「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

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私史上、一番マスターデュエルを楽しんでいるかもしれない

いやデモンスミス環境への煽りとかじゃなく、後攻側が意外と捲れたり、盤面が返されるから中長期戦のリソース勝負になったりするのがカードゲームしてるみたいですごく楽しい

■◆■


ちょっと長くなりそうだったので繋ぎ回です


第29話

 ちょっぴり反省して、ほんのり強くなりたいと思うようになったらしい島君にデュエルモンスターズのルールから説明すること数日。

 それはもうルール説明だけでめーっちゃくちゃ時間がかかったが、その間にわずかながら事件の進展があった。

 

「へぇ〜、これが遊作のお手伝いロボットか」

「可愛いね。よろしくね、ロボッピ。僕は尊」

「ヨロシクデス」

「オレは草薙だ」

「オ名前ヨク聞キマス」

「それじゃ早速やるか」

 

 ピコピコと顔のモニターの表情を変えるロボッピ。

 その背中の蓋を開けて、草薙さんがケーブルを接続する。

 

 というのもAiが遊作のデュエルディスクから居なくなったのだ。Aiには自由奔放にやっているイメージがあるが、実際はディスク内から出られないようロックされており、Playmakerにデュエルで勝利する。という条件を満たさなければディスクから出ることはできなくなっている。

 ……まあ、なんかデュエルディスクを改造してディスクごとプロペラで飛んだりしてるからあんま意味ない気もするが。

 

 ともあれ何処にもいけないはずのAiだが、何故かロックが外れており、Aiも居なくなっていた。

 

「直前までAiとコイツはどこかのサイトへログインしていたらしい」

 

 と、遊作が言う。

 そんなわけでコイツことロボッピのアクセス記録を草薙さんが調べて、出てきたのが謎のサイト。

 

 クロスワードパズル〜デュエル編〜

 

 カード名を答えるような問題がいくつか記された、縦横八マスずつの普通のクロスワードだ。

 

「パズルヲ解クト、景品ガ貰エマス。アニキハソレガ欲シカッタンデス」

 

 草薙さんがサイトに記載されていた景品、デフォルメされたAiのピンバッジ(UR)を表示させる。

 

「すごくピンポイントで狙われたね……」

 

 尊がそれを見て呆れ顔をする。

 暇な時に俺もエゴサしてるからわかるけど、Aiってほとんど話題に上らないからな。

 もちろんこれがイグニス関係の代物でないはずもなく、目敏く遊作がそこに仕込まれたイグニスアルゴリズムに気がつくと、不霊夢がそれを解読してくれた。

 

 記されていたのは別サイトのアドレスだ。

 

「どうやら、このサイトのアドレスは本物のイグニスアルゴリズムだ」

 

 不霊夢が唱える。

 先日ひっそりとブラッドシェパードが罠を張って、それをSoulburnerが撃退したところだが、今回はSOLの罠第二弾という線は薄そうだ。

 どのイグニスが用意したものなのかは不明だが、全員で行こうと尊が提案した。

 

「ここはオレが一人で行く」

 

 そんな話の流れを遊作が止める。

 

「これが罠という可能性は捨てきれない。オレ達が全員罠に嵌まればそれで終わりだ」

「君はウィンディを疑うのか? 彼は私の仲間だ」

「ウィンディが教えた場所で、ボーマンはオレを待ち伏せし、奴が負けた途端、風のフィールドは消滅した。オレはウィンディをまだ信じてはいない」

「う〜む」

 

 不霊夢が遊作に食ってかかったが、事実として怪しい要素がウィンディにあることは否定しきれない。

 そうして一人でこのサイトへアクセスしようとする遊作を俺は止める。

 

「待て遊作。俺も行くぜ」

「いや、一度に多人数で乗り込むのは危険だ。もしオレが戻らなかったら、その時は来てくれ」

「ならなおのこと俺が行くべきだろう」

「まあまあ」

 

 遊作と向き合う俺の肩を尊が掴む。

 

「それじゃあ、任せたよ遊作」

「ああ」

 

 頷いて遊作は一人で謎のサイト内にあるVR空間へと入っていった。

 

「どうしたんだい、勇気? らしくもなく焦ってるみたいだけど」

「別に……ただ最近だらだらしてたから、闘いたかっただけだ」

「ほんとかなぁ」

 

 ■◆■

 

 案の定、遊作はしばらく待っても戻ることは無かった。

 

「イグニスのプログラムを一時的に遮断するデータを構築してみた。万が一の時には役に立つかもしれない」

 

 急造ながら草薙さんの用意してくれた防御用のプログラムを受け取り、デュエルディスクにインストールする。

 

「頼むぞ、勇気、尊。くれぐれも気をつけろ」

 

 悔いるように口元を歪めながら草薙さんに激励を送られ、俺と尊は闘いの舞台へと赴く。

 

『デッキセット! イントゥ・ザ・ヴレインズ!』

 

 ■◆■

 

 道中には何事もなく、示されていたVR空間へと辿り着いた俺達は、入り口となる巨大な門を潜り抜ける。

 踏み入ったそこは、破壊され尽くした街並みだった。

 見渡す限りに無事な建造物は無く、そこかしこが燃えている。

 

「Playmaker! Ai!」

 

 Soulburnerが声を張り上げて呼びかけるが、答えるものは無い。

 炎の熱を感じながら、俺達は二人を捜すことにした。

 

 ボードに乗って飛行しながら街を散策する。その中で見つけたのは、先日ウィンディのワールドでも見かけた長い空中階段に繋がった神殿だ。

 以前の神殿に比べれば些か以上に陳腐な作りになっているが、それよりも目につくのはあちこちに散らばる破損したエコーのボディである。

 戦争さながらに荒れ果てた神殿。

 

