「それはどうかな?」って言いたくなるよね   作:アウグスティン

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なんか……ブラマジに比べて青眼の新規、そこまでぶっ飛んでないな
いや、笛のカードデザインめっちゃ好きなんですけどね!
青眼の白龍って書いてて欲しかったな

■◆■

前回までのあらすじ
「いやぁ〜、オベリスクの巨神兵カッコよかったですね、お師匠様。あ、ごめんなさ〜い。私は大活躍しましたし?神とも共闘しましたけど?お師匠様は囮になって散っちゃいましたもんね、うふふ」

■◆■

作中で一番デュエル描写が適当な回です
でも私はこういうノリのデュエルが好きなんだ


第40話

「うぅ〜、酷い目に遭いました」

「だがやったぞ! あの黄色のAIを倒すことができた!」

 

 巻き添えを食らったにしては元気そうなマスコミコンビ。

 

「よ。無事だったか」

「無事じゃない! 無事じゃないけど無事になった!」

「そうか? 無事ならもうしばらく我慢しててもらおうかな」

『へ?』

 

 ハトとカエルの二人組の無事を確認したところで、何もないところに光が現れる。

 二人が悲鳴をあげる中、そこから筋肉モリモリマッチョマンのエーアイが歩いてきた。

 

「見事なデュエルだった」

「ボーマン」

「ひぃぃ! また何か現れましたよー!」

「う、う、う、狼狽えるなぁ!」

 

 コンビに手のひらを向けて、黙っているように促す。

 それから視線をちょいと下に向けると、ハルも一緒にいた。

 

「褒められて悪い気はしないな」

「単純な計算だけではない駆け引き、実に人間らしい闘いぶりだった」

「どうも。それで、もう闘うか?」

「まあ待て。君とは一度、話をしてみたかったのだ。ライトニングは私を君と関わらせないようにしていたが、例外を認めるわけにはいかない」

 

 確かにここまでほとんど関わりなかったからな。

 

「聞きたいことでもあるのか?」

「ああ。だがその前に、ハルを助けてくれたことに礼を言おう」

「そんなことか。気にするな」

 

 ボーマンはわずかに頭を下げ、視線をハルに移す。

 ハルは従者のようにボーマンの後ろに控えたまま動かない。少しボーマンは悲しそうにする。

 

「ハル……」

「ボーマン……ちょっと」

「なんだ」

 

 手招きしてボーマンを呼ぶ。

 

「ふむ。なるほど」

「ああ、これでバッチリだ」

「ハル」

「なんでしょうか、ボーマン様」

「お兄ちゃんはお前に冷たくされて悲しいぞ」

「兄さんに変なことを吹き込むんじゃない」

「ハル! 今、また兄さんと!」

「真面目にやってください、ボーマン様」

「ハルぅ」

 

 愉快な奴らだな。

 ほんと、ハルがバーサクアイドルじゃなくて俺のとこに来て良かったよ。

 さてと。

 ハルに促されたボーマンがこちらに向き直る。

 

「君はイグニスに対して敵対的であるように見えない。むしろ友好的だ。何故だ」

「何故って言われてもな。……六人いるイグニスの内、人類に敵対的なのは光のイグニスだけで、他は友好的だろ? そこまで敵視するようなもんじゃない」

「つまり君は人間とイグニスは共存可能だと考えているわけだ」

「ああ。実際Playmaker達はそうしている。お前はそうは思えないか?」

「君は猿と平等に権利を分かち合うことができるのか?」

「いいや、できないだろうな。でも、できないのは言葉が通じないからだ。俺達は話し合うことができる。なら交渉することだってできるはずだ」

「利益を提示できる、と。人間のこれまでの進化は素晴らしいものだ。だがここまでだ。これから先、君達人間が我々に提示できるような利益は存在しない。それに人間の言葉でのやり取りは非効率的、それだけで損でもある」

「ならなぜ……」

「今こうして君と話しているか、か?」

「いいや。なぜハルとも人間の言葉で話してるんだ。イグニスアルゴリズムで伝達すればいいだろう」

「それは」

「人間の言葉に効率以外のものを見出しているからじゃないのか」

「……そうかもしれないな」

 

 ボーマンは少し間を置いて、ゆっくりと息を吐く。

 

「場所を変えよう」

 

 右手を掲げてボーマンがプログラムを走らせる。強制的に転移させられて、向かった先はリンクヴレインズの中心、セントラルステーションだ。

 

「ここから新世界の扉が開かれる」

「神にでも成ろうってか」

「その通りだ」

 

