「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
ヤバい、もうそこまで来てる!
今回は繋ぎみたいな回です。
「それで結局あれは誰だったの?」
と、ブルーエンジェルが言った。
午前のイベントを無事にやり遂げた俺はなんとなく喧騒から離れたところで一休みしようとしていたところ、彼女と偶然会ったのである。
それで適当な休憩スペースでおしゃべりしていたのだが。
「どれ?」
「あの、カイバ(仮)とかいうあなたの亜種みたいな」
「さあ」
「さあって、あの人はSOLの仕込みとか」
「じゃないね。俺も実は青眼持ってるんだけど、今普通に手元にあるし……ただの一般参加者なのでは」
「それは……また随分とユニークな奴が現れたわね」
俺と同じ転生者とかならまだしも、そうでもなさそうだったし本気で誰だったんだ。
まあいいか。強いデュエリストだったし、悪人じゃないだろ。
謎の人物のことは置いておいて、新生リンクヴレインズの感想でも話しながら時間を潰すとしよう。
■◆■
そうしてのんびり過ごしていると俺達のデュエルディスクへと同時に連絡が届いた。
なにかの一斉連絡だ。
俺が通知を開こうとすると、ブルーエンジェルは端末を弄っていた手を止めて待ちの態勢に入る。
相変わらずイイ性格してんなぁ、と思いながら内容を確認した。
「お」
「なんだったの?」
「Playmakerがログインしたって」
リンクヴレインズのアップデートとかやってたから薄々察しはついていたが、どうやら二期が始まったらしい。
二期は、草薙さんの弟の仁が何者かに意識をデータとして奪われ、それを取り戻しに行くというところから始まる。
なんでかまたしてもラスボスの拠点にされているリンクヴレインズ内で闘うことになるのだが……あ〜、今回はどうしようかな。
いや、もう他ゲーに逃げようとかは思っていないよ。
友達が頑張ってるんだし、俺が介入することで少しでも楽が出来るんなら良いことだろうとも思う。
極論デュエルして勝てばいいだけの話だし。
ただ二期はちょっと、ハノイの騎士と違って一般に被害を出してるとかじゃないし、乱暴に纏めてしまうと身内のゴタゴタだから関わる理由が薄いんだよな。
Playmakerから手伝ってくれ、とか言われりゃ大手を振って参戦するんだけども。
「あら。Playmakerにも声かけてたの?」
「いや別に、俺は呼んでないよ」
呑気な反応をブルーエンジェルがくれる。
というのもまあ、アニメと違ってPlaymakerはちょいちょい俺とデュエルしたりして表舞台に顔を出していたので、ハノイの塔以来の登場!
でもなんでもないからだ。
その影響からか、アニメではSOLテクノロジーに指名手配されていたはずが、ここではされていない。
Aiを、イグニスを連れていない姿を幾度も見せていたからだろう。
ともあれ現れたらしいPlaymakerの姿はすぐに見つけることができた。会話こそここからでは聞こえないが、ピカピカの光人間とスピードデュエルを始める。
揃いも揃って手札事故を起こしているのか、ピカピカは一伏せでターンエンドし、返しのPlaymakerは4000ライフを取り切れない。
おーい。俺やリボルバーと戦ってる時のパワーはどうしたお前。
まあ相手によって実力が上下するのはアニメ時空あるあるだ。
「あれは──サイバース族のモンスター? あのデュエリストは一体?」
普通に打点不足で出番が返ってきたピカピカが召喚したモンスターを見て、ブルーエンジェルが驚いたようにこぼす。
「普通に自分で作ったんじゃない?」
「いえ。SOLテクノロジーでもまだサイバース族のモンスターカードは作れていないわ」
種族のとこにサイバース族って書けばいいだけじゃん。
まあマスターデュエルも幻想魔族追加には時間かかったし、仮想空間でのデュエルが主体だから新種族のカードを作るのは大変なんだろう。
もちろん冗談だ。
ピカピカは風属性のハイドライブリンクモンスターをリンク召喚して、自身の効果によりダイレクトアタックを行う。
「特定の属性をメタるリンクモンスター……それにリンクマーカーを持つ魔法カード」
「属性バラけてるPlaymaker相手に属性メタ持って来るのヤバいよな。冷静に何考えてんだろ」
スピードデュエルにおけるEXデッキの枚数は、リンクスより更に少なく五枚まで。
ピカピカ──もといボーマンの扱うハイドライブは、光と闇以外の四属性のリンク1に、それらを素材として召喚できる高リンクのモンスター。
高リンクの奴らは素材の属性を引き継ぎ、メタれる範囲を広げていく、というコンセプトなのだが──これでスピードデュエルは無理ぞ。
『リンクマジックが場を離れた時、リンク先の自身のモンスターは全て破壊される』
「なんか……親近感湧くな、あのデメリット」
「不審者に親近感を覚えないの」
永遠の魂ェ……。
ともあれPlaymakerとボーマンのデュエルは、無事にPlaymakerの勝利に終わる。
なんかアニメだともうちょい苦戦していたような印象があるが、意外とそんなこともなく倒していた。まあしょっちゅう俺と闘ってたから。
しかしデュエルには勝利したものの、ボーマンに援護が現れて逃げられてしまう。
くっ、なんて卑怯な奴らなんだ!
