やっぱ未来視持ちはチートなんやなって。
補習授業部の第二次特別試験が行われた、その夜。合宿所へ戻り、改めてコハルとアズサも含めてみんなに補習授業部の真実を話した後のこと。
先生はティーパーティーのテラスへと足を運んでいた。
「せ、先生……その、申し訳ありませんでした…………」
「……ううん、謝らないで。アレはナギサのせいじゃないしね」
ホストの代行を務めるこの空間の主、桐藤ナギサが開口一番に謝罪をする。申し訳なさげに肩を縮こませているその様子からは、本心から罪悪感を覚えている事が読み取れた。
結局、先生たちは第二次特別試験に間に合う事ができなかった。
道中に立ちはだかったマクガフィンを打ち破ることができなかったからである。もしくは、一方的に上手くあしらわれたからと表現するべきだろうか。
なにせ、彼は手傷を負っていないどころか余力を残した上で撤退したのだ。
それはゲヘナでの一件より動きにゆとりが見られた事もそうだが、あの戦闘で負傷した生徒の数がゼロであるという点から良く読み取れた。
まあ、改めて考えれば彼との戦闘で生徒に負傷者が出ないのはいつもの事なのだが。
ともかく。
規則は規則という事で、試験時間に大幅に遅れた補習授業部は自動的に不合格となってしまったのだ。
そして、それがこうしてナギサが申し訳なさそうにしている理由でもあった。
なにせ、安全確保のための試験会場変更であったはずがそのせいで事件に巻き込まれ、更にはトリニティの正規治安維持組織である正義実現委員会から
もっとも、その一番の原因はミカとツルギとの連携がうまく行かなかったからなのだが。派閥などの影響で顔見知り程度の関係性でしかなかった二人では、むしろ互いに主力級の力を持っていることが足を引っ張ったのだ。
先生の指揮で、ある程度は誤魔化せたのだが。流石に多対一を得意とする彼を相手取ろうと思えば、それは見逃せない欠点となる。
それだけ彼の立ち回りが洗練されていた、とも言えたが。
閑話休題。
何はともあれ、自分たちに非がある状況で太々しく振る舞えるほどナギサは政治家ではなかった。
それこそ、
(……うん、ナギサは結構安定してきたっぽいかな。少なくとも、外部の人間を前にしても自然体でいられるぐらいには。となると、今度はミカの方が心配だな)
それを見て安堵に少し息を吐く先生。
トリニティで最初に掲げた目標の一つ、『生徒のメンタルケア』にようやく成果が見え始めたからだ。とはいえ、そのもう一人の対象であるミカの様子を見れていないという懸念点は残っているのだが。
(ミカ……君は、いったい)
合宿所のプールで会って以来、ずっと連絡の取れていない生徒の事を思う。
今日も、後処理の事務的な会話をすると彼女は足早にどこかへ立ち去っていった。おそらく、自分の事を避けているのだろう。
「三次試験は警備を厳重にしますので」
「うん、よろしくね」
結局、ナギサの答えはまだ出ていなかった。
────────
すっかり暗くなったトリニティの中を、合宿所までの近道を選びながら先生はスイスイと歩く。
考え事をしながらでも迷わないぐらいには、慣れた道のりだ。
と、街灯の無い裏道に入り込んだ時の事である。
ガチャリ、と腰のあたりに何かが突き付けられた。
「シャーレの先生、ですね。少し来てほしい場所があります。ご同行、願えますか?」
拳銃だ、とそれを認めるよりも先に背後からかけられる静かな声。
(これは……マズいな)
味方どころか目撃者すら誰一人としていない裏路地。
自身の戦闘力など考えるまでもなく皆無に等しい。
(どうする。『シッテムの箱』を起動するか?)
「余計な事は考えないでください。これ以上手荒な真似はしたくありません」
「……分かった」
こちらの内心を読んだかのような言葉に、冷や汗の流れる感覚と共に了承の返答を返す。
ここで渋っても状況を悪化させるだけだと思ったからである。
「助かります。では、ついてきてください」
(……? 解放された?)