 律儀に階段を登るなんてせずにボードで上まで飛ぶと、見慣れた人影がそこに立っていた。

 

「お待ちしていましたよ。ユウギ(仮)、Soulburner」

「オレを知ってるのか?」

 

 スペクターは仰々しくお辞儀をしてみせる。

 

「状況は、今どうなっている?」

「おや? 随分と急がれているようで。お暇だったのでは?」

「いいから答えろ」

 

 俺が急かすと、スペクターは楽しそうな表情を崩さないまま後ろを向いた。

 

「では上へとご案内しましょう。その方が手っ取り早い」

「案内?」

「気をつけろ。罠かもしれない」

 

 訝しげに尋ねるSoulburnerに、不霊夢が警告する。

 

「詮索は無用に願います。特にSoulburner。貴方にはイグニスの真実を見ていただく必要がありそうですからね」

「イグニスの真実?」

「見た上で、今後その炎のイグニスと行動を共にするか決めてください」

 

 こちらを振り返りながらスペクターが告げた。

 

 ■◆■

 

 さて。そのイグニスの真実であるが、もちろん俺はこの先で、つまりはスペクターに先導されながら踏み入れた神殿内で何が行われているのかは予想がついている。

 

 繰り広げられていたのは俺が知っている通りの展開、リボルバーとウィンディのデュエルだった。

 互いにライフは後少し。盤面だけ見ればリボルバー不利にも思える。

 

「ほう。イグニス四体が一堂に会したか」

 

 デュエルを行っていた広い場所へと導かれた俺達を見て、リボルバーが呟く。

 表示されているライフは残り100ポイント。

 良かった、リボルバーが負けてたらどうしようかと。

 

「Ai! この状況はなんだ?」

 

 不霊夢が部屋の隅で光の球体に閉じ込められていたAiに向かって叫ぶ。

 

「さてはハノイの騎士! お前達の仕業か!」

「えっ! ちゃうちゃう! オレらをこんなにしたのはあいつら! ウィンディとライトニング!」

 

 必死に球体の中でAiは身振り手振りして状況を伝えようとする。ライトニング、というここで初めて出てきた名前に不思議そうにしながら不霊夢はAiの指差す方を見た。

 

「なっ、光の! お前達がやったのか!?」

「また来たよ、人間に与するやつが」

 

 気だるげにしながらウィンディは続ける。

 

「面倒だから閉じ込めちまえよ」

「うむ」

 

 ライトニングが手を挙げると、空が輝き、光が降ってきた。

 Playmaker達を捕らえているのと同じプログラムなのだろう。

 しかしこちらも準備は万端、草薙さんの用意してくれていた防御プログラムが、それを跳ね除け、更にはPlaymaker達の檻も破壊する。

 

 自らのプログラムが破られ、舌打ちするライトニング。

 このまま俺もデュエルなり、ファイトなりを仕掛けにいきたいところだが、まだリボルバーのデュエルは終わっていない。

 闘いの顛末を見守ってからだ。

 

「雄々しき竜よ! その獰猛なる牙を……今銃弾に変え撃ち抜け! シンクロ召喚! 出でよレベル8! 『ヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴン』!!」

 

 呼び出されたのはリボルバーの身体を持つ白き竜。

 前世のプレイヤーなら誰もが効果を知っていると言われている最強の兵器だ。

 シンクロ召喚されたサベージは自らの効果で墓地のヴァレルロードを装備し、カウンターを四つ乗せる。

 

 ヴァレルロード・S・ドラゴン

 レベル8

 ATK3000→4500

 

「ハッ、生憎だがこれで終わりだ! バハムートボマーの効果発動! 魔法罠ゾーンのカードを破壊し、500のダメージを与える!」

「馬鹿め! だから発想が貧しいというのだ! ヴァレルロード・S・ドラゴンの効果発動! 相手のカード効果が発動した時、ヴァレルカウンターを一つ取り除き、発動を無効にする!」

 

 サベージの胸の弾倉から、装填されていた弾丸が発射され、バハムートボマーの効果を打ち消した。

 みんな知ってる万能無効。お前この世界でも万能無効なのか。

 

「自分の犯した罪をあの世で詫びろ! ヴァレルロード・S・ドラゴンで攻撃!」

 

 サベージが大きく口を開き、巨大な銃口が伸びる。一瞬のチャージの後、閃光は放たれ、ウィンディのモンスターを貫いた。

 ライフが0になり、衝撃で吹き飛ばされるウィンディ。

 

 この後はウィンディの処刑が本来なら始まるのだが、それをされると困ってしまう。

 リボルバーが指示を飛ばす前に俺は前へ出て、いつぞやパクったままの強制デュエルプログラムをライトニングに投げつけた。

 

 ■◆■

 

 オマケ

 

 ユ「じゃあまずはこれを読もうか」

 島「なにこの本?」

 ユ「なにってデュエルモンスターズ・パーフェクトルールブックだけど」

 島「なんか普通のラノベくらい分厚いんだけど、これ!」

 ユ「ちなみに細かいルールはちょこちょこ変わるから、頑張って覚えようか」

 島「オレは帰らせてもらう!」

 ユ「待て、逃げるな! Playmakerは多分全部覚えてるぞ! 親友として恥ずかしくないのか!」

 島「多分ほとんどの奴は全部覚えてねーよ! こんなの!」

 

 

 オマケ2

 

 この後はウィンディの処刑が本来なら始まるのだが、それをされると困ってしまう。

 リボルバーが指示を飛ばす前に俺は前へ出て──

 草薙さん作、さっきの対イグニスアルゴリズムのプログラムを投げつけた。

 

「ぐわぁぁっ!」

「ライトニングー!」

 

 遊戯王VRAINS〜完〜




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