とある転生者達の青春記録(ブルーアーカイブ) 作:瓶詰め蜂蜜
元アビドス自治区内とある路地。『柴関ラーメン』と書かれた看板を掲げる屋台でミフネはズルズルとラーメンを一人、啜っていた。
「これが噂の柴関ラーメン……。醤油ベースのスープが香ばしいがくどく無く、サッパリと飲み干せそうだ。チャーシューもまたトロトロとしていて美味い。煮卵やメンマにもしっかりと味が染みている。そして、もやしの瑞々しさとシャキシャキ感。食感や風味からして、これは我がアストラ学院の環地区で育てられているもやしでしょう。麺は中細の縮れ麺。されど自家製だからか食感にも拘りを感じられる。……総評としては美味い星3つ。いえ、星4つと言ったところでしょうか。これは他のメニューも制覇しなければなりませんね。むしろ、アストラ学院自治区にスカウトしたい程です。生徒会長の権力を振りかざしてでも誘致しましょうか……。いえ、流石に権力を振りかざして行うのはやってはいけない事ですね。独裁者になってしまいます。私は独裁者にだけはならないよう決めているのです。というか、今決めました。だから、誘致には大将が心惹かれるメリット等をプレゼンテーションしなくてはいけませんね。しかし、どうプレゼンしたものか……。これは一度持ち帰って、マユミさんと相談したほうが良さそうですね。マユミさんならいい提案を出してくれそうですし。……っと、独り言につい夢中になっていましたね。これはいけない。折角の美味しいラーメンが伸びてしまいます。ハフハフ」
ブツブツと呟いていた独り言をピタリと止めて、ミフネは食べかけだったラーメンをまたすすり始めた。そこへ、
「大将。注文いいかしら?」
暖簾を捲り、少女が顔を覗かせた。
「おう!ゲヘナの嬢ちゃんか。注文は?」
「いつものを」
「あいよ!」と返事をして調理を始める柴大将。注文を終えた少女……アルは自分以外の客に気付きチラ見する。そのほんの少しの間の自然に反応し、ミフネもまたアルを横目で見た。
「……何でしょうか?」
ミフネの質問に対し、アルは慌てて手を横に振る。
「あ、いや。気にしないで?私以外にアビドスの外から来た生徒が珍しかったのよ」
「そうですか?……いや、そうですね。一昔前のアビドスは栄えていましたが、今ではご覧の有様。砂漠化が進み、大規模な砂嵐のせいで砂に埋もれてしまい衰退の一途を辿っていますからね。こちらに来る生徒は今現在ほとんど居ないのではないでしょうかね」
「そうなのよ。だから、少し興味を持っただけなの。もし気分を害したなら謝るわ」
「いえ、別に構いませんよ」
ミフネは首を横に振り、会話を中断して器の中のスープを飲み干した。
「ごちそう様でした。大将、美味しかったですよ。また来ますね。……では、私はこれで」
「ええ、さようなら」
お金を払い屋台から去るミフネはある程度歩いた後、後ろへ振り返り、アルが居る柴関ラーメンの屋台を見やる。
「まさかここでアルちゃんに出会うとは……驚きのあまり、Unwelcome Schoolが頭の中で流れ出しました」