「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

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第39話

「……なるほどな」

 

 みんな敗れたってのもあながち嘘じゃないのかもしれない。

 本当にもう俺しか戦力が残っていないってんなら、いつもみたいに負けても誰かいるだろう、みたいな甘えは許されないわけだ。

 ライトニングを殺さないようにする、みたいなことを考えている場合じゃあなさそうだ。

 

「どうした? 君のターンだぞ」

「ああ」

 

 そうだな。よし、頑張って勝とう。

 ちょっっっと想定以上にヤバいことになっちまってるが、負けたら人類は絶滅するので。

 とりあえず気を紛らわすためにBGM流しとくか。

 

「俺のターンだ。ライトニング、お前の展開は流石のひと言だった。俺もその実力に敬意を表して、奥の手を使わせてもらうぜ」

「ほう。まだ隠し球があったのか」

「ああ、本当は使う気は無かったし、使えるとも限らないが──やるしかないんでね」

 

 デッキに手を伸ばして、目を閉じる。深呼吸して、意識を集中させる。

 

「いくぜ。最強デュエリストのデュエルは全て必然! ドローカードさえもデュエリストが創造する! 全ての光よ、力よ! 我が右腕に宿り──希望の道筋を照らせ! うおお! シャイニング・ドローッ!!」

 

 目を開けて、引き抜いたカードを確認する。

 

「よし! 出来た!!」

「威勢だけはいいが、どうにか出来るとでも思っているのか?」

「当然だ。手札から魔法カード『融合』を発動する! これで俺は手札の──」

「チッ──それを通すわけにはいかないか。S(サベージ)・ドラゴンの効果。カウンターを一つ使い、その発動を無効にする」

 

 まずは一つ、一番厄介な万能無効を使わせられたか。

 

「続けて『マジシャンズ・ロッド』を通常召喚して効果発動」

「……ここにチェーンしなければ間に合わないか。レガトゥス・レギオニスの効果発動。場のスクトゥムを墓地に送り、マジカ・アルクムを特殊召喚する」

「ならば俺は『黒魔術の秘儀』を手札に加えるぜ」

 

 場にいた下級天装騎兵が墓地に送られ、弓を持った石像が特殊召喚される。

 

「この瞬間、レガトゥス・レギオニスの効果発動。このターン、他のカード効果を受けなくなる。さらにマジカ・アルクムの効果、『裁きの矢』を墓地に送る」

 

 その効果により天装騎兵は効果では破壊されなくなる。

 

「これで君のドラグーン・オブ・レッドアイズの効果ダメージを受けることはない。そして君の場のカードを全て破壊する……破壊できるのはその下級モンスター一体だけか」

「それはどうかな?」

「なに?」

「俺は手札の『黒魔術の秘儀』を発動! 融合召喚を行う!」

「何のために……」

「場のロッドと──手札の『ブラック・マジシャン・ガール』で融合召喚! 来い! 『超魔導師-ブラック・マジシャンズ』!」

 

 何処にもいなかったブラマジもいきなり追加されて、自信満々に登場する。

 そして降り注ぐ破壊効果の矢を見て『え?』と言わんばかりに揃ってこっちを見ながら破壊されていった。

 すまない。

 

「破壊された超魔導師の効果、墓地の『ブラック・マジシャン・ガール』そしてデッキから『ブラック・マジシャン』を特殊召喚するぜ!!」

「デッキからだと? まさか初めからドラグーンはブラフか!」

「残念だったな、ライトニング。最初の融合を通されていたら俺は負けていた! 俺の手札で融合召喚できたモンスターは超魔導師だけ。勝機を逃したな」

 

 ビッとライトニングに向けて指をさす。

 歯ぎしりをするライトニング。これで見えてる能動的な妨害はマグヌス・ドゥクスのみ。

 

「やってくれたな」

「もっと慎重になるべきだったな。考えが足りないんじゃないか?」

「……ユウギ……!」

「ふっ。現れろ、未来を繋ぐサーキット! リンク召喚、リンク2『見習い魔嬢』。コイツの永続効果で闇属性モンスターの攻撃力は500アップし、光属性モンスターの攻撃力は400ダウンする。マグヌス・ドゥクスの無効も意味がないな」

「……。それがどうした。まだ十分な攻撃力は残っている」

 

 まあその通りだ。バトルって言ったらバウンスしちまえばいいだけの話でもあるしな。

 だからバウンスはこれで使わせる。

 