 地水火風闇、五つの属性の光がボーマンが胸に付ける十字架から放たれる。

 その光は空中で球体を作り出し、そこから溢れたデータがボーマンのデュエルディスクへと吸い込まれていく。

 

「では始めよう、ユウギ。終焉となる闘いを」

「俺が勝ったら全て返してもらうぜ!」

「ああ、約束しよう。だが君は勝てない」

「いくぜ──」

『デュエルっ!』

 

 ユウギ(仮)

 LP4000

 VS

 ボーマン

 LP4000

 

「私のターン! 私は手札から『ハイドライブ・ブースター』を特殊召喚!」

 

 お決まりのモンスターを特殊召喚から入ったボーマンは、これまでの『マジで言ってんの?』みたいな意味不明効果ではなく、明確な効果で以ってフィールドにモンスターを並べていく。

 

「では見せてやろう。私はスキルを発動!」

 

 先ほど生み出された球体から特大のデータストームが発生する。

 

「──ストームアクセス」

「いいや違う。来い! 我が意志のもと生まれし新たなカードよ! マスターストームアクセス!」

 

 ボーマンの手のひらにデータストームが集まり、光と共に一枚のカードが現れる。

 

「これで全て整った。現れろ! 真実を究めるサーキット! リンク召喚! 現れよリンク5『キメラ・ハイドライブ・ドラグリッド』!!」

 

 キメラ・ハイドライブ・ドラグリッド

 リンク5

 ATK4000

 

 光線が爆発的に広がり、フィールド全体を覆う。

 爆音とともに、五つの頭を持つ巨大なドラゴンが現れる。

 地水火風闇のエレメントを宿した竜の首。

 

「リンク5のモンスター」

「そうだ。これが私の作り出したニューロン・リンクの性能だ」

「それのことか?」

 

 宙に浮く球体を指差す。

 

「ああ。これを使えば人の脳が持つ能力を極限まで引き出し利用することができる。先ほどのデータストームは、ニューロン・リンクで生成したもの。いわばこのリンク5モンスターは人間が生み出したカードだ」

「……それで。お前の目指すものはなんなんだ」

「意識の統合だ。私が勝利すれば、直ちに世界中のネットワークをニューロン・リンクを用いて掌握し、全ての人間の意識を取り込む。そしてそれら全ては私の中で統一され、私の意思に反映される。争いも諍いもなく、永遠に進化を続けるのだ」

「そうか」

「今ならば、降伏を認めよう。君のデータも私の中で特別な位置に置こう。未来永劫、私の中で幸福を与え続けることを約束する」

「その必要はないぜ。勝つのは俺だ。それに……それはなんの解決にもならない逃避だ。無限月読も人類補完計画も、世界中にある無数の問題をまとめて解決できるたった一つの冴えたやり方なんて、そんなものは存在しないんだ。前に進むには、どれほど不可能でも無数の問題に向き合い、解決していくしかないんだ」

「君の言い分は理解できる。だがそれを他者に強要できるのか? 誰もが問題に向き合い、それを解決し先へ進むだけの強さを持っているわけではない。君やPlaymaker達は自らの意思で苦難の道を歩むことができるのだろう。しかしそうでない者もいる。明日にはその困難の前に命を落とす者もな」

「平行線……だな。お喋りはここまでだ」

 

 バサッと学ランを翻し、デッキからカードを引く。

 

「どの道、勝った方の意見が通るんだからな。『ジョーカーズ・ストレート』を発動! 来い、絵札の三銃士達よ!」

 

 召喚権を残したままに、魔法効果で三体のモンスターを呼び出す。

 

「再び我が領域に降臨せよ! 『オベリスクの巨神兵』!!」

 

 五首竜と対峙するは青銅の破壊神。天地を揺るがす全能の神が顕現する。

 

「早速来たか」

「『マジシャンズ・サルベーション』を発動。そして手札の『マジシャンズ・ソウルズ』を墓地へと送り、俺は魔術師達を呼び出す!」

 

 ソウルズでブラック・マジシャンを。

 サルベーションでブラック・マジシャン・ガールをそれぞれ特殊召喚する。

 

「効果発動! 俺のモンスターを破壊することで、オベリスクは無限大の攻撃力を得る! ソウルエナジーMAX!!」

 

 オベリスクの巨神兵

 神属性・幻神獣族

 レベル10

 ATK4000→無限

 

「バトルだ! オベリスクの攻撃!!」

「無駄だ! キメラ・ハイドライブ・ドラグリッド効果発動! ジャッジメント・ダイス!」

 

 ボーマンの手の中でサイコロが振られる。

 カランコロンと転がって。

 

