「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
VRAINSの舞台といえばやはり電脳空間がメインなわけだが、一応高校生主人公としての要素がちょびっとだけ出てきていた。
まあつまるところは部活動である。
そう、作中ではほとんど出番のなかった学校要素の一つ、デュエル部だ。
いやほんと出番なかったな、デュエル部。
マジで作中なんにもなかった。Playmakerがダミーデッキでデュエルする回とかさえなかった。
そんな影の薄い存在ではあるものの、それはアニメの話。アニメ外ではいろいろと部活らしいことをやっていたことだろう。
う〜ん、いやどうかなぁ?
なんにも起きなさそうな気もする。
まあでも入部してて損はないだろう、ということで俺はデュエル部に入っていた。
一年からの新入部員は三名。
俺と島君と、あと財前さん。つまりはブルーエンジェルだ。
いやぁ、豪華豪華。これこの後Playmakerも入部するんでしょ。他の高校との試合とか大会とかあっても絶対勝てるわ。
部員も少ないしさ、廃部を賭けて大会出場とかあったら面白そう。
「あ。そうだ。こんなの持ってきてるんだった」
と、そんなまだPlaymakerのいないデュエル部に入ってから数日。家にしばらく放置していたあるものを俺は部室へと持ってきていた。
「ん? おお! ボックスじゃねーか、ってちょっと前のやつか。どうしたんだ、これ?」
話に食いついてくる島君。
そう。俺が持ってきたのは遊戯王、もといデュエルモンスターズの未開封ボックスだ。
前世同様、毎月のように新弾がこの世界でも発売されているのだが、これは一つ前の弾の商品である。
「いやこれ貰ったんだけど、引っ越しとかで忙しくって開けてなかったんだよな」
「引っ越し?」
「そうそう。今この辺りで一人暮らしよ」
「おぉ〜、いいねぇ。一人暮らし。オレもいつかやってみたいぜ」
前に出た大会、鬼塚に勝って優勝したあれの景品として貰ったものである。一応他にも謎の記念カードとか、賞金とかも出たんだけどそれはさておき。
オマケぐらいの感じで付いてきたこのボックス。
箱をコレクションする趣味もないので、交流を兼ねて部室で開封してしまおうと思い立ったのだ。
「面倒も多いけどな。で、これ開封手伝ってよ。なんか欲しいのあったらあげるからさ」
「うぉおお、マジ! やるやる!」
そんな訳で島君含む部員を巻き込みながら、30パックの封を切る。
ブルーエンジェルは別にいらない、みたいな感じで開封手伝ってはくれなかったけれど、中身には興味あるようでこっちに見に来ていた。
見てるだけでも結構面白いからな、カードの開封って。
前の世界でも開封動画とかいうジャンルがあったし。
とりわけこの世界のパックはなかなか愉快だ。少なくとも人の開封を見ている分には。
マスターデュエル式と言えばデュエリストには伝わるだろうか。
マスターデュエルでは1パック8枚入りのパックのうち、半分はピックアップ対象のカード、もう半分は全カードプールからランダムという意味不明なガチャが存在する。
この世界のパックもだいたいそんな感じで、1パック5枚入りのうち、新弾のカードが1枚は確定封入だ!
ペガサスゥゥゥ! お前ちゃんとカードを刷れ!
なんで五分の四も再録なんだ!
鬼畜仕様と言えばその通りなんだけれど、それでもデッキが組めるのがデュエリストの運命力というもので。
相性のいいカードが自然と手元に集まるのである。
光れ俺の右手、と記念すべき1パック目のカードを取り出す。
現れたのは遊戯王の最初期から存在する、黒いマントに身を包んだ上級魔法使い族のバニラモンスター!
そう『レオ・ウィザード』のカードである!