どこか焦ったような調子で背後の誰かは拳銃をしまうと、そのまま自分を先導するように歩き始めた。
てっきりこのまま銃を突き付けられた状態で案内されるのだろうと思っていただけに、意外な展開である。
しかし、どうやら少女にとって重要なのはそんな先生の様子ではなく目撃者の有無なようで。しきりに周囲を見回す姿からは、隠し切れない切迫の色が滲んでいた。
「もしかして、誰かに追われているの?」
「……。今は説明している時間が惜しい状況です。できる限り静かに、そして急いで移動してください」
(やっぱり)
その様子に確信を深めながら、先生は前を行く青髪の生徒の正体を考察する。
(少なくともトリニティに来てから見た覚えはない。目立たないようにするためか、制服も特徴のない一般的なトリニティの物だし……でも、この身のこなしは確実に実力者のソレだ)
見える立ち振る舞いからだけでも、得られる情報というのは膨大になる。
油断なく、しかし無理もなく警戒を続けられるというのは、しっかりと経験を積んできた人物にしかできない事だ。
ホシノやネル、ヒナほどの実力はなくとも、それに準ずる程度の力は持っているのだろう。
(……もしかして)
武力というのは分かりやすい指標になる。つまるところ、強い生徒は周囲から一目置かれるようになるのだ。もちろん、それ以外にも家柄やカリスマ性、頭の切れといった要因はあるが。
それでも、戦闘力の高い生徒の周囲に人が集まることは紛れもない事実である。
特に、トリニティのような派閥社会のきらいが強い学園では。
その上で考えてみると。トリニティで重役に付く生徒の内、自分がまだ会った事のないのは救護騎士団の蒼森ミネとシスターフッドの歌住サクラコの二人ぐらいなわけで。
更にミネは武闘派としても名が知れているとなると、予測は絞られるものだ。
「もしかして、君は蒼森ミネさん……だったりする?」
はたして、そんな先生の質問の結果は。
「……違います。それと、今は時間がありませんので。あまり無駄口は叩かないでいただけると」
「いや、さっき反応は当たってるよね?」
「…………違います。この場に、蒼森ミネはいません」
(……正体を隠したい感じ、なのかな?)
そこまで露骨に反応を示しておいて違うと言うのは無理があるだろうに。少しばかりの呆れと共に状況の推測を進める先生。
(まあ、たしかに一つの派閥の首長が
「到着しました」
そんな言葉と共に、ミネ(おそらくそう)が足を止めた。
目の前には小さな一軒家が森に隠れるようにして立っている。
道中は目撃者だけでなく監視カメラまで含めて痕跡を残さないようにし、今も尾行者がいないか警戒している辺り、かなりの徹底ぶりだ。
(となると、この中にいるのは────)
扉を開くと、ふわりとカモミールの柔らかな香りが鼻腔をくすぐった。
どうやら発生源は正面の廊下の右手にある扉の奥らしい。
軽く振り向いてみれば、背後のミネもコクリと頷きを返してきた。おそらく、その先に彼女がいるのだろう。
意を決して室内用のスリッパ*1へ履き替え、扉の方へと歩を進める。
よく手入れされているのかスルリと抵抗なく押し開けられたドアの先、リビングには、大きなキツネの耳が特徴的な少女がソファに座っていた。
「こんばんは、先生。まずは手荒な案内になってしまった事を詫びさせてもらおう。何分、私の存在を気取られるわけにはいかなかったのでね」
「っ! 君は……」
「おや、覚えていたのか……いや、思い出したのかな? ともかく、自己紹介といこう。私は百合園セイア、ティーパーティーの一席、そしてサンクトゥス分派の長を務めている。こちらで会うのは初めまして、だね」
バチリ、と電流が奔るように、先生の記憶が蘇る。
トリニティへ降り立つ直前、移動中の電車内で見た夢で、彼女とは会っていたのだ。
「無事、だったんだね……」
「といっても、目覚めたのはつい昨夜なんだけどね」
軽く肩をすくめるように苦笑を浮かべ、正面の席を勧めるセイア。
夕焼けのように柔らかなその笑顔からは、たしかな余裕が窺えた。
「ミネもすまなかったね。嫌なことをさせた」
「いえ、それは構いません。まずは先生とコンタクトを取る、というのには私も賛成でしたし」
