「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
段ボールを開封して私物を取り出す。
念願かなってデンシティに引っ越してきた俺は、借りたアパートで荷解きをしていた。
とりあえず今日明日必要な荷物だけ先に開けてしまおう。
越してきたのはそう大きくない普通のアパートの一室である。デュエルに勝ったらいい部屋紹介してくれるとかそんなことはなかったので角部屋ではない。残念。
磨き上げたデュエルマッスルを存分に用いてぱぱっと荷解きを進めていく。
ある程度進んだところで、ガッチガチに梱包してある段ボールへと手を付けた。
先にこれやっちゃうと絶対荷解きを放置すると分かっていたので後回しにしていたその荷物は、当然決闘者としての魂、デュエルディスクである。
VRAINSもとい現代ディスクは海馬が映画で使っていた奴の進化系みたいな感じで、ボード部分までデジタル化されたスマートなものになっている。
Playmakerのデュエルディスクもボード部分はデュエル時に生成され、普段は大きめな腕輪といった感じだ。
そんなわけで箱から取り出されたのは初代型のデュエルディスクだ。
あのクソ重そうな白い奴である。
やっぱこれだよな! デュエルディスクって!
早速身に着けてソファーに座り、リンクヴレインズへ接続するあの言葉を唱える。
「イントゥ・ザ・ヴレインズ!」
■◆■
しばらくぶりにログインしたリンクヴレインズ。
いろんな意味で見慣れた武藤遊戯なりきりアバター(無料配布)に身を包み、電脳世界へと潜る。
視界いっぱいに広がるのは近未来的な町並み。そして無数の決闘者達!
動く者は全部決闘者ってすごい光景だよな。流石アニメ遊戯王の世界だ。
しかも全員がこの世界基準では強者ときた。
さあて目ぼしい相手にデュエル吹っ掛けるかぁ、と辺りを散策していたところ、俺は奇跡の再会を果たす。
「AIBOOOO!」
「うおぉ! どなたですか!?」
もう一人のボク!
「ってその格好、あなたもユウギの」
「あぁ(遊戯の)ファンだぜ!」
「おお、やっぱりそうですよね。最近このアバターも人気になってて」
俺と同じ顔をした彼と少し談笑する。
どうもこの間の大会以降、この遊戯アバターの需要が伸びているらしい。
アニメでもPlaymakerのなりきりとかいたが、こっちは有志が作ってアップしてたからお手軽なんだよな。
よくよく見てみればわりとちらほらともう二人目以降の俺がいた。
「そうだ。これも何かの縁。デュエルしませんか?」
「いいぜ、先行はくれてやる。かかってきな!」
『デュエル!!』
俺の後攻スタート。アバターでも再現されている初代型デュエルディスクを構えて迎え撃つ。
「アドバンス召喚! 『迅雷の魔王‐スカルデーモン』!」
「『デーモンの召喚』じゃないのか!」
「バニラモンスターはちょっと……これでターンエンド」
迅雷の魔王‐スカルデーモン
レベル6 ATK2500
なんだっけあのカード。いっぱいあるデーモンの派生形だよな。頑張ってなりきろうと持ってきたんだろうな、と思いつつ、手札にカードが揃っているのでサクッと除去ろうか。
「魔法カード『黒魔術のヴェール』発動! 俺のライフを糧として、現われろ『ブラック・マジシャン』!」
ユウギ(仮)
LP4000→3000
「『ブラック・マジシャン』!? 持ってるんですかそのカード! すごっ!」
「見るがいい、これこそが俺の切り札にして最強のしもべ! 『ブラック・マジシャン』!」
あの右手を上に突き上げる遊戯がブラマジを呼び出すポーズで召喚する。
俺は転生特典的な感じで前世で紙やマスターデュエルで持ってたカードがいつの間にか手元にあったからこうして遊戯デッキを組んでいるが、このアニメ遊戯王の世界で同じデッキを組もうとすると凄まじい値段になる。
なにせみんなマスターパックやレガシー産のカードだけでデッキ組んでるようなもんだし。
「最上級黒魔術師の多彩な技、その一つを見せてやるぜ。『千本ナイフ』発動! お前のデーモンを破壊する!」
ブラック・マジシャンが手のひらを向けると闇が産まれ、そのうちより無数のナイフがそっくりさん目掛けて発射される。
「スカルデーモンの効果発動!」
え、なになに知らない知らない?!