「お前ふっざけんなよ! 毎度毎度パック開ける度に出てきやがって! 家にレオ・ウィザード何枚あると思ってんだ。絶対デッキに入れてやんねーからな!」
「カードにキレるなよ」
「くっ、言葉は通じてるはずなのに」
「通じてるわけねーだろ。何言ってんだか」
しかしこういうカードを雑に取り扱うと運命力が落ちてしまう。仕方なくレオ・ウィザードは横に取り置いておく。
それから二枚目三枚目と捲ってみるがそう面白いものは出てこないのでサクサク剥いていく。
やっぱ知らないカードも結構あるなぁ。
この世界のオリジナルなんかも混じっていて、ごちゃつき感が凄い。その辺りのカードはよくわからないので、反応した部員にあげることにする。
今出たこのマテリアクトルとかいうカードも聞いたこと無いし、多分この世界独自のカードなんだろうな。
「あ、トリックスター。出るんだこれ、いや出るか」
鬼塚の剛鬼は他にも使い手いたしな。トリックスターだってブルーエンジェルの専売特許ってわけじゃないだろう。
名前が出た瞬間、ビクリと震えたブルーエンジェルの中の人は見なかったことにして、これも横に分けておく。
「いいなぁ〜、ブルーエンジェルのカード」
「残念、こいつはあげられないな。あ、ほら。なんかバブーン出たし、これやるよ」
「やりぃ! 手札交換効果かー。これは便利そう……なんか植物族って書いてるんだけど」
それからまたペラペラとカードを捲っていき、とんでもないカードが出てきた。
え? いや、うん? どういう……いや、え?
歓声をあげるのも忘れて首を傾げる俺の横で、それを見た島君が先に声をあげた。
「うぉおおお! 青眼の白龍!!」
「え、あぁ、そう……だな?」
「なんだよ! 嬉しくねーのか? あ、まさかお前、このカード知らないって言うんじゃないだろうな」
「いや、知ってるけどさ。知ってるんだけど……ブルーアイズって世界に三枚しかないカードのはずでは」
「そんなわけないだろ」
えぇ。
確かに四枚だけ刷って、禁止カードに指定するでもなく製造中止って意味不明な裁定だったけどさ。
海馬ってこの世界に存在しなかったわけ?
なんて驚愕していると、部長が言った。
「そんな昔のことよく知っているね。確かに青眼の白龍はデュエルモンスターズの黎明期、そのカードパワーの高さから四枚だけ製造されたカードだったんだ」
「へぇー、そうだったんすね。三枚じゃないじゃん」
「でもどんどん新しいカードが産まれていく中で、バニラモンスターのブルーアイズを規制する理由もなく、しばらくして再録されたんだ」
「再録されたんだ??!!」
伝説の幻のレアカードが再録。
言われてみればアニメや映画で度々、青眼の白龍のイラストが変わってたのはあれ再録版を使ってたってことなんだろうか。
本家本元は額縁に入れてたんだろう。
あ、でも再録されてるってことはブルーアイズ使っていいのか。
遊戯コスだけじゃなくて海馬コスして遊ぶこともできると!
ちょっとサブ垢作れるか後で調べよ。
カイバ(仮)って名前で。
いやしかしとんでもないのが出てくれたなぁ。
これ以上ヤバいのは流石にないだろう。
とか、フラグ立てたらなんか起きたりしない? しないか。残念。
開封したカードを種類ごとに分けていく。
こうして見るとランダム封入枠で古いのいっぱい出てるなぁ。初代組に縁のあるカードがまあまあ当たった。
『光の封札剣』とか三千年ぶりに見たわ。相棒にも教えてやんねーと。
帰ってから整理しやすいようにカードを種類ごとに分けていると、ブルーエンジェルの視線に気がついた。
「財前さん。これいる? 見てたけど」
「え? いえ、別に私は。開封の手伝いもしてないし」
「いいのいいの。ほら、同じ部活のよしみってことで」
「ありがとう」
そう言って魔法カードを手渡す。
これでブルーエンジェルに負けたら、やっぱり返してって言おう。
ユウギ(仮)のブラマジデッキ解説講座〜
いないと思うが、初心者のためにブラマジデッキの動きを解説するぜ!
効果を持たないブラック・マジシャンを活かすには他のカードでサポートするしかない。
だからこのデッキは魔法使いらしく、数多の魔法・罠カードでブラマジを強化しながら戦うんだ。
肝となるのは二枚のカード!
一枚目は永続魔法『黒の魔導陣』
このカードはブラマジが場に出る度に相手のカードを一枚、対象に取って除外できるんだ。
俺は千本ナイフを好んで使ってるが、ぶっちゃけこっちのが強いぜ。
もう一枚は永続罠『永遠の魂』
こいつは毎ターン手札・墓地からブラマジを特殊召喚する効果を持ったカードだ。オマケでブラマジに、相手の効果を受けない耐性を与えるが……まあブラマジって中打点のバニラだし。……2500。
この二枚のカードのコンボで毎ターン相手のカードを除外し、中・長期戦の中で確実にアドバンテージを稼いでいくのがこのデッキの基本だ。
念の為言っておくと、実際使うならブラマジ関係のカードで固めるか、ちょっと融合関係のカードを他テーマから持ってくるくらいが一番いいぜ。