自分が席に着いたのを確認し、セイアの隣へと並び合うように座る少女。ここまで案内してくれた彼女は、やはりミネで合っていたらしい。
「やっぱりミネだったんだ」
「うっ、それは……」
「あはは、ごめんごめん。冗談だから」
道中の会話を思い出しての、少しばかりの悪戯心。
場の空気を和ませる目的もあったそれは、狙い通りのはたらきをしたようで。三者三様の微笑みが顔に浮かべられた。
「さて。おそらく察している部分もあるとは思うが、こうして先生を呼んだのには理由があるんだ。端的に言ってしまえば、私の話を聞いてほしいというものなんだがね」
「なるほど」
ハーブティーを楽しむといった和やかさは残しながら、しかし真剣な雰囲気でセイアは口を開いた。
「しかし、問題なのが事情が複雑に絡み合っている事でね。というわけで、まずは重要な情報だけをピックアップして伝えようと思っているんだが。それでいいかい?」
「構わないよ。議題は……今のトリニティに関して、だよね」
先生の確認に対し頷くと、彼女は『それじゃあ、まずはコレからかな?』と語り始めた。
「しばらく前に私は襲撃され、それをミネが匿ってくれていたんだが。その襲撃犯は『アリウス分校』という学園なんだ」
「ああ、それは知ってるね」
「……知っているのかい?」
「うん」
パチクリと、意外そうにまばたきをするセイア。
その姿は、小柄な体躯とキツネの耳も相まって小動物的な印象を先生に与えた。
「なら、その直接の下手人────といっても彼女は私を逃がしたんだが。ともかく、襲撃者が補習授業部の白洲アズサだというのは……?」
「まあ、うん。そうじゃないかって思ってたね」
「……思ってたのか」
今度はミネと顔を合わせ、『本当か?』と書かれたような表情で感情を共有するセイア。ちなみに顔を向けられたミネも似たような表情である。
「じゃあ、そのアリウス分校と繋がっているのがミカだというのは……」
「予測の一つに上がってたね」
「…………」
再び顔を合わせる二人。
何も口にはしないが、しかしその表情は随分と雄弁に内心を語っていた。
「……先生。逆に君が知らない事はあるのかい?」
ややあってから、呆れたように呟かれる言葉。隣のミネもコクコクと頷くことで同意を示している。
どうやら、自分は思っていたよりも事件の核心にまで迫っていたらしい。
「まあ、色々と教えてもらう事が多かったからね」
「そういうものか。とはいえ、これは流石に想定外だな……」
頭痛を堪えるように頭を押さえ、苦笑を浮かべるセイア。
「となると、コレはいっそのこと最初から通して話した方が早いか?」
「私としてはどちらでもいいよ。きっと抜けている部分もあるだろうしね」
「そう言ってもらえると助かるよ。実は、私も変化した現在の状況を全て視れているわけではなくてね。ミネもそれでいいかい?」
「それでよろしいかと。私としても、ナギサ様やミカ様の状態については情報を得られませんでしたし」
全体の同意が得られたことを確認すると、カモミールティーをカップに注ぎ直してからセイアは口を開いた。
ふわりと漂った柔らかな香りが、セイアの頭の上から定位置の右手にまで戻ったシマエナガの動きで更に広がり、リビング全体へと広がっていく。
「最初は、ミカのちょっとした願いだったんだ────」
そうして語られたのは、小さなすれ違いが最悪な形で事件へと発展していった悲劇であった。
悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような……それでいて、ただただ後味だけが苦い。そんな、話であった。
「────ここまでが、
「…………」
話の区切りを示す言葉。
同時に、乾いた喉を潤すために少女はティーカップを傾ける。
しかし、その締めの言葉に見逃せないフレーズを見つけた先生は、問いかけを口にした。
「セイア。
「さすが、目敏いね。ああ。『これまでの』と区切ったからには、『これからの』話も存在する」
カタリ、とカップをソーサーに戻し、少女は────否、預言の大天使はスッと笑みを収めた。
そうして作った真剣な表情で、彼女は続く物語を語る。
これから起こり得る、ある可能性の話を。
「先生。私には少しばかり特殊な力があるんだが……それは知っているかい?」