「魔法カード『魂のしもべ』を発動。『イリュージョン・オブ・カオス』をデッキトップに置く。さあ、処理後の優先権を渡すぜ」

「マグヌス・ドゥクスの……効果、発動! 場の見習い魔嬢と墓地の魂のしもべ、そして私の墓地からグラディウスを……手札に、戻す!」

 

 なんとかモンスター効果は使わせきったか。

 

「永続魔法『魔術師の再演』を発動する。このカードは場にある限り一度だけ、墓地の下級魔術師を蘇らせることができる」

 

 これでマジシャンズ・ロッドを特殊召喚。そしてロッドを素材にアルテミスをリンク召喚する。

 

「見せてやるぜ! これこそ俺がシャイニング・ドローしたカード! 無限を超える力で、新たな未来を拓けっ!! 発動せよ『ティマイオスの眼光』!!」

「見たことのない……これが隠し球か!」

「俺は墓地のブラック・マジシャン一体で融合召喚! 暗黒の混沌よりいでよ究極の闇! 『超魔導戦士-マスター・オブ・カオス』!!」

 

 融合召喚したマスター・オブ・カオスの効果により、墓地のガールを対象として特殊召喚する。

 

「……ユウギィ」

「マスター・オブ・カオスの効果発動! 二体のモンスターを生贄に捧げ、ライトニング! お前のモンスターを全て除外するぜ!」

「ユウギ──ッ!」

「バトルだ! 行けッ! マスター・オブ・カオスでレガトゥス・レギオニスを攻撃! マキシマムカオスブレードッッ!!」

 

 効果を受けない耐性によりただ一体残されたレガトゥス・レギオニスへと攻撃宣言する。

 

「ならばそいつも道連れだ! リバースカードオープン『サイバネット・クロスワイプ』!!」

 

 互いのモンスターが共に墓地へと送られる。

 

「破壊されたマスター・オブ・カオスの効果で、墓地の眼光を手札に戻す」

 

 回収したティマイオスの眼光をセットしてターンを終了する。

 

「使わせたな……」

「あん?」

「私にこのカードを使わせたな! 決めた。君を倒してデータ化させた暁には、必ず破壊してやろう」

「……ライトニング」

「なんだその目は! 私を舐めているのか! ふざけるな!! 私のターン『天装騎兵グラディウス』を召喚! 効果発動!!」

 

 瞬間、召喚されたグラディウスが爆発した。

 

「ぐっ」

「『竜騎士ブラック・マジシャン・ガール』の効果、手札を一枚捨てて、グラディウスを破壊する」

 

 サーチの処理後にティマイオスの眼光を発動し、融合召喚した竜騎士の効果を発動した。

 そしてライトニングは俺を一度睨みつけた後、自身の手札を確認して固まる。

 

「着地狩りを受けたのは初めてか?」

「なに」

「俺は初めて闘ったあの時から気づいていたぜ。お前のデッキは展開するために必ずリンクモンスターを必要とする。だが自身の効果で特殊召喚できるモンスターはスペクラータのみ。そしてスペクラータはレベルのせいでリンク1にはなれない──つまり通常召喚したモンスターを破壊してやれば、天装騎兵はリンク召喚を行えないんだ」

 

 この弱点は改善されていない。

 なぜなら俺はこれを、ライトニングの考察には記録しなかったからだ。

 AIは素晴らしい技術だが、学習元のデータの質に大きく影響を受ける。直すべき欠点には一切言及していない記録なんて参考にするもんじゃないな。

 

「ハァ……ハァ……私はスペクラータを守備表示で特殊召喚。……永続魔法『天装法典(アルマートス・レークス)』を発動」

 

 ひとしきり荒れ狂い、それからライトニングは守備を固める。

 リンク召喚は出来ない。リンク1のデクリオンは、レベル4以下の天装騎兵が必要だから。

 

「いくぜライトニング。『ブラック・マジシャン』を墓地に送り『マジシャンズ・ソウルズ』を特殊召喚。その効果で再演をリリースして一枚ドローする。墓地に送られた再演の効果……あー、眼光は右手だったか」

 

 再演の墓地効果が不発に終わる。シャイニング・ドローはあんまりやらない方がいいかもな。

 

「墓地のしもべを除外して、更にもう一枚、カードをドロー。……これは。ライトニング──俺からの最後の提案だ。サレンダーしな」

「ふ、ふざっ、ふざけるなァァァ!! こともあろうに驕り腐った人間が私に慈悲を垂れるなどッッ!!」

「お前のためじゃない。Aiのためだ。お前が消えたら、Aiが──」

「その口を閉じろ! 私を──私を下に見るなっ!!」

「わかった。殺してやる」

 

