とある転生者達の青春記録(ブルーアーカイブ) 作:瓶詰め蜂蜜
シスターフッドが援軍として到着した時にはもう既に殆ど片付いていた。
……まあ、アリウス生徒の6割は荒縄で亀甲縛りを始めとした恥ずかしい感じの縛り方をされていたが。
五星編隊πレンジャーを名乗っていたあの5人はいつの間にか姿を消していた。撤収が早い。
そして、補習授業部の皆は無事、試験を合格して退学の危機を乗り越えた。だが……
「……しかし、まさかミカさんがトリニティの裏切り者だったなんて……」
今回の事件が解決しても、ナギサの顔は曇っていた。仕方無いだろう。最も信じ、そしてナギサが大切なものを切り捨ててまで守ろうとした幼馴染みが、ナギサが探し、恐れていたトリニティの裏切り者だったのだから。
「私はとんでもない事をしてしまいましたね。いかに怪しいからと言ってなんの罪も無い彼女達を退学に追い込もうとしていたのですから……」
そう言って、悔いるように手元のティーカップを睨む。
「特に、ヒフミさんには合わせる顔がありません。……ええ、本当に」
「ナギサ……」
きっとナギサは今回の事をずっと後悔し続けるのだろう。運が良かったとはいえ、もしかしたら、取り返しのつかない事になっていたのかもしれないのだから。
「……大丈夫だよ、ナギサ。まだ、君達は子供……生徒なんだ。間違えてしまったのならやり直せば良い。君達にはまだ時間があるんだから」
「……先生」
「だからまずは、謝ろう?ナギサは悪いことをしてしまったんだからね」
そう言って笑いかけると、「……そうですね」とまだまだ弱ってはいるが、ナギサは微かに笑みを浮かべたのだった。
Side:???
キヴォトス郊外、廃墟の地下。チカチカと弱々しく点滅する、頼りない豆電球しか光源がない一室で、両の腕に豆柴を模したパペットを嵌めた狗頭の男がせっせと何かを弄っていた。
「精が出るわね」
いつのまにか狗頭の背後でロッキングチェアに腰掛けたフリッフリの黒いゴスロリドレスを身に纏った少女が居た。いや、少女の姿を模した、何かと言うべきか。
「はあ……。勝手に入らないでくれるかい?危険なものもあるんだから、この研究室には」
「あらあら、大丈夫なのよ。大丈夫かしら。私は人形よ。人形だもの。壊れても壊れても、修復すれば元通り、よ」
クスクスと愉快そうに笑う人形。ヴァッハフントは「はぁ……」と溜息を吐きつつ、紫色をした何かの結晶を放り投げた。
「ほら、それがお目当てだろう?上げるから早く出ていってよ」
「ツレナイわねぇ、ツレナイわ。ツマラナイかも、ツマラナイかしら。……でも、貴方のお願い聞いてあげるわ、聞いてあげるのよ。だって貴方は大切な、大好きな、大嫌いな……私のお玩具だから」
そう言い残して、人形はふわりと姿を消した。
「神秘を宿した生徒非ざるもの……。啄木ツグミの複製、ドリス。直接あったことは無いが……。一体彼女はどんな思いを込めて、あの人形を作ったんだろう」
ヴァッハフントはまた溜息を吐きつつ、机に向かい直し、作業を再開した。
前半戦、無事終了!!