「出た目は地属性。来い、データストーム! スキル発動、マスターストームアクセス!」

 

 キメラ・ハイドライブ・ドラグリッドの頭が胴体へと収納され、そのうちの一つだけ、再度首を出す。

 

「ゴッド・ハンド・クラッシャーッッ!!」

 

 轟音を響かせオベリスクが拳を振り下ろす。

 しかしハイドライブは砕かれることはなかった。

 

「キメラ・ハイドライブ・ドラグヘッド・アース」

「チッ──戦闘では無敵というわけか」

「私のターン! ドラグヘッド・アースの効果! このカードをエクストラデッキに戻し、ドラグリッドを特殊召喚する! ドラグリッドの効果、ジャッジメント・ダイス!」

 

 賽は投げられ、次の目は。

 

「出た目は炎属性! いでよ、キメラ・ハイドライブ・ドラグヘッド・フレイム!」

 

 ドラグリッドの首が引っ込み、また別の首が伸ばされる。

 今度は炎属性。

 

「ドラグヘッド・フレイムの効果発動!」

 

 そして火竜はたっぷりと口内に蓄えた炎のエレメントをオベリスク目がけて放射する。

 轟と離れていても焼け付くような火焔が撒き散らされるが。

 

「無駄だ! 神に小細工は通用しない!」

「なるほど。だがこれで勝負は見えた。互いに有効打は無いが、私にはマスターストームアクセスがある。いずれは神を上回る」

「かもな」

 

 ボーマンがカードを一枚伏せ、俺にターンが返ってくる。

 

「ならば俺はこのターン、最後の攻撃を仕掛ける」

「来るがいい! 全て跳ね除けてやろう!」

「永続罠発動!」

 

 永遠の魂を開き、サルベーションと合わせて魔術師の師弟を呼び出す。

 

「生贄が二体」

「いいや、三体だ」

「なに?」

「俺は魔法カード『古の呪文』を発動する!」

 

せいれいはうたうおおいなるちからすべてのばんぶつをつかさどらん

そのいのちそのたましいそしてそのむくろでさえも

 

「なんだ? 何をしている!?」

「ボーマン! お前に神を見せてやる! 起動せよ!! 『ラーの翼神竜』ッッ!!」

 

 その瞬間、空に巨大な太陽のような光球が誕生した。

 光球は生物ではなくまるで機械のように直接的に、灼熱の炎を纏いながらゆっくりと形を変える。

 翼を広げ、尾を振り、黄金が輝く。

 太陽の神が翼を広げ、咆哮を上げた。

 

 ラーの翼神竜

 神属性・幻神獣族

 レベル10

 ATK無限

 

「これは……二枚目の神のカード!」

「神にはランクがある。そしてラーの翼神竜こそは最高神!」

「なるほど。これが君の本気というわけか。ならば私も全力で相手をしよう!」

 

 伏せていたカードを発動し、ボーマンはデータストームを呼ぶ。

 

「現れよ、真実を究めるサーキット! 私はキメラ・ハイドライブ・ドラグリッド一体でリンク召喚! 神の化身が新たな歴史を刻み込む! 全知全能の竜は来たれり! リンク5『パーフェクトロン・ハイドライブ・ドラゴン』ッッ!!」

 

 五属性の竜はサーキットを潜り、新たなる姿を得る。

 それは刃のような鋭い黄金の突起を全身から生やした巨大な竜だ。真っ赤な光の翼を広げ、神の前に雄々しく立つ。

 

「ラーの翼神竜!!」

「パーフェクトロン・ハイドライブ・ドラゴン!!」

『効果発動!!』

『お前のモンスターを焼き払う(全滅させる)!!』

「ゴッド・フェニックスッッ!!」

「ディエス・イレッッ!!」

 

 黄金の不死鳥は太陽の炎を身に纏い、黄金の機竜は属性の光を口腔に集約する。

 二つの破壊の力はちょうど俺達の真ん中で衝突した。

 まずは衝撃波に打たれ、続けて爆発音が耳に届く。

 

「俺の……勝ちだ」

 

 煙が晴れ、砕けたのは竜だった。

 

 ■◆■

 

 オマケ

 

 ボーマン勝利ルート

 

 ユ「ラーの翼神竜召喚!」

 ボ「いいや! 私は負けるわけにはいかない! ジャッジメント・ダイス! うおおお!!」

 ユ「なに!? ダイスを地面に叩きつけて! これは──ダイスが割れて!?」

 ボ「出た目は神属性! よって私は神属性のハイドライブを呼び出す!!」

 ユ「……っ、ここには俺が呼び出した神のデータがある。まさか!」

 ボ「ぐ、う、お、ォォォオオオ! スキル発動! マスターストームアクセス!!」

 

