表情をしながらGo鬼塚は話し始めた。

 

「今時の女性には何をやったら受けると思う?」

「んんんんー???」

 

 困惑するブルーエンジェル。

 

「え? 何? 恋バナってこと?」

「いや違う。実はユウギがだな……」

 

 と、Go鬼塚が事のあらましを説明する。

 呆れた様子でブルーエンジェルがこちらに視線を向ける。

 また変なことやってんなぁ、みたいな目だ。

 

「こいつの言う事なんて真に受けない方がいいわよ」

「はっはっは。それはそうだが、一理あるとも思ったからな」

「ぶっ飛ばすぞお前ら」

 

 馬鹿にしやがって。

 

「それで何かないか?」

「え? あ〜、そうね。うん」

 

 ほぼ本名のプレイヤーネーム、ほぼ現実のアバター、多少エンタメ入っているがほぼ素の豪快な性格のGo鬼塚に相談されて、絵本由来のプレイヤーネームとアバター、現実とは真反対なアイドルムーブをしているブルーエンジェルは困った様子を見せる。

 

「ええと……」

「そんな凝った答えじゃなくていいぞ。周りで流行ってるものとかないか?」

 

 Go鬼塚(孤児院のヒーロー)の質問に言葉を詰まらせるブルーエンジェル(部員以外と話してるとこ見たことない)

 そしてとうとうリンクヴレインズのアイドルは答えを出した! 

 

「料理……とか?」

 

 お兄様料理も出来たのか。

 

「料理か」

「そうね。うんうん、家庭的な一面とかいいんじゃないかしら」

 

 いやいや。

 これは今をトキメクアイドルが折角考えてくれた助言である。

 パッと思いつかなかったから愛しのお兄様の良いところを挙げたとかではないだろう。

 礼を言って、意気揚々と引き上げていくGo鬼塚。

 

「ふぅ。なんとかなったわね」

「お前も大概適当なアドバイスしてるだろ」

 

 ■◆■

 

 そんなこんなでその日の夕方。

 普段はデュエルの様子や切り抜きを主にあげているGo鬼塚の動画チャンネルだったが、今回はまったく違う様子の配信が行われていた。

 

『残念だが今日はデュエルではない。晩飯を作っていくぞー!』

『鬼塚兄ちゃん何やってるのー?』

『はっはっは。おーっと危ないからな、お前達カメラに映るんじゃないぞ。すぐに鯖味噌作ってやるから、あっちで大人しくオレの動画を観てるんだ』

 

 楽しそうだな、鬼塚のやつ。

 微笑ましい配信の様子を眺めながら、俺も作業を進める。

 いい加減、用意するべきだろうと思いつつ、他事に気を取られまくって蔑ろにしていたアレを作らなければ。

 

 そう、BGMを! 

 二期に向けて、闘いながら熱き決闘者たちを流すんだ俺は!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。