「いや……ごめん。どこかで聞いたかもしれないけど、覚えてないや」
「構わないさ。どちらかと言えば眉唾な与太話に分類されるようなものだしね。────先生。実は私は、未来が視えるんだ」
「未来を? それは……予測とかじゃなくて?」
「ああ。未来予知……正確には予知夢だね。私は眠っている間に夢を通して未来が視えるんだ。…………まぁ、最近はちょっと違うんだが」
突拍子もない話に、先生の表情へ困惑の色が浮かぶ。
しかし。これまでと変わらないセイアとミネの雰囲気、そして昏睡していたにしては詳らかに知り過ぎていたトリニティの内情から、彼はそれを信用することにしたらしい。
コクリと一つ返された了承の頷きが、話の続きを促した。
「それじゃあ、改めてこれからの話をしよう────と、行きたいんだが。実は、その前に押さえておかなければならない話があってね」
「押さえておかないと、いけない話?」
「結論から言ってしまうと。これから話す未来は、まず間違いなく起こらない未来なんだ」
それはまあ、変えようとしているのだからその未来が訪れないのは当然なのでは? そんな疑問に首を傾げる先生。
だが、彼女が言わんとしているのはそういう事ではないらしい。
「そもそも、先生。未来というのは本来そう大きく変化しないんだ。観測し、そしてそれを変えられるのが私だけである以上は当然の話でもあるんだが」
「はぁ……」
「それを変えようと思えば、それ相応のナニカが必要になる。あるいは、世界にそれを認めさせられるだけの素質、もしくは権限が必要になる、と言ってもいいだろう」
「……セイアさん。先生が理解できていなさそうです」
「ああ、すまない。どうにもこういった言い回しをしてしまうのは癖みたいなものでね」
分かるような分からないような話と格闘していると、ミネが助け舟を出してくれた。
その後の要約してくれた説明では、セイアの言いたかったことは『未来の改変は非常に難しいため、重要な事象を大きく改変するのは基本的に不可能』という事らしい。
「なのだが、既に現状は私が視ていた未来とはかけ離れているんだ。そして、新しく識った未来とも、ね。だから、これから語るいくつかの未来も起こり得ないものなんだ」
「なるほど」
「とはいえ、その中には重要な情報がいくつも含まれている。そんなわけで、それを今から話すつもりという事なんだ。理解してもらえたかな?」
触れた事のない概念ではあったが、どうにかセイアの説明を理解した先生が『うん』と頷きを返す。
「結構。それじゃあ、まずは先生が今一緒に過ごしている補習授業部について。私が元々視ていた未来────仮に、『正史』と呼ぼうか。彼女たちは、正史では疑心暗鬼に陥ったナギサの妨害によりかなり困難な状況で三次試験を受けることになった。更に、ちょうどその日にアリウス分校によるナギサの襲撃が重なった事で事態は大きくなっていく。ただ、最終的には全員無事に三次試験を突破、晴れて自由の身となる予定だ」
「なるほど……」
「既に未来が変わっている、というのはこういう事なんだよ。今のナギサは揺れ動いている……というより、罪悪感と先生を信じたい気持ちに折れかけている状態だ」
だから放っておいてもこの未来は起こらないだろう、と彼女は語る。
その表情からは、どことなく安堵の色が垣間見えた。
「さて、それじゃあ次の事件だ」
「……あれ? まだ、何かあるの?」
「ああ。次の事件は、エデン条約の調印式の日に起こる」
自分がトリニティを訪れることになったのは、補習授業部にまつわるアレコレが原因であったはず。となると、三次試験を終えた後にトリニティの事件に関わることはないのではないか。
そんな先生の疑問は、しかし『エデン条約』という言葉によって氷解する事となった。
(なるほど、エデン条約か。それなら私が関わることになるのも納得だ)
「さっきも言ったように、アリウス分校の目的はトリニティへの復讐とゲヘナの壊滅だ。よって、彼女たちはエデン条約を乗っ取りに来る」
「乗っ取りに……?」
「まあ、襲撃と大差ないよ。詳しく説明しだすと夜が明けてしまうから今回は割愛させてくれ。ともかく、正史ではトリニティ・ゲヘナともに甚大な被害を受けることになってね。正義実現委員会はツルギ・ハスミを含めた過半数が重症に、ゲヘナ側も風紀委員長の心が折れて機能不全に陥った。そして、先生。君も、腹部を撃ち抜かれて意識不明の重体になる」