 オマケ

 

 省いた会話

 

 ボ「愚かな人間は好奇心のままにリンクヴレインズにログインし、ニューロン・リンクの一部となっている。こんな者達のために闘う理由があるのか!?」

 ユ「あー、そういうのは……好きにしていい」

 ボ「ユウギさん!?」

 ユ「俺にだってやる気の出ない時もある」

 

 やらなかった会話

 

 ユ「ちゃんと問題解決しろ(本編要約)」

 ボ「できない奴もいるだろ(本編要約)」

 ボ「だが一理ある。私は全ての意識を、私の意思に反映させる。もちろん問題解決についても検討しよう。解決のめどが立ったら回収した意識データを返して、最適化した状態で人間社会を復元する。というところでどうだろうか」

 ユ「あ、それなら。まあ」

 

 オマケ

 

 ではラーの翼神竜を解説するぜ! 

 三幻神の名の通り、三枚ある幻神獣族のうち、最高位の神だ。

 

 オベリスク同様に三体の生贄を捧げることで召喚でき、生贄の攻守合計がラーの攻守になる。

 

 さらにそのステータスは、プレイヤーのライフを任意の値、捧げることでその数値分アップさせることができるんだ。

 これらの効果を用いた1ターンKILLが最初の所有者、マリクの得意とした(あんま決まったことのない)戦法だったりする。……ワンキルじゃなくてワンショットでは? 

 

 そして最後の効果がゴッド・フェニックス。

 1000のライフを支払い、相手モンスター全てを焼き払う効果だ。もちろん神の効果はフリーチェーンなので、相手ターンにも撃てる。

 より正確にテキストに起こすなら、自分相手ターンに相手フィールドのモンスターを可能な限りリリースして発動。1000ライフを支払い、この効果を発動するためにリリースしたモンスターはデュエル中、効果が無効になり、召喚特殊召喚ができない。

 神の炎に灼かれた魔物は確実に葬られる。

 

 これらの効果に加えて、どこにも書かれてない神耐性と、三幻神の中でラーだけが速攻能力を持つ。

 ラーは特殊召喚されたターンでも攻撃が可能な唯一の神。

 つまり特殊召喚していようがライフを捧げれば高火力で殴れるし、除去も撃てる。

 攻防一体のまさに全能神だぜ!

 

 ラーは選ばれし者にしか使えない?

 いやそりゃ古代の識字率なら、ヒエラティックテキスト読めることが特権階級の証なのかもしれないが、現代では海馬瀬人のおかげで既に解読済みの古代言語の一つだし。

 カイバ(仮)もいるし。

 

 選ばれし者代表も言っていた。自分が変われば世界は変わる。それが天の道。

 自力でなればいいんだよ、選ばれし者に。




原作におけるライトニングとボーマンですが、AIらしく目的に向かって一直線。そしてリボルバーが言っていたように自己正当化を行っている、と思うんですよね。

二人の目的は同じく、進歩すること。
ライトニングはサイバース世界を効率的にすることに熱心だったみたいですしね。
ただライトニングは自身が関わると人間もイグニスも滅びるというシミュレーション結果が出てしまった。
人間と関わると進歩できなくなる。でもハノイの方から関わりにくる。

てなわけで全てを解決する策が、ボーマンに自分を取り込ませて一緒に先に進む、なんじゃないかなと。

ボーマンも同様に進歩を目指しているのですが、イグニスを統合する前提があるからか、データをひとまとめにすることに抵抗がないんでしょう。
ラスボス時の暴挙も、AIとして学習したデータは自分の一部になると考えている、と思えば納得いくのでは。

ただボーマンの意識を統合するって、本当にやっても意味がないように思うんですよね。
・単体の究極生命になったら突然の死で簡単に滅んでしまうので、人類の後継種として脆弱。
・社会システムを効率化してもそれを享受する対象がいない。
・これらを解決するには群体になるのが最適解。つまり人間なりイグニスなりを作るのが最適解。

で、堂々巡りになるんですが、おそらくボーマンは効率化された社会システムを形成できれば、そこが無人でも気にしないので、本人の中では正当化されています。

■◆■

という前提のもと、ここのボーマンがなんか柔らかめなのは
ハルが消されずに残ってる→統合したら自分の手でハルという個人を消すことになる→自身の行動がハルにとってもいいことでなくてはならない→うおお、ハルぅぅぅ!(遊戯王のお兄ちゃん)
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