「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

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タクティカルトライデッキ、リストが発表されるまではゴミ扱いだったのに手のひらクルックルで笑う。

……正直私もここまでちゃんとしたガチ構築デッキが出てくるとは思ってませんでした。


4話 くっ、この力は(負けでいいです)

 クラス分けデュエルに勝利した翌日。

 割り当てられた教室にやってきた俺の視界に飛び込んだのは、あのすごい髪型だった。

 

 うぉおおお! Playmaker!! 

 リアルに叫びそうになったところを堪える。キャー! カッコいいー! 頬杖ついて外見てる! 

 アニメの最初の方は(なんだコイツ。格好ヤバすぎるだろ)って思ってたけど、Playmakerの姿になる度に吹き出しそうだったけど、今はカッコいいと思ってるぞー! 

 

 まあそれはそれとして話しかける勇気はないので、大人しく自分の席につく。

 それから近くの生徒達と少し話をしてみたのだけれど、ちょっとクラス分けデュエルの基準がわかったかもしれない。

 

 PlaymakerというかUnknownのデッキは『切り込み隊長』なんかを使う戦士族デッキ。

 島君ことブレイヴマックスはなんたらバブーンみたいなのを使う獣族デッキ。

 で俺が使ったのは蟲惑魔。

 

 一見共通点とかないように見えるが、なんとすべて地属性なのである。

 おお、まさかこんな共通点があったとは。

 カードゲームアニメの世界では使用カードと性格は一致するものだし、同じ属性で固めておくのは案外良い選択肢なのかもしれない。

 

 まあだからって地属性使い続けるとかはしないけれど。

 そんなわけで放課後。

 

「うおお! 心無き悪魔よ! 三つの魂を貪り、煉獄の深淵より出よ! 『インフェルノイド・ネヘモス』!」

 

 インフェルノイド・ネヘモス

 レベル10 ATK3000

 

 翼を持った竜か蛇のようなモンスターが俺の墓地より蘇る。ネヘモスが翼を大きく広げた。

 

「ネヘモス、効果発動! こいつが現世に現れた瞬間、全ての命は潰える!」

「なにィ!?」

 

 真紅の波動が悪魔より放たれ、敵味方を問わずネヘモス以外のモンスターを焼き尽くす。

 

「だ、だがそいつの攻撃力は3000ポイント! 俺のライフを削り切ることはできない!」

「残念だったな。それが届くんだよ! 俺は墓地から七枚のカードを除外し、このモンスターを呼び出す! 現れよインフェルノイドの裏エース! 『妖精伝姫(インフェルノイド)-シラユキ』!」

「謝れ! 妖精伝姫(フェアリーテイル)使いに!」

「うぉおお! 攻撃攻撃ィ!」

 

 仲良くなるならこれが一番。そうアニメ遊戯王の世界なので。「おい。決闘しろよ」と持ち掛ければ友達になれる。

 俺が強いから面白がってくれる、というのもあるが決闘者はだいたいノリが良いのである。

 長々と効果を説明したり、ソリッドビジョンにリアクションをとったりしながら人前でデュエルすることに慣れているからだろう。

 

「おぅし、じゃあ次はオレともデュエルしてくれよ!」

「──うぉ。よし、やろうか」

 

 そう言って挑戦してきたのは島君だった。

 ふんす、と鼻息荒く自信満々にデュエルの準備を始める。

 遊戯ゴッコしてる時はともかく、リアルで原作キャラとデュエルとか目茶苦茶緊張するな。

 

「先攻後攻は好きな方、選んでいいよ」

「じゃあ先攻! オレのターン! えぇと〜……『怒れる類人猿(バーサークゴリラ)』を召喚。リバースカード二枚セット。これで……よし、ターンエンドだ」

 

 なんだそのカード! バブーンはどうした、バブーンは! 

 この真っ赤なゴリラ、地属性なのか。バブーンの種類が少なすぎて、猿なら何でも良いみたいになってんじゃん。

 だが容赦はしないぜ。

 

「俺のターン! 早速だがこれでゲームセットだ。『隣の芝刈り』を発っ動!」

 

 我が運命力により引き込んだ宇宙最強の墓地肥やし魔法を唱える。

 灰流うららが存在はするけれど、誰もデッキに入れていないこの世界でこいつを止める手段は無いにも等しい。

 一度通れば勝ったも同然な最強魔法が発動された今、後はあの意味不明なゴリラごと吹き飛ばすだけである。

 

「うん? あれ? カードが墓地にいかない」

「どうしたんだ? てかどういうカードなんだそれ?」

「あー。島君、デッキ何枚?」

「えーっと、残り55枚だけど」

「な、な、な、何ぃぃぃ──っ!! どういうデッキなんだそれは!?」

 

 隣の芝刈りは互いのデッキ枚数の差分、自身のデッキからカードを墓地に送る魔法。枚数が同じであれば効力は発揮しない。

 

 ふぅ。

 どういうことだ! 60枚お猿さんデッキってなんだよ! 

 これが作中で幼稚園児にすら敗北した実績を持つデュエリストのデッキ構築力だとでも言うのか! 

 

「へっ、強そうなやつ片っ端からぶち込んだのさ!」

「初期城之内くんか!」

 

 えっ。あの。

 俺の手札には動けるカードは存在しない。

 

「た、ターンエンド。えっ」

 

 揚々と展開を始める島君。

 特に何も出来ないので黙って見守る俺。

 

「行けぇぇ『森の番人グリーン・バブーン』でダイレクトアタック!」

「馬鹿な……この私が、負ける……だとっ!?」

 

 まさかそんな。KNPKな手札だったはず! 芝刈りだって通ったのにぃぃぃ! 

 

「うぉおおお! 勝ったーーー! よっしゃあーーーっ! フッフッフ、手札事故を起こして動けなくなるとはまだまだだな。オレのことを師匠と崇めてくれてもいいんだぜ」

「くっ。こんな負け方をするとは。流石だぜ師匠」

 

 転生してから初めての黒星。

 真っ白だった俺のデュエルログに黒が付いてしまった。

 だがまあこれもデュエルの醍醐味。カードゲームである以上、運の要素は付き物だ。

 負けたのも原作キャラ相手だし悔いは……悔いは、うぅむ。

 

 煽り散らかしてくる師匠を見る。

 よし。後でぶっ飛ばそう。

 

 ちなみに師匠はこの後クラスの皆とデュエルして全敗していたし、俺も今度は『名推理』で木っ端微塵にした。

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