「……っ!」
おおよそ想定できる限りでの最悪、それがそのまま具現化したかのような惨状に思わず先生の顔が歪む。
両校の重役が集う調印式でそこまでの被害を出されるとなると、その混乱は計り知れないだろう。
「正史ではそのままバッドエンドに直行さ。どう足掻こうと多少配役が変わる程度でしかなかった」
「何か、方法は無いの? みんなで力を合わせれば、きっと────」
「そう結論を急がないでくれ。……新たに私が識った未来では、どうやらその結末は避けられるらしい」
「そ、そうなの?」
身を乗り出しそうになっていた自分の姿に苦笑すると、セイアは再び口を開いた。
「本当に生徒思いなんだな、君は」
「まあ、うん。私は『先生』だからね」
「実に『らしい』な。……さて。それじゃあ未来はどうなるのかと言えば、だが。結果としては、アリウス分校の撃退および事態の鎮静化は果たせた。が、エデン条約自体は流れることになる」
まあ、仕方のない話だね。そう続けるセイアに、一つ頷きを返す。
和平のための条約、その調印式で多数の血が流れる事態になるのだ。何も無かったように、とはいかないだろう。
「ちなみになんだが。その未来の改変を為したのは君なんだよ? 先生」
「私が?」
「ああ。本当に驚いたよ、まさかあの悲劇を回避できるとは思っていなかったからね」
語る言葉は後ろ向きであったが、しかしその表情には晴れやかな明るさがあった。きっと彼女なりに折り合いを付けた後なのだろう。
何はともあれ、こうして知ることができた情報はどれも値千金なものばかりだ。
教えてくれたセイアに感謝しつつ、これからの行動を決めなければ。そう先生は思っていたのだが。
どうやら、彼女の話はまだ終わりではなかったらしい。
「さて。それじゃあ、次の事件に話を進めよう。次は調印式からしばらく先の事なんだが────」
「ちょ、ちょっと待って!? 未来ってそんな先まで視れるの!?」
思わず声を差し挟む先生。
とはいえ、もう話は終わりだろうと思っていたのだ。それに、『そんな連続して事件が起こるのか、というか起きていいのか?』という疑問もある。その事を思えば、それもそうおかしな行動では無いのだろう。
はたして、そんな先生の疑問に対する答えは。
僅かに困ったように顎の辺りへ────萌え袖のせいで見えないのでおそらくだが────手を当てて悩むセイアからは、すぐには返ってこなかった。
「ふむ、それについては最後に回そうと思っていたんだが……。となると、先生。少し話が前後することになるが構わないかい?」
ややあってからそう口にしたセイアへ了承を示すと、彼女はまた別の、しかしとても重要な内容の話を始めた。
「まずは……先生、マクガフィンと名乗る人物は知っているかい?」
「まあ、うん。多分、人よりは詳しいんじゃないかな」
思わぬ人物の名が出てきたことに驚くも、内心を出さないように気を付ける先生。
先生としては彼は敵ではないと思っているが、トリニティの生徒としては現状でそう考えられるわけが無い。妙な印象を与えない方が良いだろう。
そんな自分の言葉にセイアはコクリと頷くと、『そうなると、むしろ逆に信じられないかもしれないが』と切り出した。
「────黒ずくめの怪人、マクガフィン。おそらくだが、彼は敵ではない」
まだまだ、深夜の密会は終わりそうにない。
最後になりましたが、ラスカル1102 さん、海鍋セイタ さん、thought さん、Pe@ce さん、絶許否者 さん、ゼリー男RX さん、腹ペコ さん、もにゃりん さん、可愛い=世界 さん、ココロヨヨ さん、未完のねここ さん、甘酢ポン酢 さん、かのと さん、未知 さん、グピ さん、石沢蒼一楼 さん、火山野郎 さん、はふい さん、厨二病青年 さん、さんさら さん、テモル さん、メーデ さん、まんがん さん、一般雪山遭難者 さん、YAMAKU さん、れもん222252 さん、評価付与ありがとうございました!!
乞食したとはいえこんなに増えるとは思ってなかったのでびっくりしました。9評価も黄色で染まりましたが、まだまだ完結まで頑張っていきますね!