「このカードが効果の対象になった時、サイコロを振る!」
さ、サイコロ? デーモンの派生形なのに?
「1か3か6が出たら、その効果は無効になる!」
迅雷の魔王なんて名前の癖してなんで防御よりの効果してるんだ。
デーモンが両腕を広げる。稲妻が集まるようにして、光り輝くサイコロが出現すると、それはひとりでに回転を始めた。
カランコロンと回って、出た目は3。
「3! これにより破壊効果は無効!」
「やるな相棒」
火力が同じなんだよなぁ、デーモンとブラマジ。
千本ナイフが通ってたらモンスター追加して終わりだったけど、やめとくか。
カードを伏せてターンエンド。
「私のターン、ドロー! ふ、いいカードを引きました。ブラック・マジシャンに専用カードがあるように、デーモンにもあるのです! 『魔霧雨』を発動!」
──ブー
「あれ使えない」
「ちょっと効果読んでみな。俺もわかんないぜ」
「えーっとこのカードは自分の『デーモンの召喚』か……あ、雷族モンスターを対象に発動」
「勢いでデッキ組んだ時あるあるだよな。俺もテーマカードだから使えるだろ、と思ってたら駄目だったことちょいちょいあるぜ」
「ええい、このカードを捨てて『ライトニング・ボルテックス』発動! スカルデーモンでダイレクトアタック!」
「ぐぁぁあ!」
ユウギ(仮)
LP3000→500
降り注ぐ雷にブラマジが焼かれ、俺も魔降雷を受ける。
ソリッドビジョンの衝撃で吹き飛ばされながらも俺は伏せていたカードを使用した。
「罠発動『ダーク・ホライズン』! 現われろ『ブラック・マジシャン・ガール』!」
「そ、それも持ってるんですね。ターンエンドで」
「俺のターン、ドロー!」
おっとこれはちょっと未来のカード。
しかしこのままだと古のカード相手に打点不足で敗北してしまうので使うしかないな。
「手札を一枚捨て『ジョーカーズ・ストレート』を発動。これにより『クィーンズ・ナイト』を特殊召喚! さらに『キングス・ナイト』を召喚! キングの効果により『ジャックス・ナイト』が特殊召喚されるぜ!」
クィーンズ・ナイト
レベル4 ATK1500
キングス・ナイト
レベル4 ATK1600
ジャックス・ナイト
レベル5 ATK1900
三人の騎士達は剣を抜き放ち、一つに重ね合わせる。
俺は最後の手札『融合』の魔法カードをディスクに叩きつける。
「融合召喚! 出でよ天位の称号を持つ究極融合剣士! 『アルカナナイトジョーカー』!」
アルカナナイトジョーカー
レベル9 3800
三騎の戦士達は融合の光により真に一体となり、無敵の剣士へと生まれ変わる。
「バトルだ! アルカナナイトジョーカーでスカルデーモンを攻撃!」
「ぐわぁっ!」
黒金の剣士が手にした聖剣で悪魔を斬り伏せる。発生した衝撃によろけるもう一人の俺。
3800-2500=1300
「とどめの追撃!
ブラック・マジシャン・ガール
レベル6 ATK2300
ガールの攻撃で倒れるのであれば男として本望と言えよう。空を飛び、魔術を放つガールは今日も可愛かった。
感想戦の最中にスカルデーモンの維持コストでちょっとライフが削れていたことが判明して爆笑した。
モンスター効果じゃなくって魔罠で展開してるところにデッキパワーの低さを感じる
新規をくれ、新規を
ブラマジ魔罠を四枚セットできるレベル7のマジシャンズ・ロッドの強化系をくれ