「それはどうかな?」って言いたくなるよね 作:アウグスティン
BBSとかいうリシド新規も先攻ワンキルとか変な使い方考案されてるし
だが俺からすればまだ地味すぎる使い方だぜ
もっとこう、ヴァルモニカと組み合わせるとかさ!
リンクヴレインズから離れてしばらく。
カエルとハトのレポーターが命懸けでPlaymakerのデュエルを撮影してくれているお陰で迫力満点の映像を見ることが出来ていた。
ハノイの騎士の振りしたGO鬼塚や、ハノイの騎士に洗脳されたブルーエンジェル、そしてとうとう姿を現したリボルバー……とのデュエルは途中から見れなくなってしまったがともあれ。
そこまで全部見ようとすると草薙さんくらい身近な相棒にでもならないと不可能だからなぁ。
まあでもこれはこれで十二分に楽しい。
学校に行けばPlaymakerやブルーエンジェルもいるしな。
今日も今日とて登校し、放課後はリンクヴレインズから離れたところでデュエルしたり、Playmaker達の活躍を視聴したりする。
そうしていたある日のこと。
クラスに欠席者が出た。まあそれくらいなら偶にあることなのだが、それが日を経るごとに人数が増え、そして登校することも無くなっていく。
アナザー事件が始まった。
ハノイの騎士たちがウイルスによってリンクヴレインズのプレイヤー達を昏睡状態にしていく、という事件だ。
ここからはハノイも本格的に暴れ始めるし、一般人の被害も増える。
とはいえまあ、アナザー事件は鬼塚が解決してくれるし、俺はその辺で遊びながら見ていればいいだろう。
そう。この、正体不明のPlaymakerを炙り出すため高校生くらいでカード収納式の旧式デュエルディスクを身に着けた腕の良い決闘者を狙う事件を!
ふぅ……ワンチャン無差別攻撃に巻き込まれる可能性あるなぁ。
年はどうにもならないし、このデュエルディスク外す? やだなぁ。これ外したくないな。
まあでも外しておくか。今更意味があるのか知らんけど。
■◆■
「どうしたんだユウギ? いつものオンボロデュエルディスクは」
「オンボロ扱いはやめな」
ちょこちょこ稼いできた賞金で現物のカードを使わない最新デュエルディスクを身に着け、別ゲーで挑まれたデュエルを受けていた。
ま、これでいいだろう。最新機種だけあってプレイ環境もサクサクだ。ログイン速度もあがったし、快適快適。
なんて思ってたんだけれど。
「『冥帝エレボス』でダイレクトアタック!」
日を追うごとに勝てなくなっていった。
「くぅ〜。何も無いぜ」
「いよっしゃあー! 勝利ー! どうしたどうした? 体調でも悪いのか〜?」
「いやぁ手札事故」
「そりゃあ事故るだろ」
転生してきてから手札事故なんて起こしたことはなかったんだけれどなぁ。
いやまあ、負けないだろって島君舐めてかかった時は事故ってないのに何もできなかったけど。
デッキパワーは落として全力ではないが、本気ではやっているし、舐めたりもしてないんだが。
「ま、そんなこともあるって。もう一回やろうぜ」
だが何も変わることはなく、翌日もその次も、手札はてんでバラバラで何もできやしない。
おふざけ要素を減らして、マトモな構築にしてきてもそうだった。
デュエルディスク変えたのが悪いのか、とゲン担ぎでいつものDMディスクでログインしてみたが、回らない。
「ドロー。……く、『光の護封剣』を発動!」
「それによって『名工 虎鉄』が表になり、リバース効果が発動する。デッキから『団結の力』を手札に加える」
「ターンエンド」
俺の手札には他に今使って意味のあるカードはない。
「なんだよ。俺が闘わないのがそんなに不満なのか?」
デッキをトントンと指でつつく。当然反応が返ってくるわけはないのだが。
「万が一負けたら、なんて考えればそりゃあ怖いし、勝ったら相手が死ぬんだぜ。後で元通りったってやりたかねーよ」
そうでなくてもハノイとの闘いはPlaymakerにとって、自身の過去を乗り越えるための闘いでもある。あまり邪魔はしたくない。
「なにしてんの?」
「デッキと対話してる。気にすんな」
「お、おう。えぇと『不意打ち又佐』を召喚して団結団結魔導師!」
二回攻撃できるモンスターに大量の装備魔法を着けられる。護封剣のお陰で殴られることはなかったが、依然ピンチのままだ。
