とある転生者達の青春記録(ブルーアーカイブ) 作:瓶詰め蜂蜜
盗品オークション会場裏手。乱雑に置かれたコンテナに腰掛けた少女が足をブラブラしながら退屈そうに口を開いた。
「ねぇーアルちゃーん。暇なんだけどー」
「……ムツキ。今は仕事中なんだから集中しなさいよ」
「でもさー」
口を尖らせた少女……ムツキは奥でまるで大物の風格を醸し出す赤毛の少女……アルに話を続ける。
「オークション会場の警備って言ってもさー。他所との合同なんでしょ?」
「ええそうよ。『赤サソリ』という名前で活動している何でも屋よ」
「その赤サソリさん。まだ来ないんだけどー?」
アルはフフンと鼻を鳴らしつつ説明する。それにムスッとした顔のムツキは文句を言った。
「確かに。約束の時間を二十分超えてるね」
ダウナーな雰囲気を醸し出す少女……カヨコがスマホを弄りつつ、ムツキの文句に同意する。アルは「それはまあ、そうだけど……」と同意した。
「アル様を待たせるなんて……爆破させていいですか?」
「止めなさい」
「あはー♡それ良いね!!ムツキちゃんが爆発させていーい?」
「良くない!!」
オドオドとした様子の少女……ハルカの過激な発言に悪乗りするムツキ。アルとカヨコが押し留めようとしていると、
「済まない。待たせたな」
と、ハスキーな声が響いた。
全員がそちらを向くと、そこには、180㎝程の身の丈の女性が水平二連銃を肩に担いで立っていた。丁度逆光になっていてシルエットしか見えなかったが、言葉からして彼女が赤サソリなのだろうと判断した便利屋68は声を掛けた。
「あら、貴女……が……」
「……わーお」
否、掛けようとした。
コツコツと足音を立てて近付いてきた赤サソリの風貌を見て、アル達の思考が止まった。
紺色のダメージジーンズにチェーンのキーアクセサリを付け、白いシャツの上に前を開けた黒い革ジャンを羽織った、ヤンチャな雰囲気の漂うファッションだが、彼女達が釘付けになったのはそこでは無かった。
「……?どうした、黙り込んで」
こちらを見つめる赤い瞳は切れ長なツリ目。整った鼻梁は芸術品の様。傾国の美女とはこの様なものであると理解させられる美貌。だが、
((((こ……))))
口や耳、鼻につけられたピアス。左の米噛みの辺から頬にかけて刻まれた蠍のタトゥー。そして口に加えられた煙る白い棒状の物。
((((怖い感じの人が来たー!?!?!?))))
何処からどう見てもバリバリのアウトローだった。
「ねぇねぇアルちゃん。憧れのアウトローだよ?」コソコソ
「いやいや、私が憧れてるのはカッコいいアウトロー……。威圧感が強い強面のアウトローじゃないの!!」ヒソヒソ
「私、よく威圧感があるとか言われてるけど……私より凄い人って居るんだね」ゴニョゴニョ
「あれがアル様を……け、消してきます」ボソボソ
「止めなさい」「駄目だねー☆」「駄目」
「……そろそろ仲間外れは止めてくれないか?」
コソコソと話し合う便利屋68に声を掛ける赤サソリ。アルはハッとすると、コホンと一つ咳払いをして向き直る。
「初めましてね赤サソリ。私達は便利屋68。今日はお互い味方としてよろしくね?」
「ああ、よろしく頼む。……それと赤サソリは止めてくれ。それは周りが勝手に言い出したもので、私個人としてはあまり好きじゃないんだ」
「あら、そうなの?なら、これからはなんと呼べばいいかしら?」
赤サソリと呼ばれる少女はアルへと手を差し出し、握手を求めた。
「私の名は釣星シャウラ。シャウラと呼んでくれ、便利屋68」