 俺は手札を一枚捨てる。

 

「魔法カード『ジョーカーズ・ストレート』。来い、クィーン、キング、そしてジャック!」

「手札を全て使い切るだと? は、ははは! ミスを犯したな! 『天装法典』がある限り、君はダイレクトアタックできない! つまり次のターンの展開を止めることは出来ない!」

「いいや。次のターンは無い。墓地の罠カード『ソウルエナジーMAX!!』の効果! このカードをゲームから除外し、デッキからカードを一枚手札に加える」

 

 デュエルディスクの墓地スペースから吐き出されたカードが虚空に消える。

 

「三銃士よ! 俺に力を貸せ!」

 

 そして手に入れたカードを俺は高く掲げた。

 

「我が絶対の神となりて、我が領域に降臨せよ! 天地を揺るがす全能たる力によって俺に勝利をもたらせ!」

「……っ! なんだ、ミラーリンクヴレインズが軋んでいる」

「いでよ破壊神! 『オベリスクの巨神兵』を召喚!!」

 

 ミラーリンクヴレインズの空が、突然の轟音とともに裂けた。

 虚空に巨大な亀裂が生じ、青白い雷光が迸る。

 ワールド全体が、悲鳴のような軋みを上げ、地面が波打つように震え始めた。

 

「な……何だ、これは……!?」

 

 亀裂の中心からゆっくりと浮かび上がるのは、青銅色の巨神兵。

 

 オベリスクの巨神兵

 神属性・幻神獣族

 レベル10

 ATK4000

 

「攻撃力4000……っ! だが、いくら攻撃力が高かろうとダイレクトアタックは──」

「オベリスクの効果発動! 俺のモンスターを破壊し、お前に4000ポイントのダメージを与える!!」

「馬鹿な! そんな効果が──!?」

「ゴッド・ハンドッ! インッパクトォォォッ!!」

 

 オベリスクが青いオーラを纏った拳を握りしめ、振り下ろす。

 

「待て──く、あ、ぐわぁぁぁっ!」

 

 ライトニング

 LP4000→0

 

 破壊の神の一撃が全てを薙ぎ払う。

 爆発に飲まれ、ライトニングの体が細々としたデータの欠片と砕かれるのが見えた。

 

「……。……、あんま気分のいいもんじゃないな……あ。マスコミコンビ」

 

 ■◆■

 

 オマケ

 

 ブラマジ解説番外編。今日はオベリスクの巨神兵を紹介するぜ。

 知っている人は知っている、武藤遊戯の使った神のカードの一枚。

 早速効果を解説していくぜ。オベリスクの効果は主に二つ。いずれもモンスター二体を生贄に捧げることで発動できる。

 

 一つ目は、相手モンスターを全て破壊し、初期ライフ分のダメージを与える、だな。

 ライフ4000のルールなら4000ダメージ、8000なら8000ダメージ。100万なら100万ダメージだ。

 発動したが最後、相手のライフが増えていない限り一撃で決着するZE☆

 

 二つ目が自身の攻撃力を無限にする、だ。相手のライフが増えてる場合はこれで殴ろう。

 いやー、シンプル。

 

 さて。ここまでがテキストに書かれた効果だ。なんとビックリ。三幻神にはテキストに書かれていないルールがある。

 まず、神の効果は基本全てフリーチェーンだ。相手ターンでも攻撃できるのが神の特徴だからな。

 

 そして魔法、罠、モンスター効果を受けないし、召喚も無効にされない。

 

 まあとはいえそこまで万能全能ってわけでもない。

 一応デメリットとして特殊召喚した神は攻撃することができない。そして神の効果は攻撃扱い。

 よって効果の発動も出来ない。

 さらには効果で特殊召喚していたらターン終了時に、その特殊召喚効果を打ち消して元いた領域に戻る。手札から出していれば手札に戻るし、墓地からなら墓地に戻る。

 

 そして決闘王(キング・オブ・デュエリスト)、武藤遊戯はこれと同格以上の神、三体を召喚したうえで、全部倒されて負けたことがあるZE☆

 

 4000バーンがあるのにって? 

 他の神の攻撃反射されて神を倒されてるのに、バーン撃ってたらもっと早く負けちゃうだろ。

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