「俺のターン……モンスターを守備表示。ターンエンドだ」
「オレのターン。よし! 『サイクロン』で護封剣を破壊! 『隼の騎士』を召喚してバトル。又佐で守備モンスターを攻撃! そのまま二回目の攻撃だ!」
「破壊された『超電磁タートル』を墓地から除外。バトルフェイズを終了する!」
「ならこれでターンエンド。守ってばっかりじゃ勝てないぞユウギ」
もう手札に攻撃を防げるカードはない。ライフも少しずつ削られて残りわずか。
このドローで逆転できなければ今日も負けだ。
「だからさ機嫌直せよ。それに今出てる被害だってPlaymakerがどうにかしてくれる」
デッキトップのカードに手をかける。
機嫌を損ねる前には感じられた熱のようなものは、伝わってこない。
目を閉じ、ため息を吐く。
はぁ。どうしたものかなぁ、これ。遊戯王世界なのにまともにデュエルができないし、かといって他に何するんだってもPlaymakerらも毎日闘ってるわけじゃない。
というか社会的地位とデュエルの腕が直結してるこの世界で、常時手札事故とか死刑宣告みたいなものだ。
「へそ曲げやがって──わかったよ。これが終わったら闘いに行ってやる。だから俺に力を貸せ!」
引いたカードを確認する必要はない。そのままプレイする。
「俺は手札から『黒魔術のカーテン』を発動! このカードはライフポイントを半分払うことで、俺のデッキから『ブラック・マジシャン』を特殊召喚することができる!」
骸骨飾りのカーテンがはためく。開いたカーテンの奥から黒煙が溢れ、俺の切り札が姿を現す。
ノリで先出ししちまったけど、まあいいや。
「うおっ、ブラマジ! 久しぶりに見たな。だがその攻撃力は2500。ガチガチに強化された又佐には勝てない」
「それはどうかな? 俺は更に永続魔法『切り裂かれし闇』を発動する。このカードの効果により俺のブラック・マジシャンがバトルを行う時、相手モンスターの攻撃力分自身の攻撃力をアップさせる!」
「んなっ! だがまだ──」
「いいや。このターンで終わりだ! 装備魔法『閃光の双剣-トライス』をブラック・マジシャンに装備!」
ブラック・マジシャン
レベル7 2500→2000
「これによりブラック・マジシャンの攻撃力は500ダウンし、二回攻撃が可能!」
「な、なんだと! てことはつまり」
「切り裂かれし闇とのコンボにより、お前のモンスターの攻撃力に関わらず4000以上の戦闘ダメージを与えることが出来る! バトルだ!」
ブラマジが二本の剣を強く握りしめ、そこへ闇の魔力を纏わせる。
飛び上がった黒魔術師は剣を振り上げ、魔力の斬撃を敵に目掛けて飛ばした。
■◆■
「ぐおぉ、負けた……急に覚醒すんなよ」
「はっはっは。さて、悪いな。今日はこれで終わりだ」
「なんか用事?」
「あぁ。だから集まった奴らで遊んでてくれ。じゃあな」
デュエルディスクを操作し、ログアウトする。
リアルの自室で目覚めた俺は、新型のディスクを外し、飾ってあったいつものデュエルディスクを身に着ける。
デッキを手に取り、ディスクへと挿し込む。
晴れやかな気分だ。今ならなんでもできると、そう思えるほどに。力強く笑みを浮かべ、リンクヴレインズへ接続する言葉を唱える。
「イントゥ・ザ……あ、待って。俺ボード持ってないし、デッキもこれ組み替えたままだわ。ごめん、俺のデッキ。準備するからちょっと待ってて」
なんかまた手札事故の気配がした。
ユウギ(仮)のブラマジデッキ解説講座〜
『竜騎士ブラック・マジシャン』
コイツはブラマジとドラゴン族モンスターで融合召喚できる、ブラマジデッキ最強の融合モンスターだ。
その恐るべき効果は、自身の魔法罠カードは破壊されず効果の対象にならない。という耐性付与効果となっている。
一見微妙のようで永続の魔罠を並べるこのデッキでは極めて強力な効果だ。
そしてブラマジに完全耐性を与える永続罠『永遠の魂』とのコンボにより、このカードは完成する。
竜騎士が魂を破壊から守り、魂が竜騎士に効果を受けない耐性を与える。
極めて強力なコンボになっているぜ。
最強はドラグーン? なんだ、そんなカードは俺の融合デッキにはいないぜ。
ルールを守って楽しくデュエル!