デュエルの勝敗は絶対のはず! ……、いやこれで正しいのか?
んん? んんんー?
考えれば考えるほどわからなくなってきた。
一体何が正義なんだ。
ともあれ逃げるボーマン達を追いかけるPlaymaker。それを阻むように敵の援軍が現れ、その直後にPlaymaker側にも援軍が現れる。
ようやくのお出ましだ。テンション上がってきたな!
絶対裏切ると言われ続けて最終回まで一度も敵対しなかった男、Soulburner!
炎の中から颯爽と登場してPlaymakerの援護に回る。
うおお! Soulburner!!
炎属性の爽やか好青年とかいう遊戯王世界の住人とは思えない男!
しかも最初のエースは炎のライオン。
出る作品間違えてますよ。
どっちかといえばデュエマ主人公なSoulburnerは敵の援軍である謎のコンビAIデュエリスト(名前は忘れた)の相手を引き受け、Playmakerはその場を去る。
そして始まったAIデュエリストとSoulburnerとのデュエル。
Dスケイルとかいうモンスターゾーンをスライド移動してバーンダメージを与える、口頭で説明されてもわけわからないロックバーンデッキに苦しめられるSoulburner。
移動した回数の800倍のダメージを与える装備魔法。
場のDスケイルリンクのリンク数と、相手の場と手札の数が一致してる時だけ使えるモンスターの効果と攻撃を無効にする罠。
凄まじい使い勝手のDスケイルカードによってSoulburnerは窮地に追いやられる。
あまりにも意☆味☆不☆明なカードだが、この世界ではわりと揃うのだ。
そんなこんなで、このターンで決めないといけなくなったSoulburnerはスキルを発動し、一発逆転を狙う。
『邪魔する奴は焼き尽くす! スキル発動!』
スキル、バーニングドロー。
自身のライフをドローに変換するスキルでカードを引き込む。
そして引いた転生炎獣の聖域を発動した。
『見せてやる。これがリンク召喚の新たな可能性だ! 逆巻く炎よ、浄化の力でヒートライオに真の力を呼び覚ませ! 転生リンク召喚! 蘇れ! 炎の平原を駆け抜ける百獣の王! 転生炎獣ヒートライオ!!』
うおお! カッコいいー!
すっごい正統派主人公エース感!
「転生リンク召喚って一体?」
「うおお! 行けー!」
「あなたって結構ミーハーよね」
『ヒートソウル!』
ヒートライオがDスケイル・フルメタルダンクルを貫いた。
はぁ〜。カッコよかったわぁ。
満足満足。
■◆■
新生リンクヴレインズのイベントも終わり、ゲームからログアウトする。
ふぅ。
観戦に夢中になって参戦しそこねたけど、カイバ(仮)戦後に謎融合デッキへ戻したから追いついても何もできんかったわ。
座りっぱなしだった体を伸ばして時計を見る。
もういい時間になっていた。お腹も空いたので晩飯食べようと冷蔵庫を開けるも、食べられそうな物が残ってない。
「あぁ〜、う〜ん」
なんかちょっと買ってくるかぁ。
適当に財布とデッキだけ持って外に出る。
日も落ちて夜風が涼しい。見上げても星は見えないけれど、こういう真っ黒な空も悪くない。
とかぼんやり考えていると、呑気な思考を遮るようにクラクションの音がなった。
大きな音にビックリして振り向く。
俺の方に向けて車が迫っていた。
「──え」
反射的に腕を突き出す。
「痛ったぁい! 義手じゃないから痛ったぁい!!」
一応病院には行った。湿布を貰った。
■◆■
おまけ
Soulburnerが現れた瞬間
「ユ……」
「あの二人は俺が相手をする。Playmaker、君は奴を」
「お前は……?」
■◆■
事故前
「あのような外れ値がいては私の計画に差し支えるのでね。速やかにご退場願おう」
事故後
「???」
ライゼオル、M∀LICE、竜華
今回もデッキビルドは豊作ですね。
またサイバース連合の層が厚く……。